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2010.07.31

再会を楽しみにしていた‘金剛界八十一尊曼荼羅’!

1791    ‘金剛界八十一尊曼荼羅’(重文、鎌倉時代 13世紀)

1793      ‘金剛界八十一尊曼荼羅’(部分)

1792    ‘愛染明王坐像’(重文、鎌倉時代 13~14世紀)

1794     ‘色絵葡萄文大平鉢’(江戸時代 17世紀)

根津美の新創記念特別展は残り2回、現在行われている‘いのりのかたち’(7/10~8/8)と‘コレクションを未来へ’(8/21~9/26)。6部の‘能面の心・装束の華’は記事にはしなかったが、これまで皆勤賞で‘いのりのかたち’も勿論出かけた。

再会を楽しみにしていたのが‘金剛界八十一尊曼荼羅’(重文)。この曼荼羅図を5年前、京博であった‘最澄と天台の国宝’ではじめてみたとき、その色の鮮やかさと完成度の高い描写に大変驚かされた。東博の平常展などで曼荼羅図をみることは結構あるのだが、その多くはコンディションがいまひとつで心を奪われという感じでもない。

だが、根津美のものは違った。これまでのイメージをふっとばす見事な曼荼羅で、しばらく息を呑んでみた。東寺にある‘両界曼荼羅図’(国宝、平安時代 9世紀中頃)の金剛界曼荼羅は九会で構成されているが、これは九会の最も中心をなす成身会(じょうしんえ)だけが描かれている。

正方形の画面にびっしり配置された八十一尊、蓮華座、孔雀、鳥はひとつ々赤や緑、金色を使いクリアの描かれているので隅から隅まで夢中になってみてしまう。こういう見ごたえのある曼荼羅を体験したのは東寺のもの以外ではこれしかない。再会できたことを腹の底から喜んでいる。

仏画はもう3点いいのがある。あまり目にすることがない高麗仏画‘阿弥陀如来坐像’(重文、1306年)、‘大日如来坐像’(重文、平安時代 12世紀)、そして‘愛染明王坐像’。阿弥陀如来と大日如来は着衣や蓮華座の精緻な文様と華やかな金泥に魅了された。これほど質の高い絵がならぶと圧巻である!流石、根津美という感じ。

そして、気分をいっそうハイにしてくれるのが‘愛染明王坐像’。国宝のものと比べると赤の状態がすこし悪いが、それでもこの赤と蓮華座の橙色が目に焼きつく。夏の暑い時期に愛染明王をみると元気がでる。

併設展示では拙ブログ7/7で紹介した酒井抱一の‘七夕図’とお気に入りの古九谷の名品‘色絵葡萄文大平鉢’の前にしばらくいた。

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2010.07.30

東博の‘誕生! 中国文明’展!

1787_2        ‘動物紋飾板’(夏時代 前17~16世紀)

1788_2     ‘神獣’(春秋時代 前6~5世紀)

1789_2         ‘鎮墓獣’(隋時代 595年)

1790_2     ‘御者と馬’(唐時代 8世紀)

東博で3年ぶりに行われる中国展は河南省出土品150点を集めた‘誕生!中国文明’(7/6~9/5)。チラシをみるかぎり目玉に欠ける感じなので期待値は高くない。が、東博が企画する展覧会だからパスするわけにもいかない。

どこの美術館でも中国文明展が開かれるとき特別の関心をもってみているのは質の高い青銅器と玉と金の装飾品、そして唐三彩。このなかで1点でも心を虜にするものがあればそれでいい気持ちになる。

今回は残念ながらぐっとくる目玉が予想通りなかった。でも、国宝級のものがそう簡単にやってくるとは思ってないから、不満がつのっているということはない。

中国の古い文物のヴァリエーションを広げるつもりで入館したが、いきなり足がとまるものが登場した。幻の夏王朝時代の‘動物紋飾板’。小さなもの(高さ16cm、幅11cm)だが、昆虫のかなぶんをイメージさせる鮮やかな青緑にとても惹きつけられる。

青銅器はこれまでみたことのないフォルムの‘神獣’に思わず足がとまった。こういう凝った細工が施された像は技術的にも難しいだろう。また、春秋時代の楽器‘編鐘’にも興味深々。どんな音色なのか一度聴いてみたい。

‘神獣同様、はっとするフォルムに釘づけになったのが白磁の‘鎮墓獣’。‘仏の世界’のコーナーにある大きな‘宝冠如来坐像’(唐時代 8世紀)に圧倒された。目のきつい堂々とした仏像なのだが、残念なことに鼻が欠けている。本当に惜しい!

隣に展示してあるボリューム感いっぱいの‘天王および力士像’(4体、北宋時代 10世紀)にも魅せられた。ここでこういう彫刻に遭遇するとは想定外。

出口ちかくの部屋にある作品の切り口は‘美の誕生’。動きのある造形が目を惹く‘御者と馬’と‘画像磚・青龍’を長くみていた。

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2010.07.29

ハンス・コパーの‘キクラデス・フォーム’はお好き?

1783_2      ‘ティッスル・フォーム’

1784_2      ‘ティッスル・フォーム’

1785_2      ‘スペード・フォーム’

1786_2      ‘キクラデス・フォーム’

汐留ミュージアムで行われている‘ハンス・コパー展’(6/26~9/5)をみてきた。このミュージアムは年に1回は足を運んでいるが、展示室はあまり広くないから鑑賞時間はいつも20~30分で終り。

イギリスの陶芸家、ハンス・コパー(1920~1981)の作品をみるのははじめてではない。どんな陶芸かは4年前、東近美・工芸館であった特集展示‘ルーシー・リーとハンス・コパー’でわかった。陶芸というと皿とか壺などをイメージするが、ハンスのポット、花生はオブジェタイプのものだから、現代彫刻家の作品とそう変わらない。

今回は初期から晩年までの作品111点がでているので、ハンスの創作活動全体が頭のなかに入った。ハンスの作品は轆轤でひいたいくつものパーツを合成して一つの作品に仕上げるのが特徴。これはルーシーの方法と同じ(拙ブログ6/8)。彩色はあまりせず、たいていのものは白と黒で装飾性は薄い。

ユニークさが際立つ花生やポットのなかで惹かれるフォームは‘ティッスル’、‘スペード’、‘キクラデス’。真ん中が穴の開いた‘ティッスル’はフクロウの目を連想させる。これをぐっと洗練したのが穴なしのヴァージョン。こちらのほうは表面にうすいグレーが塗られており、みてて心地がいい。

鋤をイメージさせる‘スペード’は8点ある。東近美で最初にみたのが白のこのタイプ。黒のヴァージョンは円筒形に支えられている上の扁平部分はスカートのように広がっているので、先鋭的でシャープな感じがする。

とくに印象深いのは‘キクラデス・フォーム’。紀元前3000~2000年ころエーゲ海のキクラデス諸島でギリシア最古の文明が栄え、‘フルートを吹く男’や‘竪琴を弾く男’(ともにアテネ国立考古学博物館)などの大理石彫刻が発掘された。細長い筒状のものはこの石像の鼻に霊感を受けている。これに逆三角形をくっつけたフォルムにとても惹きつけられる。

オマケとして出品されているルーシー・リーの作品12点のなかにすばらしいのが2点あった。‘花生’(バークレイ・コレクション)と‘ボウル’(岐阜県現代陶芸美)、見てのお楽しみ!

なお、この展覧会はこのあと次の美術館を巡回する。
・岐阜県現代陶芸美:9/18~11/23
・岩手県美:12/4~2/13
・静岡市美:4/9~6/26

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2010.07.28

‘ブリューゲル版画の世界’は寓意と怪奇の二重奏!

1782    ‘冥府へ下るキリスト’

1781    ‘聖アントニウスの誘惑’

1780    ‘忍耐’

1779    ‘大きな魚は小さな魚を食う’

Bunkamuraで開催中の‘ブリューゲル版画の世界’(7/17~8/29)を200%楽しんだ。会期は44日(開催中は無休)。こういう短期間の展覧会は西洋美術の展覧会としては珍しい。作品は全部で150点、3点を除きすべてベルギー王立図書館の所蔵。
40日ちょっとしか貸し出してもらえなかったのはこのコレクションがとても価値のあるものでお宝扱いになっているからだろう。

ブリューゲル(1525/30~1569)が若いころ制作した版画は画集で数点知っていたが、本物を体験するのははじめて。とにかく貴重な鑑賞機会である。画題は風景、聖書の話や宗教的な寓意、7つの罪、7つの徳目、航行する船、道徳教訓、諺、農民の日々の仕事と生活風景、ブリューゲルの作域はとても広い。

モノクロの版画だから、これだけの作品を見続けるのは視覚的にはかなりシンドイ。最初のコーナーにある大風景画では描かれた人物がどこにいるかは画面を上下左右にスキャンしていかないと気づかない。そのうち対象を大きく描いた宗教画がでてくるから、目に落ち着きがでてくる。

でも、ここからは変てこな人間、昆虫、鳥、魚、樹木のお化け、悪魔、怪物がぞくぞく登場してくるから、その形に面食らう。そして、異様な怪奇の世界へ入りたいようなしり込みしたいような二つの気持ちがない交ぜ状態に陥る。でも、ここまできたらボス風の怪奇ワールドにどっぷりつかるしかない。

この展覧会をみる下準備としてボスの絵やブリューゲル自身のボス風の絵をレビューしていた。それを記事にしたのが‘もっと見たいブリューゲル&ボスの名画’。その甲斐があり‘悪女フリート’(拙ブログ7/21)に描かれた口を大きく開けた怪物(地獄の口)が出てくる‘冥府へ下るキリスト’や‘最後の審判’にはすぐ反応した。

チラシに使われている‘聖アントニウスの誘惑’は同じ画題で描いたダリの絵とはまったく違うイメージ。右の樹木のお化けのところにいる聖アントニウスはとても後ろを振り返れないだろう。小舟に顔をのせた怪物のグロテスクさといったらない。大きく開けた口から炎のようにでているのは舌?鼻ピアスをしているのだから、べろピアスもすればよかったのに。右目がチェス盤みたいなのもギョッとする。目につきささった棒の先にある瓶からは煙がもくもく。これ、一体何を表しているの?なんとも幻覚的な絵である。

‘7つの罪’と‘7つの徳目’を描いたシリーズ、そして‘忍耐’が展示されているコーナーが一番目に力が入る。これに色がついていたらかなり変な気持ちになりそう。あまり熱心にみると夢でうなされるかも。長くみていたのが‘7つの罪・大食’と‘忍耐’。‘大食’では‘聖アントニウス’の怪物男が風車人間に変身している。‘忍耐’はボスが描くモティーフが重なってくる。右の樹木人間、左の穴の開いた卵と帽子を被る横向きの男、そして左上の炎につつまれる家々。

‘諺’シリーズにも愉快でおもしろい絵が沢山あった。画集によく載っているのが‘大きな魚は小さい魚を食う’。水面から顔をだしている魚の口をみているとロシアの人形、マトリョーシカを連想した。ほかにも‘盲人が盲人を導けば2人とも穴に落ちる’、‘燃えてる家で自分の体を暖めるエゴイスト’など、‘なるほどね’と思わず立ち止まってみてしまうのもあった。

森女史が監修された図録は充実した内容なので、ブリューゲルやボスを楽しむのにはもってこいの副読本となる。作品といい図録といいすばらしい展覧会だった。Bunkamuraの企画力に拍手!

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2010.07.27

もっと見たいボスの名画!

