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2010.06.21

お楽しみ‘北斎とその時代展’!

1664     ‘江都両国橋夕涼花火之図’

1667     ‘百人一首宇波かゑとき 山辺の赤人’

1665     ‘釈迦御一代記図会’

1666     ‘千絵の海 総州銚子’

太田記念美で開催中の葛飾北斎生誕250年記念 ‘北斎とその時代’(前期6/1~6/27、後期7/1~7/25)を楽しんだ。前後期で作品は総入れ替えとなり、前期には109点でている。そのうち主役の北斎(1760~1849)は72点、脇役は広重(4点)、歌麿(3点)、清長(2点)、勝川春章(2点)、豊国、国貞など。

北斎の画歴は長いので楽しみは美人画、武者絵、小説の挿絵、風景画、花鳥画といといろある。このなかで、美人画は昔から惹かれない。で、夢中にさせるのはやはり風景画と花鳥画。また、モノクロの北斎漫画や読本も興味が尽きない。

花火の絵はお気に入りの一枚。北斎以外の絵師も両国の花火を沢山描いているが、花火の描き方は数種類のヴァリエーションがある。北斎のこの絵では橋の上と遠くの2箇所で花火があがっている。今の花火は大きくてあっと驚くようなイリュージョンをみせてくれるが、江戸のころはシンプルに‘ドーン、パッ’とはじけたのだろう。昔も今も大江戸・東京の一番のエンターテイメントは春の花見と夏の花火。

富士を背景にして右手前、山道を進む旅人を描いた‘山辺の赤人’は構図といい色の組み合わせといい一級の風景画である。太田の所蔵するものは流石に摺りの状態がよく色は鮮やかにでている。後期にどっとでてくる‘富嶽三十六景’、‘諸国瀧廻り’、‘諸国名橋奇覧’の前ふりとしてはもってこいの絵かもしれない。

北斎が一生を通じて描いたモノクロの版本をみるのは3年前、江戸東博であった‘北斎展’以来。目を奪われるのが北斎86歳の作、読本‘釈迦御一代記図会’(4点)。釈迦の物語を臨場感いっぱいに描いた場面のなかで、とくに目を奪われるのが渦巻きのなかで構える鬼。そのすさまじい迫力にちょっと足がすくむ。

風景画にも迫力満点の絵がある。‘総州銚子’はみるたびに‘うぁー、すごい波、舟が転覆するー!’とはらはら気分になる。有名な‘神奈川沖浪裏’では浪のお化けが舟を飲み込むようで戯画的なところがあるが、こちらは荒れた海の怖さがじつにリアルに描写されている。北斎の絵はやはり特別!まったくすごい絵師である。

今回は図録が用意されているので、大満足。これをみると初見の気になる絵が数点ある。後期がとても楽しみ。

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コメント

こんばんは。なんか大変なことになってますね、無視します。太田記念は今回は図録を作成します、しませんとホームページにはっきり書くから良いですね。僕も早速行きましたよ。なんといっても北斎でわからないのは、百人一首うばがえとき。難解に過ぎますよね、あと今回の展示では北斎漫画はパクリかなんてコーナーがあったことですね。研究者では知られたことなんでしょうか?しかし山種も浮世絵の展覧会やっていますが、江戸時代は面白いですね

投稿: oki | 2010.06.22 00:25

いづつやさま、

こんにちは!
昨年だったかローマでも広重展が大変好評で、展示期間がだいぶ延長されたことがありました。
私は日本から偶然杉浦日向子さんの「百日紅」を取り寄せて読んですっかり北斎のファンになってしまいましたが、実際にその作品を目にする機会がなかったのでこの記事はとてもうれしいです。
本当に斬新な構図ですよね。いづつやさんがおっしゃる通り、風景画は特に男性的で波の表現なんて怖いくらい。
いろいろな逸話が彼の人生を彩って本当に伝説の絵師だなあ、と思いますね。

投稿: cucciola | 2010.06.22 02:33

to okiさん
ええ、いろいろと。
太田がHPで図録を案内するのは仰る通り、いい
ことですね。静嘉堂も案内してます。図録を
つくるときは気合が入ってる証拠ですから、
見逃せません。

北斎の‘百人一首’は春信の見立絵同様、とても
高級な浮世絵です。日本版イコノロジーですよね。
北斎漫画パクリもおもしろいですね。

来週で出かける静嘉堂文庫の‘国貞、広重展’が
楽しみです。

投稿: いづつや | 2010.06.22 10:49

to cucciolaさん
こんにちは。
北斎は西洋画家ではダ・ヴィンチのような存在
ですね。Ayumiさんの情報によるとローマでは
カラヴァッジョの人気がダ・ヴィンチを上回っ
ているようですが、日本では伊藤若冲がぐんぐ
ん追い上げてます。さしむき若冲がカラヴァッ
ジョといったところでしょうか。

今回でている北斎の絵では釈迦一代記の鬼と
銚子の海の絵がすごいですね。天才的とし
かいいようのない斬新な構図に完璧にKOされ
ます。こういうのは西洋の画家にとっては衝撃
的でしょうね。

ローマで広重展があったのですか!昨年はロン
ドンでも歌川国芳展があり、大好評だったらしい
ですね。浮世絵師は北斎だけではないことが、
ヨーロッパの人たちにわかってもらえるのは
自分のことのように嬉しいですね。

広重の構図がブリューゲルの絵とよく似ている
ことを09/6/12の‘西洋画・日本画比較!
ブリューゲルVS広重’で書きました。カテゴリー
の‘北方絵画’にでてきます。ご参考までに。

投稿: いづつや | 2010.06.22 14:25

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