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2010.01.09

噂に聞く川喜田半泥子はスーパー陶芸家だった!

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やきものがお好きなJoyceさんから今、松屋銀座で行われている‘川喜田半泥子展’(12/30~1/18)はお奨めですといわれたので、急遽出かけることにした。

このやきもの展は横浜そごう(2/11~3/22)で見る予定だったので今年前半のプレビューにはこちらを載せておいた。銀座でみるか地元の横浜でみるか迷っていたが、
Joyceさんに背中を押してもらった格好になった。

川喜田半泥子(かわきたはんでいし、1878~1963)はプロの陶芸家ではなく、趣味の延長としてやきものをやった人。正業は実業家。江戸時代から江戸大伝馬町で木綿を商った伊勢商人、川喜田商店の十六代で、百五銀行の頭取を41歳から66歳まで務めた。世の中には数はごく少ないが仕事を人前以上にこなし、余技でとりくんでいることにもプロ顔負けの腕前を発揮する人がいる。半泥子もこういう才人グループの一人といっていい。

今回の回顧展では半泥子が私財を投じてつくった石水会館(三重県津市)所蔵の陶芸、書画などを中心に220点あまりが展示してある。陶芸の作域は唐津、信楽、志野、織部、井戸手、粉引、刷毛目、楽焼、伊賀と広く、これまでみたのはこうした作品のほんの一部であることがわかった。

会場を進むうちにこれはすごい陶芸家に出会ったなという思いが大きくなり、その粋な色合いと自在に生み出された形を夢中になってみた。上は入ってすぐ目に飛び込んできた‘粉引茶碗 銘 雪の曙’。白とうすピンクが溶け合う洒落た色合いと荒っぽい口縁の形が心を揺すぶる。

半泥子は‘昭和の光悦’と呼ばれているが、この1点でそれを予感させた。織部には目がないから、5点あった黒の茶碗に体がすぐ寄っていく。とくに惹きつけられたのが真ん中の‘黒織部茶碗 銘 富貴’。胴のへこみの上下にできた格子模様とそこにかかる白がおかきの表面にもりあがる白砂糖みたいでわけもなく魅せられる。

織部がくれば志野。これも名品が揃っている。下は有名な‘志野茶碗 銘 赤不動’(東近美)。これまで半泥子のやきものをみたのはこれと出光美が所蔵する絵唐津の丸十文茶碗を写したものなど片手くらいしかない。この赤不動はじっとみているといろんなことを思い起こさせる。

朱色が上から飛び散る感じがあの仏画の赤不動を連想させ、左の金継ぎは光悦の‘赤楽茶碗 銘 雪峯’(畠山記念美)をイメージさせる。また、鼠志野茶碗‘銘 かま湯’にもぐっときた。そして、半泥子の豊かな感性を強く見せつけるのが‘銘 寝物語’などの片身替茶碗や‘灰釉茶碗 銘 由布’の幻想的な景色。

今年のやきもの鑑賞は満足度200%の川喜田半泥子で幕をあけた。

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コメント

”川喜田半泥子”、楽しまれたご様子で良かったです!
1週間前に行ったばかりなのにいづづやさんの感想を
読んだらもう一度会いに行きたくなりました。
Joyce

投稿: Joyce | 2010.01.10 11:07

to Joyceさん
5日の展覧会はじめの日に行ってきました。
これまで半泥子のことは知っていたのですが、
体験した作品が少なく、一度回顧展に遭遇し
ないかと強く望んでました。

今回は作域の広さと光悦を感じさせる卓越
した創作力にびっくりしました。即My好き
な陶芸家に登録しました。

この感激を一人だけで味わうのはもったいな
いので、横浜そごうのときは隣の方を連れて
いこうと思ってます。

Joyceさんに本当に背中を押してもらいまし
た。有難うございます。これからも気軽に起
こしください。

投稿: いづつや | 2010.01.10 13:09

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