« 2010年7月 | トップページ | 2010年9月 »

2010.08.31

もっと見たいルノワールの名画!

1902_2      ‘女性大水浴図’(フィラデルフィア美)

1905_2       ‘海辺にて’(NY,メトロポリタン美)

1904_2      ‘道化師’(オッテルロー、クレラー=ミュラー美)

1903_2      ‘ヴェネツィアのパラッツオ・ドゥカーレ’(ウィリアムズタウン、クラーク美)

お気づきのように拙ブログには西洋絵画でも日本画でも女性を描いた絵が沢山登場する。そのなかで最も多いのがルノワール。だから、意気込んで取り上げるMy好きなルノワールは残り少なくなってきた。

ルノワール(1841~1919)の回顧展はここ2年で08年のBunkamura(08/2/18)と今年の国立新美(2/21)&国立国際美(4/21)と2回も開かれ、オルセー、ボストン、クラーク美などから自慢の女性画がいくつも展示された。日本にいながらこれほどいいルノワールの名画がみられるのだから、これはありがたい。

今年の展覧会でビッグなビッグな収穫はクラーク美蔵の‘団扇を持つ女’と画集に必ず載っている‘可愛いイレーヌ’(E.G,ビューレー・コレクション)がみれたこと。‘イレーヌ’を追っかけて大阪へ出かけたが、いい思い出になった。この絵が済んだので、見たい度の大きいのはあと3点。

それは‘女性大水浴図’(フィラデルフィア)、‘海辺にて’(メトロポリタン)、そして‘ジャンヌ・サマリーの胸像’(プーシキン、7/20)。フィラデルフィア美へなんとしても行きたいのはダリの‘ゆでた隠元豆のある柔らかい構造、内乱の予感’、セザンヌの‘大水浴図’&‘サント・ヴィクトワール山’、ルソーの‘カーニバルの夜’とともに、ルノワールのこの美しい裸婦をみたいから。

メトロポリタンにある‘海辺にて’は08年のときどういうわけか展示されてなかった。次回はしっかりリカバリーしたい。サーカスものをルノワールは‘フェルナンド・サーカス’(シカゴ美、08/4/5)と‘道化師’2点制作している。絵の前で息を呑んでみていた‘フェルナンド・サーカス’に比べ、男の‘道化師’は少し冷静な鑑賞態度になるかもしれないが、鑑賞欲をそそられることに変わりない。

ルノワールの風景画はそれほど惹かれないのだが、このヴェネツィアの風景だけは別。モネの絵をみるようでとても魅せられる。これを所蔵するクラーク美はアメリカのマサチューセッツ州ウィリアムズタウンにある。ここはルノワールの宝庫、いつか訪問したい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.08.30

もっと見たいゴッホの名画!

1901_3      ‘ラングロウ橋’(ケルン、ワルラフ・リヒャルツ美)

1898_3      ‘アイリス’(LA,ポール・ゲティ美)

1900_3      ‘夜のカフェ’(ニュー・ヘブン、イェール大美)

1899_3      ‘麦わら帽子の少女’(ベルン、H・F、ハーンローザー・コレクション)

ゴッホは大好きな画家だから、できるだけ多くの名画をみたいと常々思っている。でも、これからは1点をみるのにとても時間がかかり、結局みれないで終わるかもしれない絵ばかり。

ゴッホというと小さい頃から‘ひまわり’と‘跳ね橋’が胸のなかに強く刷り込まれている。‘ひまわり’は日本でも新宿の損保ジャパンへ行けば存分に楽しめるが、‘跳ね橋’のほうは縁遠い作品のまま。当面のターゲットはオッテルローのクレラー=ミュラーにある‘アルルの跳ね橋’(拙ブログ09/4/12)。もうひとつあるケルンの絵もみたくてしょうがないが、思いの丈が叶うだろうか?

ゴッホが描く花の絵で‘アイリス’にとても魅せられてる。図版でもこれほどいい気分になるのだから、本物の前に立ったら卒倒するかもしれない。これまでみた花の絵のなかでは‘ひまわり’とともに最上位に位置づけされる傑作ではなかろうか。気がはやる。

LAの街に足を踏み入れてないのはどうも格好がつかないから、いつかと思いつつも、旅行計画を立てる段になると、ヨーロッパや東海岸が先になり、ここやサンフランシスコは後回し。ポール・ゲティ美はアメリカ人には人気の美術館らしいから、一度は行ってみる価値はありそう。

中央にビリヤードの台が置かれた‘夜のカフェ’は長いこと画集でお付き合いしている。床のイエローパワーや壁の赤を目に焼き付けられたら幸せなのだが、こういう絵はNYに住むか1ヶ月くらい滞在するかでもしないかぎり、みる機会がない。いずれNYに1週間くらいいるプランを検討するつもり。

ゴッホの女性を描いた絵には‘ルーラン夫人’(08/4/5)、‘アルルの女’、‘ムスメ’(08/4/16)、‘カフェ・タンブランの女’、‘麦わら帽子の少女’があるが、とりわけ気に入っているのが5枚も描かれた‘ルーラン夫人’と‘麦わら帽子の少女’。ベルンの個人コレクションにおさまっている少女の絵に遭遇することをいつもミューズに祈っている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.08.29

もっと見たいアンリ・ルソーの名画!

1896_2       ‘カーニバルの夜’(フィラデルフィア美)

1894_2       ‘フットボールをする人々’(NY,グッゲンハイム美)

1895_2       ‘岩の上の少年’(ワシントン、ナショナル・ギャラリー)

1897_2        ‘飢えたライオン’(部分、バーゼル、バイエラー財団美)

今年国内の美術館で開催される展覧会は西洋絵画が大当たり!印象派、ポスト印象派、素朴派のアンリ・ルソー、そしてブリューゲル。どれをとってもワクワクする展覧会なので、アートフルマインドは常時プラトー状態にある。

こういう名画に多く出会えるときは絵画に対する感じ方、見る力はだいぶ上がったような気になる。これまでの鑑賞体験を振り返ってみると、絵画への思い入れはリニア的に大きくなったのではなく、ステップ関数のようにエポック的な展覧会に遭遇するたびにぴょんと跳ね上がったという感じがする。

また絵画との親和度だけでなく、大展覧会は特定の画家に開眼する、そんなきっかけをつくってくれる。さしむき今年はルノワール、マネ、ルソー、ドガ、ゴッホかもしれない。一気に好きになり、画集に載っているほかの名画への鑑賞欲がこれまで以上に強くなる。

ルソー(1884~1910)の‘蛇使いの女’と‘戦争’(拙ブログ6/12)が国立新美に展示されるだけでも200%サプライズなのに、TASCHEN本に大写しで載っている‘赤ん坊のお祝い!’(8/10)が世田谷美にやってきてくれた。この赤ん坊の絵をみるためにスイスの小さな街ヴィンタートゥールまではとても行けないから、嬉しくてたまらない。今、その余韻に浸っている。

と同時に、次のターゲットに心は向かっている。2年前、アメリカの美術館へ出かけたとき、ルソーが多くの美術ファンに愛されていることを思い知らされた。シカゴ美蔵の‘滝’とワシントン・ナショナル・ギャラリーにある‘岩の上の少年’と‘猿のいる熱帯の森’はいずれも貸し出し中で展示されてなかった。ルソーの絵は世界中の美術館から引っ張りだこなのだろう。

計画中の2回目のアメリカ美術館めぐりにはそのリカバリーも当然入っている。今、最も見たいのはまだ訪問してないフィラデルフィア美にある‘カーニバルの夜’。これは有元利夫が‘一人の夜’(8/12)を制作するにあたって参考にした絵。驚くのはここにはもう2点ルソーがあること。3年前日本にやってきた‘陽気な道化たち’と‘ピンクの服の少女’。対面が待ち遠しい。

NYのグッゲンハイムは17年前に体験したが、体のおもしろい動きが目をひく‘フットボールをする人々’をどういうわけかみたという実感がない。もうひとつの‘砲兵たち’はよく覚えているから、展示してなかったのかもしれない。その残念な思いをずっと持ち続けている。‘カーニバルの夜’同様、期待値は高い。

今年の2~5月、スイスのバーゼルにあるバイエラー財団美でルソーの回顧展が開かれた。その目玉作品が‘飢えたライオン’。クリーブランド美蔵の‘虎と水牛の戦い’によく似ており、すごく惹きこまれる。いつか遭遇できることを夢見ていたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.08.28

もっと見たいスーラの名画!

1892_2      ‘ポルサペサンの港’(ミネアポリス美)

1893_2     ‘ポール・アン・ベッサンの日曜日’(オッテルロー、クレラー=ミュラー美)

1891_2    ‘オンフルールの夕暮れ’(NY,MoMA)

1890_2    ‘グランカンのオック岬’(ロンドン、テート・モダン)

世の中にはいろんなタイプの絵があるが、絵によってはそれをみるのに一番いい季節があるかもしれない。夏の暑い時期によくみているのはスーラ(1859~1891)の点描画。すっきりした画面をみているとひんやりとした風を感じ、一瞬涼しくなるのである。本当かいな!?という声が聞こえてくるが、お試しあれ。

絵画鑑賞は時々とてつもなく大きな感動を与えてくれる。08年ロンドンのナショナルギャラリーでみたスーラの‘アニエールの水浴’(拙ブログ08/2/8)とシカゴ美にある‘グランド・ジャット島の日曜日の午後’(08/4/4)はそんなエポック的な鑑賞体験だった。こんな手間隙のかかる絵をよくもこれほど美しく描きあげたものだと息を呑んで見ていた。

スーラの大回顧展にいつか遭遇したいと願っている。もし、ロンドンとかシカゴ、NYで開催されることがあったら、なんとしても駆けつけるつもり。今はそんな情報はないので、行ける美術館にある作品との対面をひとつ々積み重ねていくことにしている。

まだみてない絵の多くは海洋画。ミネアポリス美にある‘ポルサペサンの港’は港の風景に人物が描かれているので、風俗画をみる感覚で、そのおびただしい数の小さな色の斑点を隅から隅までみてしまう。寒村の雰囲気がじつによくでており、とても魅せられる。

‘ポール・アン・ベッサンの日曜日’はマストにつけられた布や国旗が風にひらひら揺れて、港の情景が心地よく映るのに対し、‘オンフルールの夕暮れ’はぐっとセンチメンタルな気分になる。こういう茜色の空をみると古い映画のワンシーンを思い出す。映画ではなく実際の光景に接し命の洗濯をしたいのだが、なかなかそういう機会がない。

NYの近代美術館にはスーラの海洋画が4,5点あるのに、まだ‘グラヴリーヌの水路、夕暮れ’しかみてない。新MoMAにスーラ作品が全部展示されてない可能性もあるが、‘オンフルール’にはお目にかかりたい。

2年前訪問したテート・モダンでは‘オック岬’は必見作品リストに入っていたが、残念ながら展示なし。この絵は一見するとモネの海の絵を彷彿とさせる。中央に描かれた岩は蟹のつめのような形をしており、ドドーンと目の中にとびこんでくる。見たい度からいうと、この絵への思い入れが最も強い。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.08.27

もっと見たいドガの名画!

