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2010.05.17

カラヴァッジョの聖地 サン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会!

1527_3     ‘聖マタイの召命’(サン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会)

1528_2     ‘聖マタイの殉教’(サン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会)

1530_2     サンタゴスティーノ教会の内部

1529_2             ‘ロレートの聖母’

カラヴァッジョの回顧展をみるためローマをまた訪れたのだから、4年前体験した教会にある絵もこの際みておこうと思い、3つの教会へ足を運んだ。

ナヴォーナ広場の裏手にあるサン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会はカラヴァッジョが好きな人にとっては聖地みたいな所。ここにはカラヴァッジョの出世作‘聖マタイの召命’(拙ブログ06/5/21)、‘聖マタイの殉教’、‘聖マタイと天使’がある。教会の開いている時間は午前が8時~12時半、午後は3時半~7時、木曜の午後は休み。

絵があるのは入って左側の奥。前回同様、大勢の人がいた。今年はカラヴァッジョ展を開催中だから、展覧会をみた後、教会巡りをする人も多いにちがいない。日本人も数人いた。ときどき照明が消えるが、誰かがすぐコインを入れるのですぐカラヴァッジョの世界に戻れる。

‘聖マタイの召命’と‘聖マタイの殉教’はほとんど同じ大きさで、真四角の画面
(縦3.22m、横3.4m)。ともに傑作だが‘静’の‘召命’に対し、‘動’の‘殉教’といった感じ。‘召命’であらためて感動したのが、右上から入ってくる光に照らされてテーブルのまわりにいる人物たちが浮かび上がっているところ。そして、強い光があたった衣装の洒落た柄や光沢のある生地の色の輝きにも釘付けになる。とくに印象深いのが左端でうつむいている若者(マタイ)の右腕の赤と右手前の男の両腕の輝く白。

‘殉教’は動きのある人物描写や奥行きのある構成がすばらしい。下に倒れているマタイの白い衣服には鮮血が飛び散り、真ん中で仁王立ちになった刺客はすざまじい形相でマタイにとどめを刺そうとしている。この絵をはじめてみたとき、最も惹きつけられたのがこの刺客の般若のような顔とその横で手を大きく曲げて叫び声をあげている少年。この少年の手の動きは‘エマオの晩餐’(ロンドン、ナショナルギャラリー)の右にいる男の短縮法で描かれた手と同じくらい強いインパクトをもっている。

フランチェージ教会からテヴェレ川の方向へ歩いて2,3分のところにあるのがサンタゴスティーノ教会(8時~12時、16時~18時半、休みはなし)。入ると急いで左の‘ロレートの聖母’の前へ行きたくなる。好きな聖母子像というとラファエロが長いこと独占していたが、カラヴァッジョのこの絵(07/1/28)に出会ってからはラファエロ&ロレートの聖母になった。

これは聖母の頭の上に光輪があるから、宗教画には間違いないが、右で跪いて手を合わせる親子は町のどこにでもいる普通の人だから絵の雰囲気は重々しくなく、これをみた人々の心のなかには聖母信仰が強く植えつけられるのではなかろうか。聖母と信者の視線が真ん中で交じり合う構図といい、同時代を生きる人物の写実性の高い描写といい、カラヴァッジョ作品の中でも最上位にランクされる傑作である。

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コメント

いづつやさま、

こんにちは。
そろそろ時差ボケも治ったころでしょうか。帰国されて一気に書かれたブログから、カラヴァッジョに対する強烈な思いが伝わって参りました。
私はこの「聖マタイの召命」のイエスに惚れこんでいます。こんな美男のイエスはほかにはいないでしょうね。クィリナーレの展示会もあとわずかになり、呑気なローマっ子たちが駆け込みで予約を始めましたが、すでに空席なしみたいです。
ところで、最新記事の伊藤若冲もこうしてみると作風がずいぶんヴァラエティーに飛んでるんですね。実は私は静岡県出身なんです。県立美術館、隣に図書館もあるのでよく行きました。とても懐かしい思いとともに拝見いたしました。ありがとうございます。

投稿: cucciola | 2010.05.18 00:14

to cucciolaさん
こうしてカラヴァッジョ展にでた作品の感想を書い
てますと、本当に傑作が集まったな!という感じが
します。意を決して出かけた甲斐がありました。

‘聖マタイの召命’のイエスは仰る通り、いい男で
すね。カラヴァッジョがすごいなと思うのはイエス
の右手をミケランジェロがシスティーナの天井に描
いた‘天地創造’のアダムの手からとっていること
です。先達の巨匠の作品をしっかり消化して、
独自の画風を生み出すのですから、まさに偉大な
正統派画家ですね。

私はブレラにある‘エマオの晩餐’のイエスにぞっ
こん参ってます。で、宗教画のMyベスト3は
‘聖マタイの召命’、‘ロレートの聖母’とこの絵
にしてます。

静岡県美は今回の若冲展をふくめて4回訪問しまし
た。図書館にも入ったことがあります。静岡県の
ご出身なら懐かしいでしょうね。ここにはロダンの
彫刻や若冲のモザイク画‘樹花鳥獣図屏風’があり
ますから、HPは定点観測してます。

若冲は作域が広いですね。精緻に描かれた花鳥画も
ありますし、ユーモラスな野菜や髑髏の絵もあり
ます。カラヴァッジョ同様ますます惹かれます。

投稿: いづつや | 2010.05.18 14:28

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