‘住友コレクションの茶道具展’で茶入の名品と遭遇!
泉屋博古館分館で現在行われている‘住友コレクションの茶道具’(4/24~6/20)をみると、財閥系の蒐集品はやはり格が違うなという思いを強くする。京都にある泉屋博古館は今年、開館50周年を迎えるそうだ。02年に東京の六本木に分館ができた。この分館へは6年前からよく通っているが、行くといつも収穫がある。だから、今回も期待していた。
特別展なので住友家の自慢の茶道具が68点出ている。お目当ては‘唐物文琳茶入 銘 若草’。文琳は林檎のこと。茶入の形が林檎に似ているからこう呼ばれている。赤みがかった茶色に浮き上がるV字のなだれが印象的。茶入はほかに4点ある。
昨年10月に畠山記念美で‘唐物肩衝茶入 銘 油屋’(重文、拙ブログ09/10/29)に出会って以来、茶入の名品に恵まれている。今年1月に根津美で同じく唐物肩衝の‘銘 松屋’(重文、09/12/31)と遭遇し、3月には静嘉堂文庫で‘唐物茄子茶入’(3/21)もみることができた。なだれの景と‘茶褐色の美’にますます惹きこまれていく。
渋い朝鮮のやきものは‘紅葉呉器茶碗’、‘小井戸茶碗 銘六地蔵’&‘銘 筑波山’、‘黄伊羅保茶碗’の4点。お気に入りは釉の掛けはずしでできた斜めに並ぶ4つの丸がアクセントになっている‘紅葉呉器茶碗’。色といい、お椀の形といい洒落た感じ。
野々村仁清の‘色絵龍田川水指’は‘どこかでみたぞ!’と思われる方がいるかもしれない。そう、08年東博であった‘対決 巨匠たちの日本美術ー仁清 vs 乾山’に登場した。棗(なつめ)の形と絵付けがぴたっと合っており、絵をみているよう。じっとみていたくなるのが白地に描かれた柳。横に広がる幹からでた小枝が下に垂れる様はとても風情がある。
もう一点あった仁清の‘白鶴香合’は追っかけリストに入っているもの。これはまったく想定外だったから、嬉しくなる。いつものように気分よく館をあとにした。
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