1888_2     ‘ニューオリンズの綿花商会’(ポー美)

1887_2     ‘帽子店にて’(マドリード、ティッセン=ボルネミッサ・コレクション)

1886_2      ‘カフェ・コンセール、レ・ザンドサドゥール’(リヨン美)

1889_2     ‘花束を持った踊り子’(ロード・アイランド・デザイン学校)

印象派イヤーの今年後半、注目の展覧会は横浜美で来月18日からはじまる‘ドガ展’(12/31まで)と国立新美の‘ゴッホ展’(10/1~12/20)。ゴッホ展へはもちろん出かけるが、鑑賞済みの作品が多いので、関心はドガ展のほうにある。

かつてビッグなセザンヌ展を開催した横浜美のことだから、ドガ(1834~1917)の回顧展もレベルの高いものを期待したくなる。オルセーからは45点、チラシに‘舞台の踊り子’(拙ブログ08/2/17)と‘バレエの授業’と‘浴盤’が載っているが、‘アイロンをかける女たち’とか‘アプサント’(08/12/28)などもやってくるのだろうか?まだみてないのが数点残っているので、これらが入っていることを祈っている。

オルセー以外の作品は国内外のコレクションから75点結集するというから気合が入っている。嬉しいのはそのなかに追っかけの‘ニューオリンズの綿花商会’があること。こういう画集に載っている有名な絵が含まれていると、ほかにも見たい度の強い絵がひょっとしてセレクトされているのかなと思ってしまう。

過度に想像をふくらましてもいけないのだが、今回はあえて館のHPにアクセスせず、作品に関する情報は入館するまでチラシだけにする作戦。サプライズを楽しみたいのである。‘ニューオリンズの綿花商会’がみれるので気分はすごくいいのだが、ここにピックアップした3点がオマケのサプライズになるかどうか。可能性は10%くらいか?

08年、アメリカの美術館でみたドガの絵で最も感動したのがシカゴ美蔵の‘婦人帽子店’(08/4/6)とメトロポリタンにある‘菊の花の女’(08/5/15)。バレエや競馬の絵より都市の日常生活のひとこまを描いた風俗人物画に惹かれており、この2点と‘アプサント’、‘アイロンをかける女たち’がMyベストドガ。だから、ルガノにある帽子店の絵にも興味深々。でも、スイスのルガノは遠いなぁー、

パリのナイトクラブの雰囲気を斬新な構図と鮮やかな色彩により見事に描いた‘カフェ・コンセール’も鑑賞欲を刺激する絵。ワシントンのコルコラン・ギャラリーにもこの絵同様フットライトを浴びて踊り子が浮かび上がる絵がある。どちらかがやってくる?人気の絵だからやはり無理かな。

画面構成に浮世絵を参考にしたとみられるのが‘花束を持った踊り子’。踊り子をみている女性が手にもつ扇子が異常に大きく描かれているのは広重の‘名所江戸百景’に影響を受けたからであろう。

今回のドガ展はオルセーから名画がごそっとやってくるから、今からワクワクしている。久しぶりに横浜美はすごいことになりそう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.08.26

もっと見たいロートレックの名画!

1882     ‘ムーラン街のサロンにて’(アルビ、トゥールーズ=ロートレック美)

1885     ‘ソファ’(メトロポリタン美)

1883     ‘ムーラン・ルージュにて、踊り’(フィラデルフィア美)

1884     ‘ムーラン・ド・ラ・ギャレット’(シカゴ美)

2年前、アメリカの主だった美術館を訪問したとき、印象派絵画を見尽くすにはオルセーやコートールドのコレクションだけではダメだなとつくづく思った。とくにロートレックやドガはその感が強い(拙ブログ08/4/64/16

オルセーにあるロートレック(1864~1901)の油彩は有難いことにしょっちゅうやってくる。8/16に終了した大人気の‘オルセー美展2010 ポスト印象派’(国立新美)には08年サントリー美であった‘ロートレック展’(08/2/17)にも出品された‘赤毛の女’、‘黒いボアの女’、‘女道化師シャ=ユ=カオ’が再度登場した。

だから、オルセーの図録に載っている絵でまだきてないのは‘踊るジャヌ・アヴリル’と大きな絵‘ムーアの踊り’&‘ムーラン・ルージュにて、踊り’の3点だけになった。こうなると、ロートレックファンとしては、アルビのトゥールーズ=ロートレック美やアメリカの美術館にある名画がやってきてくれないかなと思う。

ところが、これがなかなか実現しない。昨年Bunkamuraであった‘ロートレック・コネクション’展では監修はアルビ美の館長がやっているのに、自分のところの美術館は低いランキングの油彩だけでお茶をにごす始末。画集に載っている‘ムーラン街のサロンにて’などは‘とても、とても無理!’ということだろう。ここにある‘化粧するプープール夫人’や‘ル・アーブルのスターのイギリス娘’などもみたくてしょうがない。やはり現地での鑑賞となるのだろうが、ここは普通のツアーでは行けないのがつらいところ。

アルビに比べるとアメリカの美術館にある作品は気分的には楽。2回目の美術館めぐりは頭のなかにあり、08年のとき展示されてなかった作品のリカバリーはしっかりリストアップされている。メトロポリタンは‘ソファ’、シカゴ美は‘ムーラン・ド・ラ・ギャレット’。まだ行ってないフィラデルフィア美で期待の絵は‘ムーラン・ルージュにて、踊り’。

日本の美術館がメトロポリタン、シカゴ、ワシントンナショナルギャラリー、フィラデルフィアとのコネクションを強くし、館蔵名品展を度々開催してくれるとロートレックやドガのいい絵を鑑賞することもあるだろうが、これは難しそう。となると、他力本願はやめて自分で開拓するほかない。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.08.25

名品がずらっと揃った‘誇り高きデザイン 鍋島’展!

1879_2      ‘色絵更紗文皿’

1880_2      ‘青磁染付水車文皿’

1878_2      ‘色絵大根文皿’

1881_2      ‘色絵藤棚文大皿’

サントリー美で行われている‘誇り高きデザイン 鍋島’展(8/11~10/11)を楽しんだ。作品数145点は06年MOAであった鍋島展(拙ブログ06/12/7)の234点にはかなわないが、重文5点を全部揃えているので質的には同レベルのものといっていい。サントリーが企画するやきもの展は出光や五島同様、期待値にしっかり応えてくれる。

チラシに載っていた作品は1点を除いてこれまでみているものなので、今回はどれだけプラスαが登場するかに関心があった。作品の所蔵先をみるとこの展覧会のすごさがわかる。いい鍋島を所蔵していることで知られる美術館がずらっと名を連ねる。

今右衛門古陶磁美(32点)、サントリー(31点)、佐賀県立九州陶磁文化館(22点)、東博(13点)、林原美(9点)、出光美(6点)、田中丸コレクション、栗田美、鍋島報效会(ともに3点)、戸栗美(2点)、MOA,九博(ともに1点)。

鍋島に惹かれるのはその色鮮やかで洗練されたデザインとモティーフの大胆な構成。連続する更紗文の前では時間が経つのも忘れて夢中になる。6点あるうちお気に入りはここに紹介する初見の今右衛門古陶磁美蔵品。

動きのある図柄、例えば流水とか渦巻きと花を組み合わせたものや海の怪物をイメージさせる波頭と水車を響き合わせるものにも足がとまる。また、真ん中がまばゆいくらいに白く輝いている‘染付雲雷文大皿’(サントリー)をみると、天空を舞っているような気分になる。

収穫の一番ははじめてお目にかかった‘色絵大根文皿’(今右衛門古陶磁美)。青海波を背景にでれっとした大根がなんとも大胆に配置されている。上からかぶさってくる葉がとても立体的にみえ、皿の形と一体になっているのもすばらしい。

みていて心が踊るのは口径28~34cmの大皿。全部で26点ある。そのうち重文が5点。最も好きなのがMOAの‘色絵桃花文大皿’(06/2/28)。桃の皮の質感描写にいつもうっとりする。たっぷりある余白が詩情をそそる‘蓮鷺文三足皿’(06/12/7)にも魅了される。そして、折れ曲がってのびる藤棚をさらっと描いた感じの大皿(九博)の前にも長くいた。

展示室の一角に全然想定してなかった作品があった。14代今泉今右衛門が07年から10年に制作した4点。14代は注目している陶芸家なのでビッグなオマケに機嫌がいい。見てのお楽しみ!

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2010.08.24

‘三菱が夢見た美術館’展に橋本雅邦の‘龍虎図’が登場!

1874_2     橋本雅邦の‘龍虎図屏風’(右隻)

1875_2      ‘龍虎図’(左隻)

1876_2      ‘粉彩菊蝶図盤’

1877_2     ピサロの‘窓から見たエラニーの通り、ナナカマドの木’

先週か2週間前?の新聞広告に三菱一号館美で開催される‘三菱が夢見た美術館’展(8/24~11/3)がでていた。それをみてびっくり。なんとずっと待っていた橋本雅邦の‘龍虎図屏風’(拙ブログ08/1/19)が載っているではないか!

この展覧会のチラシには静嘉堂蔵の国宝‘曜変天目’(3/21)や野々村仁清作‘色絵吉野山図屏風’(3/21)は載っているが、雅邦の絵についてはなし。展示は急遽決まったのだろうか?そのあたりの事情はどうであれ、嬉しくてたまらない。目の前に突然人が現れ、‘この宝石を差し上げます’といわれたような気分である。

新しい美術館だから展示室のレイアウトに慣れないまま進んでいるが、心は‘龍虎図はまだかまだか’状態。3番目か4番目の比較的広い部屋にありました、ありました!ここには三菱が蒐集した自慢のお宝がどどっとある。

まずは‘龍虎図’(展示は8/24~10/3)から。龍と虎は2対2で対峙している。右隻の龍が生き物みたいにうねる雲やとびちる波しぶきに体の多くが隠れているのに対し、左隻の前にいる虎は体全部が描かれている。だから、激しい風のため大きくしなった竹とこの虎をみている時間のほうが長くなる。でも、よくみると後ろ足の形はなんか変で獰猛な虎にしてはしまりがない。

それにしてもこの絵は劇画チックでスペクタクル調。ゴールドの雷光が龍のほうから2本走り、両サイドでは雨を表す黒の細線が斜めにのびている。荒れ狂う波濤や渦巻とボリューム感のある雲を従えてやってきた龍が虎を精一杯威嚇するが、虎は低く構え、‘やってやろうじゃあないか、ちっとも怖くねえぞ’と応じる。あたりは雷鳴がとどろき風のヒューヒューという音がいっそう大きくなる。いざ、勝負!