1777_2      ‘樹木人間’(ウィーン、アルベルティーナ素描版画館)

1778_2      ‘荒野の洗礼者聖ヨハネ’(マドリード、ラザロ・ガルディアノ美)

1776_2      ‘最後の審判’(部分、ミュンヘン アルテ・ピナコテーク)

1775_2      ‘十字架を担うキリスト’(ガン、市立美)

5月、‘カラヴァッジョ展’をみるためローマを再訪した。海外で行われる展覧会にわざわざでかけようと思うことはまずないのだが、カラヴァッジョは特別、この大回顧展だけは見逃したくなかったのである。今後、こういうことは二度とないだろうが、ひょっとしてもう一回あるかもしれない。

それはボス(1453~1516)の回顧展。もし、‘快楽の園’(拙ブログ07/3/21)を所蔵するマドリードのプラド美とかでカラヴァッジョと同じ規模の回顧展が開かれたら、なんとしても出かけようと思っている。はたして、ボスの回顧展があるだろうか?

今はとりあえずまだ見てない作品を一つ々つぶしていく作戦。狙っている作品はいくつかある。ウィーンにあるアルベルティーナ素描版画館にはデューラーの精緻に描かれた兎の絵とかがあり、次回は訪問するつもりだが、頭のなかには当然ボスのデッサン‘樹木人間’がある。

真ん中に描かれたものが‘快楽の園’の右パネルになった。顔をこちらに向けているのは若い男だが、胴体は楕円形の卵、後ろに穴があいており、中に人物がみえる。卵の横から太い樹木が2本、その先は2隻の小舟に乗っかっている。男の頭には鋲がついたお盆のようなものがあり、花瓶がみえる。おもしろいことに花瓶から梯子がのび、男が卵のお尻からでる旗の棒と梯子を紐で結びつけようとしている。なんだか宇宙船のイメージ。ボスはまったく奇想天外なことを思いつく。

‘荒野の洗礼者聖ヨハネ’でひじをついて横たわっているヨハネの横にある南瓜提灯みたいな植物も下に穴が開いている。卵でもこの植物でも穴の開いた丸いフォルムにわけもなく惹かれる。‘快楽の園’に沢山でてくる球体はなかが透けているものが多く、そこに裸の人間が入っている。これをみているとき、小学校のころ運動会で競った球ころがしが目の前をよぎった。

ミュンヘンのアルテ・ピナコテークを訪問したのは27年前なので、ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ルーベンス、デューラー、クラナハ、カラヴァッジョは覚えているが、ボスの‘最後の審判’はまったく記憶にない。おそらく、当時はボスのことをよく知らなかったから、パスしたのだろう。来春あらためてこの怖い絵をじっくりみるつもり。

キリストをとりかこむ男たちの顔があまりにもグロテスクで残忍性むき出しなのでちょっと引いてしまう‘十字架を担うキリスト’はドイツ表現主義のグロスが描いた作品を彷彿とさせる。人間性にひそむ悪を象徴的に表現するためには、人間をこれほど醜悪かつ残忍に描く必要があったのだろう。

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2010.07.26

土用の丑の日はウナギを食べてスタミナ補給!

1774     鍬形蕙斎の‘近世職人尽絵詞・蒲焼屋、居酒屋’(1806、東博)

今日は土用の丑の日なので、ウナギを食べた。鈴木春信(1725~1770)と親交が深かった平賀源内(1728~1780)が土用の丑の日にウナギを食べると元気になるといってから、夏にウナギを食べるようになったという。わが家でも例年美味しくいただいているが、あとは一回あるかないか。

これまでウナギが腹のなかに入った回数は名古屋に住んでいたときが一番多い。熱田神宮に‘ひつまぶし’で有名な店があり、よく通った。あるとき、本店へ出かけたら女将がいて、名古屋弁丸出しで‘みゃー、みゃー’いっていた。すぐ、往年の喜劇俳優、南利明(みなみとしあき)を思い出し、笑いを押し殺すのに苦労した。南利明って誰れ?知っている人は知っている。

浜松のおいしいウナギも出張するたびに食べ、お土産にはいつも‘うなぎパイ’を買った。このパイは高速走行中トイレ休憩でSAに入ったときもつい買ってしまう。だいぶ前になるが、横浜のJR関内駅の近くにある‘わかな’という店で鰻重を2,3回食べたことがあるが、最近はとんと出かけない。

江戸時代の文化・文政年間(1804~1828)には蒲焼は今のようなものになっていた。鍬形蕙斎(くわがたけいさい)が描いた‘近世職人尽絵詞’の中巻に‘蒲焼屋’(左側)がでてくる。ウナギの蒲焼はそのまま食べるのとご飯の上にのせる鰻飯がある。鰻飯は鰻丼と鰻重。

佐藤雅美氏が書く江戸物小説をかれこれ20年くらい愛読している。‘物書同心居眠り紋蔵’(講談社、拙ブログ05/8/8)、‘縮尻鏡三郎’(文藝春秋)、‘半次捕物控’(講談社)、‘八州廻り桑山十兵衛’(文藝春秋)、‘町医北村宗哲’(角川書店)といった人気のシリーズがあり、その中に鰻飯のことがでてくる。

鰻飯は水戸家から禄をもらっている大久保今助なる人物が考案した。今助は長棒駕籠に乗るまでにキャリアをステップアップしたのだが、元は草履取り。その次は瀬川菊之丞という役者の衣装番。今助はこのとき上総屋今助を名乗っており、役者や裏方に金を貸すのを本業にしていた。中村屋と市村屋の楽屋に詰めていたが、鰻が大の好物で毎日のように取り寄せていた。

そのころのウナギは蒲焼しかなく、皿に盛られていたこともあり、楽屋に届くころには冷めてまずくなっていた。で、今助は鰻家に‘丼に炊きたての飯と蒲焼を入れ、蓋をして持ってきてくれないか’と頼んだ。店の者が注文どうりにつくり、もっていくと、蒲焼が冷めてなく、たれがご飯に染みついてご飯がまた美味しい。これはいけると、今助は大喜び。毎日のように注文していると、役者も裏方もこれを真似て注文するようになり、それが一般にひろまった。これが鰻飯のはじまり。

では、鰻飯の値段はどのくらいだったか。今でも高いが、当時も高価な食べ物だった。鰻飯は200文から300文、蒲焼になるともっと高く、500文から600文もした。このころ、職人の手間が居職でおよそ350文、出職で450文。蒲焼となると職人は一日働いてもこれにはありつけなかった。

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2010.07.25

いつか行きたい美術館! ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美

1770_2        ポッライウォーロの‘若い貴婦人の肖像’

1771_2            ボッティチェッリの‘書物の聖母’

1772_3         ボッティチェッリの‘ピエタ’

1773_3            ピエロ・デッラ・フランチェスカの‘聖ニコラウス’

1月ミラノを訪問したとき、ミケランジェロが最後に制作した‘ピエタ’(未完、拙ブログ2/2)をみることができたので、ミラノにある美術館めぐりで優先順位の高い作品はだいたい見終わった。

でも、見る予定にしていたポルディ・ペッツォーリ美が想定外の休館(火)だったから、消化不良の感は否めない。スフォルツェスコ城美術館でここの図録をぱらぱらとめくり、‘さあー、これから見にいくぞ!’と気分が盛り上がっていたから、門の前でヘナヘナになった。

図録に載っていた絵画を中心とした作品はもう大半忘れてしまったが、手元にある美術本などにでている有名な絵はよく覚えている。事前の情報で最もみたかったのはポッライウォーロ(1432~1498)の‘若い貴婦人の肖像’。

横向きの顔をみると比類ない美人という感じではなく、普通の女性のイメージ。でも、この絵には惹かれる。浮世絵の美人大首絵のように画面いっぱいに描かれているのと、そのぽっちゃり系で素直そうな顔がいいのかもしれない。

この美術館にはボッティチェッリ(1445~1510)の絵が2点もある。‘書物の聖母’と‘ピエタ’。インパクトが強いのは晩年に描かれた‘ピエタ’のほう。人物が一体どう重なっているのかぱっとみるだけではわからないほど体は不自然に曲がっており、悲痛にくれる顔はマニエリスムの描写と変わらない。

あのアンニュイ的な雰囲気をもった聖母子を描いていたボッティチェッリがサボナローラの思想に影響されて以降はこういう激しい感情表現をみせる人物を描いた。ボッティチェッリの心を何か重いものが突き動かしたのだろう。

ピエロ・デッラ・フランチェスカ(1416~1492)の‘聖ニコラウス’はもとは‘サンタゴスティーナ祭壇画’に描かれた4人の聖人のひとりだった。が、17世紀末には分断され別々の個人コレクションとなった。‘聖ニコラウス’は向かって右端に位置していたが、その隣に描かれていた‘福音書記者ヨハネ’は現在、NYのフリックコレクションにある。

ついでにいうと、左端の‘聖アウグスティヌス’はリスボン国立美に、左から2番目の‘聖ミカエル’はロンドンのナショナルギャラリーに夫々おさまっている。

このほかにもベリーニやマンテーニャの絵もあるから、コレクションの質はかなり高い。ミラノをまた訪れる機会があったら、真っ先にこの美術館へ足を運ぼうと思う。 

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2010.07.24

ウィーンでクリムト三昧が叶うなら最高の気分!

1767_3                ‘水蛇Ⅰ’(ベルヴェデーレ宮)

1768_4             ‘期待’(応用美術館)

1766_3      ‘けしの野’(ベルヴェデーレ宮)

1769_3     ‘アッター湖のほとり’(レオポルト美)

ウィーンの美術館をまわるとき心をウキウキさせるのはやはりブリューゲルとクリムトの絵。美術史美にあるブリューゲル作品は残り2点だから余裕の裕ちゃんなのだが、クリムト(1862~1918)はまだ数点残っているからまたウィーンへ行かなくてはという思いが強い。

クリムトファンならまず‘接吻’(拙ブログ09/6/8)があるベルヴェデーレ宮へ出かける。が、一度に全部みるのは難しい。2回訪問したが、画集に載っている作品の一部は展示されてなかった。クリムトは人気が高いから海外の美術館への貸し出しが多いことと展示スペースの関係で作品を入れ替えているためだろう。

今から思うと03年のとき‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅱ’をベルヴェデーレ宮でみれなかったのが悔やまれる。4年前、この女性の肖像画2点はこの美術館の所有ではなくなり、現在は‘Ⅰ’(09/6/28)がNYのノイエ・ギャラリーに入り、‘Ⅱ’は個人が所有するところとなった。‘Ⅱ’を見る機会がやってくるだろうか?ミューズにお願いしているが、90%諦めている。

数でいうとベルヴェデーレキ宮が最も多く所蔵しているが、ほかにもレオポルト美とか応用美とかウィーンミュージアム(旧ウィーン市立歴史博物館、09/9/20)にもあるので、ウィーンヘ一回来ただけではみきれない。

未見のものでいつかこの目でと思い続けているのが黄金様式の‘水蛇Ⅰ’(ベルヴェデーレ宮)と応用美にあるストクレ邸の内部装飾のための下絵、‘期待’、‘生命の樹’、‘抱擁’、‘幾何学模様’。

お気に入りの風景画や花の絵はベルヴェデーレ宮蔵の‘けしの野’、‘ひまわりの園’、‘アッター湖畔のカンマー城Ⅲ’、そしてレオポルト美にある‘アッター湖のほとり’が次回の追っかけ作品。リーチ一発が叶うだろうか。

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2010.07.23

いつか行きたい美術館!ウィーン リヒテンシュタイン美術館

1763     ルーベンスの‘クララ・セレナの肖像’

