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2010.06.19

展示方法にガッカリの‘伊藤若冲 アナザーワールド’!

1660_2        ‘百合図’(部分)

1661_2            ‘鯉鯰図’

1659_2     ‘鶏図’

1662_2     ‘象と鯨図屏風’(右隻)

千葉市美で開催中の‘伊藤若冲 アナザーワールド’(後期6/8~6/27)をみてきた。若冲作品は前期と大半が替わり72点(うち通期展示は7点)。静岡展(拙ブログ5/17)で半分みたから、目に力を入れるのは19点プラスα。

今回の回顧展は初見のものですごく魅せられるのが数点あった。その筆頭が‘百合図’。これは個人蔵で手元にある若冲本には載ってない。手前の百合は墨と白、黄色で描かれているのに対し、後ろの背の高い百合は墨一色なのが不思議な感じ。目を楽しませてくれるのはその構図。岩の上に立つ鳥が上に長くのびる百合をじっとみつめる姿がとてもいい。

会期中出ずっぱりの‘鯉鯰図’もお気に入りの絵。鯉の絵(5点)はどれも魅了されるが、東芸大美のもの以外は胴体の一部が掛け軸から外にはみ出している。量感のあるぴちぴちした鯉をこういう風に大胆な描き方でみせるのが若冲の真骨頂。

鶏が描かれた屏風は昨年の‘若冲ワンダーランド’に数点あったが、初見のものがまた登場した。静岡のときと同様、時間をかけてみたのが‘鶏図’(個人蔵)。屏風と掛け軸にとうもろこしや稲穂などを背景にして鶏のヴァージョンが全部で11。どの場面もぐっと惹きこまれる。

親鶏はいつも3羽、これにヒヨコ3羽ないし5羽が一緒に描かれたり、親単独だったりする。じっとみてしまうのが後ろやまわりに描かれているまっかうり、トウモロコシ、糸瓜、稲穂、隠元豆、、コンディションが少し悪いが、大収穫の絵だった。鶏の屏風では、もう1点、傘のなかに顔を突っ込んだり、車輪の上に乗る鶏などが登場する屏風もみてて楽しい。

6月14日から展示された‘象と鯨図屏風’(六曲一双)のまえでは拍子抜けした。これを所蔵するMIHO MUSEUMで展示されたとき(09/10/6)は屏風を曲げないで、横に広げてみせていた。だから、4度いい気分でこの傑作を楽しんだ。ところが、ここでは横にひろげられるスペースがないため、窮屈に折り曲げているのである。もちろん、屏風だからこれが本来の姿かもしれない。

だが、だが、である。これではこのすばらしい象と鯨が死んでしまう。せっかく、関東にお目見えしたのにじっくり楽しめないではないか。もうガッカリ!はじめてみる方はお気の毒というほかない。隣にある象や鯨の絵はほかへもっていくか、それでもスペースが足りないのであれば、とにかく曲げないでおさまるスペースを確保して展示すべきではなかったか。工夫が足りないし、見る人の気持ちがわかってない。話題の‘象と鯨’がアナザーワールドの楽しみのど真ん中にあるのに。どうして、皆の期待値が読めないの?

同じことが静岡県美蔵の‘樹花鳥獣図屏風’(6/1)でもいえる。これもせせこましく展示してある。静岡では曲げてなかったので右の動物から左の鳥までこころゆくまで若冲ワールドに浸ることができた。目玉の二つの屏風がこんな展示の仕方なので、すごく消化不良になる。展示スペースがはじめから狭いことがわかっているのに、‘江戸のみやげ 所蔵浮世絵名品展’を一緒にやっている。見ごたえのある‘象と鯨図’を殺してまでやる必要があるのだろうか?ここのスペースも全部若冲展に使えばいいのに。

もしこの展覧会が東博で開催されたら、こんなことはなかったのにとつい思ってしまう。若冲はもう日本美術のメジャーになったのだから、ビッグな回顧展の場合、千葉市美には悪いが展示する美術館は東博とか国立新美のような広い展示スペースをもつところのほうがふさわしいのではなかろうか。

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コメント

昨日行ってきました。
いづつやさんが何をガッカリなさったのかと驚きました。
‘象と鯨図屏風’はスペースの関係で残念なことです。
でも東博で開催されたら、こんなにゆっくりとは
見ることができなかったと思うのですが…

千葉市美術館の建物もステキでした。
問題はあるものの駐車場も無料で助かりました。
そして何よりは混雑していなかったことです。
どんなに素晴らしい展覧会でも人ごみの中で見るのは
もっともっとガッカリしてしまいます。

投稿: まりりん | 2010.06.22 00:33

to まりりんさん
象さんと鯨さんの絵を楽しまれましたか。

屏風ですから、折り曲げてあってもいい
のですが、MIHO MUSEUMでどーんと対面
し、すごく感激したものですから、つい
これと比較してしまうのですね。

このように曲がっていると、絵がすごく
小さくみえてしまいます。楽しみが半減した
感じです。

展覧会鑑賞も映画と同じで気分が最高に高揚
する場面がないとトータルの感動は大きく
ならないですね。目玉の作品を適切な広さを
もった空間でゆったりみれたときが最高です。
MIHOではこれが実現してたのです。ですから、
4回行き毎度、満ち足りた気持ちで館をあとに
することができました。

千葉市美は仰る通り、ゆったりみれたのは
よかったですが、やはりここは部屋が狭いです
ね。静岡県美でも作品の数は同じだったのです
が、展示スペースが明るくて広いですから、
満足度は千葉を上回ります。

東博だとこんどは大勢の客が押し寄せて相当混雑
しそうですね。落ち着いて細部をじっくりみれ
ないとこれまた消化不良になるし、人気の若冲を
みるのは大変です。

投稿: いづつや | 2010.06.22 11:30

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