普通だと世田谷の静嘉堂でしかみれない国宝‘曜変天目’は全期間ではなく、8/24~9/5だけの展示。丸の内界隈で仕事をしている美術好きサラリーマンにとっては願ってもない展示であろう。平日(水、木、金曜)は夜8時までオープンしているから、仕事帰りに楽しめる。東京に出張で来た人でも、東京駅と目と鼻の先にある美術館で星が天空にきらめくような‘稲葉天目’をみて感動する人だっているだろう。

今回、静嘉堂からは俵屋宗達の‘源氏物語関屋澪標図屏風’(国宝)を除くとお宝が目いっぱいでてくる。静嘉堂では2,3年かかって鑑賞することになるものがわずか2ヶ月半で効率よくみれるのである。これを見逃す手はない。やきものは名品がずらっと並ぶ。唐物茄子茶入3点(3/21)はめったに揃わないし、仁清の美しい色絵壺(重文)、‘井戸茶碗 越後井戸’(重文、9/7~11/3)、清時代の粉彩盤(8/24~9/5)、古伊万里の大きな十六角鉢も心を打つ。

近代日本画は雅邦の絵だけだが、西洋絵画、洋画にはっとするのがいくつもあった。流石、三菱コレクション。ピサロの明るい色使いの風景画がなかなかいい。ひょっとすると日本にあるピサロではこれが一番いいかもしれない。そして、目を奪われたのがルノワールの‘麦藁帽子の若い娘’。

これ以上に惹かれるのが図録に載っている‘長い髪をした若い娘’。これは9/28~
11/3の展示。ともに個人蔵だが、美術本や画集でみたことがない。こんないいルノワールの絵が日本にあったのか!という感じ。この絵目当てでもう一回出動することを即決めた。

洋画は岸田劉生の‘童女像’に魅せられる。これは再会を楽しんだが、プラスαの収穫は安井曽太郎の‘菊’とモネの‘日の出印象’を彷彿とさせる藤島武二の‘日の出’
(8/24~9/26)。また、山本芳翠の3点も興味深くみた。

作品の数はさほど多くはないが、質の高い絵画、歴史的に価値のある文献資料、古書、やきもの、工芸などが目を楽しませてくれる。こういう感動する目玉がつまった展覧会はやはり強く記憶に残る。開館記念展、第2弾も◎。

| | コメント (4) | トラックバック (3)

2010.08.23

秘蔵の名品アートコレクション展 ‘平山郁夫 平和への祈り’!

1870_2     ‘皓月ブルーモスク(イスタンブール)’

1871_2     ‘シルクロードを行くキャラバン(東・太陽)’

1872_2     ‘豁然開朗(津田の松林)’(部分)

1873_2     ‘朝陽鳳凰堂(宇治平等院)’

ホテルオークラでは現在、恒例のチャリティーイベント、秘蔵の名品アートコレクション展(8/4~29)が行われている。16回目となる今年は昨年12月に亡くなった平山郁夫の回顧展。作品は以外に多く70点ちかくある。

300円のミニ図録を買うとどの作品が最もよかったかというアンケートに応募でき、運がよければオークラの宿泊券とか食事券が当たることになっている。これを毎年楽しみにしているのだが、朗報が家にとびこんできたためしがない。

でも、今年は当たる予感がする。どうでもいいことだが、朝日新聞の販売店がプレゼントしてくれる横浜球場の横浜ー巨人戦のチケット(競争率は超高い)がなんと大当たり!で、勝手に食事券をいただく気になっている。

平山郁夫は人気の高い日本画家だから、回顧展は頻繁に行われる。近代日本画の展覧会を長いことみているが、図録が断トツに多いのが横山大観、上村松園、東山魁夷、そして平山郁夫。平山郁夫は4回体験した(拙ブログ09/12/2)ので、代表作はかなり目になかに入った。

毎度心に響くのは青一色の絵。今回8点でている。なかでも‘皓月ブルーモスク’の前に長くいた。以前みたことがあるものかと思ったが、別ヴァージョン。イスタンブールでブルーモスクを見たので、夜の光景を想像しながらみていた。嬉しいことに惚れこんでいる‘月華厳島’(07/9/11)とまた会うことができた。そして、プラスαはこの絵同様水面のゆらゆらがとても幻想的な‘興福寺の月’と真ん中の黄金の月明かりがアクセントとなっている‘平等院’。

背景の茜色と駱駝の足の影が目に焼きつく‘キャラバン’は平山郁夫の定番イメージとなったシルクロードシリーズの一枚。05年の作だから、はじめての鑑賞。駱駝の絵はもう一点‘暁流沙らくだ行’にも魅了される。

ホテルオークラ神戸のロビーに飾ってある‘津田の松林’は画面から少し離れてみたほうがいい。こうすると松の林が横にずっとのびているのがイメージできる。平山郁夫の絵で強く惹かれるのはモティーフの長くのびる影。風の影響で曲がった幹の地面に映る影を這うようにみていると、そこに奥行きを感じ、静謐な光景に声がでなくなる。これは大きな収穫!

強いゴールドの光に浮かび上がる平等院を描いた‘朝陽鳳凰堂’も息を呑んでみた。その隣にある‘法隆寺’は秀逸な構成に思わず足がとまる。青と影の画家、平山郁夫とはこれからもずっとつきあっていこうと思う。来年1月には東博で回顧展があるから、楽しみがまたふえた。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2010.08.22

いつか行きたい美術館! ベルリン

1868_2     ボッティチェッリの‘バルディ祭壇画’(絵画館)

1869_2       ヴァトーの‘シテール島への船出’(シャルロッテンブルク宮殿)

1867_2      ラ・トゥールの‘豆を食べる人々’(絵画館)

1866_2     ルノワールの‘ワァルジュモンの子供たちの午後’(旧国立美術館)

講談社からでている週間‘世界の美術館 ベルリン美術館①②’(09年)が手に入り、最新のベルリン美術館情報がわかってきたので、だんだんベルリンへ行くぞ!モードになっている。

来春、1日使ってまわろうと思っているのは、
★絵画館
★旧国立美術館
★新国立美術館
★新博物館
★旧博物館
★シャルロッテンブルク宮殿
★ボーデ博物館(時間があれば)
★ペルガモン博物館(時間があれば)

全部訪問できるかわからないが、とりあえず事前の準備として各館所蔵品のリストづくりは進めている。博物館島にあるのが新・旧博物館、旧国立美術館、ボーデ博物館、ペルガモン博物館、ここから南西3kmくらいのところに絵画館と新国立美術館。シャルロッテンブルク宮殿は市の中心部からは最も遠く、ブランデンブルク門から北西へ3kmあたり。

まず、最初にめざしたいのが15~18世紀の西洋絵画が集まる絵画館。みたい絵は昨年ふれたブリューゲルの‘ネーデルランドの諺’(拙ブログ09/4/11)、フェルメールの‘真珠の首飾りをつける女’(09/1/8)のほかにも、ボッティチェッリの‘バルディ祭壇画’&‘歌う天使と聖母子’、ラ・トゥールの風俗画、ホルバインの‘商人ゲオルク・ギーゼ’(5/23)など。

ここからすぐ近くにある新国立美が所蔵するのはピカソ、キルヒナー、ムンクなどの20世紀近現代絵画。キルヒナーはまだ両手くらいしかみてないので、すごく楽しみ。

印象派絵画があるのは博物館島の旧国立美。ここでの期待はルノワールの少女を描いた絵。ほかにも再会が楽しみなマネの‘温室にて’(05/5/3)やセザンヌやモネもあるから相当いい気分になりそう。

ヴァトーの有名な‘シテール島への船出’は随分前から知っていた作品。だが、昔はこの絵は一生縁がないなと思っていた。シャルロッテンブルク宮殿にはこの絵のほかに数点ヴァトーの絵がある。これらに絵画館蔵の作品をくわえると、ヴァトーがすごく近く感じられるようになるにちがいない。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2010.08.21

祝 興南高校 春夏連覇!

1865夏の全国高校野球大会で興南高が沖縄勢としては初めて優勝し、春夏連覇を達成した。拍手々!

決勝戦の相手、東海大相模高に13対1と打ち勝ったが、3回まではともに点が入らず、緊迫した試合展開だった。

ゲームが動いたのは4回裏、1アウトのあと興南は待望の先取点をとった。次にまたヒットがでて2点目。

東海大相模はこのあたりで攻撃をカットしておれば、まだどうなったわからなかった。が、投手の島袋選手が打席のときスクイズを見事にはずしたのに、捕手が三塁へ悪送球。決勝戦でやはり緊張していたのだろう。このプレーで流れは興南へいき、興南打線が火をふき一気に7点とった。

そして、6回裏には三番の小柄だが腕っ節の強そうなキャプテンが見事な3ランホームランを放ちとどめをさした。東海大相模は打撃力があるから、反撃して5,6点とるかなと期待していたが、最後まで島袋投手の変化球を主体にしたピッチングに押さえこまれた。

沖縄の人たちにとって、興南の夏全国制覇はうれしくてたまらないだろう。何年か前沖縄水産が2年連続決勝に駒を進めながら優勝にとどかなった。高校野球でもプロ野球でも、投打のバランスのとれたチームが栄光を手にする。島袋投手は独特のトルネード投法でチームの勝利に貢献した。

昨日の準決勝で1,2回に5点とられたのに、これをすぐ修正して今日は1点に抑えた。この精神力と投球術は立派。プロに入ったら、ソフトバンクの杉内のようなピッチャーになるのではないかと思う。スカウトの評価はトップではないようだが、この選手はのび代はすごくあるような気がする。

興南でいいバッターだなと思ったのは2番と4番。ともに左バッター。東海大相模でうならせるのは1番と5番の一二三投手。この4人はプロで鍛えられればその才能に磨きがかかるのではなかろうか。一二三選手は投手ではなく野手でプロに入ったほうがいい。

東海大相模は40年ぶりの優勝を狙ったが残念ながら果たせなかった。今年の出場は33年ぶりだという。ええー、そんなに長いこと甲子園にでてなかった?!という感じ。この学校は神奈川県の強豪でしょっちゅう出場しているイメージが強い。2度目の優勝はならなかったが、興南についで強いチームだったのだから、拍手々!