1764     ルーベンスの‘息子アルベルトとニコラース’

1765      ルーベンスの‘鏡を見るウェヌス’

ヨーロッパを旅行していてまた来たいなと思う街がいくつかある。オーストリアの首都、ウィーンはそんな憧れの街。まだ2回しか縁がなく、ローマのように足を使ってまわったことがないから、街全体の位置関係がよくつかめてない。

次回ここを訪れるときは7年前と同様、大半の時間を美術館めぐりに費やそうと思っている。まだ行ってないのがだいぶ残っている。イの一番に足を運びたいのが美術史美から北へ3kmくらいのところにあるリヒテンシュタイン美。その次が01年にオープンしたレオポルト美。そして、応用美。

宮殿のなかにあるリヒテンシュタイン美術館は04年3月に再開館した。ここにある美術品はリヒテンシュタイン候家が400年以上かけて蒐集したもの。1945年から2003年まではアルプス山脈に囲まれたリヒテンシュタイン候国のファドゥーツ城に収蔵されていた。絵画が1600点あるそうだ。6,7年前NHKの美術番組で紹介されたことがある。どんな絵画があったか仔細に覚えてないが、一見の価値はあるすごいコレクションだったことは確か。

西洋絵画に興味をもちだしてかなり時間が経つが、リヒテンシュタイン候コレクションは割りと早くから知っていた。それ以来いつか見たいと思っていたのはルーベンス(1577~1640)が描いた‘クララ・セレナの肖像’。ルーベンスの肖像画で最も好きなのがロンドンナショナルギャラリーにある‘シュザンヌ・フールマン’(拙ブログ08/2/5)とこの絵。これは子供肖像画の傑作ではなかろうか。絵の前に立つと気分がかなり高揚しそう。

自分の息子のアルベルト(12歳)とニコラース(8歳)を描いた絵も魅力いっぱい。黒い衣装のお兄ちゃんはぱっと見ると女の子のようにみえる。‘鏡を見るウェヌス’は図版でも金髪の描写に惹きこまれる。ピンクの肌とともにKOされるかもしれない。

‘クララ・セレナの肖像’をはじめてみたときは、すごく見たい絵だが本物に会える可能性はほとんどないなと諦めの境地。だが、嬉しいことに今はウィーンへ出かければ、夢の対面を果たせることになった。もうすこしの辛抱である。

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2010.07.22

いつか行きたい美術館! ロンドン コートールド美術館

1762_2     ルーベンスの‘月光の風景’

1761_2     ボッティチェッリの‘コンヴェルティーナ祭壇画’

1760_2             ルノワールの‘アンブロワーズ・ヴォラールの肖像’

ロンドンにある美術館の体験はパリに比べれば少ない。まだ、ナショナル・ギャラリー、テート・ブリテン、テート・モダン、大英博物館の4館。だから、次回訪問する予定の美術館に思いを募らせている。

今、頭のなかにあるのはウォレス・コレクション(拙ブログ09/4/2)、ケンウッド・ハウス(09/4/19)、コートールド美、ヴィクトリア&アルバート美(09/5/17)、クィーンズ・ギャラリー。一度に回れない可能性もあるから、次にもちこすのがあるかもしれない。

コートールド美の有名な印象派コレクションは10数年前、日本橋高島屋が2回も展覧会を開いてくれたので、画集に載っている名画はほとんど鑑賞澄みになったと思っている。とにかくここの印象派はすごいのが揃っていた。

マネの‘フォリー・ベルジェールの酒場’(4/7)、ルノワールの‘桟敷席’(09/5/31)、ゴッホの‘耳に包帯をした自画像’、ゴーギャンの‘テ・レリオア(夢)’、セザンヌの‘サント=ヴィクトワール山’、‘カード遊びをする人たち’、モネの‘アンティープ’、スーラの‘化粧する女’、ロートレックの‘ボックス席の夕食’、ドガの‘舞台の2人の踊り子’などなど。

で、今は印象派以外の2点に心が向かっている。現地ではもっとサプライズがあるかもしれないが、手元の美術本にはこれしか情報がない。ルーベンス(1577~1640)が最晩年に描いたブリューゲル風の風景画をとても気に入っており、この美術館が所蔵する‘月光の風景’(1637)とウォーレス・コレクション蔵の‘虹のある風景’(1635~
38)への思い入れはすごく大きい。

‘ステーンの城館のある風景’(ナショナル・ギャラリー)や‘フランドルのケルメス’(ルーヴル)をみると、ルーベンスが同郷のブリューゲルを敬愛していたことがよくわかる。まだみてないのはもう2点ある。08年のとき展示されてなかった‘羊飼いと羊のいる日没の風景’(ナショナル・ギャラリー)と‘畑から戻る農夫’(フィレンツェ、パラティーナ美)。ルーベンス風景画の追っかけは当分続く。

ボッティチェッリの絵はできることならラファエロ同様、全点みたいと思っているが、この美術館のある祭檀画はちょっと不思議な絵。悔悛したマグダラのマリアは全身が頭の髪の毛で覆われており、足元にはなんとも小さなトビアスと大天使ラファエルがみえる。これは是非みてみたい。

印象派ではルノワールが描いた画商ヴォラールの肖像は日本にやってこなかった。‘桟敷席’や‘フォリー・ベルジェールの酒場’といったとびっきりの傑作との再会には胸が高まるにちがいないが、プラスアαにも期待したい。

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2010.07.21

もっと見たいブリューゲルの名画!

1757     ‘悪女フリート’(アントワープ、マイヤー・ヴァン・デン・ベルフ美)

1756     ‘バベルの塔’(ロッテルダム、ボイスマン=ファン・ボニンヘン美)

1758     ‘鳥罠のある冬景色’(ブリュッセル、ベルギー王立美)

1759     ‘ベツレヘムの嬰児殺し’(ウィーン美術史美)

7/17(土)からはじまった‘ブリューゲル版画の世界’展(Bunkamura、8/29まで)は楽しみな展覧会。来週みにいくことにしている。今回はブリューゲル(1525~1569)が初期に描いた版画だが、日本でブリューゲルの作品を体験することはきわめて少ないから、とても嬉しい。

ブリューゲルが好きな方は大勢おられると思うが、本物は日本にいてはなかなか見れない。これまでやってきたのは確か‘干草の収穫’(プラハ国立美)、‘絞首台の上のかささぎ’、‘イカロスの墜落’(ベルギー王立美、拙ブログ05/4/27)の3点のみ。

ウィーンの美術史美を訪問すると、ブリューゲルへの思いの丈はかなり果たせる。美術の教科書に載っている‘バベルの塔’、‘雪中の狩人’、‘農民の婚宴’(09/6/11)とか‘農民の踊り’、‘子供の遊戯’などをみていると本当に楽しくなる。日本人は風景画が好きだから、ブリューゲルが俯瞰の視点で描いた自然の情景にはすっと入っていけるし、そこで暮らしている農民たちの日々の生活にも思いを馳せることができる。

ブリューゲルの絵にはこういう農村風景を描いたもののほかに、ボス風の怪奇的な絵がある。ベルギーの王立美で‘反逆天使の墜落’を体験したので次は‘悪女フリート’。中央にほかより一際大きく描かれた悪女フリート、左端で大きく口を開けている怪物は一体何者?見たい度は大きいのだが、これを所蔵するのはアントワープにある美術館だから、図版をみるだけで終わるかもしれない。でも、なんとかしたい。

ボイスマン=ファン・ボニンヘン美にあるもうひとつの‘バベルの塔’もいつかみたい。この美術館の作品は美術の本によく出てくる。ボスの絵も‘カナの婚宴’など3点あるし、ダリがダブルイメージのテクニックを駆使して描いた‘大パラノイア’も所蔵している。

5年前ベルギー王立美を訪問したとき、ブリューゲルは上述の2点と‘ベツレヘムの戸籍調査’をみたが、残念ながら‘鳥罠のある冬景色’は展示されてなかった。この美術館は一番のお目当てだったダリの‘聖アントニウスの誘惑’にも遭遇できなかったから、数年後に再チャレンジを計画中。

ウィーン美術史美のブリューゲルコレクション(12点)は部屋スペースの関係で常時全点でてない。で、‘ベツレヘムの嬰児殺し’と‘サウルの自殺’はまだ縁がない。次回これが展示されていればいいのだが。

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2010.07.20

いつか行きたい美術館! モスクワ プーシキン美

1754_2       ルノワールの‘ジャンヌ・サマリーの胸像’

1752_2    セザンヌの‘マルディ・グラ’

1753_2     ゴーギャンの‘アルルのカフェ(ジヌー夫人)’

1755     アンリ・ルソーの‘セーブル橋の眺め’

印象派絵画をみるのは一生の楽しみだから、主だった画家の名画はできるだけ多くみたいと思っている。幸いなことに日本では現在、国立新美で行われている‘オルセー美展’や三菱一号館美の‘マネとモダン・パリ’のように美術の本に載っている傑作が頻繁にやってくる。印象派好きにとってこれほど有難い美術環境はない。

こうした印象派関連の展覧会へ欠かさず足を運んでいると、印象派の通になれることは請け合いだが、海外にある美術館が所蔵する名画が鑑賞できるとなると申し分ない。物事そう上手い具合にはいかないが、帆だけはいつも高くかかげておきたい。いつかいい風は吹いてそこへ連れていってくれることを信じて。

印象派好きならモスクワのプーシキン美へ行ってみたいと思われる方は多いだろう。
08年クラブツーリズムの‘アメリカの美術館めぐりツアー’に参加したとき、添乗員さんに次はロシアのプーシキン、トレチャコフ、エルミタージュ、ロシア美めぐりを企画してくれるようお願いしていた。嬉しいことに最近送られてくるこの会社の旅行案内にはこれが入ったツアーが登場している。

例えばあるプランではプーシキンで2時間、エルミタージュに6時間いることになっている。ほかにもトレチャコフやロシア美へ入場するものもある。99年、ロシアへはじめて行ったときはエルミタージュとトレチャコフ見学は入っていたが、当時プーシキンはどこの会社のツアーにもなかった。

で、一般の団体ツアー旅行でもプーシキンを訪問するようになったのだから、いずれこのツアーに参加するつもり。05年、東京都美で‘プーシキン美展’(拙ブログ05/10/25)があり、マティスの‘金魚’、ピカソの‘アルルカンと女友達’、ゴッホの‘刑務所の中庭’、ルノワールの‘黒い服の娘たち’&‘ムーラン・ド・ラ・ギャレットの庭で’といったシチューキンとモロゾフのすばらしいコレクションが公開されたから、作品の質の高さは十分すぎるくらいわかっている。

日本にやってきたのは傑作揃いだったが、ここにはまだすごい絵がある。ルノワールの‘ジャンヌ・サマリー’は長いこといつかこの目でと思っている絵。天真爛漫な表情にとても魅せられる。これと同じくらいみたくてしょうがないのがセザンヌお得意のアルルカンとピエロが描かれた‘マルディ・グラ’。

プーシキン蔵のゴーギャンは昨年の回顧展(東近美、09/7/10)に‘浅瀬(逃走)’、05年のときは‘彼女の名はヴァイルマティ’(09/7/12)&‘浅瀬’が出品された。だが、ランキング1位の‘アルルのカフェ’はやはり貸し出してくれない。この絵はどの画集にも載っているゴーギャンの代表作のひとつ。是非会いたい。また、タヒチ女を描いた‘それをしてはいけない’にも惹かれる。

アンリ・ルソーが何点あるかわからないが、‘セーブル橋の眺め’は好奇心をそそられる。また、有名なマティスコレクションのひとつ、‘画家のアトリエ(桃色のアトリエ)’も見逃せない。

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2010.07.19

カラヴァッジョが頭をよぎった2度目の‘マネとモダン・パリ’展!

