ホテルニューオータニの安田靫彦展 花を愛でる心!
ホテルニューオータニのなかにある美術館で現在、‘安田靫彦展 花を愛でる心’
(3/13~4/18)が開かれている。作品数は歴史画、花鳥画31点と写生43点。
安田靫彦(1884~1978)の絵は昨年、茨城県美の回顧展(拙ブログ09/3/2)、千葉市美の‘大和し 美し 川端康成と安田靫彦’(09/4/27)と2回まとめてみる機会があったから、しばらくはないだろうと思っていたら、この時期ここと川崎市民ミュージアムのコラボにより再度登場してきた。
歴史画は2年前あった‘源氏物語の1000年展’(横浜美)ではじめて遭遇した‘紅葉賀’(08/9/11)がとても気に入っている。回顧展にも展示されたから、3年続けてみたことになる。この絵がその巧みな構図に魅了されるのに対し、‘女楽の人々’は衣装の美しい色合いに釘づけになる。
とくに真ん中の背をこちらむけている女の鮮やかな赤とうす紫、うす緑の組み合わせが心に響く。こういう濁りのない瑞々しい岩絵の具の色をみると、日本画の魅力はルネサンスのフレスコ画同様、色にあることを再認識させられる。また、伊勢物語(あまのかは)’や‘八橋’にでてくる男性貴族が着ている直衣(のうし)の青も目に心地いい。
五島美が所蔵する‘菊慈童’をみるのは15年ぶり。童子は700年も菊の葉から滴る露を不老不死の薬として飲んでいるのでかくも若々しい。手に持っている菊をわけてくれない?
靫彦が最も愛した梅の絵は5点ある。足がとまるのは‘紅梅高麗扁壺瓶’。形のいい中国陶磁の壺に活けられた紅梅の赤と優雅に曲がる枝ぶりがとても印象的。
今年国宝・重文指定になる美術品が先ごろ決まったが、明治以降の日本画では前田青邨の‘洞窟の頼朝’が選ばれ(3/20)、安田靫彦の代表作‘黄瀬川陣’は先を越されてしまった。小林古径はすでに‘髪’(永青文庫)が重文になっている。
安田、小林、前田は誰もが認める日本画の巨匠なのに、‘黄瀬川陣’の重文指定を遅らせる理由がわからない。毎年1点にとどめる必要もなく、名画はどんどん重文にすればいいと思っているのだが。さて、来年選ばれるのは?
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