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2010.05.15

大盛況のカラヴァッジョ展 言葉を失う強烈な明暗表現!

1520_2             ‘キリストの笞打ち’(ナポリ、カポディモンテ美)

1521_2    ‘キリストの捕縛’(ダブリン、アイルランド国立美)

1522_2      ‘ユディットとホロフェルネス’(ローマ、バルベリーニ宮国立古代美)

1519_2              ‘ダヴィデとゴリアテ’(ローマ、ボルゲーゼ美)

カラヴァッジョの絵にどうしようもなく惹きこまれるのはその写実性の高い描写と劇的な明暗対比。この展覧会ではカラヴァッジョの魅力を最大限引き出そうと照明の仕方にも知恵を絞っている。これがなかなかいい。会場全体を暗くし、画面にみられる光と同じ角度から照明を当てているのである。この演出で光と闇のコントラストがより強調され、絵自体がとても神々しくみえてきた。こんな体験ははじめて。

今回最も感動したのはみたくてしょうがなかった‘いかさま師’でも何度も肩透かしを食らった‘ユディットとホロフェルネス’でもなく、ナポリのカポディモンテ美からやってきた‘キリストの笞打ち’だった。まずびっくりしたのが絵のサイズ。図版では想像もつかなかった縦2.66m、横2.13mもある大きな絵。

そして、視線が集中するのは笞打たれるキリストの体と後ろの柱に当たる強い光。この画面中央、垂直にのびる光と体を曲げるキリストに言葉を失った。これまでこの絵は笞をもつ男の過激な暴力性ばかりに目がいっていたが、絵の前に立つとキリストと柱に釘付けになった。

米国のフォートワースやカンザス・シティ同様、アイルランドのダブリンも普通のツアー旅行ではまず行かないから、大回顧展がなければ国立美蔵の‘キリストの捕縛’とはずっと縁がないところだった。また、この絵に対する期待値は鎧のリアルな質感描写にあった。だが、実際にはものすごく惹かれた。

兵士たちはユダがキスをした男がキリストであることがわかっている。ここには捕まえるキリストが特定でき、‘さあー捕まえるぞ’という緊迫した場面がじつによく描かれている。民間のテレビ局が制作する‘刑事追っかけドキュメント’のシーンをみているよう。
カラヴァッジョの絵で驚かされるのはこの現実感。

バルベリーニ美で2度ふられた‘ユディットとホロフェルネス’(拙ブログ2/14)とようやく会うことができた。もう目に焼きついているので新鮮さが薄れていることは確かだが、本物の絵の迫力はやはりすごい。目をむいて断末魔の苦しみを味わっているホロフェルネスを妙に落ち着き払って眺めている婆さんの姿が印象的。

ゴリアテの首を自画像にして描いた‘ダヴィデとゴリアテ’は4年前、ボルゲーゼ美を訪れたときはアムスで開催されていた‘カラヴァッジョとレンブラント展’に貸し出されていた。このリカバリーはベルニーニの傑作‘アポロンとダフネ’をまたみたくなったときで、だいぶ先だと思っていた。だから、‘ユディット’と一緒に見れたのが嬉しくてたまらない。

人を殺めた罪をあやまり、法皇に哀れみを請うためカラヴァッジョはこの絵を描いたが、やっとでた法皇の恩赦を知る前に死んでしまった。カラヴァッジョがこの絵にこめた気持ちを思いながらみていた。

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