ハンス・コパーの‘キクラデス・フォーム’はお好き?
汐留ミュージアムで行われている‘ハンス・コパー展’(6/26~9/5)をみてきた。このミュージアムは年に1回は足を運んでいるが、展示室はあまり広くないから鑑賞時間はいつも20~30分で終り。
イギリスの陶芸家、ハンス・コパー(1920~1981)の作品をみるのははじめてではない。どんな陶芸かは4年前、東近美・工芸館であった特集展示‘ルーシー・リーとハンス・コパー’でわかった。陶芸というと皿とか壺などをイメージするが、ハンスのポット、花生はオブジェタイプのものだから、現代彫刻家の作品とそう変わらない。
今回は初期から晩年までの作品111点がでているので、ハンスの創作活動全体が頭のなかに入った。ハンスの作品は轆轤でひいたいくつものパーツを合成して一つの作品に仕上げるのが特徴。これはルーシーの方法と同じ(拙ブログ6/8)。彩色はあまりせず、たいていのものは白と黒で装飾性は薄い。
ユニークさが際立つ花生やポットのなかで惹かれるフォームは‘ティッスル’、‘スペード’、‘キクラデス’。真ん中が穴の開いた‘ティッスル’はフクロウの目を連想させる。これをぐっと洗練したのが穴なしのヴァージョン。こちらのほうは表面にうすいグレーが塗られており、みてて心地がいい。
鋤をイメージさせる‘スペード’は8点ある。東近美で最初にみたのが白のこのタイプ。黒のヴァージョンは円筒形に支えられている上の扁平部分はスカートのように広がっているので、先鋭的でシャープな感じがする。
とくに印象深いのは‘キクラデス・フォーム’。紀元前3000~2000年ころエーゲ海のキクラデス諸島でギリシア最古の文明が栄え、‘フルートを吹く男’や‘竪琴を弾く男’(ともにアテネ国立考古学博物館)などの大理石彫刻が発掘された。細長い筒状のものはこの石像の鼻に霊感を受けている。これに逆三角形をくっつけたフォルムにとても惹きつけられる。
オマケとして出品されているルーシー・リーの作品12点のなかにすばらしいのが2点あった。‘花生’(バークレイ・コレクション)と‘ボウル’(岐阜県現代陶芸美)、見てのお楽しみ!
なお、この展覧会はこのあと次の美術館を巡回する。
・岐阜県現代陶芸美:9/18~11/23
・岩手県美:12/4~2/13
・静岡市美:4/9~6/26
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