1749_2    マネの‘ラテュイユ親子の店’

1750_2    カラヴァッジョの‘いかさま師’

1748_2      マネの‘黒い肩掛けの女’

1751_2      カラヴァッジョの‘勝ち誇るアモール’

三菱一号館美で開催中の‘マネとモダン・パリ’展は残すところ5日、25日に閉幕となる。マネの傑作がこれほど沢山やってきたのだから、もう一度みておこうと思い14日に再度足を運んだ。新しい美術館は展示の流れがまだ頭の中にちゃんと入ってないので、落ち着かない。

最初の鑑賞(拙ブログ4/6)でお気に入りの絵は目に焼き付けているので、その絵の前にまたしばらくいた。肖像画のなかで目線がとても気になる絵が2点ある。‘街の歌い手’(ボストン美)と‘横たわるベルト・モルゾの肖像’(マルモッタン美)。

とても綺麗なモリゾの絵は今回5点ある。‘すみれの花束をつけたベルト・モリゾ’があまりに神々しくて、近づきがたいところがあるのに対し、‘横たわるベルト・モリゾ’は素というか生の感覚があり、その美しい顔をじっとみてしまう。絵をみているだけでも、ずっとここにいたいと思わせるのだから、モリゾはそれはそれは美しかったにちがいない。

4月のときと同様、‘ラテュイユ親子の店’(トゥルネ美)を長くみていたのだが、今回は5月ローマで体験したカラヴァッジョの‘いかさま師’(5/14)が目の前をよぎった。女性に熱く語りかけるこの店のオーナーの息子がうぶな若者の後ろでカードを覗き込んでいるいかさま師にダブってみえるのである。そして、この女性の姿と後ろに手を回しカードをだそうとしている右のいかさま師がなんとなく似ている。カラヴァッジョの風俗画のDNAがラ・トゥール(5/24)を経てマネにも受け継がれていることは間違いない。

カラヴァッジョとマネの関連性をうかがわせる絵がもう1点ある。それはシカゴ美にある‘黒い肩掛けの女’。この絵は08年シカゴ美を訪れたときみた。ここにはマネの絵が‘新聞を読む女性’とか‘兵士たちに嘲弄されるキリスト’など9点あったが、女性の笑顔が印象深いこの絵はよく覚えている。

この福々しくて自然な笑みが同じくカラヴァッジョ展でみたアモール(5/14)の笑みとそっくり。オランダの画家ハルス(09/3/14)も大笑いの女や男を生き生きと描いたが、カラヴァッジョとマネの描く笑い顔はすこし控えめ、でもとても自然。だから、みているこちらも思わず‘いい笑顔だね!’と応じたくなる。

マネはこうい笑う人物も描くし、‘フォリー=ベルジュールの酒場’(4/7)のように淋しそうな表情をみせる女も描く。人間がもっている内面性を多面的に表現する画風はカラヴァッジョと共通するものがある。マネがますます好きになった。

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2010.07.18

能装束をみたい一心で出かけた‘能の雅 狂言の妙’!

1744_2     ‘紅白段花筏模様唐織’   

1745_2     ‘茶地青海波源氏車模様厚板’

1746_2     ‘紺地石畳法螺貝模様袷狩衣’

1747_2     ‘浅葱地枝垂柳流水模様長絹’

久しぶりにサントリー美ヘ出かけ国立能楽堂コレクション展‘能の雅 狂言の妙’
(6/12~7/25)をみた。サントリー美は好感度の高い美術館のひとつだが、今年はこれと‘鍋島展’(8/11~10/11)、‘歌麿・写楽展’(11/3~12/19)の3回に絞っている。

能を定期的に鑑賞する習慣がないので、能のイメージは過去にみた時代劇映画にでてくる薪能のシーンとかNHKの芸能番組を通じてできあがったものにすぎない。だから、確たるものがなく物語になった名曲にも疎い。これからも能の舞台を体験することはないかもしれない。だが、歌舞伎をみることをはじめたら、能への関心が高まるのではないかと思っている。

この能楽展で最もみたかったのはチラシに載っている加賀前田家伝来の能装束‘紅地白鷺太蘭模様縫箔’だったのに、これはもう展示が終了。今は後期(7/7~7/25)だが、しばらく足が遠のいていたため、大半が前後期で入れ替わることに頭が回らなかった。能面とか能装束はやきものと同じ感覚があり、展示替えはないだろうと勝手に思っていたのである。ドジをもう一つ、前売券(1100円)をちゃんと買っていたのに、‘一枚(1300円)、カードで’とやってしまった。

能装束のなかで最も装飾性に満ち、華やかなのが女役が表着として用いる小袖タイプの唐織。‘紅白段花筏模様’はみていて心がウキウキしてくる。花筏は川面に群れとなって流れていく桜の花を筏に見立てたもの。これほど華麗な花筏を体験したのははじめて。

同じく小袖タイプで男役の着付け、厚板は青海波と源氏車模様のものが目を惹いた。御所車の車輪だけを文様化した源氏車はいろいろなヴァリエーションがあり、センスのいい色使いで精緻に刺繍されている。また、青海波の波間に一部が沈んでいる車輪があり、全体を立体的にみせる構成もすばらしい。

大袖のものでは法螺貝の模様が強いインパクトをもっている紺地の狩衣といかにも涼しげな浅葱地と細い線で描かれた柳と流水が心を揺すぶる長絹に足がとまった。能装束は東博でもしょっちゅうみているが、能楽堂のコレクションは確かにワンランク上という気がする。

ここが開場して25年経ったということだが、節目の年にめぐりあい普段はみれない能装束をみれたのだから機嫌はすこぶるいい。ミューズに感謝!

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2010.07.17

日本橋で国宝の仏像がみられる幸せ!

1740_3   国宝 ‘釈迦如来坐像’(平安時代 室生寺)

1742_2      国宝 ‘観音菩薩立像(夢違観音)’(奈良時代 法隆寺)

1743_2       重文 ‘五劫思惟阿弥陀如来坐像’(鎌倉時代 東大寺)

1741_2           国宝 ‘金銅宝塔’(鎌倉時代 西大寺)

三井記念美で行われている平城遷都1300年記念展‘奈良の古寺と仏像’(7/7~
9/20)を楽しんだ。こういう仏像展は東博の18番だが、今回は三越があり高層のオフィスビルが建ち並ぶ日本橋に飛鳥時代から室町時代にかけてつくられた仏像、工芸品など65点が集結した。

一番のお目当ては室生寺にある国宝‘釈迦如来坐像’。これは全期間の展示ではなく7/25まで。じつは展示期間にアバウトで月末に行こうと思っていたのだが、一村雨さんの記事をみて、急遽14日の美術館めぐりに組み込んだ。

これをみるのは2度目。室生寺を訪れたのはもうずいぶん前なのだが、よく覚えており、再会を楽しみにしていた。のびやかに彫られた衣文の線からは木の香りが感じられ、その完璧な造形美が心をとらえて離さない。こんなすばらしい仏像が真近でみられる幸せを噛み締めている。

法隆寺は3回体験したが、国宝‘夢違観音’はどういうわけか縁がなかった。ここは五重塔や金堂、夢殿など見るところがいっぱいあるから、‘夢違観音’がおさめられている大宝蔵殿に入ったかどうか記憶が薄い。昔、ここにあった国宝‘観音菩薩立像(百済観音)’も奈良博で開催された仏教美術の大展覧会(95年)でみたのがはじめてだから、やはり大宝蔵殿へは足を踏み入れてない。

この金銅仏は予想以上に小さな仏像だった。視線が集まるのは童子のような顔と左手の指に挟んでいる小さな瓶。この像を祈ると悪夢を善夢に変えてくれるというのだからありがたい。心がふわふわするような夢をみることは滅多になく、たいていは‘なんであの人がでてきたのだろう?’といった変な夢とか怖い夢だから、この仏像がおおいに信仰を集めたのはよくわかる。

東大寺にある‘五劫思惟阿弥陀如来坐像’がおもしろかった。頭の髪の毛が馬鹿でかく、まるでアフロヘアのよう。どうでもいいことだが、マイケルジャクソンも小さいころはこんなアフロヘアで歌っていた。

国宝‘金銅宝塔’は奈良博の展覧会で見て以来。西大寺には同じく国宝の‘透彫舎利殿’や‘舎利瓶・鉄宝塔’があるが、こういう仏教工芸品に接する機会は数少ないのでじっくりみた。西大寺からは‘塔本四仏像’も出品されている。これまでみたのは二体のみ、幸運にも四体揃ってみることができた。

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2010.07.16

五島美の‘陶芸の美’展は名品揃い!

1736_4     ‘青磁鳳凰耳花生’(重文)

1739_2     ‘古伊賀水差 銘 破袋’(重文)

1738_2     ‘鼠志野 銘 峯紅葉’(重文)

1737_2     長次郎の‘赤楽茶碗 銘 夕暮’

五島美は秋の特別展‘国宝 源氏物語絵巻’(11/3~11/28)が終了すると、改修工事のため2年間お休みとなる。で、4月から館蔵品をドドッと公開中。現在は第3弾、‘陶芸の美ー日本・中国・朝鮮’(6/26~8/8)が行われている。

作品は57点、プラス特別展示として国宝の‘金銅馬具類’(宮崎県西都原古墳群出土)。ここはよく来ているので再会するものが多いが、やきものコレクションは質が高いことで有名だから、1点々釘付けになる。

中国陶磁は29点、足がとまるのはやはり南宋時代(12~13世紀)、龍泉窯でやかれた‘青磁鳳凰耳花生’。これは砧青磁(きぬたせいじ)の名品で、同じたタイプの花生のなかでは最も大きい。厚くかかった美しい粉青色の釉調を息を呑んでみていた。

日本のやきもの(17点)は図録に載っている名品がほとんどでている。これは壮観!そのなかで存在感が際立っているのが古伊賀の水差(桃山時代・17世紀)。下部は大きく破れた袋のようにも好物の破れおかきのようにもみえる。作為のないビードロ釉と相俟ってその力強い景色が目に強く焼きつく。

‘峯紅葉’(桃山時代・16~17世紀)は3年前、出光美であった展覧会に出品された(拙ブログ07/2/26)。魅せられるのはきりっとした印象を与える赤褐色かかった釉薬の色と箆で思い切りよく形どった器形。そして、絶妙に配置された亀甲文と桧垣文が茶碗の魅力をいっそう掻きたてる。

長次郎の‘夕暮’(桃山時代・16世紀)をみるのは8年ぶり。これはまさに銘の通り、じっとみていると秋の夕暮れを連想する。ここには長次郎の作では‘黒楽茶碗 銘 千声’(今回は展示なし)があり、常慶の黒楽茶碗‘銘 悪女’(展示なし)、道入(のんこう)の黒楽茶碗‘銘 三番叟’も所蔵している。

ほかでいい気分になったのは楕円形に歪められた‘黒織部沓形茶碗’や軽妙な桧垣や雁木の文様が心に響く‘絵唐津四方筒向付’。次回の‘茶道具の精華’(8/28~10/24)は日本のやきもののパートⅡ。また出かけることにしている。

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2010.07.15

目を楽しませてくれる岩崎家の国貞・広重コレクション!