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.08.20

いつか行きたい美術館! オスロ国立美術館

1861_2         ムンクの‘叫び’

1863_2       ‘生命のダンス’

1864_2       ‘橋の上の少女たち’

1862_2       ‘病める少女’

西洋絵画の名画を知るきっかけはいろいろあるが、普通は中学、高校の美術や世界史の教科書を通して心のなかに入ってくる。ダ・ヴィンチの‘モナリザ’、ボッティチェッリの‘ヴィーナスの誕生’、ベラスケスの‘ラスメニーナス’、レンブラントの‘夜警’、ルノワール、マネ、モネ、ゴッホ、ゴーギャンら印象派の作品、ムンクの‘叫び’、クリムトの‘接吻’、ピカソの‘アヴィニョンの娘たち’などなど。

誰でもそうだろうが、中学のころからムンク(1863~1944)の‘叫び’は知っており、あの幽霊のようなのっぺりとした顔が目に焼きついている。だが、本物があるのはノルウェーのオスロ国立美。だから、縁遠い名画のなかではこれが筆頭かもしれない。一生縁がないかもと思うことがある。でも‘そう諦めていいの?意を決して北欧ツアーに参加すれば、行程にはオスロ国立美への入場が組み込まれているからすぐみれるでしょう’ともうひとりの自分がささやく。

フィヨルド観光には惹かれるものがあり、‘叫び’の見たい度も強いのだが、まだ優先順位が上がってこない。この絵は美術館を離れることはまずないから、いつか決断しないといけない。手元にある週間‘ラ ミューズ・世界の美術館 ムンク美術館’(93.2、講談社)をみると、‘叫び’のほかにもグッとくる絵がいくつも載っている。

‘生命のダンス’は幸運なことに99年、フレンツェのピッティ宮殿であった‘ムンク展’(オスロ国立美所蔵20数点)で遭遇した。人物配置のよさと明るい色調に大変感動した。3年前西洋美であった回顧展(拙ブログ07/10/14)にムンク美蔵の別ヴァージョンがやってきたが、2点をくらべると国立美のほうが断然いい。

オスロ国立美にはムンクの絵が58点あるそうだが、‘橋の上の少女たち’、‘メランコリー’への関心も高い。また、初期の作品‘病める少女’や‘叫び’の1年あとに描かれた‘思春期’とか‘マドンナ’にも魅了される。こうして代表作をレビューするとムンクは大画家ということを思い知らされる。

北欧旅行の情報蒐集にまだ力は入ってないが、行くならデンマーク、スウェーデンもまわることになる。以前取り上げたストックホルム美にも見たい絵があるから、オスロの美術館とのセットだと楽しい美術館めぐりになりそう。なんとかやりくりして出かけたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.08.19

散歩で街角ウォッチング! ムソルグスキーの組曲‘展覧会の絵’

1860

最近、散歩をしていると楽しいことに出くわす。いつものコースをいつものペースで進んでいると、大音量のクラシック音楽が聞こえてくるのである。どうも、左手にある小学校から聞こえてくる。

曲はムソルグスキーの組曲‘展覧会の絵’。よく耳に馴染んだ曲だから、いい気分になる。これまで3回聴く機会があった。演奏自体はなかなかいいので、プロの交響楽団に近いレベルのように思える。どこかの市民団体が小学校の講堂を借りて公演会のために練習をしているのかもしれない。

2日前は最も盛り上がる‘キエフの大門’だった。うだるような熱さのなか、切れのいいトランペットの音色や腹にずしんとくるチューバの高い音が耳にとびこんでくるととても元気になる。演奏している人たちも汗だくに違いないが、これは有難い。うるさいな!と感じる人もいるだろうが、クラシック好きには嬉しくなる出来事だった。

2週間前、NHK教育でショパン特集があり、ロシアのピアニスト、ボリス・ベレゾフスキー(1969~)が演奏する‘ピアノ協奏曲1番’を楽しんだ。このピアニストの演奏ははじめて。その余裕がありさっぱりした演奏スタイルに惹きこまれた。そして、姿勢のよさにも見蕩れる。いっぺんに好きになった。で、キーシンの‘ピアノ協奏曲2番’(拙ブログ8/4)とセットで聴いている。

ピアノ協奏曲とヴァイオリン協奏曲をくらべると、ヴァイオリン協奏曲を聴く回数のほうが多い。でも、今年はショパンの生誕200年だから、年末までショパンのピアノを中心にソロでも協奏曲でもピアノ尽くしになりそう。‘展覧会の絵’のオリジナルはご承知のようにピアノ独奏のための組曲。お気に入りは名手アシュケナージの演奏。

ラヴェル編曲のオーケストラ版は耳にたこができるくらい聴いたショルテイ指揮シカゴフィルとラトル指揮ベルリンフィル(08/1/3)のものが最高にいい。散歩をしていて野外演奏会の場にいるような気分にさせてくれた‘展覧会の絵’。音楽の神様が、美術ばかりに時間を割かないで、もっとクラシックを聴きなさい!といっているのかなと思った。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2010.08.18

2度目のドレスデン国立美術館の楽しみ!

1858_3       フェルメールの‘取り持ち女’

1859_3       ホルバインの‘モレットの肖像’

1857_3       ゴーギャンの‘タヒチの2人の女’

1856_4       クリムトの‘白樺林’

海外の美術館で作品を見終ったあとはミュージアムショップに寄り図録を買うのがいつもの流れ。そして、吟味して手に入れた図録は作品の印象が鮮明なうちにパラパラめくり、ちゃんとみたものをチェックする。が、そこに載っているのにみたという記憶がないのがいくつかでてくる。

これはそのとき展示されてなかったか、みたはずなのに関心が薄かったからすぐ記憶から消えたかいずれか。館内を忙しくまわっているため、時間が経つとどっちだったか曖昧になる。必見リストにあげている絵の場合は展示されてなかったと思っていいのだが、そうでない絵はみているのに記憶にとどまらなかったケースが7割くらいある感じ。

03年に訪問したドレスデン国立美で心がはやっていたのはフェルメールの絵2点。図録(英語版)の表紙に使われている‘窓辺で手紙を読む女’はご対面したのに、カラヴァッジョ風の風俗画‘取り持ち女’は残念なことにマドリードにあるプラド美に貸し出中。狙っていた絵がないと本当にガックリくる。

フェルメールは来年、全点鑑賞(残り5点)を達成する予定なのだが、リーチ一発といくかどうか。カラヴァッジョやラ・トゥール同様、フェルメールは人気が高いから行ったはいいが貸し出し中なんてことはありうる。でも、ミューズにいつも祈っているから大丈夫だろう。フェルメールの追っかけはこう思ってすごすのが一番。

ホルバインは当時気軽にみていた画家だから、男の肖像はみるにはみたが記憶にないのかもしれない。図版をみているだけでもNYのフリックコレクションにある‘トーマス・モア’(拙ブログ08/05/21)が思い出される。この絵にみられる衣装、男の顔や髭の写実性豊かな描写にも仰天しそう。

ツヴィンガー宮殿内にあるのはこの美術館の古典絵画だけで、ここから1kmのところに近代絵画館がある。ツアーで見学するのは古典絵画のみ。で、次回は一部の名所観光をパスして近代絵画館にも足を運び、もう何年もみたい気持ちを募らせているゴーギャンの‘タヒチの2人の女’とクリムトの魅力いっぱいの風景画‘白樺林’をみるつもり。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.08.17

ドレスデン国立美術館の名画にまた酔いしれたい!

1852_2       ラファエロの‘サンシストの聖母’

1854_2     ジョルジョーネの‘眠れるヴィーナス’

1853_2      パルミジャニーノの‘薔薇の聖母’

1855_3    レンブラントの‘レンブラントとサスキア’

ドレスデン国立美術館は壮大なバロック建築を誇るツヴィンガー宮殿内にある。所蔵する絵画は一級品揃いで、ここを訪問された方の多くはルーヴルやロンドンナショナルギャラリーと同じくらい感動されると思う。

03年の中欧旅行のときは1時間という短い鑑賞時間だったが、‘ラ ミューズ を手にもち忙しく館内を回った。感激した作品が多すぎて選択に苦労するが、最大のお目当ては大好きなラファエロの傑作、‘サンシストの聖母’。下に描かれている頬杖をつく天使と手を前においている天使がなんとも可愛い。

ラファエロの絵同様、とても感動したのがジョルジョーネの‘眠れるヴィーナス’。美術本でお馴染みの絵が目の前にあるので夢中になってみた。ゴヤの‘裸のマハ’、マネの‘オランピア’の原点はこのヴィーナス。この絵をみるとジョルジョーネのすごさがわかる。

ヴェネツィア派ではティツィアーノの‘白い衣装をつけた婦人の肖像’やティントレットの‘アルシノエの救出’などいい画がいくつもあるからテンションは上がりっぱなし。

マニエリスム画家、パルミジャニーノの‘薔薇の聖母’も印象深い絵。マニエリスム様式はブロンズィーノとパルミジャニーノの絵だけに関心をもち続けているのだが、この‘薔薇の聖母’は一番好きといっていいくらい気に入っている。

ここはレンブラントの宝庫。4,5点あったように記憶している。長くみていたのはレンブラントの笑っている顔に魅せられる‘レンブラントとサスキア’。

生憎、当時は展示してなかった‘ガニュメデス’は嬉しいことに05年西洋美であった‘ドレスデン国立美展’(拙ブログ05/7/18)で公開されたから大喜びした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.08.16

胸が高まるノイエ・ピナコテーク!

1849_2       ゴッホの‘ひまわり’

1848_2       ゴーギャンの‘テ・タマリ・ノ・アトゥア’

1850_2     ベックリンの‘波間の遊び’

1851_2     シーレの‘苦悩’

来春訪問することにしているノイエ・ピナコテークへの思い入れはかなり強い。海外の美術館をまわるときは、1秒たりとも時間を無駄にできないので所蔵作品必見リストを入念につくっている。いい作品がある美術館だとこれをつくるのも楽しいが、ノイエにはわくわくするような名画が沢山ある。

はじめての美術館、とくに大きな美術館の場合、のんびり構えていると思い描いた作品の半分もみれないから、いつも入館するとリストをみながら館内を駆けずりまわっている。まず追っかけ作品を優先的にみて、時間に余裕があれば(ないことが多い)ほかの作品も楽しむ。リストアップしたものが100%みれることはなく、だいたい1割くらいは欠ける。

ノイエでの最重点作品は2点、これまで拙ブログで紹介したマネの‘アトリエの昼食’(08/8/7)とクノップフの‘私は私自身に扉を閉ざす’(08/9/25)。三菱一号館美であったマネ展に‘アトリエの昼食’が展示されるのを密に期待していたが、やはりこれは館自慢の一枚だから無理だった。

この絵をみると二人の画家が思い起こされる。ひとりはドガで、もうひとりはカラヴァッジョ。前々からマネの人物画はドガのそれと通じるものがあると思っていたが、最近はこのマネの息子がロンドンとミラノにあるカラヴァッジョの‘エマオの晩餐’に描かれたキリストにダブってみえてきた。マネはカラヴァッジョの絵に刺激をうけたのではないかと勝手に想像している。

この2点以外の絵の見たい度は横一線。ゴッホは嬉しいことに3点ある。‘ひまわり’と‘掘る人のいるアルルの果樹園’と‘オーヴェルの畑’。ゴーギャンのタヒチの女を描いた絵も注目の絵。また、ドガの‘アイロンかけ’にも惹かれている。

ベックリンの絵はこれまで片手くらいした体験してないから、毒があって猥雑な感じのする‘波間の遊び’には興味深々。Bunkamuraはよく象徴派の作品を展示してくれるので、一度ベックリンの回顧展をやってくれないかなと期待している。いつものことだが、帆だけは高く揚げておきたい。

この美術館の楽しみのひとつはクリムトの‘マルガレーテ・ストロンボロー=ヴィトゲンシュタインの肖像’、‘音楽Ⅰ’、シーレの‘苦悩’。情報はないが、ココシュカなどもあるかもしれない。ほかにもドイツの美術館だから、表現主義のグロスとかキルヒナーあたりに遭遇すると嬉しいのだが。はたしてどんなサプライズが待っているだろう?

