« ビバ!イタリア  ヴァティカン博(2) 絵画館の名画! | トップページ | ビバ!イタリア  ヴァティカン博(3) ラファエロの壁画の傑作! »

2010.03.13

等伯のここが好き!

1354           ‘善女龍王像’

1353       ‘日通上人像’

1355   ‘寒江渡舟図’

1356   ‘松林図’(右隻)

長谷川等伯展(東博)の後期(3/9~3/22)をみてきた。当初は16日の予定だったが、平日でも相当混雑しているという情報が入ってきたので、急遽昨日に変更。

会場には10時に着いたのだが、もう30分待ち。この時間帯でこのくらいの人が集まっているのだから午後になるとかなりの待ち時間になるだろと思われた。果たして、12時ごろは70分待ち。この調子だと土日は2,3時間待ちになるかもしれない。これはすごい人気!

後期にでてくるのは4点、肖像画1点、金地にお猿さんの絵‘竹林猿猴図屏風’(重文、相国寺)、‘松に鴉・柳に白鷺図屏風’(出光美)、‘烏鷺図屏風’(川村記念美、拙ブログ06/1/15)。このうち肖像画と‘竹林猿猴図’は初見。

‘烏鷺図’は6日、マリー・ローランサン展で川村へ行ったら平常展示で飾ってあった。ここへ出すのだったら、等伯展に通期展示すればいいのに。‘国宝2点が出ずっぱりなのに、重文の絵がどうして出せないの?’どうもこの美術館にたいする好感度は昔から悪い。
 
‘竹林猿猴図’はそれほどぐっとこなかった。もともと金地の絵は東博蔵の‘瀟湘八景図’にしても‘山水図襖’(重文、隣華院)にしても墨一色に較べるとあまり響かない。で、お気に入りの仏画や肖像画をもう一回みた。等伯は人物描写がとても上手い。はじめてみる‘善女龍王像’(七尾美)の女姓の顔のきれいなこと。また、‘釈迦多宝如来像’(大法寺)の金で彩色された如来も心を打つ。

肖像画でお気に入りは‘日通上人像’(重文、本法寺)。03年、東博であった‘大日蓮展’で遭遇したが、等伯は上人の内面を見事に描いている。これは西洋の肖像画と並べても遜色の無い傑作である。

前期(3/3)同様、絵の前に長くいたのが‘寒江渡舟図’。横に‘山水図’があるが、構図はこの絵のほうがいい。男がつけている蓑の白が輝いているのが印象的。中国画でない日本の絵師が描いたこの手の絵ではこれが最も心を打つ。忘れられない絵になりそう。

‘松林図’をまたじっくりみながら、結局、等伯は墨の濃淡だけで描いた水墨画に取り組んでいるときが一番心が落ち着くのだなと思った。好きなモティーフは柳、竹、松。人物画は名人だが、ボリュームのある馬とか虎は平凡であまりおもしろくない。巨大な‘仏涅槃図’の左下にいる馬はどうなっているのかよくわからないし、‘牧馬図’で多数描かれている馬の形もなんだか変。

小鳥とか猿(09/1/23)とか鶴はお手本があるから描けるが、虎や馬などはじっくり動きを観察しないとちゃんとした形にならない。思うに等伯は柳や松の葉とかススキといった直線をすっとのばせるモティーフが好きで、まるいものを形にするのは性に合わなかったのかもしれない。

|

« ビバ!イタリア  ヴァティカン博(2) 絵画館の名画! | トップページ | ビバ!イタリア  ヴァティカン博(3) ラファエロの壁画の傑作! »

コメント

いづつやさんおはようございます。もうそんなに混雑しているのですか、僕が行った初日はガラガラでしたが。馬や虎をえがくと凡庸になるとはいづつやさんさすがよく観察されてますね!大日蓮展があったとは初めて知りました。来年は法然800年ですので大回顧展がありますよね。いづつやさんは単眼鏡は必須ですか?僕も買おうかと思うのですが幾らくらいのが良いのでしょう

投稿: oki | 2010.03.15 07:28

to okiさん
等伯展はラスト8日ですから、相当混むでしょうね。
宮城とか長野、新潟などからも好きな人は足を運ぶ
でしょうね。

大日蓮展に日通上人像とか本法寺の大涅槃図など
10点が出品されました。お寺&宗教家シリーズは
欠かさずみてますから、法然800年の記念展も楽
しみです。

等伯は今回の大回顧展で日本国内にある代表作は
ほとんど出た感じです。ですから、今、等伯のまとめ
をやっているところです。雑誌の等伯特集では等伯
はなんでも描けたみたいなことを書いてますが、
これは?ですね。

装飾も一応やりますが、工芸的な意匠の基本はまるい
形とやわらかい線ですから、細い線を直線的にのばし
たい等伯の感性にはあってません。涅槃図の下の泣い
てる鹿はたしかに人間くさくていいと思うのですが、
鹿にしろ、鶏にしろ、馬にしろ造形としてみたとき
は退屈ですね。

猿や鶴は牧谿の絵を手本にして描いただけですか
ら、上級コピーのたぐいです。それを美術史家山下
なにがしは‘この猿は人間くさいでしょう’と得意げ
にいってます。かわいい子供の顔を描くのは等伯の
お手のものですからそれを猿の顔にも応用したま
でのこと。

それほどおおげさにいうほどのこともありません。
この人は相変わらず受け狙いの評論をやってます。
等伯は世界で通用する肖像画の達人とでもいうの
なら少しは評価できるのですが。この人には騙され
ないほうがいいですよ。

日本画の場合、照明を落として展示することが多い
ですから、単眼鏡がないと楽しみが半減します。今
使っているのは長さ7センチちょっと、径2.7センチ
くらいのコンパクトなものです。値段は忘れましたが、
8000円くらい?

投稿: いづつや | 2010.03.15 11:15

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 等伯のここが好き!:

» 長谷川等伯 / 東京国立博物館 [南風録ぶろぐ]
没後400年特別展 長谷川等伯 2/23〜3/22 本文中、作品名にリンクが設定してあるものは、クリックすると東京国立博物館の作品詳細ページ、情報アーカイブ等で画像を見ることができます。 混雑は覚悟していたので、着いた時(10:40)に「50分待ち」を見た時には、ほっとしたくらい。平成館へ入る少し前に列の後ろを見たら、列が短くなっていて、帰る時(13:50)には、「40分待ち」になっていました。混雑しているだろうから、東京国立博物館所蔵品は、最初からスルーするつもりで、リストを見たら、同館所蔵品... [続きを読む]

受信: 2010.03.21 22:06

« ビバ!イタリア  ヴァティカン博(2) 絵画館の名画! | トップページ | ビバ!イタリア  ヴァティカン博(3) ラファエロの壁画の傑作! »