1735_2    歌川国貞(三世豊国)の‘にわか夕立’

1734_2            歌川国貞の‘歌舞伎十八番之内 景清’

1733_2    歌川広重の‘武陽金沢八景夜景’

1732_2         歌川広重の‘六十余州名所図会 阿波鳴門の風波’

静嘉堂文庫の‘錦絵の美ー国貞・広重の世界ー’は7/13から後期展示がはじまった(8/8まで)。前期(拙ブログ7/2)同様、メインは歌川国貞の絵。以前制作された図録に載っている絵の9割が2回に分けて展示されている。思いの丈が叶えられので、国貞も一休みできる。

国貞の美人画にぞっこんではなく、関心を寄せているのは3枚続のワイド画面に描かれた風俗・美人画。後期に出ている3枚続の絵7点のなかで、足がとまったのは‘にわか夕立’。3人の女の生き生きとした描写にじっと見入ってしまう。

部屋の中に飛び込んでくる雷の稲妻は漫画とか戯画をみている気分。‘ああー、大変だ大変だ!お鈴ちゃん、早く雨戸を閉めておくれ、わたしゃ、昔から雷が怖くてね、さあ、一緒に蚊帳のなかに入ろうよ’と左の年増女が声をかけているのが聞こえてくるよう。

美人画でハッとするのが1点あった。‘思事鏡写絵(湯上り)’。な、なんと大胆なシースルー!見てのお楽しみ。また、料理が盛られた台を肩にかつぎ階段を上がってくる仲居を描いた‘艶姿辰己勝景 三十三間堂’をみて、ドガの‘階段を上がる踊り子’を思い出した。

国貞の絵で最も魅了されているのは役者絵。前期、後期で2点ずつ4点あった。五代目市川団十郎が演じる‘歌舞伎十八番之内 景清’は黒光りする髪と赤の隈取りのインパクトが強烈。国貞の役者大首絵に多く遭遇するようミューズにお祈りをささげておこう。

話は横にそれるが、最近浮世絵展のビッグニュースが入ってきた。東博で来年4/5~5/15に写楽の回顧展が開催される。もうチラシができている。キャッチコピーは‘役者は揃った 写楽’。これ、なかなかいい。東博が行う浮世絵展だから北斎展(05年)同様、世界中から摺りのいい役者絵を集めてくるにちがいない。とても楽しみ!

広重の‘武陽金沢八景夜景’は3枚続の風景画。これくらい画面が大きいとパノラマ風に描かれた景色に見とれてしまう。群れをなして飛んでいる鳥が中央の月にかかるところも心憎いばかりに上手い。

‘六十余州名所図会’のなかで一番好きな絵が‘阿波鳴門の風波’。広重は北斎の‘神奈川沖浪裏’に刺激を受け、‘じゃあー、俺は鳴門の渦潮だ!’とこの傑作を描いた。才能豊かな浮世絵師の競演のお陰で今、われわれはこんなすばらしい絵を楽しむことができる。‘ビバ!浮世絵’と心のなかで叫んでいる。

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2010.07.14

これぞ浮世絵エンターテイメント!‘北斎とその時代展’

1728_2     ‘富嶽三十六景・神奈川沖浪裏’

1729_2     ‘富嶽三十六景・駿州江尻’

1731_2     ‘富嶽三十六景・隅田川関屋の里’

1730_2     ‘諸国名橋奇覧 飛越の堺つりはし’

太田記念美で行われている特別展‘生誕250年記念 北斎とその時代’の後期(7/1~7/25)をみてきた。前期(拙ブログ6/21)とは作品が全部替わるスッキリ展示。北斎は‘富嶽三十六景’(全50点)、‘諸国瀧廻り’(全8点)、‘諸国名橋奇覧’(全6点)、‘富嶽百景’(2点)、肉筆画(2点)の68点。ほかに広重や北斎派の作品がある。

‘富嶽三十六景’は浮世絵のクラシックだから、何度見ても感激する。魅了されるところはいろいろあるが、最もすごいなと思うのはその比類のない構想力と動感描写。今回はこれに焦点を当て傑作をピックアップしてみた。

‘神奈川沖浪裏’は浮世絵風景画の代名詞ともいうべき絵。小舟に襲いかかる波頭は海の怪物のようにみえ、荒れる海の怖さを思いっきり味合わされるような感じ。真ん中に描かれた富士の静かで美しい姿と文様化された波しぶきの荒々しいフォルムが破綻なく融け合い、この絵に高い芸術性を与えている。

びゅーびゅー吹く風を200%感じさせるのが‘駿州江尻’。広重も‘東海道五十三次之内・四日市’で風の情景をとらえた見事な絵を描いているが、菅笠を飛ばされた男はこちら向きになっているので、どこか親しみ覚え絵の中に入りその笠を一緒にとってやりたいような気持ちになる。

これに対し、北斎の‘江尻’に吹く強風に対してはそんな気にはならない。S字になった道にいる男たちが笠を飛ばされないように手で押さえ、腰を屈めているのをみるだけで心が萎え、体も緊張してしまう。それだけ北斎の風の描写には‘神奈川沖浪裏’同様、緊迫感があり、人の感情移入も阻むような激しさがある。

‘富嶽三十六景’には馬がでてくる絵が8点ある。そのなかで馬が走っているのは‘隅田川関屋の里’だけ。この絵はぱっと見ると馬がすごいスピードで疾走しているように感じる。一番先頭を走る馬は手前の2頭より小さく描いてあるから、もうあそこまで行ったのかと思う。

手前の2頭をみると頭の動きは違うが前足、後ろ足はまったく同じに描かれている。そして馬に乗っている男の体も着物も笠もほとんど同じ。これは映画のストップモーションのテクニック。北斎は道をS字にして奥行きをつくり、同じ馬と人物のフォルムをストップモーションで移動させ、観る者に人馬のスピードを感じさせているのである。

‘諸国名橋奇覧 飛越の堺つりはし’(05/6/11)はお気に入りの絵。このつりはしを渡っている男二人はさぞかし怖くて心細いだろうなと思うのは二人が向こう向きで描かれているから。こっちを向いているとそれほど怖さを感じないかもしれない。

自然の激しい動きを表現するとき、北斎は人の感情を絵からシャットアウトするのに、人物が馬で走ったり、こういう危険なつりはしをわたったりするときは観る者を絵の中に誘い込む。

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2010.07.13

いつか行きたい美術館! リスボン

1724     ラリックの‘胸元飾り・トンボの精’(グルベンキアン美)

1725     ラリックの‘胸元飾り・孔雀’(グルベンキアン美)

1727     ルノワールの‘ソファに横たわるモネ夫人’(グルベンキアン美)

1726     ボスの‘聖アントニウスの誘惑’(部分、国立美術館)

3年前ポルトガルをはじめて訪問し、首都リスボンやロカ岬などをまわった。参加したスペイン&ポルトガルツアー(10日間)は毎日名所観光で自由時間はなし。どこの国でもはじめてのときは行程表通りに動くことにしているので、お目当ての美術館へでかけるのは2回目の旅行から。

リスボンで行ってみたい美術館は二つある。ルネ・ラリックのコレクションで有名なグルベンキアン美と国立美術館。地図によると、グルベンキアンは中心部から上のほうへ1.5km行ったところにある。この美術館の存在を知ったのは5,6年前NHKで放送された‘世界の美術館’。

中近東の石油採掘事業で財をなしたトルコ人実業家カルースト・グルベンキアン
(1869~1955)はラリック(1860~1945)のパトロンとなり、ジュエリー、ガラス、工芸品など140点を蒐集した。番組で紹介されたのは胸元飾りの‘トンボの精’や‘蛇’などだったが、その豪華で芸術性の高い作品に200%KOされた。

幸運なことに昨年、国立新美で開催された‘ルネ・ラリック展’にコレクションのなかから‘ティアラ・雄鶏の頭’(拙ブログ09/6/27)など11点がお目見えした。これでいい気持ちになっていたら、この展覧会にあわせて発行された東京美術の人気美術本シリーズ‘もっと知りたい ルネ・ラリック’(お気に入り本を参照方)にグルベンキアン蔵のお宝が沢山載っていた。

NHKの番組で紹介されたものが美術館自慢の作品と思っていたが、これと同じくらい心を揺すぶるジュエリーがいくつもある。図版をみているだけでうっとりするのだから、本物の前に立つとテンションは相当あがりそう。この本の出現でリスボンへまた行くぞ!という気になった。

グルベンキアンにある絵画の全貌はわからないが、ルノワールの‘ソファに横たわるモネ婦人’やドガの‘自画像’とは20年前から美術本でお付き合いしている。あと数年経つと会えそう。

国立美術館の作品情報はきわめて少なく、ボスの‘聖アントニウスの誘惑’(三連祭檀画)くらいしかわからない。この絵には12点のレプリカがあるが、その一枚をベルギー王立美(ブリュッセル)で数年前みたことがある。ボスとブリューゲルの絵はカラヴァッジョ同様、全点みることを夢見ているので、オリジナルも見逃せない。

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2010.07.12

祝 W杯 スペイン悲願の初優勝!

1723_2サッカーW杯の決勝戦はスペインが
1-0でオランダを下し、悲願の初優勝を飾った。拍手々!

朝の3時半まで起きているのはしんどいが、名勝負が期待される一戦がはじまると‘観るぞ!’モードにすぐスイッチが入る。

前半はしばらくスペインのパスまわしがきまり、ボールの6割を支配していた。

それにしても短いパスがすばやくつながるものだ。こういうのをパスサッカーというらしいが、南米チームの個人技を軸にしたサッカーと基本的には同じようなもの?そのあたりはよくわからない。

縦にでたボールめがけてワントップのビリャが再三とびだすが、オフサイドをとられる。オランダはドイツに比べると、ボールは支配されるものの、流れが変わるとしばしばゴールにからむシュートを放ってくる。前半はともに点が入らず。

オランダで目立った動きをみせるのはやはりエースのロッベン。この選手の突破力は本当にすごい。がんがん走り、ボールを自分のものにしシュートしてくる。後半17分に決定的なシュートチャンスがめぐってくる。スペインのGKカシージャスとの1対1になった。

‘こりゃ、点が入るな!’と思ったら、なんとカシージャスが捨て身でだした右足にボールが当たりゴールならず。頭を抱え込むロッベン。こういうのはスペインにツキがあったと思うほかない。延長戦ではスペインの途中から入った選手の放ったシュートをオランダのキーパー、ステケレンブルフが同じようにファインセーブ。決勝戦にふさわしいすばらしいプレーの連続ににわかサッカーファンなのに酔いしれる。

選手同士の足の引っ掛け合いや体の寄せ合いが激しく、イエローカードが双方に何枚も出される。その結果、延長戦後半オランダは一人退場となった。このあたりから、勝ちはスペインにいきそうな雰囲気。果たして、後半11分スペインのMFイニエスタ(左の
写真)が決勝のゴールを決めた。思わず拍手をしてしまった。

スペインの試合を2つみたなかで、そのパスまわしに釘付けになったのはシャビとイニエスタ。ドリブルが上手く、狭いスペースなのにいいパスを絶妙なタイミングで出す。この二人がボールをつなぐスペインスタイルのキーマン。

イニエスタは延長前半ゴールに迫りながらシュートの機会を逃していた。でも、延長戦も残り4分となったところで、味方のセスクからでたボールを見事にボレーシュート!ついに勝ちとった世界一、選手、監督、コーチ、スタッフは皆大喜び。キャプテンのカシージャスは泣いている。

