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2010.08.12

3年ぶりの‘有元利夫展’!

1834_2        ‘春’

1835_2     ‘真夜中の占い’

1833_2            ‘雲を創る人’    

1832_2          ‘一人の夜’

有元利夫(1946~1985)の回顧展を3年前横浜そごうでみた(拙ブログ07/1/10)が、東京都庭園美でまた行われている(7/3~9/5)。プラスαに期待して足を運んだ。

絵画57点のなかにまだみてない作品がもっとあるかなと思っていたが、東芸大の卒業制作の‘私にとってのピエロ・デラ・フランチェスカ’(10点連作)、‘ソプラニーノ’、‘手品’の3点のみ。38歳で亡くなったから、作品は60点ちょっとくらいしかないのかもしれない。

有元利夫の絵から連想する西洋画家はボッティチェッリとマグリットとアンリ・ルソー。イタリアのアレッツオにあるピエロ・デラ・フランチェスカの‘聖十字架伝説’をみて有元はフレスコ画風のマチエールに自分の独自性を見い出したようだが、描かれた女性がすぐにフランチェスカの絵にむすびつくことはない。

‘春’で視線が向かうのは風になびく髪と手で受けとめようとしている白とうすピンクの美しい花びら。ルネサンス好きだから、ボッティチェッリの‘ヴィーナスの誕生’に描かれた花びらとの響き合いをイメージする。この花びら散らしは結構でてくる。‘花と人’、‘花吹’、‘花振る日’、‘花振る森’、‘春の少女’

宙に舞うのは花びらだけでなく、‘部屋の星座’の丸い紙風船や‘室内’の黄金の球だったりする。こういうものや女性の体を斜めにして描くことによって、有元は平面的な画面に生命の喜びや動感を与えている。

前回と同じく不思議な気持ちにさせられるのが‘真夜中の占い’や‘花振る森’に描かれた透き通った青い布。色はちがうが、この四角の布を‘ある経験’とか‘花振る日’でも女性がもっている。これ一体、何なの?

これが‘厳格なカノン’(07/1/10)では巨大なカーテンになる。シュール感覚を刺激する変な絵で、女性がビルの階上にたどりつくように梯子を上がっているようにも、危なっかしくも竹馬で遊んでいるようにもみえる。

有元の絵には雲がひんぱんにでてくる。芸大を卒業したあと有元は電通に勤めていたから、クリエーターにとってはバイブルみたいなマグリットの絵に影響を受けたことは容易に想像がつく。人物の顔つきは穏やかなのに表現は思いっきりシュールなのが‘雲を創る人’と別ヴァージョンの‘雲のフーガ’。

‘一人の夜’は誰がみてもルソーの‘カーニヴァルの夕べ’(フィラデルフィア美)を参考にしている。でも、有元の独自性はちゃんと伺えるからこれはこれですごい絵。今、‘カーニヴァルの夕べ’への思い入れはとても強く、心はいつもフィラデルフィアヘ飛んでいる。

明治時代以降に活躍した日本の洋画家のなかで、世界レベルの域に達しているのは藤田嗣治、佐伯祐三は別扱いにすると、岸田劉生と青木繁、そして香月泰男、有元利夫、石田徹也だと常日頃思っている。その有元利夫の回顧展にまた遭遇できたことを心から喜んでいる。

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