魯山人の食器で美味しいものが食べたい!
日本橋高島屋で現在、‘没後50年 北大路魯山人展’(12/27~1/18)が開かれている。
昨年末、魯山人が70歳のときに制作した幻の壁画がポルトガルで見つかり、57年ぶりに里帰りしたことをNHKが報じていた。このニュースに興味深々だったのに、展示されている場所にはふれなかったから動きようがなかった。
年が明けて、デパートの展覧会情報をチェックしていたら、これが日本橋高島屋で開催中の回顧展であることがわかった。美術館の場合、展覧会の年間スケジュールはHPに載っているので情報は容易に入手できるが、デパート系の展覧会については2ヶ月先くらいしかわからないので、鑑賞がどうも後追い的になる。
見終わった後に購入した図録を見ると、この回顧展は全国各地を巡回している。10~12月に若冲をみるため何度も信楽を訪問したとき、MIHO MUSEUMから遠くないところにある滋賀県立陶芸の森 陶芸館で行っていた魯山人展にすこし心を動かされたが、魯山人はこれまで多くみているのと横浜に早く帰りたい気持ちのほうが強くパスした。実はこれが今、高島屋で開催中のものだった。
船室を飾るためにつくられた壁画は率直なところ、大感激というほどではなかった。が、やきものや書画は過去体験した回顧展(拙ブログ05/12/29、07/8/18)と較べて質、数ともに遜色のないすばらしい内容だった。作品は全部で200点あまり。加えて展示の仕方がとてもよかった。魯山人が料理長を務めた会員制の高級料亭‘星岡茶寮’で使用された食器が30点くらいあり、器に料理が盛り付けられたところをパネルで一緒にみせているのである。
これをみると魯山人が自分の料理にふさわしい食器を精魂を傾けてつくったということがよくわかる。料理の内容と食器の形、意匠がぴったり合っているので、料理を食する人の目と舌と心を最高に楽しませたにちがいない。叶わぬ夢ではあるが、魯山人の食器で美味しい料理を食べてみたい。
上は見るからに美味しそうな伊勢海老や小鯛寿しなどが盛り付けられている‘織部鱗文俎板鉢’。真ん中は蟹の文様が気を惹く‘織部蟹絵丸平向付’。下は食の楽しさをこれ以上味わえそうにない形をしている‘伊賀釉鮑形大鉢’。まさに食と器が一体になり、極上のもてなしを演出している。こうした食が進み、幸せフルスロットルの席に居合わせたかった!
なお、この回顧展はこのあと次の2会場を巡回する。
ジェイアール名古屋タカシマヤ:2/24~3/8
兵庫陶芸美:3/13~5/23
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