お知らせ
拙ブログは1/31までお休みします。
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三井記念美で行われている‘柴田是真の漆×絵’(12/5~2/7)は年が明けてあらたに14点が登場したのでまた出かけた。
エドソンコレクションの傑作は前回(拙ブログ09/12/12)しっかりみたから、追加作品5点をさらっとみた。このうち、興味を惹いたのは‘瀑布に小雀図’。水しぶきをあげて落ちる滝を小さな雀が岩にとまってみている。よくある画題だが、この雀の格好に思わず足がとまった。普通に考えるとありえないのだが、雀の体はセミが木にとまっているみたいに滝を真下にみる格好になっている。
この絵がとてもおもしろいと感じられたのに、‘雪中虎図’は雪の形がどうもしっくりこない。上から広がる雪の逆三角形が虎を隠しすぎなのである。このため、雪に負けて虎の存在感が弱くなっている。同じように手前の雪が邪魔だなと思うのが板橋区美蔵の‘鴨図’。
前回みた‘四季花鳥図屏風’(東博)は金雲が目立ちすぎで花鳥画としては失敗作だなと思っていたが、今回の2点もNG。どんな才能のある絵師だって、少しは平凡な絵がある。調子が乗らないまま描いたのだろう。
この回顧展の大きな収穫はすばらしいエドソンコレクションをみれたことだが、国内の美術館や個人から集められた蒔絵や絵画に心を揺すぶるのがいくつもある。とくに釘付けになってみたのは、
★‘富士田子浦蒔絵額’(福富太郎コレクション):上の画像
★‘果蔬蒔絵額’(板橋区美):真ん中
★‘五位鷺に水葵図杉戸絵’(宮内庁):下
大作の‘富士田子浦’(通期展示)は初めて公開されるのだそうだ。‘へぇー、日本のコレクターが所蔵していて、しかもこれほどすばらしいものがこれまで展示されなかったの?!’という感じだが、幸運なめぐりあわせに感謝したくなる。
目に力が入るのが浜辺で男や女たちが塩作りに精をだしている場面。実に生き生きしている。青海波塗で表現した波は正面からそのままみるより、屈んで下から見上げるほうがよい。そうすると美しい波の文様が目に飛び込んでくる。この蒔絵は一生忘れないだろう。
1/13から展示された‘果蔬’は大きな南瓜とうすピンクの柿が心をとらえて離さない。柿の表面には蟻まで描かれている。じっとみていると若冲の‘菜蟲譜’や‘果蔬涅槃図’を連想した。
10年ぶりにみた‘五位鷺’(1/13~2/7)は前回同様、鷺の鋭い目にドキッとする。緑の水葵の葉脈を表す丁寧な描線をしっかり目に焼きつけた。絵の完成度ではこれが一番。
帰り際、ミュージアムショップで‘別冊太陽 柴田是真’(09年12月 平凡社)を購入した。頁をめくるとこの回顧展に出品されなかったものが何点も載っている。この先1点でも多くみれると嬉しいのだが。
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新しい根津美は今年の9月まで新創記念の特別展を8回行う。1年間で所蔵のお宝のおそらく8割方は展示されるのではなかろうか。だから、すでにみたものが多いとはいえ、どれも顔を出しておきたい。
