美術に魅せられて!イタリアの美術館で戸惑うこと & いいところ
‘ビバ!イタリア’の美術館めぐりでは、心を奪われた傑作の紹介に終始し、美術館の展示室の雰囲気やサービスについてはふれなかった。日本の美術館とはいろいろな点で違っているので、そのあたりを少し述べてみたい。
★‘イタリアの美術館にはコインロッカーがない!’
イタリアに限らず、海外の美術館で日本の美術館のように100円を入れて後からそれが戻ってくるコインローカーを備えつけているところはない。クローク方式でバッグやコートを預かってくれる(無料)。ただし、バッグはファスナーのついたバッグだけ。
だから、横にすると中のものがでてくるビニール袋とか布製のエコバッグは預かってくれない。今回、‘禅’の字がデザインされたエコバッグがNGを食らったので、フィレンツェやローマでは最後に行った美術館は重たいバッグがしんどかった。
日本のコインロッカーは独自の方法かもしれない。人件費のかかるクロークに較べたらいいやり方だと思うが、自動販売機が普及してない欧米ではこのコインロッカーは考えつlかないだろう。ところで、雨の日の傘はどこに置くの?
★‘監視員はおしゃべりが大好き!’
監視員があそこでもここでも話し込んでいたのがローマのカピトリーニ美。各監視員の担当の持ち場は離れているのに、細長い展示室の真ん中あたりに集まっておしゃべりが続く。だから、入館者が大きな声でしゃべってもまったく問題ない。日本の美術館だとこんな光景は考えられないのだが、ここはイタリア。おしゃべり好きのイタリアらしくていい。
とにかく、イタリア人はしゃべりたくてしょうがないらしい。ある部屋でキョロキョロしていたら、英語で‘どの作品を探しているのか?’と聞いてきた。‘実は○○をみたいんだ!’というと‘それはルーム△△室にあるから、あのエレベータに乗れ’と教えてくれた。その親切心にグラッツィエなのだが、半分はこの男性はおしゃべりの虫がでたんだなと思った。日本の美術館でこんな問わず語りの監視員に出会ったことは一度もない。
★‘ミュージアムショップでクレジットカードが使える!’
美術館にあるミュージアムショップで売ってるものはイタリアでも日本でも同じようなもの。ガイドブック、絵葉書、キャラクターグッズ、手帳、ノート、ファイルシート、カレンダー。日本語のガイドブックがあるのはウフィツィ美とヴァテイカン博の大きな美術館だけ。どちらも中国語や韓国語版も売っている。
海外の美術館ではイタリアはもちろんのことどの国でも購入した本や絵葉書の代金はクレジットカードで払える。また、入館料だってクレジットOK。これは欧米では当たり前のことだから、すごく便利。
ところが、日本ではクレジット払いが遅々として進まない。可能なところでも5千円以上とか制限をつけている(出光美、東近美)。東京、神奈川にある美術館でカードが使えるのは東博、西洋美、サントリー美、三井記念美、根津美、横浜美など数えるほどしかない。
こうしたユーザー本位に欠ける運営がずっと続いているのは、日本の美術館の保守的で権威主義の体質が変わらないから。これは常識。だから、昔から日本の美術館には過大な期待はしておらず、ほどほどのつきあいを心がけている。企画展の質を上げることとかなんかよりカードが使えるようにするのが先だろうといつも思っている。
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