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.08.15

もう一度行きたい美術館! ミュンヘン アルテ・ピナコテーク

1845_2    ボッティチェッリの‘ピエタ’

1844_2    ブリューゲルの‘怠け者の天国’

1847_2          ムリーリョの‘ブドウとメロンを食べる子供たち’

1846_2    ブーシェの‘ソファに横たわる裸婦’

27年前、ミュンヘンへ行ったときは絵画に対する興味は今ほど強くなかったから、出かけた美術館はアルテ・ピナコテーク(古絵画館)のみ。その後、ここにはいい美術館が集結していることがわかった。

今当時を振り返ってみて惜しいことをしたなと思うのはアルテ・ピナコテークの向かい側にあるノイエ・ピナコテーク(新絵画館)やすぐ近くのレンバッハハウス美へ行かなかったこと。NO情報のため行きようがなかったのだが、ゴッホはすでに大好きだったから‘ひまわり’があるノイエをパスしたのは悔やまれる。

この二つの美術館を紹介する‘週間 世界の美術館’(講談社、09年9月)によると、この地区にはもうふたつ、02年に開館した現代美術が中心のピナコテーク・デア・モデルネとキリシア・ローマ時代の彫刻などを展示している古代彫刻美がある。高い質を誇る美術品が効率的に楽しめるのだから、美術愛好家にとっては心が浮き浮きするような芸術鑑賞空間である。

この秋にとても嬉しいことがある。現在改築中のレンバッハハウスからカンディンスキーの代表作のひとつが三菱一号館美にやってくる。‘カンディンスキーと青騎士’展
(11/23~2/6)の開幕が本当に待遠しい。

アルテ・ピナコテークにある絵で今も目に焼きついているのはデューラーの‘自画像’&‘4人の使徒’、数多くあるルーベンスの‘レウキッポスの娘たちの掠奪’などのバロック絵画、一体ここには何人の兵士が描かれているのか!とびっくりするアルトドルフィーの戦争画‘アレクサンドロスの戦い’、ダ・ヴィンチの‘カーネーションの聖母’、ラファエロの‘カニジャーニのせ聖家族’。

残念ながらほかの絵はまったく忘れている。30年ちかく経っているのだから、当たり前といえば当たり前だが。で、次回の鑑賞で目に力を入れるぞ!と思っているのがいくつもある。

その筆頭がボッティチェッリのマニエリスム風の描き方が気になる‘ピエタ’と全点制覇を狙っているブリューゲルの‘怠け者の天国’。また、メムリンクの大作‘聖母の七つの喜び’やウェイデンの宗教画も心のなかを占領している。

カラヴァッジョの画風から強い刺激をうけたムリーリョの子供を描いた絵も見逃せない。こういう風俗画にブリューゲルやルーベンスの風景画同様すごく惹かれているから、この絵と対面するのが楽しみ。

以前は軽くみていたロココ絵画も悪くないなと思うようになったのは2年前ルーヴルでブーシェ、フラゴナールの絵と出会ってから。で、ここにあるブーシェの‘ソファに横たわる裸婦’はフラゴナールの‘犬と戯れる少女’とともに追っかけリストに入れている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.08.14

パリ市立近代美術館でユトリロ、ドンゲンの絵をみたい!

1843_2     デュフィの超大作‘電気の精’

1840_2            モディリアーニの‘ルニア・チェホフスカの肖像’

1842_2     ユトリロの‘ベルリオーズの家’

1841_2       ドンゲンの‘スフィンクス’

1991年に訪問したパリ市立近代美術館は鑑賞した作品、例えば、デュフィのびっくりするくらい大きな絵‘電気の精’やマティスの‘ダンス’などはよく覚えているのに、どんな建物でどんな部屋に飾ってあったかはまったく忘れている。

美術館のある場所を地図であらためて確認すると、セーヌ河に沿ったところに建っており、シャイヨー宮の近く。すぐ後ろ側にギメ美術館がある。プティ・パレとマルモッタンのちょうど中間あたりだから、流れからいくとここへも出かけないともったいない。

ここにはエコール・ド・パリのいい絵があることで知られている。が、フジタの‘寝室の裸婦キキ’とモディリアーニの‘ルニア・チェホフスカ’くらいしか確かにみたという実感がない。訪問した2年後に発行された‘ラ ミューズ 世界の美術館 パリ市立近美’(講談社)をみると、情けないことに‘この絵みたかな?’というのがいくつもある。ユトリロ、パスキン、そしてスーティンも。

ユトリロはこの本に‘ベルリオーズの家’、‘ブラン・マントーの教会’、‘コルテ通り’が載っているのに、どうしたことかどれも記憶にないのである。だから、次回はしっかりリカバリーするつもり。

記憶にない絵でしかたがないのもある。それはフジタと仲がよかったヴァン・ドンゲンの絵。この画家に開眼したのは6年前(拙ブログ05/4/13)だから、このころはドの字も知らない。が、今はドンゲンの回顧展に遭遇しないかと密に願っているほどだから、美術館の図録(仏語)にも載っている‘スフィンクス’はみたくてたまらない。手元の本にはほかに2点でている。全部で5点くらい所蔵しているのだろうか?

関心の高い絵はユトリロ、ドンゲンだが、ここにはキュビスム、フォーヴィスム、抽象絵画、シュルレアリスムのいい絵が沢山あるから、これらに囲まれるのも楽しみ。だいぶ時間が経ったから、お気に入りのドローネー、クプカ、ブラウネルと新鮮な気持ちでむき会うことになるだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.08.13

息を呑む美人画が揃った‘日本美術のヴィーナス’展!

1838_2             勝川春章の‘桜下三美人図’

1836_2      菊池契月の‘少女’

1839_2      鏑木清方の‘たけくらべの美登利’

1837_2      伊東深水の‘通り雨’

出光美で現在開催中の‘日本美術のヴィーナスー浮世絵と近代美人画’(7/31~
9/12)は興味をそそるテーマだけにパスするわけにはいかないが、ここの浮世絵はおおよそ見終わっているから前のめり気分ではなかった。

浮世絵は予想通りの絵がでている。チラシに使われている喜多川歌麿(1753~
1806)の肉筆画‘更衣美人画’(重文)は昔からよくみているが、版画の美人大首絵に比べると心は向かってない。ここの肉筆の一番の楽しみはなんといっても勝川春章
(1726~92)の‘美人鑑賞図’(拙ブログ06/12/8)。今回は5点ある春章からもう一点‘桜下三美人図’がでている。

三美人図は西洋画の‘三美神’のように一人は後ろ向きで、3人はサークルを描くように立っている。背景に流れるS字の川と女たちの上にある桜の配置がとてもいい。じつはこの絵はマドリードにあるプラド美が所蔵するルーベンスの絵と構成がよく似ている。ひょっとして春章は長崎から入ってきた版画などで三美神の絵を知っていた!?

近代美人画はサプライズの連続だった。okiさんから菊池契月(1879~1955)の絵がでていることを聞いていたが、4年前長野でみた‘少女’(京都市美、06/6/9)があるとは思わなかった。流石、出光!思わずうなってしまった。

名画とはじめて対面するときはかなり興奮状態にあるから、絵を冷静にみてないことがある。あたりまえのことだが美人画では顔に視線は集中する。そして、白い手と足に。でも、前回は着物の柄までみてない。ペアの鳥や貝殻、花びらなどの紋様がなかなかいい。‘少女’と並んで回顧展に出品されていた‘朝爽’(京近美)と‘友禅の少女’(京都市美)があるのもすばらしい。

近代美人画の名手といえば上村松園(1875~1949)。出光にも‘四季美人図’と‘灯’(08/9/21)がある。収穫は縦長の絵‘冬雨’。個人蔵とはいえこんないい絵がまだあったのか!という感じ。後期(8/24~9/12)に登場する3点はまだお目にかかってない。すごく楽しみ。

‘少女’と一緒に京都から出張していただいたのが鏑木清方(1878~1972)の‘たけくらべの美登利’(京近美、07/6/7)。ええー、この絵までみせてくれるの!これはMy好きな鏑木清方‘ベスト5’に入れている絵。本当に嬉しい。そして、まだみてないプラスα2点、‘五月晴’と‘朝妻舟’(ともに個人蔵)も夢中になってみた。

伊東深水(1898~1972)の‘通り雨’も傑作。これとは4年前、新橋の東京美術倶楽部で行われた‘大いなる遺産 美の伝統展’で衝撃的な出会いをした。傘をさす色白の女性は息を呑むほど美しい。こういう個人が所蔵する名画はめったにでてこない。この絵を含めて出光の学芸員の審美眼はまったくすごい。感謝々!

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.08.12

3年ぶりの‘有元利夫展’!

1834_2        ‘春’

1835_2     ‘真夜中の占い’

1833_2            ‘雲を創る人’    

1832_2          ‘一人の夜’

有元利夫(1946~1985)の回顧展を3年前横浜そごうでみた(拙ブログ07/1/10)が、東京都庭園美でまた行われている(7/3~9/5)。プラスαに期待して足を運んだ。

絵画57点のなかにまだみてない作品がもっとあるかなと思っていたが、東芸大の卒業制作の‘私にとってのピエロ・デラ・フランチェスカ’(10点連作)、‘ソプラニーノ’、‘手品’の3点のみ。38歳で亡くなったから、作品は60点ちょっとくらいしかないのかもしれない。

有元利夫の絵から連想する西洋画家はボッティチェッリとマグリットとアンリ・ルソー。イタリアのアレッツオにあるピエロ・デラ・フランチェスカの‘聖十字架伝説’をみて有元はフレスコ画風のマチエールに自分の独自性を見い出したようだが、描かれた女性がすぐにフランチェスカの絵にむすびつくことはない。

‘春’で視線が向かうのは風になびく髪と手で受けとめようとしている白とうすピンクの美しい花びら。ルネサンス好きだから、ボッティチェッリの‘ヴィーナスの誕生’に描かれた花びらとの響き合いをイメージする。この花びら散らしは結構でてくる。‘花と人’、‘花吹’、‘花振る日’、‘花振る森’、‘春の少女’

宙に舞うのは花びらだけでなく、‘部屋の星座’の丸い紙風船や‘室内’の黄金の球だったりする。こういうものや女性の体を斜めにして描くことによって、有元は平面的な画面に生命の喜びや動感を与えている。

前回と同じく不思議な気持ちにさせられるのが‘真夜中の占い’や‘花振る森’に描かれた透き通った青い布。色はちがうが、この四角の布を‘ある経験’とか‘花振る日’でも女性がもっている。これ一体、何なの?