しばらくすると選手は新しいユニフォームに着替えだした。胸のところに星のマークが一つついている。W杯で優勝した国はユニフォームに星のマークがつけられるらしい。表彰式のためにちゃんと星マーク入りユニフォームを用意しているのである。これを着て黄金に輝くトロフィーを掲げ、喜びを爆発させる選手たちをみるとこちらも楽しくなる。いいねぇ、W杯は。スペインは国中が大騒ぎだろう。 

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2010.07.11

いつか行きたい美術館! マドリード

1719_2      カラヴァッジョの‘アレクサンドリアの聖カタリナ’(ティッセン=ボルネミッサ美)

1720_2 ファン・エイクの‘受胎告知の二連祭壇図’(ティッセン=ボルネミッサ美)

1722_2    ゴヤの‘イワシの埋葬’(王立サン・フェルナンド美術アカデミー)

1721_2       ゴヤの‘自画像’(王立サン・フェルナンド美術アカデミー)

海外旅行で今、一番楽しいのは食事と美術館めぐりなので、行きたい美術館にどんな傑作があるかは時間をかけて調べている。そうしてリストアップされた作品を美術館毎に見比べているうちに行く先の順番が決まってくる。

順番が先になるか後になるかは名画の数と見たい度の大きさを掛け合わせた総面積次第。今日はマドリードにある美術館をとりあげてみた。

一般のスペインツアー旅行の場合、マドリード観光には必ずプラド美とピカソの‘ゲルニカ’を所蔵するソフィア王立芸術センターの見学が入っている。二つは500mくらいしか離れてないから、移動にもそう時間はかからない。2時間から2時間半くらいかけてこの二つの美術館をみたあとは、半日のトレド観光。で、マドリードにあるほかの美術館とか教会を回りたいとなると、このトレド行きをパスすることになる。

是非行ってみたいのはティッセン・ボルネミッサ美と王立サン・フェルデナンド美術アカデミー。市内地図をみると、二つともプラド美の近くにあるから効率よく回れそう。

ティッセン=ボルネミッサのお目当てはカラヴァッジョ(1571~1610)の‘アレクサンドリアの聖カタリナ’。まだ見てないカラヴァッジョ作品のうち、この絵と‘聖トマスの不信’(ポツダム、サン・スーシ宮殿)、‘慈悲の七つの行い’(ナポリ、ピオ・モンテ・デラ・ミゼリコルディア教会)はなんとしてもいう気になっている。‘聖カタリナ’はその現実感のある女性像にすごく惹きこまれるが、早く会ってみたい。

もうひとつ、ファン・エイク(1390~1441)のだまし絵‘受胎告知’にも遭遇したい。図版でみるとマリアと大天使ガブリエルは彫像にしかみえない。どんなサプライズが待っているだろうか?

王立サン・フェルナンドにはゴヤ(1746~1828)の絵が沢山ある。そのなかで見たい度の高いのが毒のある風俗画‘イワシの埋葬’と内面性が強くうかがえる‘自画像’、そして‘オレンジ戦争司令官としてのゴドイ’。

ゴヤの絵はサン・アントニオ・デ・ラ・フロリーダ礼拝堂のフレスコ画‘パドヴァの聖アントニウスの奇跡’をみてみたいのだが、ここまで足を運ぶ時間があるかどうか。

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2010.07.10

レンブラントが参考にしたカラヴァッジョの絵がわかった!

1716_2     レンブラントの‘目を潰されるサムソン’

1718_2     カラヴァッジョの‘聖マタイの殉教’

1717_2       カラヴァッジョの‘聖パウロの回心’

絵画の楽しみというとやはり美術館へ出かけ本物の作品をみることだが、毎週々名画に出会えるわけではない。だから、絵画とのつきあいは何度となくみる画集とか図録を通じてできあがっていくといってもいいすぎではない。

もちろん、図版では実際の絵のマチエールは感じられないし、大きさも違い本当の色が100%でていない。でも、これは美術館で体験した感動をいつまでも体のなかにとどめておくためには欠かせないもの。で、好きな画家の画集や図録はそれこそ宝物のように思えてくる。

最近、しばらくご無沙汰していたDK(DORLING KINNDERSLEY社)のアートブックシリーズ、‘レンブラント’(英文)を何気無しにパラパラみていたら、ハッとする絵2点が目に飛び込んできた。レンブラント(1606~1669)の‘目を潰されるサムソン’(1636、
フランクフルト・シュテーデル美)とその下に参考の絵として掲載されているカラヴァッジョ(1571~1610)の‘聖マタイの殉教’(1600、ローマ、サン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会)。

5月‘カラヴァッジョ展’をみた後、その感想記を12回書いたが、カラヴァッジョとレンブラントとの響き合いにもすこしふれた(5/24)。そこではレンブラントが‘目を潰されるサムソン’を描くにあたって参考にしたのはカラヴァッジョの‘聖パウロの回心’(1600~01、ローマ・オデスカルキ=コレクション)ではないかと思っていた。が、この絵よりピッタリの絵があった。

レンブラントは‘聖パウロの回心’よりDK本にでている‘聖マタイの殉教’(5/17)に刺激を受けたようだ。‘サムソン’でデリラは切り取ったサムソンの髭を左手にもち体をひねっている。この姿が‘聖マタイ’の画面右、手をあげて驚く少年にとても似ている。この少年のポーズははじめてみて以来ずっと目にこびりついていたのに、デリラとは結びつかなかった。また、サムソン、聖マタイが横たわるところや左から光が強く当たる構成も同じ。まさに目からうろこが落ちた。

なぜ‘聖パウロの回心’に心が奪われていたかというと、目を覆うパウロの顔と髭がサムソンの潰れた目や髭と瞬間的にダブってみえたから。サムソンだけをみていればレンブラントは‘聖パウロの回心’を参考にしたとも考えられる。だから、二つの絵がレンブラントに霊感を与えたのかもしれない。

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2010.07.09

西洋画・日本画比較シリーズ! ドガ vs 広重・国芳

1715_2   ドガの‘階段を上がる踊り子’

1713_2           歌川広重の‘名所江戸百景・芝愛宕山’

1714_2      歌川国芳の‘東都富士見三十六景・昌平坂の遠景’

国立新美で開催中の‘オルセー美展2010 ポスト印象派’(5/26~8/16)は残り
1ヶ月ちょっと。もう一度足を運ぼうと思っているのだが、夏休みに入ると子ども連れのお父さんお母さんが増えそうだし、8月は大混雑が必死。向こう2週間のどこかで行かないと大変なことになりそう。

感想記の最初にドガの‘階段を上がる踊り子’(拙ブログ6/9)を取り上げた。この絵の構成はとてもユニーク。中央に斜め後ろから描かれた踊り子はこの稽古場に階段から上がってきたところ。階段の途中にはもう2人踊り子がいる。

こういう空間の一部がぼこっと窪む絵というのはあまりない。これまでに体験した絵ではマンテーニャ(09/6/26)とか1月にであったファン・エイク(2/10)、グエルチーノ(3/3)などほんの数点。

ドガ(1834~1917)が絵を制作するにあたって、浮世絵の構図を参考にしたことはよく知られている。こういう絵に刺激を受けたのかなと思わせるのが広重(1797~
1858)と国芳(1797~1861)の絵。広重の‘名所江戸百景・芝愛宕山’と‘階段を上がる踊り子’はまさに響き合っている。

‘芝愛宕山’はお気に入りの絵。愛宕山(現在の港区愛宕)の山頂には愛宕山権現社があり、山下には別当の円福寺がある。この絵は正月3日の強飯式の神事を描いたもの。大きなしゃもじをもっているのは愛宕山の地主神・毘沙門天の使者。円福寺での強飯式に参加した人にしゃもじを振り回して‘山盛りの飯を沢山食べなさいよ!’と強要したあと、急な坂を上り山に戻ってきたところ。

絵の全体の印象は平面的なのに、この使者の足元はすごく段差があり立体的なのである。国芳の‘昌平坂の遠景’は‘東都名所・かすみが関’同様、人々が行き来する道はむこう側からの登りがかなりきついように描かれている。広重にしても国芳にしても、こういう空間構成を生み出すのだから、その人物や風景をとらえる視点は頭のなかでは柔軟に動いているのだろう。

ドガに限らずマネ、モネ、ゴッホ、ゴーギャン、ロートレック、スーラも浮世絵の斬新な構図を夢中になってながめていたにちがいない。

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2010.07.08

W杯 スペイン ドイツを破り決勝進出!

1712今朝3時半から行われたW杯準決勝でスペインがドイツを1-0と破り、決勝に進出した。

大方の予想はドイツの勝ちだったが、この試合ではドイツの攻撃力はまったく低調。

素人からすると、前の2試合ですごい攻撃力を見せられているから、どうしちゃったの?という感じ。

ボールはスペインに支配されたままで、シュートが全然打てないし、イングランド戦でみせた素早いカウンター攻撃もみられない。ミュラーが出場停止を食らったのは明らかに痛い。そして、コンビを組むエジルのスピードも落ちていた。これまで5試合を戦ったから、体もかなり疲れているのかもしれない。

今大会、スペインの試合をみるのははじめて。解説者の城が‘こういう華麗なパスまわしをするサッカーに皆あこがれますよね’といっていた。たしかに、ドイツ陣内で早くて正確なパスまわしをしていた。でも、なかなか点には結びつかない。素人の見方としては、ドイツは押されているがそのうちカウンターであっというまに点をとるのではないかと思っていた。

でも、シュートチャンスは圧倒的にスペインのほうが多く、ビリャとかペドロが積極的に打ってくる。これに対し、ドイツの選手が放つシュートは力強さに欠ける。イングランド、アルゼンチン戦で4点取った攻撃力はどうなったの?戦術的なことはわからないのだが、エースのクローゼにボールが出ないのはスペインの守備がいいから?

後半に入ってもお互いに点が入らないが、ドイツが先にシュートを決めるのではという思いが消えない。ところが、先に点を入れたのはスペインだった。28分、CKに思いっきり飛び込んできたプジョルが見事なヘディングシュートを決めた。‘おおー、スペインが決めたよ!こりゃー、スペインが勝つぞ’。

このあと中継していたアナウンサーは‘ゲルマン魂’を連発するが、これに最後まで火がつかず、結局スペインが1-0で勝利をおさめた。蛸の予想はスペインの勝ちだったが、その通りになった。蛸を早くスペインに移動させないと、サポーターに食われるよ!

これで、決勝は初優勝をかけてオランダとスペインが戦うことになった。果たして、どちらが勝つだろうか?ばしっと決めるスナイダー、ロッベンのいるオランダが勝つような気がするのだが。どうでもいいことだが、頭の毛が薄いロッベンは26歳だって!?てっきり
32歳くらいのベテランと思っていた。

専門家やサッカーファンはスペインを高く評価する人が多い。ドイツースペイン戦前の日テレの番組に出演していた北澤はスペインサッカーが好きだといっていたし、サッカー好きのさんまもスペインの勝利を予想していた。また、今海外のチームからオファーが沢山きている松井もさんまに同調していた。彼もスペインリーグでプレーしたい?

スペインは2年前、ドイツを下し欧州チャンピオンになってからチームのカラーが変わり、すごく強くなったそうだ。だから、スペインが勝つかもしれない。どちらが勝つにせよ、すごい試合になりそう。にわかサッカーファンでもワクワクする。

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2010.07.07

広重、北斎、抱一の七夕祭の絵!

