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2010.02.06

ビバ!イタリア  アカデミア美(3) カルパッチオに開眼!

1197_2   ジェンティーレ・ベリーニの‘サンマルコ広場の行列’

1198_2   カルパッチオの‘リアルト橋の十字架の奇跡’

1200_2   カルパッチオの‘聖ウルスラ伝・婚約者との出会い’

1199_3   カルパッチオの‘聖ウルスラ伝・ローマ教皇との対面’

アカデミア美で収穫が最も多かったのはカルパッチオ(1460~1526)。この画家の師匠はジェンティーレ・ベリーニ(1429~1507)で、世代的にはベリーニ兄弟とティツィアーノ(1485~1576)の中間に位置する。99年ここでカルパッチオを沢山みたはずなのだが、このときはジョルジョーネの‘テンペスタ(嵐)’に心を奪われていたから、この画家の印象はうすかった。

ところが、08年ルーヴルで‘エルサレムでの聖ステパノの説教’(拙ブログ08/12/29)をみてカルパッチオにたいする評価が一変した。次第にとてつもなくすごい画家に思えてきた。で、今回はカルパッチオの作品を図録でしっかりチェックし、‘見るぞ’モードを全開にしてまわった。その前に、師匠の絵のことを少し。

ジョヴァンニの兄であるジェンティーレが描いた大きな絵2点は前回よく覚えている。上の‘サンマルコ広場の行列’と‘サン・ロレンツォ橋の十字架の奇跡’。‘サンマルコ広場’で目を見張らされるのは聖十字架を運ぶという壮麗な宗教的なシーンよりも背景にみえる広々とした広場とサンマルコ寺院の円蓋のほう。描かれているのは宗教画であるが、その景観にすっと入っていけるので絵にとても親近感を覚える。

カルパッチオはジェンティーレにならい橋をリアルト橋に変えて‘十字架の奇跡’を描いている。師匠の絵と較べると、大勢の人が描き込まれているのは同じだが、カルパッチオのほうが人の配置の仕方とかゴンドラの動きにより変化をつけているので、画面全体が生き生きしている。

こうした風俗画の香りがよくでているのが30歳頃から5年かけて描いた9点の連作‘聖ウルスラ伝’。この傑作には出口近くの専用の部屋が充てられている。こんないい絵なのに前回見た記憶がない。ひょっとすると、部屋そのものをパスしてしまったのかもしれない。入り口が奥にあるため、今回もちょっと見落としそうになったがミューズのお陰で首尾よく遭遇することができた。

聖女ウルスラは伝説上の人物でイギリスの王の娘。イギリスからローマまで1万1000人の乙女を従え、巡礼の旅にでるが、帰途に悲劇が待っていた。ケルンまで来たときフン族に襲撃され乙女たちとともに虐殺されてしまう。9点のうちとくに惹きつけられたのが横幅6mの大画面に婚約者とウルスラが出会う場面が描かれたもの。

橋や建物が遠近法にもとづいてしっかり描かれているだけでなく、人物描写が実に克明。広重の風景画のように近・中・遠景によって大きさを変えて、しかも身振りやポーズに変化をつけて表現されている。ルーヴルにある‘聖ステパノ’で吸い込まれようにみたのはこの描き方。

対象を細かくとらえるのは連作のなかにあちこみられるのだが、はるか遠くまで人物を追っかけたくなるのが‘ローマ教皇との対面’。左端に1万1000人の乙女が遠くの森までS字の列をなしている。思わず単眼鏡をとりだして見た。また、手前の地面にみえる石ころや草花のリアルな描写にも足がとまる。本当にいい絵を見た。一生の思い出になりそう。

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