« ベルニーニめぐりに欠かせない2つの教会! | トップページ | 噴水の町、ローマ! »

2010.05.28

怖い‘メドゥーサ’と楽しくなる‘象のオベリスク’!

1570_2     ‘メドゥーサの胸像’(カピトリーニ美)

1571_2         ‘象のオベリスク’(ミネルヴァ教会の前)

1573_2        ‘ウルバヌス8世の墓’(サン・ピエトロ大聖堂)

1572_2        ‘聖ロンギヌス’(サン・ピエトロ大聖堂)

海外の美術館へでかけるときは事前に重点鑑賞作品のリストをつくり、それをもとに鑑賞することにしている。これのメリットは限られた時間のなかで、お目当てのものが高い確率でみられること。だが、思わぬ失敗もある。

1月に訪問したカピトリーニ美ではベルニーニの‘メドゥーサ’を見逃してしまった。リストアップされた傑作を探すのに夢中になりすぎて、作品の前のプレートをしっかりみてないのである。で、図録をみて‘あの部屋にメドゥーサがあった?’と隣の方に聞くと‘うん、みたわよ!’ガックリ。だから、この度はそのリカバリー。

ペルセウスに首をはねられるメドゥーサは眉間にしわを寄せて悲痛に満ちた表情をしており、頭には体をくねらせる蛇が何匹もいる。右の蛇は別の蛇の頭をくわえている。髪を表わす蛇はやはりカラヴァッジョの‘メドゥーサ’(拙ブログ2/25)を参考にしたのだろう。ベルニーニ作品はカラヴァッジョの絵のように色がついてないから瞬間的な怖さはカラヴァッジョのほうがあるが、3次元の彫刻だから蛇がこちらに飛びかかってくるような怖さがある。蛇は大の苦手だが、I LOVE ベルニーニなので我慢してみた。

‘象のオベリスク’はミネルヴァ教会の前の広場にある。ミネルヴァ教会で小さなオベリスクが見つかり、ベルニーニは教皇アレクサンドル7世からその装飾を依頼された。象の背中にオベリスクか!おもしろい組み合わせだから、土産物屋にこの置物があれば買ったのだが、残念ながらその機会はなかった。

サン・ピエトロ大聖堂は1月とはうって変わって大勢の観光客がいた。しかも、聖堂へ入る前の手荷物検査が厳しくなっており、機械にバッグを通すのに時間を食い広場の端のところまで大行列。中へ入るのに1時間もかかった。夏になると一体何時間待たされることやら。

ここにあるベルニーニ作品のうち、近くでみられるのが‘アレクサンドル7世の墓’と‘ブロンズの天蓋’(3/17)と‘聖ロンギヌス’。後陣(アプス)にある‘ペトロの司教座’(カテドラ・ペトリ)とその右の‘ウルバヌス8世の墓’はすこし離れているので双眼鏡でも使わないと細部はみえない。

‘ウルバヌス8世の墓’は完成するのに20年かかった。上で手をひろげる教皇は黒色ブロンズに鍍金されたものだから、その身振りに近寄りがたいほどの威厳さを与えている。下の女性像は‘慈愛(左)と‘正義’(右)の寓意像。おもしろいことに‘アレクサンドル7世’同様、ここにも骸骨の姿をした死の像がみられ、過去帳に教皇の名を書き入れている。

高さ4.4mもある‘聖ロンギヌス’は何度みてもその手を大きく上げるポーズと見事な衣襞(ドレーパリー)表現に圧倒される。ベルニーニの技で驚愕するのがこの衣襞のフォルム。風になびくようにやわらかく曲がった衣襞にあたる光と影がキリストの左脇腹に槍を突き刺したローマの兵士ロンギヌスの姿をいっそう劇的にみせれくれる。これぞバロック彫刻の真髄。時間が経つのも忘れてみていた。

|

« ベルニーニめぐりに欠かせない2つの教会! | トップページ | 噴水の町、ローマ! »

コメント

2度も、ローマに旅行できて すごいですね。
ものすごいですね。
前に行かれてから
3~4ヶ月位しか たってないですよね。
ローマの頑固さ などを思い浮かべながら
うらやましく思い 拝見致し勉強させて戴いてます。
バロック様式は、
音楽・建築・ぎりぎり彫刻 は、知ってましたが、
絵画はあまり分かりませんの。
(わたしも、6月1日から旅行します。)

投稿: Baroque | 2010.05.29 00:43

to Baroqueさん
カラヴァッジョの大回顧展をどうしてもみた
かったものですから、またローマへでかけま
した。これでローマは当分いいかもしれま
せん。

6月はどこへお出かけでしょうか?お帰りに
なりましたら、また楽しいお話をきかせて
ください。

投稿: いづつや | 2010.05.29 16:24

‘象のオベリスク’はローマの人たちに「 Pulcino Della Minerva」(ミネルヴァのひよこ)「ひよこちゃん」の愛称で親しまれているそうです。

聞いた時に象とひよこが結びつかなくて???
でも何ともかわいいですね。

投稿: まりりん | 2010.06.04 11:34

to まりりんさん
‘象のオベリスク’はひよこちゃんですか?!
象がどうしてひよこになるのですかね?
おもしろいですね。

また、オリベスクと象が合体したことの意味合い
も知りたいです。単にアフリカつながりでしょ
うか?

投稿: いづつや | 2010.06.04 15:55

>また、オリベスクと象が合体したことの意味合い
も知りたいです。

私も不思議に思って調べてみました。
http://highskyblue.web.fc2.com/addendum/minerva_chick_j.htm

いづつやさんのブログ、いつも楽しみに読ませていただいる隠れファンです。


投稿: まりりん | 2010.06.13 23:20

to まりりんさん
おもしろい話が載っている記事をみつけて
下さってありがとうございます。

ベルニーニもいろいろ苦労したのですね。
重い印象の象→仔豚→ローマの方言、ひよこ
それで‘ミネルヴァのひよこ’

いやー、おもしろいですね。手持ちのベル
ニーニ本(石鍋真澄著、1985年、吉川
弘文館)にはそこまででてませんでした。
感謝々です。

投稿: いづつや | 2010.06.14 00:13

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/65878/48481279

この記事へのトラックバック一覧です: 怖い‘メドゥーサ’と楽しくなる‘象のオベリスク’!:

« ベルニーニめぐりに欠かせない2つの教会! | トップページ | 噴水の町、ローマ! »