1709           歌川広重の‘名所江戸百景・市中繁栄七夕祭’

1711         葛飾北斎の‘富嶽百景・七夕の不二’

1710                 酒井抱一の‘七夕図’

今日は七夕なので、これにちなんだ絵を。平塚は盛大な七夕祭で有名だが、まだ見たことがない。確か、仙台もこれで賑わっているはずだが。

小さい頃は願い事を描いた短冊を竹竿につけ、そのあと美味しいものを食べるのはとても楽しかった。翌日近くの川にこれを流しに行くと、流れが緩くなったところに短冊のついた笹がいくつも重なるように滞留していた。今でも、子どもたちのいる家庭では同じことをしていると思うが、生憎近くに川がないので、そういう光景をみることがない。

七夕祭の絵ですぐ思い浮かべるのは広重(1797~1858)が描いた‘名所江戸百景・市中繁栄七夕祭’。どこの家でも屋根の高さを上回るほど長い竹竿が立てられ、笹に飾られた短冊や吹流が強い風にひらひら舞っている。この風なびきの描写にわけもなく魅せられる。

遠くに富士山が見えるが、この絵で視線が集中するのは手前左にある竹竿。これに対し、広重が参考にした北斎(1760~1849)の‘七夕の不二’は竹竿の数が少ないので中央に配された白い富士が強く印象付けられる。‘富嶽百景’は2年前、日本橋三越であった‘北斎 富士を描く’で展示されたから、この絵を楽しまれた方も多いかもしれない。

酒井抱一(1761~1828)が描いた‘七夕図’(根津美)は‘国宝燕子花図屏風’が公開された特別展第5弾に出品された。ここには旧暦の七月七日に手芸や芸能が上達することを祈願した儀式、乞巧奠(きっこうてん、七夕祭のこと)が描かれている。

麻の緒を張り、これに五色の糸が掛けてあり、下にあるのは梶の葉を一枚浮かべ、水を張った角盥(つのだらい)。抱一にはもうひとつ乞巧奠の絵があり、宮廷の節会を描いた‘五節句図’(大倉集古館)の一枚として、彦星と織姫への供え物が置かれた台盤や技芸が上手になることを願う女房たちが描かれている。

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2010.07.06

散歩で街角ウォッチング! スマイルマナー

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横浜市営地下鉄を利用した際、高齢のボランティアの方が車内で上の小冊子を配っておられるのにでくわした。ほかにすることもないし、聞き慣れない‘スマイルマナー’に興味があったので、ちょっと目を通してみた。

横浜市交通局が協力をお願いしている‘スマイルマナー’は車内マナーの向上活動のこと。左のポンチ絵には車内で心がけてほしいマナーが5つ描かれている。

× 足を投げ出して座らないでね!
× 通路や座席の荷物が邪魔になっているよ!
× 携帯電話は心臓ペースメーカー等の医療機器に影響を及ぼす恐れがあります。
  車内では電源をオフにしてね!
× ヘッドフォンからの音漏れに注意してね!
× 車内でお化粧をしないでね!

足を組んでいる人はいるが、混雑してくると普通の座りかたをする人がほとんどだから、これは問題なし。また、荷物を座席にどどっと置いている人もあまり見かけないから、これで不愉快になることはほとんどない。

車内で携帯電話がかかってきたときの対応はすごく向上している。今は長々と話している人はみなくなった。例外は中国人。彼らはよく車内でしゃべっている。以前、80歳くらいの老人が向かい側の席でしゃべっている中年の中国人女性を一喝したことがあった。

もちろん、日本語で言ったのだが、その女性はすぐ話を止め、一緒にいた同じ中国人女性とともに緊張した表情になった。そこでこれは終りと思ったら、この老人は余計なことをわめき出した。‘わしが昔中国にいたころ、現地の中国人をチャンコロと呼んでいた’。誰もそんなこと聞いてない、何をバカなことを言っているの、まったく困った爺さんだった!

最近は若者のヘッドフォンからロックミュージックが漏れてきて、不快な思いをすることがなくなってきた。イヤホンをしている若い人の数は昔と比べると相対的に少なくなっているような気もするが、どうだろう?それとも、音が外に漏れないような改善がなされているから?男性でも女性でも音楽を聴いている人よりも携帯の画面を見ている人のほうが圧倒的に多い感じがする。

車内で化粧をする若い女性は相変わらず多い。これは5,6年前と比べて変わってない。先進国の公共交通機関を利用したとき、女性が車内で化粧する場面に出くわすのは日本だけではなかろうか。ローマでバスに乗っても地下鉄に乗ってもそんな女性は一人もいなかった。また、08年パリで地下鉄を結構利用したが、ここでもそんな女性はみかけなかった。

こういう人にとっては車内は自分の家と同じ感覚。私と公の区別がないのである。日本人は昔から公なる精神が薄い国民ではあるが、それでも10年前にはこんな女性はいなかった。これに出くわすたびに、日本人の公的な場所でのふるまいには絶望的になる。

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2010.07.05

選手を「こいつら」呼ばわりする中日落合にレッドカード!

1707_3今日はW杯ではなく、お馴染みの野球ネタ。

昨日秋田こまちスタジアムでセリーグ中日ーヤクルトの試合が行われ、中日が8-5でヤクルトに勝ち、勝率を5割に戻した。

現在中日は3位で首位の巨人に7.5ゲーム離されている。優勝なんて逆立ちしても無理。

シーズンが始まる前、巨人の優勝を予想したが、今も変わりない。2位につけている阪神も、オールター戦のあと後半戦になると、その差を縮めるどころか逆にじわじわ広げられ、気がついたら7,8ゲームの大差がついているのではなかろうか。

これだけ差がつくと、2,3位といっても、4,5位とどこが違うのという感じになる。そんな弱い中日の監督をしている落合が昨日のゲームについて、カチンとくるようなコメントをしている。‘こいつらはユニホームを汚してなんぼ。泥んこにならないで勝てるか’(今日の朝日の記事)。

プロ野球の選手をアホ落合は‘こいつら’呼ばわりするのである。現在打率トップのベテラン和田(左の写真)も、まだ技術の足りない若手も皆‘こいつら’扱い。まるで高校野球の監督と選手の関係みたい。プロ野球は選手が主役ということをこの男はまったく忘れている。現役のときも俺流、監督になっても俺流。こんな自分のことしか考えない監督のもとでチームが一つになるはずがない。

中日球団が落合と監督契約を更新したときから、中日に優勝はないと思っていたが、実際その通りになっている。落合のもとでは何年やっても優勝はない。2年くらい前から選手、コーチの心は落合からとっくに離れているのがわからないのだから、中日新聞本社も情けない。名古屋に数年住んでいたからその体質はよく知っているが。

地元ファンの多くはこの秋落合がクビになり、ほかの人間がチームの指揮をとることを望んでいるにちがいない。こんな天邪鬼で威張り体質の人間が監督をやるような時代ではない。でも、ことはそううまくはいかない。現状は古い体質をひきずったままなのである。野球界のOBで現役時代にいい成績を残した者のまあ8割は威張り体質といっていい。

名球会では金田正一、張本勲、堀内恒夫、鈴木啓示、昨年のWBCのコーチを務めた山田久志、山本浩二、東尾修、落合博満、古田敦也、清原和博、、まさにキラ星のごとく。もちろん、名球会のメンバーでないOBでも威張り屋はごろごろいる。その筆頭があのアホ星野、元西武の名捕手だった伊東、、この中にはアレ?というのが入っているかもしれない。そう、まだ若い古田。古田はヤクルトの監督になってその自己中心の性格が露呈し、選手から総スカンを食った。人間修行をしないと監督は無理!

威張っているOBには共通のスタイルがある。それは皆ズボンのポケットに手をつっこんでいること。日本では昔から普通の人はポケットに手をつっこんで歩いたりしない。そういう風に躾けられる。だから、ズボンのポケットに手を入れている人間は怖さをみせつけたい人間とか自分の偉さを誇示したい人間に限られる。ご存知、ヤクザと政治家。

古い政治家、例えば、石原東京都知事、国民新党の亀井静香なんかもいつも手をポケットにつっこんでいる。先週発売のある週刊誌で、参議院選挙に自民党から立候補している堀内が‘ポケットに手をつっこんで何様か!’とたたかれた。人に頭を下げても長年染み付いた習慣はすぐには直らないから、手はポケットに入れたまま。滑稽である。

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2010.07.04

ディケンズ著「イタリアのおもかげ」(岩波書店 10年4月)

1705_3

1706_2             レーニの‘ベアトリーチェ・チェンチの肖像’

今年の前半は2度もイタリアを旅行したので、Myイタリア熱は今、プラトー状態にある。で、ルネサンスやバロック絵画、古代ローマ史、ヴェネツィア、アマルフィなどのイタリア海洋都市に関する本を集中的に読んでいる。情報というのはおもしろいもので、こちらがイタリアのことをもっと知りたいと願っていると興味深い本がひょいと現れてくれる。

予定していたリレー読書のなかに急遽入ってきたのは2冊。ひとつはNHK‘カルチャーラジオ・歴史発見’(10年1~3月)で放送された‘千のイタリア 多様と豊饒の近代’(日本女子大教授北村暁夫)のテキスト、もうひとつは4月に発行された岩波文庫のディケンズ著‘イタリアのおもかげ’(お気に入り本を参照方)。

‘千のイタリア’は19世紀後半から20世紀前半のイタリアの農村のお話。地域毎にちがう農村の暮らし、食文化がとてもわかりやすく述べられている。ワインやかんきつ類や米などがどこでどういう風につくられてきたかがよくわかった。

過去読んだイタリア紀行本はゲーテのもの(岩波文庫、上・中・下)があるが、これに初訳のディケンズの‘イタリアのおもかげ’が加わった。この本は32歳のディケンズ
(1812~1870)が1844年7月から1年間、家族とともに旅行したイタリアの感想記。目の当たりにした風景や教会建築、参加した宗教関連行事、オペラ体験、美術鑑賞、ホテルでの生活、食事などが生き生きと綴られており、なかなかおもしろい。

こういう紀行文は自らが実際に体験した町の箇所は‘うん、うん、そうだよな!’とぐっとのめりこむが、まだ行ったことのないところは斜め読みになる。ディケンズの全行程でしっかり読んだのは、イタリア幻想(ヴェネツィア)、ヴェローナ、ミラノ、ピサ、シエナ、ローマ、ナポリ、フィレンツェ。一方、ジェノヴァ、パルマ、モデナ、ボローニャ、フェッラーラ、マントヴァは美術の話がでてくるところだけをゆっくり読んだ。

ディケンズは美術品にたいしても高い審美眼の持ち主。どういう傑作に目をとめているかピックアップしてみると、
・ミラノ:ダ・ヴィンチの‘最後の審判’
・パルマ:コレッジョの‘大聖堂キューポラのフレスコ画’
・ヴェネツィア:ティツイアーノの‘聖母被昇天’
・マントヴァ:ロマーノの‘巨人像’
・ローマ:ミケランジェロの‘最後の審判’、ラファエロの‘キリストの変容’、‘ボルゴの火災’、ベルニーニ、カノーヴァの彫像、ティツィアーノ、レンブラント、ファン・ダイク、レーニ、ドメニキーノ、ドルチェ作の肖像画、ムリーリョ、コレッジョの絵、レーニの‘ベアトリーチェ・チェンチの肖像’

絵画ではバルベリーニ宮殿にあるレーニ(1575~1642)の‘ベアトリーチェ・チェンチの肖像’(拙ブログ06/5/24)に大変魅せられたようで、次のように熱く語っている。

‘ベアトリーチェ・チェンチの肖像画は忘れることがほとんど不可能な絵である。描かれた顔から、すべてを凌駕する何とも心地よいその美しさを通して輝き出る何かがあって、それが私の心に絶えず浮かんでくる。いま書いているこの紙、あるいはペンを見ていても、それらの絵が目の前に浮かんでくる。

頭はゆったりと掛けられた白い布で飾られ、軽やかな髪の毛はリンネの襞の下に垂れ下がっている。彼女は突然、眺めているあなたに顔を向け、その眼はーとても繊細で優しそうな眼だったー荒々しい一瞬の恐怖あるいは苦悩と戦い、瞬時にそれを打ち勝ち、そして天国への希望と美しい悲しみだけが、それと、この世の絶望感が、残っているかのような表情をしている、、、、、、、’ 

流石、超一流の作家の文章、ものが違うという感じ。

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2010.07.03

名品が盛り沢山の東博平常展!

