再会を楽しみにしていた‘金剛界八十一尊曼荼羅’!
‘金剛界八十一尊曼荼羅’(部分)
根津美の新創記念特別展は残り2回、現在行われている‘いのりのかたち’(7/10~8/8)と‘コレクションを未来へ’(8/21~9/26)。6部の‘能面の心・装束の華’は記事にはしなかったが、これまで皆勤賞で‘いのりのかたち’も勿論出かけた。
再会を楽しみにしていたのが‘金剛界八十一尊曼荼羅’(重文)。この曼荼羅図を5年前、京博であった‘最澄と天台の国宝’ではじめてみたとき、その色の鮮やかさと完成度の高い描写に大変驚かされた。東博の平常展などで曼荼羅図をみることは結構あるのだが、その多くはコンディションがいまひとつで心を奪われという感じでもない。
だが、根津美のものは違った。これまでのイメージをふっとばす見事な曼荼羅で、しばらく息を呑んでみた。東寺にある‘両界曼荼羅図’(国宝、平安時代 9世紀中頃)の金剛界曼荼羅は九会で構成されているが、これは九会の最も中心をなす成身会(じょうしんえ)だけが描かれている。
正方形の画面にびっしり配置された八十一尊、蓮華座、孔雀、鳥はひとつ々赤や緑、金色を使いクリアの描かれているので隅から隅まで夢中になってみてしまう。こういう見ごたえのある曼荼羅を体験したのは東寺のもの以外ではこれしかない。再会できたことを腹の底から喜んでいる。
仏画はもう3点いいのがある。あまり目にすることがない高麗仏画‘阿弥陀如来坐像’(重文、1306年)、‘大日如来坐像’(重文、平安時代 12世紀)、そして‘愛染明王坐像’。阿弥陀如来と大日如来は着衣や蓮華座の精緻な文様と華やかな金泥に魅了された。これほど質の高い絵がならぶと圧巻である!流石、根津美という感じ。
そして、気分をいっそうハイにしてくれるのが‘愛染明王坐像’。国宝のものと比べると赤の状態がすこし悪いが、それでもこの赤と蓮華座の橙色が目に焼きつく。夏の暑い時期に愛染明王をみると元気がでる。
併設展示では拙ブログ7/7で紹介した酒井抱一の‘七夕図’とお気に入りの古九谷の名品‘色絵葡萄文大平鉢’の前にしばらくいた。
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