これが‘厳格なカノン’(07/1/10)では巨大なカーテンになる。シュール感覚を刺激する変な絵で、女性がビルの階上にたどりつくように梯子を上がっているようにも、危なっかしくも竹馬で遊んでいるようにもみえる。

有元の絵には雲がひんぱんにでてくる。芸大を卒業したあと有元は電通に勤めていたから、クリエーターにとってはバイブルみたいなマグリットの絵に影響を受けたことは容易に想像がつく。人物の顔つきは穏やかなのに表現は思いっきりシュールなのが‘雲を創る人’と別ヴァージョンの‘雲のフーガ’。

‘一人の夜’は誰がみてもルソーの‘カーニヴァルの夕べ’(フィラデルフィア美)を参考にしている。でも、有元の独自性はちゃんと伺えるからこれはこれですごい絵。今、‘カーニヴァルの夕べ’への思い入れはとても強く、心はいつもフィラデルフィアヘ飛んでいる。

明治時代以降に活躍した日本の洋画家のなかで、世界レベルの域に達しているのは藤田嗣治、佐伯祐三は別扱いにすると、岸田劉生と青木繁、そして香月泰男、有元利夫、石田徹也だと常日頃思っている。その有元利夫の回顧展にまた遭遇できたことを心から喜んでいる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.08.11

アントワープ王立美展はマグリット、デルヴォーの2点買い!

1829_2       マグリットの‘9月16日’

1830_2    デルヴォーの‘バラ色の蝶結び’

1831_2           フレデリックの‘咲き誇るシャクナゲ’

ベルギーのアントワープ王立美が所蔵する作品70点を公開する展覧会(7/28~
10/3)が行われている東京オペラシティアートギャラリーヘ出かけた。ここを訪問するのは3度目だから、まだ不慣れ。JR新宿駅から京王新線に着くまでが長い。前回もこんな歩いたっけ?美術館はここから一駅の初台にあるのだが、たどりつくまですごく時間がかかる感じ。

展覧会のチラシには‘アンソールからマグリットへ ベルギー近代美術の殿堂’のキャッチコピー。が、掲載されている絵をみて、今回はマグリットとデルヴォーの2点買いとはじめから決めている。だから、鑑賞時間は30分弱と短い。どの展覧会でも解説文は読まないから、こういう目的がはっきりしている場合はとても早く見終わる。

アントワープは5年前訪問し、ノートルダム大聖堂で念願のルーベンスの傑作‘キリストの降架’、‘キリストの昇架’を体験したが、自由時間がないため王立美は寄れなかった。ここにもルーベンスのいい絵があるから一度は入りたいのだが、次も似たようなツアーに参加する予定だから縁がなさそう。

古典絵画の情報は少しあるが、近代絵画にどんな作品があるのか皆目わからない。ベルギー人ではないから、名前を知らない画家の作品への関心はうすい。マグリット
(1898~1967)の絵はまだか、まだかと思いながらどんどん進んでいくと最後のシュルレアリスムのコーナーにお目当ての‘9月16日’があった。

代表作‘光の帝国’(拙ブログ09/6/18)と同じタイプの絵だが、‘光の帝国’では空は昼なのに、この絵は風景も空も夜。アクセントになっているのが大きな木の上のほうにある三ヶ月。月がなければ神秘的な風景でおわるところだが、アップリケのような三ヶ月をちょこっと張るだけでシュールさ全開の不思議な世界に変容する。マグリットは
200%傑出したイメージの魔術師!

4月横浜そごうでデルヴォー(1897~1994)の‘森の精’(4/30)に惹きこまれ、ここでもまたいい絵‘バラ色の蝶結び’に遭遇した。遠近法で表現された広い空間には全部で10人の裸婦がいる。そのうち3人がバラ色の蝶結び。建物の前の石畳には大小さまざまな石ころがあり、そのなかに交じって髑髏がひとつ置かれている。髑髏はもう二つあるが、それは見てのお楽しみ。

写実性の高い描写が見る者を魅了するフレデリック(1856~1940)の少女の絵は思わず足をとめてみてしまう。また、ベルギー象徴派を代表するクノップフの肖像画にも魅せられる。シュルレアリスムのいい絵が2点みれたから気分をよくして、次の美術館へ向かった。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.08.10

アンリ・ルソーの‘赤ん坊のお祝い’と対面!

1825_2     アンリ・ルソーの‘赤ん坊のお祝い!’

1826_2        ゴッホの‘郵便配達人 ジョセフ・ルーラン’

1827_2         ホードラーの‘自画像’

1828_2          シスレーの‘朝日を浴びるモレ教会’

アンリ・ルソーの期待の絵をみるため、世田谷美へでかけた。8/7からはじまった‘ザ・コレクション・ヴィンタートゥール’(10/11まで)は美術館にとっては相当気合の入る展覧会のようで、東急田園都市線・用賀駅からは美術館直通のバスが特別に運行されている(平日は30分、土日は15分間隔)。

館内にはびっくりするくらい子供がいる!?8月中、小中学生は無料とのこと。この盆休みには親子連れがふえそう。この展覧会のチラシを手に入れたとき、ヴィンタートゥールはコレクターの名前?美術館名?なんかはっきりしなかった。じつはスイスにある街の名前。チューリッヒの北東25km、人口10万の小さな街である。

スイスのジュネーブに若いころ住んでいたことがあり、チューリッヒにもクルマででかけたことはあるが、そのころは美術に今ほど熱が入ってなかったから、ここからそう遠くないところに美術ファンには名の知れた美術館があることは知る由もない。

その美術館が改築のため、しばらくお休み。で、コレクションのうち90点が日本ではじめて公開されることになった。チラシに載っている絵のなかで、とりわけ気になるのがルソー(1844~1910)の‘赤ん坊のお祝い!’。この絵にすごく惹きつけられたが、手元の美術本にはなかった。が、昨年10月に購入した小学館の週間‘西洋絵画の巨匠・ルソー’にこれが大きく紹介されていた。

本物は期待に違わぬいい絵だった。ルソーの絵には今、国立新美に展示されている‘蛇使いの女’のようなジャングル画のほかに、画面の中央に人物を馬鹿デカく描くものがある。これまで体験したこのタイプの絵は‘人形を抱く子供’(オランジュリー)と‘女の肖像’(オルセー)の2点。

おもしろいのは‘赤ん坊のお祝い’も‘人形を抱く子供’も大人の目つきをしていること。‘赤ん坊’は足元の草、白や赤の花びらがかなり丁寧に描かれており、後ろに立つ木の葉っぱも裏表を緑に濃淡をつけて表現している。そして、感心するのが画面の構成。赤ん坊は左手を横にあげて色鮮やかな赤、黄色、青の衣装をつけた大きな人形をもっているが、そのデブっとした体と人形の間に木を配置している。さらに、白い服にはさんだ花の隣にクリスマスツリーのような三角形の木を描いている。構成といい精緻な描写といい、絵の完成度はかなり高い。

ゴッホ(1853~1890)の‘ルーラン’は‘赤ん坊’とともにこの展覧会の目玉作品。背景の黄色に郵便配達人の青の制服がとても映える。‘オルセー美展’には‘星降る夜’、‘ウジェーヌ・ボック’、‘アルルのゴッホの寝室’が出品され、ここには‘ルーラン’、そして秋には国立新美の‘ゴッホ展’にまた傑作がやってくる。日本にいながらゴッホの名画を何点も鑑賞できるのだから、これほど幸せなことはない。

想定外のサプライズはホードラー(1853~1918)の‘自画像’。このスイス人画家は気のいい親父さんという感じ。2年前、幸運にもオルセーでホードラーの回顧展に遭遇した(拙ブログ08/2/22)。そこに自画像が5点でており、そのひとつに再会したと思った。が、家に帰って図録を確認すると別の絵。ホードラーは同じ1916年にもう1点制作していた。

印象派はゴッホのほかにモネ、ルノワール、シスレー、ピサロ、ゴーギャンもあったが、最も心に響いたのはタイトルの通り光の描写がすばらしいシスレー(1839~1899)の‘朝日を浴びるモレ教会’。

あまりみる機会のないドニやヴァロットンらナビ派の絵に出会ったのは収穫だったが、今回感動の袋を大きく膨らませてくれたのはなんといってもルソーの赤ん坊の絵。どうか、お見逃しなく!

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2010.08.09

いつか行きたい美術館! アムステルダム市立美術館

1821_2     ゴッホの‘掘る人(ミレーによる)’

1823_2       シャガールの‘ヴァイオリン弾き’

1822_2         マレーヴィチの‘モスクワの英国人’

1824_2          マレーヴィチの‘シュプレマティスト・ペインティング’

オランダのアムステルダムへ05年に行ったとき、国立美術館は改築中でレンブラントの‘夜警’、フェルメールの‘牛乳を注ぐ女’など有名な絵だけが限定的に展示されていた。それから5年も経つのにまだ工事は終了しない。一体新美術館はいつ完成するのだろうか?

数年後にまたオランダ・ベルギーツアーに参加しようと思っているのだが、アムステルダムでの自由時間(一部の行程をパス)はゴッホ美のすぐ近くにある市立美とアムステルダムから列車で1時間くらいで着くオッテルロー、クレラー=ミュラー美に充てることを今から決めている。

前回、市立美は国立美同様、改築していたため、そのコレクションは中央駅から15分くらいのところにある郵便局で仮展示されていた。全体のどのくらいがでていたのか見当がつかないが、デ・キリコの絵(拙ブログ05/4/15)などをみることはみた。だが、広島にいるとき鑑賞したシャガールの‘7本指の自画像’がなく、ゴッホやモンドリアンの作品の姿をみせてくれなかったから、評価の高い近現代絵画の一部があっただけという感じ。

ところで、この美術館は国立美とは違って元の場所で公開されている?チェックしてないが、どうだろうか。まだ、工事中だったら予定が狂う、、美術本には気になる絵がいくつも載っている。まず、ゴッホ。広島であった市立美名品展で3,4点みたと記憶しているが、ミレーの絵を下敷きにした‘掘る人’は出品されてなかった。

シャガールは有名な‘7本指’のほかに‘ヴァイオリン弾き’や‘聖母とソリ’がTASCHENにでている。シャガールは好きな画家だから追っかけのエネルギーをきらさないようにしているが、この2点は魅力いっぱい。

シャガールもいいのだが、この美術館へ駆り立てるのはマレーヴィチの作品。画集をみるとここにはマレーヴィチのいい絵がいくつもある。傑作が集結した経緯は知らないが、とにかくいいのが揃っている。

初期のプリミティブ様式で彫刻のように描かれた農民の絵やモティーフがコラージュ風に配置されたおもしろい絵‘モスクワの英国人’、そして正方形や円形など単純化された幾何学フォルムで構成された‘シュプレマティスト・ペインティング’などがとても刺激的。

マレーヴィチの絵はこれまでそう多くはみてないから、こうした傑作を体験したらこの画家に最接近するかもしれない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.08.08

プティ・パレ美はクールベの宝庫!