第3弾は‘陶磁器ふたつの愉楽’(1/9~2/28)。作品の入れ替えがないから、会期中はいつ出かけてもリストに載っている作品は全部みられる。こういう西洋画の展覧会と同じスッキリ展示は本当に好感がもてる。展示期間が1ヶ月半と短いが、これだと前期・後期に分ける必要がなく1回の鑑賞で終わる。
昔から展覧会へは1回しか行かない。長年来の友人が絵画の鑑賞は‘一期一絵’(いちごいちえ)とおもしろいことを言っていたが、まさにわが意を得たりという感じ。だが、日本画の場合、どうしても展示替えのためこの基本原則が崩される。
それが皇室の名宝展のように前期・後期で作品が総取っ替えになり、料金がセットで買うとかなり割引になるのなら納得がいく。でも大半の場合、こういうお客の便宜を考えた展示にはなっておらず、相変わらず割引があまりなく、各期に出動すると割高な料金を毎回払わされる。
こんなやり方を続けていたら、お客は確実に西洋絵画の展覧会のほうに流れていく。今は人々の所得の減少が大きくなっており、以前ほど展覧会にお金をつぎこめない。となると、フェルメールの‘青いターバンの少女’だ、ルノワールだゴッホだマネだと大攻勢に転じている西洋画のほうへ若い人やシニアの関心とお金はシフトしていく。
東博の長谷川等伯展と千葉市美の若冲展は人気を集めると思うが、ほかの日本美術展はどうだろうか?いろいろ工夫してお客の心の中に入っていかないと、かなり厳しい状況になるのではないかとみている。
新根津美は特別展のほか‘円山四条派の絵画’、‘中国古代の青銅器’、‘茶道具と名物裂・更紗’、‘新春を寿ぐ’をみせてくれて料金は1200円。これだけ楽しませてくれたら、次もまた来ようかという気になる。明らかに来場者の心をしっかりつかもうという姿勢がみえる。
表看板はやきものなのだが、ここはサービス精神が豊かだから今年の干支、寅にちなんだ雪村の‘龍虎図屏風’(上の画像、左隻)を登場させる。久しぶりにみたこの虎は応挙の虎同様、かなりゆるキャラ系。猫タイプの虎の元祖かもしれない。
観るやきものと使うやきもののふたつの視点からこの部屋に飾られているのは60点。お宝がドドッとある。ここには重文の青磁が3点あるが気前よく2点、真ん中の‘青磁筍花生’(龍泉窯、南宋時代・13世紀)と‘青磁蓮唐草文水瓶’(高麗時代・12世紀)を展示。いつみても青磁の青にはしびれる。再会を心ゆくまで楽しんだ。
今回とても気に入った備前があった。下の‘緋襷鶴首瓶’。たしかに、鶴の細い首を連想させる。また、お馴染みの‘焼餅文洲浜形鉢’の土味にも魅了された。
大晦日にアップした追っかけのやきもの(09/12/31)、尾形乾山の‘色絵絵替土器皿’と‘唐物肩衝茶入 銘松屋’(ともに重文)が年が明けたら、ひょいと登場してくれた。長年の夢が叶った‘色絵’は波間に沢山描かれた帆掛け舟の文様と大胆にデフォルメされた水流文にとくに吸い込まれた。
‘茶道具’のところにお目当ての‘松屋’が展示してあったので興奮した。また、小さな‘瀬戸丸壺茶入 銘 相坂’(重文)にも200%心を奪われた。こんないい茶入だったとは。‘松屋’が茶色の美なら‘相坂’はコーヒーに濃いミルクを垂らしたようなイメージ。幸運にも茶入の名品が二つ一緒にみれた。これは春から縁起がいい!
