ビバ!イタリア ペギー・グッゲンハイム(2) ‘月の女’と再会!
ペギー・グッゲンハイム・コレクションの主な作家をあげてみると、キュビスムのピカソ、ブラック、レジェ、エコール・ド・パリのシャガール、モディリアーニ、形而上絵画のデ・キリコ、シュルレアリスムのダリ、ミロ、マグリット、エルンスト、タンギー、ブラウワー、クレー、ダダのピカビア、デュシャン、抽象絵画のカンディンスキー、モンドリアン、アルプ、未来派のボッチョーニ、バッラ、カッラ、セヴェリーノ、ロシア前衛派のマレーヴッチ。
そして、アメリカ抽象絵画のポロック、スティル、ロスコ、ゴーキー、デ・クーニング、マザウェル、イギリスのベーコンやフランスのデュビュッフェ。また、カルダーのモビール作品やジャコメッティやブランクーシやムーアの彫刻もある。いずれも一級品揃いだから、どれをアップしても豪華なラインナップになるのだが、とくに惹きつけれた作品で過去取り上げたものと作風がダブらないのを選んだ。
未来派の絵はシュルレアリスム同様、大のお気に入り。イタリアの作家なので作品の数も多い。一番多いのはボッチョーニで絵画が5点と彫刻が3点ある。カッラも5点。セヴェリーノとバッラは2点ずつ。そのなかで最も魅了されたのはセヴェリーノ(1883~
1966)の‘海ー踊り子’。
未来派が表現したかったのは都市のもつエネルギッシュな動きや人々や自動車などがみせるスピード感あふれるフォルム。この絵で目を楽しませてくれるのは点描法とキュビスムの組み合わせによって生み出されるリズミカルな曲線フォルムとはっきりした色調。絵のタイトルがそのままイメージできる。
ポロック(1912~1956)が30歳のときに描いた‘月の女’と久しぶりの対面。10年前はどういうわけか展示されてなかった。この絵は1991年セゾン美(現在は無い)で開かれた‘グッゲンハイムコレクション展’に出品された。だから、かれこれ18年ぶりの鑑賞になる。ぱっと見るとミロの絵とピカソのキュビスムが同居している感じ。ほかにもアクションペインティングの生き生きした絵はあったが、今回はこの絵の前に長くいた。
‘赤い塔’はこれぞデ・キリコの絵! デ・キリコ(1888~1978)が描く非現実的で神秘的な町の光景には人物とかマネキン、古代の彫像が登場することが多いが、ここには出てこない。右の建物の向こうにシルエットになった騎馬像の前半分がみえ、像の影が前に長くのびている。このデジャ・ヴュ(既視感)を感じさせる静寂で不思議な世界にわけもなく吸い込まれる。
想定外だったのがモディリアーニ(1884~1920)の点描のような肖像画。これはミラノのジャニ・マッティリコレクションだが、ここへ長期寄託されている。絵の存在はTASCHEN本で知っていたものの、ここで遭遇するとは思ってもいなかった。ビッグなオマケに上機嫌。
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