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2010.07.04

ディケンズ著「イタリアのおもかげ」(岩波書店 10年4月)

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1706_2             レーニの‘ベアトリーチェ・チェンチの肖像’

今年の前半は2度もイタリアを旅行したので、Myイタリア熱は今、プラトー状態にある。で、ルネサンスやバロック絵画、古代ローマ史、ヴェネツィア、アマルフィなどのイタリア海洋都市に関する本を集中的に読んでいる。情報というのはおもしろいもので、こちらがイタリアのことをもっと知りたいと願っていると興味深い本がひょいと現れてくれる。

予定していたリレー読書のなかに急遽入ってきたのは2冊。ひとつはNHK‘カルチャーラジオ・歴史発見’(10年1~3月)で放送された‘千のイタリア 多様と豊饒の近代’(日本女子大教授北村暁夫)のテキスト、もうひとつは4月に発行された岩波文庫のディケンズ著‘イタリアのおもかげ’(お気に入り本を参照方)。

‘千のイタリア’は19世紀後半から20世紀前半のイタリアの農村のお話。地域毎にちがう農村の暮らし、食文化がとてもわかりやすく述べられている。ワインやかんきつ類や米などがどこでどういう風につくられてきたかがよくわかった。

過去読んだイタリア紀行本はゲーテのもの(岩波文庫、上・中・下)があるが、これに初訳のディケンズの‘イタリアのおもかげ’が加わった。この本は32歳のディケンズ
(1812~1870)が1844年7月から1年間、家族とともに旅行したイタリアの感想記。目の当たりにした風景や教会建築、参加した宗教関連行事、オペラ体験、美術鑑賞、ホテルでの生活、食事などが生き生きと綴られており、なかなかおもしろい。

こういう紀行文は自らが実際に体験した町の箇所は‘うん、うん、そうだよな!’とぐっとのめりこむが、まだ行ったことのないところは斜め読みになる。ディケンズの全行程でしっかり読んだのは、イタリア幻想(ヴェネツィア)、ヴェローナ、ミラノ、ピサ、シエナ、ローマ、ナポリ、フィレンツェ。一方、ジェノヴァ、パルマ、モデナ、ボローニャ、フェッラーラ、マントヴァは美術の話がでてくるところだけをゆっくり読んだ。

ディケンズは美術品にたいしても高い審美眼の持ち主。どういう傑作に目をとめているかピックアップしてみると、
・ミラノ:ダ・ヴィンチの‘最後の審判’
・パルマ:コレッジョの‘大聖堂キューポラのフレスコ画’
・ヴェネツィア:ティツイアーノの‘聖母被昇天’
・マントヴァ:ロマーノの‘巨人像’
・ローマ:ミケランジェロの‘最後の審判’、ラファエロの‘キリストの変容’、‘ボルゴの火災’、ベルニーニ、カノーヴァの彫像、ティツィアーノ、レンブラント、ファン・ダイク、レーニ、ドメニキーノ、ドルチェ作の肖像画、ムリーリョ、コレッジョの絵、レーニの‘ベアトリーチェ・チェンチの肖像’

絵画ではバルベリーニ宮殿にあるレーニ(1575~1642)の‘ベアトリーチェ・チェンチの肖像’(拙ブログ06/5/24)に大変魅せられたようで、次のように熱く語っている。

‘ベアトリーチェ・チェンチの肖像画は忘れることがほとんど不可能な絵である。描かれた顔から、すべてを凌駕する何とも心地よいその美しさを通して輝き出る何かがあって、それが私の心に絶えず浮かんでくる。いま書いているこの紙、あるいはペンを見ていても、それらの絵が目の前に浮かんでくる。

頭はゆったりと掛けられた白い布で飾られ、軽やかな髪の毛はリンネの襞の下に垂れ下がっている。彼女は突然、眺めているあなたに顔を向け、その眼はーとても繊細で優しそうな眼だったー荒々しい一瞬の恐怖あるいは苦悩と戦い、瞬時にそれを打ち勝ち、そして天国への希望と美しい悲しみだけが、それと、この世の絶望感が、残っているかのような表情をしている、、、、、、、’ 

流石、超一流の作家の文章、ものが違うという感じ。

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