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2010.05.24

響き合うカラヴァッジョ、レンブラント、ラ・トゥール!

1560_2       カラヴァッジョの‘聖パウロの回心’

1559_2       レンブラントの‘目を潰されるサムソン’

1561_2       カラヴァッジョの‘女占い師’

1558_2       ラ・トゥールの‘女占い師’

カラヴァッジョが1610年、39歳で亡くなった後、その光と影を強烈に対比させる画風は17世紀以降に活躍した多くの画家の心をとらえていく。ルーベンス、ベラスケス、
レンブラント、ラ・トゥール、フェルメール、そして、ドラクロア、クールベ、マネ。

絵画の伝統を継承しつつ革新を行うのが大画家の証だから、どの画家もカラヴァッジョの絵に影響を受けながら独自の表現を追求し、数々の傑作を生み出してきた。カラヴァッジと後世の画家がどんな響き合いをしているのか、レンブラントとラ・トゥールの絵でみてみたい。

カラヴァッジョ展に出品された大作‘聖パウロの回心’(1601、ローマ・オデスカルキ=バルビ・コレクション)をみながら、ある絵のことを思い出していた。それは8年前‘大レンブラント展’(京博)でみた‘目を潰されたサムソン’(1636)。これは拙ブログ09/4/9で紹介したように、フランクフルトのシュテーデル美が所蔵する有名な絵。大変感動したのでレンブラントのお気に入り絵画の2位に即登録した。1位は言わずもがなの
‘夜警’。

目に両手をあてキリストの声で回心するパウロに対し、兵士に目を潰されて悲鳴を上げるサムソン。人物の配置が逆になっているが、体に斜め上から強い光があたっているのは同じ。レンブラントはひょっとしてカラヴァッジョの絵をみたのかもしれない。

絵の完成度としてはレンブラントのほうが上。‘パウロ’はちょっとごちゃごちゃした構成になっており、わかりにくいところがある。‘サムソン’は洞窟の出口が広く明るい光が切り取った髭を持ち‘してやったり!’の表情をみせるデリラと兵士を浮かび上がらせている。この人物配置と光と影の強い対比が見事!

シュテーデル美蔵の名品が来年Bunkamuraで公開される(3/3~5/23)ことがつい最近発表されたが、フェルメールの‘地理学者’が目玉になっているから、この絵は入ってないだろう。残念だが、フェルメールならなんでも日本人は喜ぶと思っているから仕方がない。

大好きなラ・トゥールの‘女占い師’(1630年代、メトロポリタン美)はカラヴァッジョの‘女占い師’(1598、ルーヴル美)や回顧展にも展示されている‘いかさま師’
(1595、フォートワース・キンベル美)の完璧なラ・トゥールヴァージョン。お気に入り風俗画(09/1/7)で取り上げた3点が全部みれたので、今は満ち足りた気分。

風俗画の次の追っかけはラ・トゥール。まずはロサンゼルス郡美蔵の‘ゆれる炎のあるマグダラのマリア’とMETの‘女占い師’。‘女占い師’と再会し、右にいる老女のインパクトのある顔と若者の両サイドで女が装身具や財布を盗もうとしているところをじっくりみるのが先になりそう。

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コメント

いづつやさま、

こんばんは。
ラ・トゥールは私も大好きです。同じ光と影でも、カラヴァッジョの中にはドラマが雄々しく存在していますが、ラ・トゥールのそれからは静謐さがひしひしと伝わってくる感じで。
レンブラントは個人的にあまり好きではないのですが、やはり眺めていると強烈なインパクトですよね。
それにしてもカラヴァッジョが描く占い師もラ・トゥールの占い師も抜け目なさそうな目つきで、二人とも女の人に痛い目にでもあったのかなあ、なんて想像しちゃいますね。

投稿: cucciola | 2010.05.25 05:15

to cucciolaさん
こんにちは。
ラ・トゥールの絵もカラヴァッジョ同様、全作品を
みたいですね。風俗画や蝋燭の光が神秘的な雰囲気
を醸し出す‘マグダラのマリア’や‘大工の聖ヨハ
ネ’などは最高にいいですね。

ラ・トゥールの‘女占い師’にとても魅せられてます。
カラヴァッジョの‘いかさま師’と‘女占い師’を
ミックスアップして‘ユディットとホロフェルネス’
と同じようなアクの強い顔をした老女を女占い師に
仕立てるのですから、ラ・トゥールはたいした画家
ですね。

老女の隣で装身具を盗ろうとしている女の顔をうまい
こと描いていますね。感心します。カラヴァッジョも
ラ・トゥールも宗教画が主流の時代に今を生きるわれ
われでも苦い思いをさせられるインチキ占い師やいか
さま師を現実感いっぱいに描いてくれるのですから、
もう理屈抜きで惹きこまれます。

投稿: いづつや | 2010.05.25 11:37

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