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2010.05.22

カラヴァッジョはヴェネツィアヘ行ったのか?

1551_2      ティツィアーノの‘イル・ブラーヴォ’

1550_2       カラヴァッジョの‘イサクの犠牲’(部分)

1553_2       ジョルジョーネの‘老婆’

1552_2       カラヴァッジョの‘エマオの晩餐’(部分)

絵画を楽しむとき好きな画家だとお目当ての名画をみるとすぐ‘次はあの絵を、その次はあの絵を’と‘美欲’(My造語)はどんどん膨らんでいく。今、カラヴァッジョ以外で関心の高い画家はヴェネツィア派のジョルジョーネ(1476~1510)、ティツィアーノ(1485~1576)、ティントレット(1519~1594)。

1月訪れたアカデミア美ではベリーニ(1434~1516)が描いた聖母子像の色の輝きに心を奪われるとともにカルパッチオ(1480~1526)の風俗画的な宗教画にも開眼した。だから、次回のヴェネツィア旅行はこうした画家の作品を所蔵する教会へいの一番に出かけることを今から決めている。

好きな画家の絵をみる機会が多くなると時々、強い衝撃を受ける作品に遭遇することがある。ティツィアーノの‘イル・ブラーヴォ’(1520、拙ブログ09/10/23)を昨年あった‘ハプスブルク展’(国立新美)でみたときはそのカラヴァッジョ風の写実表現にびっくりした。右の短刀を左手に握り締めているブラーヴォ(雇われた刺客のこと)をみつめる若者の顔は青ざめひきつっている。

若者の内面をこれほどリアルにとらえたティツィアーノの絵と父親のアブラハムがつきつけるナイフに悲鳴をあげ怖がっているイサクを描いたカラヴァッジョの‘イサクの犠牲’
(1601、5/16)は絵から受ける緊迫感がよく似ている。

1月に再会したジョルジョーネの‘老婆’(1508)にも驚愕する。‘老婆’も‘ブラーヴォ’も描かれたのは16世紀のはじめ。カラヴァッジョより80年から90年前に近代の絵画が表現したのと変わらない‘現実’を描いていたのである。よくカラヴァッジョが‘現実’を描いた最初の画家といわれるが、ジョルジョーネやティツィアーノの絵のなかにも近代絵画をずうーっと先取りする絵があったことを忘れてはならない。

ミラノでの絵画の修行を17歳で終えたカラヴァッジョは21歳のときローマに向かう。だが、その間の4年をどこで過ごしていたかはわかってない。ミラノとヴェネツィアの距離は230km。カラヴァッジョの師匠はティツィアーノの弟子だったから、ヴェネツィアヘ行った可能性は充分ある。そして、ヴェネツィア派の絵をしっかり学んだのかもしれない。

‘エマオの晩餐’(1606、ブレラ美、5/16)に登場するしわくちゃ顔の老女や‘イサクの犠牲’をみていると、どうしてもカラヴァッジョはジョルジョーネやティツィアーノの絵を脳裏に深く刻みこんだのではないかと思いたくなる。

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コメント

いづつや様、こんばんは

以前の記事も拝見しておりましたら、私が愛好するティツィアーノを取り上げておいででしたので、少しコメントを。
今回、ローマのスクィーデレでカラヴァッジョの『キリストの捕縛』を観た瞬間、まずティツィアーノの『イル・ブラーヴォ』を思い出しました。甲冑の表現、緊迫感はまさにティツィアーノ風で、ヴェネツィア派とのつながりを強く感じました。
そして今、レンブラントライトと呼ばれる明暗法も、私はティツィアーノが始め、カラヴァッジョが完成し、レンブラントが応用した、と思っているのですよ。なんて、愛好家の欲目でしょうか?でも美術と歴史は奥深く、想像力があればあるほど楽しいですね。またお邪魔させて頂きます!

投稿: Ayumi | 2010.06.13 20:56

to Ayumiさん
こんばんは。
私もティツィアーの絵を追っかけてます。
カラヴァッジョとヴェネツィア派とのつながり、
まったく同感です。Ayumiさんも同じことを感
じておられましたか。すごく嬉しいです。

‘ブラーヴォ’とジョルジョーネの‘老婆’か
ら人間の内面を描く近代絵画がはじまったとい
っていいですよね。レンブラントライトの分析も
仰る通りですね。

ヴェネツィア派はまだまだみたい絵が残ってます。
cucciolaさんが体験されたジョルジョーネ展を
みたかったです。

投稿: いづつや | 2010.06.13 23:32

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