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2010.05.14

大盛況のカラヴァッジョ展 念願の‘いかさま師’と対面!

1515_2    ‘いかさま師’(米国・フォートワース、キンベル美)


1516_2       ‘勝ち誇るアモール’(ベルリン、国立絵画館)


1518_2     ‘リュート弾き’(サンクト・ペテルブルク、エルミタージュ美)


1517_2     ‘果物籠をもつ少年’(ローマ、ボルゲーゼ美)

今回展示されている24点のうち初見のものは半分の12点。このなかで最も期待していたのがお気に入りの風俗画‘いかさま師’(拙ブログ09/1/7)。もっというとローマへ出かけたのはこの絵をみるためだった。

小学館から06年12月に‘西洋絵画の巨匠シリーズ・カラヴァッジョ’(宮下規久朗著、お気に入り本を参照方)が発売されたときすぐ手にいれたのだが、この絵の図版をみて息を呑んだ。このシリーズはどの画家の本も実際の絵の色が信じられないくらいよくでているのがわかっているから、この左にいる若者のピンク色の頬をいつかみたいと強く思った。

その絵が目の前にある。図版のイメージ通り、後ろの男に持っているトランプのカードを見られているのにも気づかない甘ちゃん若者の顔は女性のようにみずみずしく輝いている。これが描かれたのは1595年ころで、2月にみた映画‘カラヴァッジョ’ではカラヴァッジョの最初のパトロンとなったデル・モンテ枢機卿の部屋に飾ってあった。

驚かされるのが1987年にこの絵が世に出たこと。こんなすばらしい絵だからどの美術館も手に入れたかっただろうが、キンベル美におさまった。テキサスへ行かずに、ローマでこの絵をみれたのは本当に幸運だった。一生の思い出になる。

‘勝ち誇るアモール’もみたくてしょうがなかった絵(09/2/10)。来春、ベルリンにある美術館めぐりを計画しているが、この絵だけは鑑賞が一年早まった。‘いかさま師’の若者同様、その肌のリアルな質感描写に驚愕する。1月カピトリーノ美でもみた‘洗礼者ヨハネ(解放されたイサク)’(3/3)もびっくりするほどやわらかい肌をしているが、二人の少年の肌の色はほとんど変わらない。残念なことに‘ヨハネ’は画面にひび割れがある。

このアモールで見入ってしまうのが足元にある鎧。表面に光が当り光沢のある金属の質感がよくでている。また、後ろにある短縮法で描かれたリュートやバイオリン、隣の頁が折れ曲がっている楽譜、定規にも目がいく。アモールの無邪気な笑顔がとてもいいので、‘愛は科学、芸術、権力などすべてのものに勝る’という寓意のことはつい忘れてしまう。

メトロポリタン美からやってきた‘合奏’(08/5/7)の隣にカラヴァッジョの初期の作品としては最高傑作といわれる‘リュート弾き’がある。この絵は99年エルミタージュ美でみたが、その感動が体の中に長くとどまっており、いつかこの美術館で再会したいと思っていた(09/6/2)。大回顧展のお陰でまたみれることになったので、サンクト・ペテルブルク行きのインセンティブはしぼんでしまった。

久しぶりなので、単眼鏡を使って花瓶の色鮮やかな花やテーブルの上にある果物の精緻な描写をじっくりみた。よく見ると‘果物籠’と同じように、手前の二つの梨、その隣のふたつ、そして後ろの緑の葉っぱと全部で6箇所水滴がついている。今回照明を落とし部屋全体を暗くした展示の仕方になっているので、こういう静物・風俗画では細部が見づらくなっている。また、どの絵も最接近してみれないように線が引いてあるので、これから出かけられる方は単眼鏡をもっていかれることをお奨めしたい。

01年日本ではじめてカラヴァッジョ展が開かれたときやってきた‘果物籠をもつ少年’では果物や葉っぱに水滴はついてないが、ウフィツィ美蔵の‘バッカス’(2/25)にはガラスの杯をもつ左手の下にある葉っぱの裏側と頭に飾った表の葉の2箇所に水滴がみえる。

‘バッカス’の前ではイタリアの中学生が先生の解説であるところを熱心にみていた。それは画面左のワインのフラスコ。ここにカラヴァッジョの顔が映っているのである。はたして、目をこらすと見えるか?

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