ビバ!イタリア ウフィツィ美(2) ブロンズィーノはお好き?
ウフィツイ美の鑑賞時間としては1時間半から2時間はとりたい。1時間だとかなりせわしくなるので、名画を絞り込んだほうが感動の総量は大きくなる。
ひとつのアイデアはジョットの‘王座の聖母’、ボッテイチェリ(全部)、ダ・ヴィンチの‘受胎告知’、ここまでで30分。残りの30分は反対側(第三廊下)の最初の部屋にあるファラエロとティツィアーノ作品、これらをみたら大急ぎで廊下の真ん中あたりにある階段を降りて2階のカラヴァッジョの絵(3点)がある部屋にとびこむ。
今日取り上げるのは短い滞在時間では目にとまらないかもしれない絵。ヴェネツィア派をつくったジョヴァンニ・ベリーニ(1434~1516)の‘聖なる寓意’は不思議な絵。手前の両サイドと正面が石で囲まれたテラスみたいなところに幼児、聖人、聖母、女性が横に広がっている。
4人の幼児のうち左向きで座っているのがキリストで、その前のリンゴをもっているのがヨハネらしい。右端の若い男は体に矢が刺さっているので聖セバスティアヌスというのは察しがつく。
画像ではわかりにくいが、テラスの後ろに流れる川の岸には男が一人腰掛けており、その右には鹿は3頭、さらによくみるとギリシャ神話にでてくるケンタウロスまでいる。画面には聖書とギリシャ神話がミックスアップされたベリーニ流の寓意が描かれているのだろうが、その意味はまったく謎。で、寓意のことは横において、のびやかに描写された自然の情景をじっくりみることにした。
ペルジーノ(1448~1523)はラファエロの師匠。目が慣れてきた‘聖者とともにいる聖母子’はお気に入りの一枚。ラファエロの初期の作品、‘マリアの結婚’(ミラノ、ブレラ美)はこの絵に見られる甘美な雰囲気を引き継いでいる。人物をアーチの前に配置し、アーチを通して野原や山々をみせるのが構成の特徴。
古代彫刻やブロンズィーノの絵が沢山展示してあるトリプーナは現在改築中なので、絵だけがラファエロの部屋の隣に移動していた。毎度気になる絵が‘ルクレツィア’。はじめの頃はマニエリスムの匂いに過剰反応しさっとみて終り。
それが96年のときからこの絵にたいする感じ方が変わり、しっかり向き合えるようになった。これはパルミジャニーノの絵についても同じ。この女性の手や肌のリアルな描写や衣裳の豊かな質感に思わず体が寄っていく。
コレッジョ(1489~1534)の絵も半分はマニエリスムだが、その神秘的な雰囲気を漂わせる人物のぼんやりした輪郭が心をちくちく刺激する。今回3点でていたが、この絵には魅了された。ルーヴルでもロンドンナショナルギャラリーでも、展示作品に惹かれる割合は5割くらい。同じマニエリストのパルミジャニーノとブロンズィーノだと、これは8割にあがる。
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