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2010.04.06

赤レンガの三菱一号館美術館にマネの傑作がやってきた!

1427_2              ‘街の歌い手’(ボストン美)

1430_2   ‘浜辺にて’(オルセー美)

1428_2       ‘ビールジョッキを持つ女’(オルセー美)

1429_2   ‘ラテュイユ親子の店’(トゥルネ美)

期待値の高かった三菱一号館美の‘マネとモダン・パリ展’(4/6~7/25)が本日開幕した。美術館があるのは丸ビルのすぐ近く。東京駅からだとほんの5、6分で着く。その赤レンガの洋風建築の前に立つと一瞬明治時代にワープしたのではないかと錯覚する。ここが美術館なのである。おそらくこんな建物のなかにある美術館というのはほかにないだろう。

展示室は導線にしたがってまわっただけなので、館全体がどうなっているのかはまだつかめてないが、なんだかNYのフリック・コレクションのように立派な邸宅にお邪魔して名画を鑑賞している気分だった。東京のビジネス街のど真ん中にこんな美術館が誕生したのは真にすばらしい。

丸の内にある美術館だから、ほかとは異なる開館時間になっている。月曜は休みで水~金は10時から夜8時までオープン、そして火、土、日、祝は6時まで。平日の3日は丸の内界隈で働く人に仕事帰りに入館してもらおうという作戦である。

これは美術が好きな人の固定客化を促進するだけでなく、潜在的な美術ファンの掘り起こしにも効果があるだろう。また、東京に地方から出張できたビジネスマンのなかには新幹線に乗る前、ちょっと美術館へ寄ってみようかという人がでてくるにちがいない。

待望のマネ展は期待通り画集に載っている傑作がいくつもあった。油彩・水彩は海外の美術館や個人から28点、国内から10点、プラス版画が多数。マネ(1832~
1883)の作域は広く、歴史上の出来事、風景、現代生活、肖像、静物といろんな画題にとりくんだ。
 
そのなかには1988年の‘ジャポニスム展’(西洋美)以来の登場となる‘エミール・ゾラ’や‘すみれの花束をつけたベルト・モリゾ’(07年、東京都美のオルセー美展でも展示)のようにどの画集にも載っている名画が含まれている。名画はこれだけではない。まだまだある。今回、追っかけ作品が3点やってきてくれた。嬉しくて天にも昇る気持ち。

ボストン美蔵の‘街の歌い手’は08年にアメリカ美術めぐりをしたとき、どういうわけか会えず残念な思いをした。が、予想以上に早くリカバリーのチャンスがやってきた。これはありがたい。マネの色数はあまり多くない。背景をよくみると黒がだいぶ入った緑。その前にいる流しの女歌手が身につけている服も茶色がかった緑。視線が集まるのが右手に持った赤いサクランボをすこし食べている口元とこげ茶色のギターの胴の側面。このギターがカラヴァッジョの静物画のように、こちらへ飛び出してきそうにみえた。

再会した‘浜辺にて’はとても気に入っている絵。水平線が高いところにあるので、明るい光が降り注ぐ浜辺が画面の大半を占めている。手前に大きく描かれた男女の安定感はすごくいいのだが、絵の中にすっと入れるという感じでもない。ぱっとみると二人に感情移入をしたくなる、でもルノワールの絵のようにはいかない。それは優雅なのにちょっと固く緊張したところがあるから。

こういう印象はマネが画面に二人の人間を描いた絵ではいつもつきまとう。‘ビールジョッキを持つ女’ははじめてみた。ロンドンのナショナルギャラリーにある‘ビアホールのウエイトレス’とよく似た構成の絵であるが、ロンドンのほうがジョッキが全部はいり、客も多くいるので店に活気が感じられる。女の視線は異なり、この絵のウエイトレスはじっとこちらをみているが、女と前の横向きの男とのつながりのなさは都会生活の実相をみるよう。

今回最も期待していたのが‘ラテュイユ親子の店’。画集でみる以上にすばらしい絵。
05年の‘ベルリン至宝展’でみた‘温室’(拙ブログ05/5/3)のときと同じくらい感動した。語らう二人の楽しそうな様子がとてもいい。流石、高橋館長。

ルノワール展に続き、このマネ展も大ホームラン、満足度200%の展覧会だった。
感謝々!

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» マネとモダン・パリ @三菱一号館美術館 [Art & Bell by Tora]
 丸の内に新しい美術館が誕生した。「三菱一号館」は、1894年ジョサイア・コンドルによって設計された洋風事務所建築であるが、老朽化のため1968年に解体されていたものである。これが、今回、以前の設計に沿って同じ場所に美術館として再生した。↓は丸ビル内に掛けられた大きなポスターである。 開館記念展は「マネとモダン・パリ」。今回の展覧会は高橋直也館長の研究テーマの一つがマネであり、館長が過ごされたとオルセー美術館の協力でで開催されたものである。そしてマネ(1832-1883)と岩崎弥太郎(1835... [続きを読む]

受信: 2010.04.13 13:46

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