噴水の町、ローマ!
ローマを歩いているといたるところで噴水に出会う。大小合わせると1500くらいあるという。今回のベルニーニ追っかけには野外彫刻の噴水も入っている。収穫の2点と定番の‘トリトーネの噴水’と‘トレヴィの泉’をお楽しみいただきたい。
‘トリトーネの噴水’(1643)があるのはバルベリーニ広場。ベルニーニ作のこの噴水はびっくりするような大きさではないが、貝殻の上に乗っている海神トリトーネの姿が目を楽しませてくれる。顔を天に向け思いっきり吹くほら貝からは水が吹き上がっている。はじめての時はこのトリトーネを見ている時間が8割くらい占めるので、下にこれをつくらせた教皇ウルバヌス8世の実家、バルベリーニ家の紋章となっている蜜蜂が3匹彫られているのに気がつかない。
この噴水から20mくらい行ったところに同じくベルニーニがつくった‘蜂の噴水’
(1644)がある。ガイドブックをよく読まず、‘トリトーネから歩いて5分くらいの場所’で頭がフリーズ。五つ星の高級ホテルが建ち並ぶヴェネト通りを登り進み、また、アメリカ大使館の方まで行ったが見つからない。途中、レストランの男性に蜂が飛ぶパフォーマンスをしたところで噴水のイメージは伝わらない。どうみても離れすぎ。で、元の広場に戻ったら、なんとヴェネト通りがはじまるところにあった。
白の帆立貝を垂直に立てる造形がなかなかいい。貝は命と豊饒の象徴、これとバルベリーニの蜂の組み合わせはなぜか違和感もなくすっと楽しめる。丸みのある蜜蜂がしっかり目の中に入り、水の音に心が和む。
もうひとつとても魅せられる噴水があった。それはパラッツォ・マッテイの前のマッテイ広場にある‘亀の噴水’。ここへたどり着くのにも時間がかかった。広場というとどうしても広い広場をイメージしてしまう。ここは広場というよりは建物の前のちょっとした空き地という感じ。観光客が本をみながら進んでいたので、後に続くとお目当ての噴水が現れてくれた。
16世紀後半にできたものだが、青年が支えている上の水盤によじ登ろうとしている4匹の亀は後にベルニーニがつけ加えたといわれている。亀の‘よっこらしょ’という動きがとてもユーモラスで思わず笑みがこぼれる。この噴水の近くにカラッチの描いた‘聖マルガリータ’を所蔵するサンタ・カテリーナ・デイ・フナーリ教会があるので寄ってみたのだが、長らく閉まっている様子で期待の絵をみることは叶わなかった。
99年ローマを訪れたときは‘トレヴィの泉’(1762)は工事中でみれず、4年前はパスしたから、ここへ来るのはかれこれ26年ぶり。有名な名所だから相変わらず観光客が多い。皆後ろ向きにコインを泉に投げ入れている。はじめて来たみたいなものだから、またローマへ来れることを願って1枚投げた。
これはバロックの終り頃に完成したが、当初はベルニーニも関わっており、ニコラ・サルヴィはナヴォーナ広場にある‘四大河の噴水’(1651、拙ブログ09/5/27、現在修復中で水は抜きとられている)にも強い影響を受けているから、中央のネプトゥヌスなどの彫像にはダイナミックな動感がみられ、噴水全体が静と動を見事に融合させた劇場空間になっている。噴水の町、ローマを200%エンジョイした。
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コメント
いづつやさま、
こんにちは。
ローマの街もこうしてほかの方のカメラや視線を通して眺めると、別の姿が見えてくるような気がします。
一番最初にトレヴィの泉を見たときには、あまりに日本の文化とは異質で怖かったのを思い出すますが、ローマの街ってけっこう誰でも受け入れてくれるような気安さがあって慣れるとすぐに「私の街」になっちゃうんですよね。
今、ローマは法王様もローマっ子も愛した初夏の風が気持ちいいです。また来てくださいね!
ところで大変僭越とは存じますが、こちらのサイトにリンクさせていただいてよろしいでしょうか。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
投稿: cucciola | 2010.05.31 16:23
to cucciolaさん
こんばんは。
‘蜂の噴水’、‘亀の噴水’は見つけるのに苦労
しましたが、心が和む噴水だったので対面できた
喜びを今も噛み締めてます。町のあちこちで水の
音が聞こえる生活というのはいいですね。
リンクを貼っていただくなんてありがたいこと
です。どうぞ、どうぞ。こちらこそ、これからも
よろしくお願いします。
投稿: いづつや | 2010.06.01 00:02