1820_2      ドラクロアの‘ジャウールとパシャの闘い’

1818_2    クールベの‘セーヌ河畔のお穣さんたち’

1817_2      セザンヌの‘ヴォラールの肖像’

1819_2    ルドンの‘青い花瓶のアネモネとリラ’

グラン・パレの向かい側にあるプティ・パレ美は1991年のパリ美術館めぐりで訪れたのだが、さらっとみて引き上げたせいかどんな絵があって、どんな展示空間だったかはほとんど忘れている。

ビッグネーム画家の画集をみているとルーヴル、オルセー、オランジュリーは頻繁にでてくるのに対して、プティ・パレの名前はあまり目にとまらない。所蔵作品の情報は少ないが、是非みたい絵が数点あるから次回のパリ旅行では足を運ぶことにしている。

ロマン派のドラクロアの絵をみるのはルーヴル訪問の楽しみのひとつ。代表作の‘民衆を導く自由の女神’にみられるように、動きのある人物描写や鮮やかな色彩効果が特徴の画風は大きな画面を緊張感と情熱にあふれるものにしている。プティ・パレにある絵にも釘づけになりそう。

08年に体験した‘クールベ展’(グラン・パレ、拙ブログ08/2/23)でプティ・パレにルーヴルと同じくらいクールベのいい絵があることがわかった。‘セーヌ河畔のお嬢さんたち’、‘眠る女たち’(08/9/29)、‘黒い犬を連れた自画像’、‘ジュリエット・クールベの肖像’、‘1853年のプルードンの肖像’の5点はどれも大変魅せられた。

クールベ本にはほかに4,5点載っている。で、狙いはそのなかの‘火事に駆けつける消防士’と‘干草の季節の牛睡’、‘レジス・クールベの肖像’。クールベ展をみるまでは肖像画というと女性の肖像に断然心はむかっていたのに、最近では男性の肖像画にもぐっと惹きこまれるようになった。だから、‘レジス・クールベ’にも期待している。

クールベ作品への関心が最も高いのだが、セザンヌの‘ヴォラールの肖像’も見逃せない。ここにはセザンヌの絵がもう2点ある。ルドンの絵は週間‘西洋絵画の巨匠’シリーズ(小学館)で知った。こういう絵もあるので、時間をかけてみたらいい絵にいろいろ遭遇するかもしれない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.08.07

マルモッタンはモネ好きには憧れの美術館!

1814_2      ‘手漕ぎボート’

1815_2       ‘国会議事堂 テムズ河への反映’

1813_2     ‘印象 日の出’

1816_2     ‘睡蓮の池’

モネの有名な絵‘印象 日の出’があるパリのマルモッタン美術館ヘは1991年に行った。もうだいぶ前のことだから、貴族の邸宅にお邪魔して名画をみたような普通の美術館にいるのとは違った体験だったのと、地下の部屋にモネが晩年に描いた色が飛び跳ねている半具象の絵がいくつも壁にかけてあったことくらいしか覚えてない。

モネは一生付き合おうと思っている画家のひとり。だから、ときおりここの図録をながめて、風景画や睡蓮の絵を楽しんでいる。買い求めた図録は仏語のものだが、現在は日本語版がある?こういう老舗の美術館はモネ好きの日本人が多いといっても、‘あっ、そうなの’くらいの反応で、今も日本語版はないかもしれない。果たして?

過去2回日本でマルモッタン美展が開かれた。最初が92年(新宿三越店)、2度目が
03年。このときは高知県美、島根県美、松本市美の地方の美術館が手を組んで実現した。ちょうど広島に住んでおり、島根県美に出かけてみた。

だから、マルモッタンが所蔵するモネの絵やルノワールやモリゾなどのコレクションはかなり目になかにおさめている。でも、図録に載っているが2回の展覧会にも登場しなかったモネの絵がいくつか残っている。しかも、そのなかに19年前しかとみたという実感のないものがある。

俯瞰の視点が浮世絵の影響を感じさせる‘手漕ぎボート’と深い青緑が目に焼きつく‘国会議事堂 テムズ河への反映’はなんとかリカバリーしたい絵。これほどインパクトのある絵を見逃すはずがないので、前回は展示してなかったのかも?

そうとも限らない。なにしろはじめてみる‘印象 日の出’に心を奪われていたから、ほかの絵のことがふっとんでいたのかもしれない。モネの傑作を沢山体験した今なら心の余裕があるから、前とはちがった鑑賞態度になるだろう。

島根県美にもやってきた黄色がまばゆい‘睡蓮の池’は‘印象 日の出’とともに最も気に入っている作品。これは館自慢の絵で図録の表紙を飾っている。ここのコレクションで驚かされるのはモネ以外の画家の作品。ルノワールとゴーギャンに気になる絵があるので、次回はしっかりみたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.08.06

待遠しいオランジュリー美術館訪問!

1809_2      セザンヌの‘リンゴとビスケット’

1811_2      アンリ・ルソーの‘結婚式’

1810_2         ローランサンの‘シャネル嬢の肖像’

1812_2    モネの大連作‘睡蓮・緑の反映’(部分)

2年前パリを訪問したとき、06年5月に再オープンしたオランジュリー美は当然美術館めぐりのなかに入っていた。ところが、グラン・パレで開催中の‘クールベ展’が想定外の大混雑。2時間も並んでみるはめになったので、オランジュリーは一度みていることもあって割愛せざるをえなくなった。

だから、次回、ここへイの一番行こうと思っている。前回の訪問は19年前だから、展示室やそこに飾ってあった作品は手元にある‘ラ ミューズ・オランジュリー美’をてがかりにかすかに思い出す程度。その記憶も思い切った改築がなされた新しい美術館が06年に完成したから、もう必要なくなった。

どういうわけかここのちゃんとした図録がないのだが、‘ラ ミューズ’に載っている絵は目に焼きついている。でも、ほかの美術本にでている絵のなかには鑑賞したかどうかあやふやなのもある。‘ジャン・ヴァルテール&ポール・ギョーム・コレクション’144点は展示スペースの関係で全部が展示されないため、みてないのかもしれない。

リカバリーを是非とも果たしたいのがセザンヌの静物画‘リンゴとビスケット’と‘息子ポール・セザンヌの肖像’。その次がアンリ・ルソー。‘ジュニエ爺さんの馬車’と‘女の子と人形’はよく覚えているが、‘結婚式’とか‘海上の嵐’とか‘椅子工場’はあった?という感じ。ルソーの絵はできるだけ多くみたいので、リーチ一発といきたい。

話が横にそれるが、世田谷美で明日からはじまる‘ザ・コレクション・ヴィンタートゥール’(8/7~10/11)にルソーの‘赤ん坊のお祝い!’が登場する。チラシでみて以来気になってしょうがなかったが、来週やっと会える。とても楽しみ!

オランジュリーで最も印象に残っているのがマリー・ローランサンの絵。5,6点あったような気がする。お気に入りは‘シャネル嬢の肖像’。これまでこの美術館や鎌倉大谷美、蓼科のマリー・ローランサン美などが所蔵する作品をみたが、今のところこの絵がランキング1位を続けている。

モネの大連作‘睡蓮’は前は地下にある8の字の部屋でみたが、20年近く経ったのでだんだん記憶が薄れている。改築後は1階の光の入る部屋に展示されているそうだから、感激の再会になるだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.08.05

いつか行きたい美術館! パリ装飾芸術美術館

1808_2

1805_3       ラリックのネックレス‘ハシバミの実’

1806_3       ラリックのチョーカー‘セイヨウサンザシ’

1807_3       ラリックのブローチ‘接吻’

夏の暑い時期はガレやラリックのガラスや宝飾品をみて涼しさを呼び込んでいる。これを5年くらい前から励行しているのだが、ここ数年はラリック(1860~1945)がつくったジュエリーにとても惹かれているから、ガレ以上にラリックの作品をみる時間が多くなってきた。

で、ラリックの傑作が沢山あるリスボンのグルベンキアン美(拙ブログ7/13)への思いはことのほか大きい。と同時に、パリにある装飾芸術美への関心も高まっている。訪問はこちらのほうが早く実現するかもしれない。パリ市内の地図をみると、ルーヴルのすぐ近くにある。

次回のパリ訪問でまわることにしている美術館は08年のとき行けなかったオランジュリー、久しぶりのプティ・パレ&マルモッタン&ギメ、装飾美、そして定番のルーヴル。オルセーが休館中なので楽しみの中心はオランジュリーのアンリ・ルソーと装飾美のラリックの宝飾品が占めることになりそう。

昨年の‘ラリック展’(国立新美)をみたあと、ラリック関連の本を購入し、装飾美の所在地を知った。それによると、ルーヴルと目と鼻の先のところにある。ここなら、2年前にも行けたのに、惜しいことをした。美術の鑑賞に時間のズレはつきもの。ある作家に心がグッと向かったときに大回顧展にめぐりあえるなら最高の鑑賞体験。でも、そう都合よく事は運ばない。1年前に回顧展があそこであったのか!なんてことはよくある。

装飾美所蔵のラリック作品はグルベンキアン同様、図版をながめているだけでテンションがあがってくる。ネックレス‘ハシバミの実’はため息がでそうなお宝という感じ。ガラスに顔をくっつけてみたくなる。また、天然真珠をちりばめた‘セイヨウサンザシ’も心を揺すぶる。

装飾美で楽しんだあとは、コンコルド広場の近くにあるラリック本店にも寄ってクリスタルの煌きに酔いしれたい。 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.08.04

ショパン生誕200年 ガラ・コンサート・イン・ワルシャワ!

1804            ドラクロアの‘フレデリック・ショパン’(1838)

今年はショパンの生誕200年にあたる。5月中旬、NHKでポーランドのワルシャワで行われたガラ・コンサート(2/26)を収録した番組があり、喜び勇んでビデオ収録した。出演したピアニストがすごい顔ぶれ。エフゲーニ・キーシン(1971~)とダニエル・バレンボイム(1942~)。

美術界ではカラヴァッジョが没後400年で、クラシック音楽の世界ではショパンが生誕200年。カラヴァッジョはローマで大回顧展が開かれ、ショパンも世界各地で記念演奏会が開かれている。ともに大好きな芸術家だから、今年はこの二人に没頭しようと思っている。

で、ショパンのガラコンサートを何度も聴いている。現在39歳のキーシンが演奏したのはワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団との共演で‘ピアノ協奏曲2番’、そのあとアンコールに応えて弾いたのが‘エチュード ハ短調「革命」’、‘ワルツ 嬰ハ短調’、‘ワルツ ホ短調’(遺作)の3曲。

最近はクラシックの演奏会をTVでみる機会がぐんと減ったから、はじめは久しぶりのキーシンなのに反応が鈍かった。が、徐々に巨匠の風格が漂ってきたキーシンのシャープで柔らかみのある音にぐうーっと引き込まれていった。これまで‘協奏曲1番’のほうはブーニンの演奏を耳にたこができるくらい聴いたが、‘2番’はこれにくらべると少ない。ところが、キーシンはすごいピアニストという先入観があるのかもしれないが、この‘2番’も心地よかった。

アンコールで記念公演に相応しい名曲を弾いてくれた。情熱の詩人ショパンを最も感じさせる‘英雄’にとても感動した。生で聴いたら体が震えたかもしれない。キーシンの演奏は本当にすばらしい!観客の拍手が鳴り止まなかった。

番組の後半はバレンボイムのピアノリサイタル。演奏したのは次の11曲。
・幻想曲 へ短調
・ノクターン 変二長調
・ピアノソナタ 2番 変ロ短調
・舟歌 嬰へ長調
・華麗な円舞曲 へ長調
・ワルツ イ短調
・ワルツ 嬰ハ短調
・子守唄 変二長調
・ポロネーズ 変イ長調「英雄」
・マズルカ ヘ短調
・小犬のワルツ

バレンボイムとのつきあいは長い。昔から目つきが精悍でがっちりした体型だったが、このごろは顔が二重あごになり、かなりウエートアップしている。今年68歳。年はとってもその演奏は一段と磨きがかかっている。どこからみても大ピアニスト。ゆったり弾いている感じの‘舟歌’や‘ワルツ 嬰ハ短調’に魅了されるし、華やかな調子の‘英雄’やリズミカルな曲想が楽しい‘小犬のワルツ’に聴き惚れる。

上の絵はショパンと親交が深かったドラクロアが描いたショパンの肖像画(ルーヴル美)。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2010.08.03

江戸物小説でわかる火消し人足の実態!

