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2010.07.03

名品が盛り沢山の東博平常展!

1703_2     高村光雲の‘老猿’

1704_2     高村光太郎の‘鯰’

1702_2  北斎の‘諸国瀧廻り・和州吉野義経馬洗滝(右)、木曾海道小野ノ瀑布(左)’

1701_2       広重の‘名所江戸百景 大はしあたけの夕立’

東博本館の平常展は相変わらず足を運んでいる。ここの年間パスポートをもっているので、散歩にでかけるようなもの。鑑賞の前工程として、HPで各部屋の展示内容と期間を定点チェックし、訪問日を調整している。出かけた6/29は展示替わりの日だった(全部の部屋ではない)。

まわる部屋はだいたい決まっている。1階入り口の向かって左端にある18室は近代美術(展示は6/29~8/1)。日本画はお馴染みの小林古径の‘異端(踏絵)’、前田青邨の‘湯治場’、大観・観山・紫紅・未醒の‘東海道五十三次絵巻’などが目を楽しませてくれる。

彫刻はあの高村光雲(1852~1934)作、‘老猿’(重文)、息子の光太郎(1883~1956)の‘鯰’と‘魴ぼう’(ほうぼう)の3点。‘老猿’は東近美であった‘日本彫刻の近代展’(拙ブログ07/11/22)でも取り上げたが、そのあと2年くらい前にもここに飾ってあったような気がする。こういう存在感のある彫刻の前ではどうしても足がとまる。

これは彫刻作品というより高級すぎる猿の置物という感じ。年老いた猿は遠くをじっとみつめてる様子で、手には鳥の羽根をもっている。その眼差しがじつにいい。鷹を取り逃がし、残念な思いをグッとかみ殺しているのだろうか。

光太郎の‘鯰’もお気に入りの作品。横にひらべったい鯰の形態がよくでている。そして、頭がごつごつした‘魴ぼう’にもすごく親近感を覚える。お魚が好きな人ならご存知と思うが、魴ぼうの煮付けは本当に美味しい。

2階の浮世絵コーナーはいつものようにビッグ絵師の絵があれこれ取り揃えてある(展示は6/29~7/25)。嬉しいのが北斎(1780~1849)の‘諸国瀧廻り’(全8図)。半分の4点がでている。‘和州吉野義経馬洗滝’、‘木曾海道小野ノ瀑布’、‘美濃ノ国養老の滝’、‘下野黒髪山きりふりの滝’。

上から流れ落ちる水のフォルムがよく似ているのは‘馬洗滝’と‘きりふりの滝’。‘馬洗滝’は真ん中で二人の男が馬を洗っているところは流れは緩やかだが、その前後は大量の水がS字の形で勢いよく下っている。その動きはまるで生き物のよう。これに対し、‘小野ノ瀑布’のほうは垂直性が強調され文様的に描かれているので、都会にそびえる高層ビルの外面のような感じを受ける。

広重もいいのが出ている。‘名所江戸百景’から3点。‘大はしあたけの夕立’はみるたびに雨を表す斜めの線がすごいなと思う。夕立の絵はもう2点ある。ワイドスクリーンに描いた清長の‘三囲神社の夕立’と春湖の‘夕立雨宿り’。ともに傑作。見てのお楽しみ!

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コメント

こんばんわ
北斎の 諸国瀧廻り は、気になってました。
時々 思い出して調べてました。 が、
全体がよくわかりませんでした。
全部で8図 ですか。
(初めて知りました。)
たった8図しかないとは、驚きです。

投稿: Baroque | 2010.07.04 23:06

to Baroqueさん
こんばんは。
北斎の揃物は‘諸国瀧廻り’のほかに‘諸国名橋
奇覧’、‘琉球八景’があります。

絵で滝を楽しんでますが、養老の滝など8つを実際
にみたことはありません。世の中には名山制覇を
目指している人も多いですから、同じように名滝め
ぐりをしている人もいるでしょうね。

そういう方の目からすると、北斎が描いた8滝のうち
どれが一番か?聞いてみたいものです。

投稿: いづつや | 2010.07.05 01:40

いづつや様、こんばんは

明日は初上野で美術三昧です。
お目当てはカポディモンテ展ですが、
他に何を観ようかとあれこれ考え、
いづつや様の記事を大変参考にさせて頂きました。
北斎の‘諸国瀧廻り’、これは必見ですね。
高村光太郎の鯰も是非実物を観たみたいものです。
良い情報をありがとうございます。
それでは行って楽しんでまいります。

投稿: Ayumi | 2010.07.07 21:51

to Ayumiさん
おひさしぶりの東京、お楽しみですね。
カポディモンテ美展でどの絵が最もAyumi
さんの心をとらえるか、興味深々です。

東博の平常展、いつもながら充実してます。
清長の3枚続の‘三囲神社の夕立’を是非!

投稿: いづつや | 2010.07.08 00:22

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