1703_2     高村光雲の‘老猿’

1704_2     高村光太郎の‘鯰’

1702_2  北斎の‘諸国瀧廻り・和州吉野義経馬洗滝(右)、木曾海道小野ノ瀑布(左)’

1701_2       広重の‘名所江戸百景 大はしあたけの夕立’

東博本館の平常展は相変わらず足を運んでいる。ここの年間パスポートをもっているので、散歩にでかけるようなもの。鑑賞の前工程として、HPで各部屋の展示内容と期間を定点チェックし、訪問日を調整している。出かけた6/29は展示替わりの日だった(全部の部屋ではない)。

まわる部屋はだいたい決まっている。1階入り口の向かって左端にある18室は近代美術(展示は6/29~8/1)。日本画はお馴染みの小林古径の‘異端(踏絵)’、前田青邨の‘湯治場’、大観・観山・紫紅・未醒の‘東海道五十三次絵巻’などが目を楽しませてくれる。

彫刻はあの高村光雲(1852~1934)作、‘老猿’(重文)、息子の光太郎(1883~1956)の‘鯰’と‘魴ぼう’(ほうぼう)の3点。‘老猿’は東近美であった‘日本彫刻の近代展’(拙ブログ07/11/22)でも取り上げたが、そのあと2年くらい前にもここに飾ってあったような気がする。こういう存在感のある彫刻の前ではどうしても足がとまる。

これは彫刻作品というより高級すぎる猿の置物という感じ。年老いた猿は遠くをじっとみつめてる様子で、手には鳥の羽根をもっている。その眼差しがじつにいい。鷹を取り逃がし、残念な思いをグッとかみ殺しているのだろうか。

光太郎の‘鯰’もお気に入りの作品。横にひらべったい鯰の形態がよくでている。そして、頭がごつごつした‘魴ぼう’にもすごく親近感を覚える。お魚が好きな人ならご存知と思うが、魴ぼうの煮付けは本当に美味しい。

2階の浮世絵コーナーはいつものようにビッグ絵師の絵があれこれ取り揃えてある(展示は6/29~7/25)。嬉しいのが北斎(1780~1849)の‘諸国瀧廻り’(全8図)。半分の4点がでている。‘和州吉野義経馬洗滝’、‘木曾海道小野ノ瀑布’、‘美濃ノ国養老の滝’、‘下野黒髪山きりふりの滝’。

上から流れ落ちる水のフォルムがよく似ているのは‘馬洗滝’と‘きりふりの滝’。‘馬洗滝’は真ん中で二人の男が馬を洗っているところは流れは緩やかだが、その前後は大量の水がS字の形で勢いよく下っている。その動きはまるで生き物のよう。これに対し、‘小野ノ瀑布’のほうは垂直性が強調され文様的に描かれているので、都会にそびえる高層ビルの外面のような感じを受ける。

広重もいいのが出ている。‘名所江戸百景’から3点。‘大はしあたけの夕立’はみるたびに雨を表す斜めの線がすごいなと思う。夕立の絵はもう2点ある。ワイドスクリーンに描いた清長の‘三囲神社の夕立’と春湖の‘夕立雨宿り’。ともに傑作。見てのお楽しみ!

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2010.07.02

静嘉堂文庫の‘錦絵の美ー国貞・広重の世界ー’!

1699_2     歌川国貞の‘江戸芸 北国他所行 田舎娘’

1700_3       歌川国貞の‘江戸自慢 五百羅漢施餓鬼’

1698_2     歌川広重の‘阿波鳴門之風景’

1697_2           歌川広重の‘六十余州名所図会 隠岐焚火の社’

現在、静嘉堂文庫で開催中の‘錦絵の美ー国貞・広重の世界ー’は前期(6/12~
7/11)と後期(7/13~8/8)で作品は全部入れ替わる。前期83点の内訳は歌川
国貞(1786~1864)が美人画を中心に59点、歌川広重(1797~1858)が風景画9点、そして国貞、広重の合作が15点となっている。

美人画、風俗画、役者絵など大変な数の浮世絵を描いた国貞への強い思い入れがあるというわけではない。美人画でいうと歌麿、春信、勝川春章への接近度を100とすると、70くらい。東博の平常展で国貞の絵は常連なので結構みているはずだが、ここのコレクションは初見のものが多く、しかも質が高い。やはりあるところにはある!流石、岩崎家という感じ。

美人画の揃物がセットでみられるのはありがたい。いろいろある、‘北国五色墨’(北国とは吉原遊廓のこと)、‘時世江戸鹿子’、‘江戸自慢’、‘今風化粧鏡’、‘星の霜当世風俗’、‘江戸八景ノ内’、‘集女八景’。

好みでいうと70なのだが、これだけヴァリエーションが多いとそれはそれですごく楽しい。また、横に広がる3枚続のワイドスクリーンにいくつもいいのがある。お気に入りのひとつが‘江戸芸 北国他所行 田舎娘’。梅、斜めにのびり生垣を背景に3人の女が大きく描かれている。

右の女は洒落た紋様の着物に身をつつんだ左褄(芸者のこと)。真ん中は一見普通の町屋の女だが、じつは吉原の遊女。たまに廓外で遊ぶことが許されており、このときは地味な姿に変身する。左は田舎娘。

今回の収穫は歌麿の絵を思わせる‘江戸自慢 五百羅漢施餓鬼’。蚊帳のなかで幼児にお乳を飲ませる母親の姿に心が和む。蚊帳の絵はもう一点、‘星の霜当世風俗(蚊やき)’がある。これは人気の絵で、蚊帳の中に入った蚊を女が紙燭の火で焼いているところが描かれている。

国貞と広重の合作‘双筆五十三次’ははじめてお目にかかった。15点のなかにユーモラスな人物描写がみられるのが2点あった。広重作では‘阿波鳴門之風景’がやはりいい。じっとみていると現地で渦潮をみているような気分になる。

‘六十余州名所図会’は8点。焚火の社とは隠岐諸島の西ノ島の焼火山の頂上近くにある焼火(たくひ)神社のこと。右に船首だけをみせる2艘の千石船が海をどどっと進む様子がじつによく描かれている。船が大きいので海面のうねりも大きく、生き物のような水しぶきがダイナミックにできては消えている。

後期の構成は前期と同じ。パートⅡも楽しみたいのでまた出かけることにしている。

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2010.07.01

10年後半 展覧会プレビュー!

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今年前半、イタリアの美術館めぐりを含めて足を運んだ展覧会は110回。このペースだと一年をしめてみると200回をこえるかもしれない。ここ数年出かける企画展は絞り込んでおり、追っかけ作品や美術本に載っているものが展示されない場合はパスしている。そして、平常展示については東博と三の丸尚蔵館の2点買い。いつものように7月~12月に出動する可能性の高い展覧会をまとめてみた。

★西洋美術
7/3~10/11    シャガール展          東芸大美
7/3~9/5      有元利夫展           東京都庭園美
7/17~8/29    ブリューゲル版画の世界   Bunkamura
7/28~10/3    アンソールからマグリットへ  東京オペラシティ
8/7~10/11    ザ・コレクション・ヴィンタートウール   世田谷美
9/11~11/14   ヴァザーリの回廊       損保ジャパン美

9/18~12/31   ドガ展              横浜美
10/1~12/20   ゴッホ展             国立新美
10/23~12/5   黙示録:デューラー/ルドン展   東芸大美
10/23~12/26  ラファエル前派からモリスへ 横須賀市美
10/26~1/16   デューラー版画・素描展    西洋美
11/23~2/6    カンディンスキーと青騎士   三菱一号館美

★日本美術
7/6~9/5      誕生!中国文明        東博
7/7~9/20     奈良の古寺と仏像       三井記念美
7/17~9/5     虎・獅子・ライオン       三の丸尚蔵館
7/31~9/12    日本美術のヴィーナス     出光美
7/31~9/26    大名古屋城展         徳川美
8/11~10/11   誇り高きデザイン 鍋島    サントリー美
8/21~9/26    田中一村展           千葉市美
8/24~11/3    三菱が夢見た美術館     三菱一号館美

9/4~10/24    続 江戸の英雄展       UKIYO-e TOKYO
9/7~10/17    上村松園展           東近美
9/14~11/23   河井寛次郎展          日本民藝館
9/18~11/3    仙厓展              出光美
9/22~11/14   隅田川・江戸が愛した風景  江戸東博
9/25~12/5    中国陶磁名品展         静嘉堂文庫
10/2~11/7    尾張徳川家の名宝展      徳川美
10/8~12/5    東大寺大仏 天平の至宝    東博

10/9~11/28   円山応挙展            三井記念美
10/9~1/30    ボストン美浮世絵名品展    名古屋ボストン美
10/16~11/28  日本画に見る四季の美     ニューオータニ美
11/3~12/19   歌麿・写楽、蔦屋重三郎    サントリー美
11/6~12/12   七絃会開催80年記念展    鏑木清方記念館
11/13~12/12  国宝 初音の調度        徳川美
11/30~1/23   大正イマジュリー 夢二・かいち   松涛美
12/14~1/23   ギッターコレクション       千葉市美

(注目の展覧会)
・西洋絵画は前半同様、印象派が強力。横浜美の‘ドガ展’はオルセーの傑作プラス他の美術館からどのくらいいいのを持ってきてくれるか、今から楽しみ。アムスのゴッホ美とクレラー=ミュラー美蔵で構成される‘ゴッホ展’はまだみてない作品に期待が膨らむ。

・‘ザ・コレクション・ヴィンタートゥール’で最もみたいのはアンリ・ルソーの絵。これ1点でも足を運ぶ価値がありそう。果たして?

・ボス風の怪奇な世界がみられる‘ブリューゲル版画の世界’への期待値は高い。モノクロだが刺激的な場面がいろいろあり、その意味を読み解いたり、想像をふくらませるのがすごく楽しみ。

・ミュンヘンにあるレンバッハ美は現在、改修工事中で、12年夏に装いも新たに大規模な美術複合施設へと生まれ変わる。このためビッグな‘カンディンスキーと青騎士’が三菱一号館で行われることになった。ワクワクしている。

・日本美術では徳川美で連続して行われる企画展がとても楽しみ。回顧展で一番の期待はサントリーの‘歌麿・写楽の仕掛け人ー蔦屋重三郎’。最近発見された歌麿の肉筆画が出品されるにちがいないと思っている。三井記念美の‘円山応挙展’に数点残っている追っかけ作品が登場してくれると嬉しいのだが。

・米国のギッターコレクションは過去に数点みたことがあるが、コレクションの全貌はわからない。若冲の絵も入っているだろうが、ほかはどんな絵が?開幕が待ち遠しい。

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