1802_2

1803_2         豊原国周の‘真盛江戸之花役 四代目中村芝翫’  

浮世絵と長くつきあっていると江戸の人々の暮らしとか賑やかしい場所に関する知識が自然とふえてくる。知識欲というのはおもしろいもので、浮世絵にてんぷらの屋台や鰻屋がでてくると、こういうのものがいつごろからはじまったの?とか興味の範囲がどんどん広がっていく。

愛読している佐藤雅美氏の江戸物小説のおかげでいろいろなことがわかるようになった。7/26に鰻飯の話を書いた。佐藤氏の時代考証は相当念が入っているから、江戸に関することは今のところ‘物書同心居眠り紋蔵’とか‘半次捕物控’などの人気シリーズで教えてもらうことにしている。

今回は‘半次捕物控・髻塚不首尾一件始末’(講談社、07年9月)にでてくる火消し人足のこと。年初、豊洲のUKIYO-e TOKYOで‘江戸の英雄’(1/6)というなかなかいい展覧会があり、濃い色彩と力感あふれる肉体表現で描かれた時代のヒーローとそれこそガッと対面した。そのひとつが歌舞伎役者が演じるカッコいい町火消し。

上の絵は豊原国周が描いたものだが、図録の解説文にはこうある。
‘火事と喧嘩は江戸の華と言われるように、江戸の町では火事が多く、その消火にあたる火消しの人々の勇気は男の中の男と称えられるものであった。しかも、いなせで人情に厚いとくれば、江戸のヒーローと憧れの対象となったのは当然のこと。、、、’。このように浮世絵に火消しがカッコよく描かれたのは男っぷりがよかったからだろう。

でも、鳶とも仕事師ともいわれた町火消しの実態はだいぶちがう。人々の憧れの対象ではなくその逆だった。そんな話が件の本にでてくる。

ある店の植木の手入れを依頼された植木職人が仕事が早めに片付いたので、木の葉が舞い散ったどぶを浚った。年に何回かはどぶ板を剥がし、詰まった塵芥や土砂を浚っていないと汚水が詰まって異臭を発する。場末の裏長屋ではみながおれの知ったことではないとそれを怠るから、鼻をつまんでないとうろつけないことになっていた。

ところが、植木職人がするどぶ浚いに待ったと声をかける者がいた。町火消しである。いい分はこう。‘この町はは組の縄張りでどぶ浚いはおれらの仕事。よけいなことはしてくれるな’。植木職人はすぐ‘ほんの片付け仕事です。どうか、お気を遣わないでください’と返す。すると、鳶は‘みなさんにそういうことをされてはあっしらが困るんです。おまんまを食いっぱぐれるんです’と声を荒げる。双方だんだん熱くなり、一触即発の状態になる。装画の右が鳶で左が植木職人。

鳶は火事がないときは普請(建築や土木工事)の足場を組んだりの仕事をした。だが、そういう仕事は町内にそうそうない。だから、どぶ浚いも数少ない飯のタネ。お店の者が店の周囲のどぶ浚いをやるのに手は十分に足りていても、そいつはいけません、これはあっしらの仕事ですといって、相場以上の代を払わせた。

こうした仕事をしても彼らは食っていけない。で、何をしたか。大店やお店に慶弔があれば押っ取り刀で駆けつけ、もっともらしくどうでもいいお手伝いをしたり、婚礼や葬送ではきまってぞろぞろお供をした。また、祭りや正月の飾りつけもした。そうやって祝儀にあずかり、ある意味、大店、お店の情けにすがり生計を立てていた。

植木職人と鳶のやりとりはしまいには頭同士の意地の張り合い、面子がどうだあこうだあということになるが、どうみても鳶のほうが分が悪い。岡っ引、半次がぐだぐだいう鳶の頭にいうせりふが町火消しの実像をいいあてている。

‘なにが売られた喧嘩だ。なにが仲裁に入っただ。どうでもいいことを寄ってたかって大きくし、仲裁だなんだといって手打ちに持ち込み、花会と同じように町内の旦那衆や世間さまからお足を掻き集めようってのがてめえらの魂胆じゃねえか。そのくれえのことはここにいる野次馬だってみんな知っている。なんなら一人ひとりに聞いてみな’

‘世間さまのお世話をこうむってお粥をすすっているからには、肩をすぼめていろとはいわなえがちいとは世間を憚るものだぜ。ごろつきがやるごり押しのようなことをやってどうする’

すると鳶の頭は口をとんがらせて、
‘おれらは男伊達を張って渡世をしている。ジャンと鐘が鳴りゃあ、それよと命がけで飛び出す。命を落とすやつもいる。そうやってお江戸は火災地獄から守られている。油紙に火がついたようにぺらぺら舌の回る野郎だが、おれら町火消しを敵に廻す覚悟があっていっているんだろうな’

そういうのならと半次はびしっと切り返す。
‘ここんところ、世間さまがてめえたちをどういっているか知っているか。なにかというとおねだりする。町火消しなんかいらねえ。火事に遭ったって構わない。のべつ町火消しにたかられるより、新しく家を普請するほうがよほど安くつくと。なにがお男伊達を張るだ、ちいたア、わが身を振り返って、恥というものがどういうもんか知るがいい’

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2010.08.02

東博浮世絵エンターテイメント! 北斎・広重・国芳

1799         葛飾北斎の‘諸国瀧廻り・相州大山ろうべんの瀧’

1798     歌川広重の‘名所江戸百景・両国花火’

1800     歌川広重の‘江戸近郊八景之内・芝浦晴嵐’

1801     歌川国芳の‘東都富士見三十六景・佃沖晴天の不二’

現在、東博本館の平常展浮世絵コーナーにでている30点(7/27~8/22)からお気に入りの絵をいくつか。今回は常連の春信がお休み。で、注目の美人画は清長の‘清少納言’、歌麿の‘青棲六家選・丁字屋唐歌’とワイドスクリーンの‘物干し’。

歌麿が女たちの日常生活を切り取って描いた三枚続の絵には毎度心を奪われるが、‘物干し’は‘台所’とともに大好きな絵。幼児やでれっとした猫をみると肩の力がすっと抜ける。

北斎の‘諸国瀧廻り’(8点)は引き続き‘相州大山ろうべんの瀧’と‘東海道坂ノ下清滝くわんおん’が登場。‘ろうべんの滝’はシリーズのなかで描かれている人物が最も多く、活気がある。これは大山寺へ参詣した男たちが滝で水垢離(みずごり)をしている場面。

12点ある広重はいいのが揃った。両国の花火というとすぐ思い浮かべるのは‘名所江戸百景’に描かれた絵。花火が打ち上げられるようになったのは享保18年(1733)から。5月28日から8月28日が納涼期間で、初日の5月28日に花火が打ち上げられた。なんともでっかい花火だこと!

4点でている‘江戸近郊八景’のうち、波しぶきを表す白い点々と青のグラデーションが目に焼きつく‘芝浦晴嵐’に痺れる。手前の大きく描かれた船に対して遠景にみえる船がとても小さいので、目の前の光景は広々としている。こういう構成に魅せられるともう広重の風景画から逃れられなくなる。

国芳の‘佃沖晴天の不二’でぐっと惹きつけられるのが動きのある船の描写。左の渡し船は短縮法で描かれ、艪をこぐ船頭のリズミカルな動きがじつにリアル。また、四つ手網で白魚漁をする漁師の様子が真に迫っている。

この絵と隣に展示してある同じく東都名所の‘昌平坂乃遠景’(拙ブログ7/9)、そして‘佃島’(展示なし)はMy好きな国芳の風景画の上位に入れている。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2010.08.01

三の丸尚蔵館の収穫は円山応挙の‘群獣図’プラスα!

1795_2      円山応挙の‘群獣図’(江戸時代 18世紀)

1796_2        薩摩焼‘色絵獅子置物’(明治前期)

1797_2     ‘刺繍獅子図屏風’(高島屋飯田貿易店、1919)

都内にある美術館の平常展で定期的にみているのは東博と三の丸尚蔵館。東博の場合、日本画、やきもの、彫刻の追っかけ作品はすべて見終わった。で、今はまだ残っている春信、歌麿、広重の浮世絵と国宝の刀をみるためにでかけている。だから、以前に比べるとここにいる時間はだいぶ短くなった。

三の丸尚蔵館(無料)に展示される作品を定点観測し、足を運んでいるのは昨年末に紹介した3つの絵(09/12/25)をじっと待っているから。嬉しいことに現在開催中の‘虎・獅子・ライオン’(前期7/17~8/8、後期8/14~9/5)に待望の円山応挙作‘群獣図’が登場した。

だが、展示されたのは虎が描かれた右隻のみ。象がでてくる左隻もこの際一緒にみたかったのだが、残念!長いこと待ってやっとみれると勝手に思い込んでいたものだから、象がいないことがわかりガックリ。象はテーマからはずれるから仕方がないと言い聞かせてはいるが、へこんだ気持ちはしばらく元に戻りそうにない。

真ん中に描かれた虎は最接近してみると、応挙の高い写生力がいかんなく発揮されている。毛並みの精緻な描写に引き込まれると同時に、口とか目のまわりの髭に使われた胡粉の白がとても印象深い。虎の上に覆いかぶさる松の枝には2匹の栗鼠がおり、右の鹿のそばにはこれまた可愛い小熊がいる。

前期にでている16点のうち、獅子の置物3点に足がとまった。家に持ち帰りたいと思ったのは薩摩焼の‘色絵獅子置物’。じゃれあう3匹の獅子に愛着をおぼえる。こういう置物は観光地のお土産屋にありそうな感じだが、仔細にみるとこれほどの上物はそうはないだろうと考えが改まる。

今回一番の収穫は高島屋がつくったライオンの刺繍。本物のライオンが目の前にいるようで、思わず後ずさりしてしまう。毛の質感が刺繍でこれだけだせるのだから、この技術は半端ではない。200%KOされた。見てのお楽しみである!

この美術館は月曜だけでなく金曜も休むので、お出かけになるときはこのことをお忘れなく。開館時間は8/31までは午前9時~午後4時45分(入館は4時30分まで)、
9/1~5は午前9時~午後4時15分(入館は4時まで)。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2010年7月 | トップページ | 2010年9月 »