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2010.06.05

オマケの‘デ・キリコ展’がすごかった!

1614_2        ‘デュオ’(1915、NY・MoMA)

1613_2        ‘不安を与えるミューズたち’(1925、ローマ・国立近代美)

1616_2     ‘海辺の家具’(1927、個人蔵)

1615_2       ‘静物’(1966、ローマ・ジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団)

今回のローマ旅行はカラヴァッジョ展をみるのが目的だったが、幸運にもビッグなオマケがついていた。共和国広場から南西にのびているナツィオナーレ通りに面した展示館では現在、‘デ・キリコ展’(4/9~7/11)が行われている。

ローマ三越ちかくのバス停で40番のバスに乗ったら、数分もたたないうちに右手にこの回顧展の大きなバナーがみえてみた。そこに使われている絵が‘デュオ’。すごく惹き付けられたので、当初予定していた教会などの訪問計画を調整し翌日足を運んでみた。

デ・キリコ(1888~1978)が形而上絵画(イタリア語でメタフィジカ)を描いたのが
1910年。今年が形而上絵画が誕生して100年になるので、この回顧展が企画された。作品は全部で142点、1910年代の作品や1960年代以降の新形而上絵画、静物画がずらっと揃っている。日本では絶対お目にかかれないデ・キリコの一級の回顧展に遭遇するなんて思ってもみなかった。ミューズに感謝!

出品作ではジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団蔵のものが沢山でている。この新形而上絵画の中に05年大丸東京店であった回顧展(拙ブログ05/10/8)でみたものが
16点あった。一度目が慣れているので、ヴァリエーションを楽しんだ。これらよりも関心の高いのはやはり1910年代に描かれた街角、広場、像、塔、駅、汽車が登場する絵。広場は神秘的な詩情につつまれ、人物や像、建物の長くのびる影が見る者を不安にさせる(05/7/11)。

1910年代に描かれた絵は7点と少ないのだが、どれも画集でもお目にかかったことのないとてもいい絵だった。なかでも魅了されたのがマネキンと広場を組み合わせた
MoMA蔵の‘デュオ’。パンフレットにも使われており、二人の白い頭の強い明暗対比と足の細長い影が目に焼きつく。これは大収穫。

1925年に制作された‘不安を与えるミューズ’は落ち着いてみれない絵。二人のマネキンミューズがいる床は奥に向かってせりあがっているようにみえ、先は崖になっている感じ。ここで表現されている遠近法は安定感をもたらす一般的な遠近法とは違い、複数の視点から描かれているのである。そして、長い影が不安な気分と不思議な感覚を増幅させる。

‘海辺の家具’は1920年代に登場した家具シリーズの一枚。家の前に出された椅子が海を背景にして描かれている。どことなくマグリットの絵を彷彿とさせる。この意表をつく構成にマグリットは刺激されたのかもしれない。家具の絵はほかにも5点あった。

デ・キリコが描く静物は背景を風景にしていることが多い。とくに惹かれたのが窓のところに三角形の構図でリンゴと葡萄を描いたもの。カーテンは引かれ、リンゴの山の向こうに野原が広がっている。どこかにこれと同じような絵があった。そうだ!ルーヴルにあるドラクロアの‘ロブスターのある静物’(1827)。デ・キリコの頭のなかにはこのロブスターがあったにちがいない。

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