ビバ!イタリア ミケランジェロの‘ダヴィデ’と再会!
フィレンツェを観光して強く印象に残るのがミケランジェロ(1475~1564)の彫刻と
ボッティチェリ(1445~1510)の絵画。
絵画に関してはラファエロ(1483~1520)の名画も沢山みれるのだが、‘小椅子の聖母’や‘大公の聖母’などはピッティ宮殿内にあるパラティーナ美にあり、ここは自由行動で訪問しない限りみる機会がない。で、旅人の感動袋はウフィツィ美にあるボッティチェリの‘ヴィーナスの誕生’や‘春’でいっぱいになってしまう。
これに対し、彫刻は‘ミケランジェロをみなくて何をみたの?’という感じ。もちろん、ドナテッロの美少年ダヴィデ(バルジェッロ)やチェッリーニの‘ペルセウス’(シニョーリア広場)のような美しいフォルムの彫刻にも心は奪われるが、彫刻家のイメージが体中に刷り込まれるのはほかならぬ天才ミケランジェロ。その気になれば、ミケランジェロの代表作の多くをみることができる。
ダヴィデ像がみれる場所は3つ。観光コースのだいたい最初に行くミケランジェロ広場(複製)、シニョーリア広場(複製)、そしてオリジナルが展示してあるアカデミア美。サン・マルコ美同様、アカデミア美のなかに入るのは27年ぶり。展示のレイアウトは未完成の5体がある通路とその先の‘ダヴィデ’があるホールはどうにか覚えている。
その大きさ(4m)に圧倒されるが、複製を何度もみているので久しぶりという感じがしない。筋肉隆々の肉体の特徴もおおよそインプットされている。異常に大きい右手や大きな足、浮き上がる血管、彫りの深い目鼻立ち、もうどこをみても‘これぞ勇者ダヴィデ!’これが1504年に完成したときの人々の驚きようは半端ではなかったことは容易に想像がつく。
未完成の絵画に足が長くとまることはないが、ミケランジェロの未完成彫刻は別。ここにある5体の人物像は大理石の塊からまだ全部彫り出されておらず、表面にはのみの痕が残され仕上げが施されてない。でも、こういうつるつるした大理石の質感にはほど遠いざらざらした触感は妙に惹きつけられる。ミケランジェロはこんなふうにして傑作を生み出したのかと思うとじっとみてしまう。
5体のなかで彫りが進んでいる感じなのが‘髭の囚人’と‘若い囚人’。‘早く石塊から出たいだろうな’とつい思ってしまうのがはじまったばかりの‘目覚める囚人’。‘アトラス’は‘どうせ俺は一生つらい目に会うのだ!’と呻いてるようで、未完ながら激しい感情の表出がうかがえる。
| 固定リンク
コメント