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日本橋高島屋で現在、‘没後50年 北大路魯山人展’(12/27~1/18)が開かれている。
昨年末、魯山人が70歳のときに制作した幻の壁画がポルトガルで見つかり、57年ぶりに里帰りしたことをNHKが報じていた。このニュースに興味深々だったのに、展示されている場所にはふれなかったから動きようがなかった。
年が明けて、デパートの展覧会情報をチェックしていたら、これが日本橋高島屋で開催中の回顧展であることがわかった。美術館の場合、展覧会の年間スケジュールはHPに載っているので情報は容易に入手できるが、デパート系の展覧会については2ヶ月先くらいしかわからないので、鑑賞がどうも後追い的になる。
見終わった後に購入した図録を見ると、この回顧展は全国各地を巡回している。10~12月に若冲をみるため何度も信楽を訪問したとき、MIHO MUSEUMから遠くないところにある滋賀県立陶芸の森 陶芸館で行っていた魯山人展にすこし心を動かされたが、魯山人はこれまで多くみているのと横浜に早く帰りたい気持ちのほうが強くパスした。実はこれが今、高島屋で開催中のものだった。
船室を飾るためにつくられた壁画は率直なところ、大感激というほどではなかった。が、やきものや書画は過去体験した回顧展(拙ブログ05/12/29、07/8/18)と較べて質、数ともに遜色のないすばらしい内容だった。作品は全部で200点あまり。加えて展示の仕方がとてもよかった。魯山人が料理長を務めた会員制の高級料亭‘星岡茶寮’で使用された食器が30点くらいあり、器に料理が盛り付けられたところをパネルで一緒にみせているのである。
これをみると魯山人が自分の料理にふさわしい食器を精魂を傾けてつくったということがよくわかる。料理の内容と食器の形、意匠がぴったり合っているので、料理を食する人の目と舌と心を最高に楽しませたにちがいない。叶わぬ夢ではあるが、魯山人の食器で美味しい料理を食べてみたい。
上は見るからに美味しそうな伊勢海老や小鯛寿しなどが盛り付けられている‘織部鱗文俎板鉢’。真ん中は蟹の文様が気を惹く‘織部蟹絵丸平向付’。下は食の楽しさをこれ以上味わえそうにない形をしている‘伊賀釉鮑形大鉢’。まさに食と器が一体になり、極上のもてなしを演出している。こうした食が進み、幸せフルスロットルの席に居合わせたかった!
なお、この回顧展はこのあと次の2会場を巡回する。
ジェイアール名古屋タカシマヤ:2/24~3/8
兵庫陶芸美:3/13~5/23
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国内にある美術館の図録を定期的にながめているのだが、そこに載っている絵画などの名品をみて無性にその美術館をまた訪問したくなることがある。そんな気持ちにさせる美術館をこれから不定期に取り上げてみたい。
一回目は9年住んだ広島にある広島県立美術館。ここで遭遇した展覧会で最も印象深いのは03年にあった‘パキスタン・ガンダーラ&インド・マトゥラー彫刻展’と‘上村松園展’。
ガンダーラ、マトゥラーの仏教彫刻はインドのアジャンタの石窟寺院遺跡でみた壁画や仏像、さらにはサーンチーにあるストゥーパの塔門や柵に掘られた仏伝や本生譚を表す浮彫と深くつながっているので、この展覧会の図録が仏教美術を理解するのに大変役立っている。
上村松園の本格的な回顧展を東京ではなく、地方都市の広島で体験できたのは本当に幸運だった。久しぶりの対面となった‘序の舞’を息を呑んでながめていたのを昨日のことのように思い出す。
さて、ここの平常展でみた感激の作品は近代日本画3点。
★川合玉堂の‘渓村春麓’(上の画像)
★橋本雅邦の‘風神雷神’(真ん中)
★横山大観の‘井筒’(下)
玉堂の絵は回顧展を2回みたので代表作はかなり目の中におさまっているが、この絵はとても気に入っており、ベスト5の一枚にしている。目を奪われるのは川の水の青と勢いよく下に落ちる水しぶき。山深く分け入っていくと川の水はこんな色をしている。いつか再会したい。
雅邦の‘風神雷神’も忘れられない。とくにハットするのが雷神の下に描かれた3つの渦巻き。ユニークさではこの雷神が一番おもしろいかもしれない。
‘井筒’は大観が朦朧体にいたる前、29歳の頃の作品。伊勢物語に題材をとった幼き恋のお話‘井筒’を大観は実にかわいらしく描いている。これは回顧展に出品されることがないのであまり知られてないが、心が和むとてもいい絵。
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といっても、世のクラシック狂のように名演奏のCDをコレクションしたり、N響の年間会員になったり、サントリーホールや上野の文化会館で開かれる演奏会へ頻繁に足を運んだりしているわけではなく、もっぱら自宅でTVの音楽番組を収録したビデオを楽しんでいるだけ。
でも、ここ数年のうちにクラシックの楽しみ方を変えようと思っている。今は美術に200%時間とお金をつぎ込んでいるが、来年あたりからオペラ公演や演奏会へ本格的に出かけることを計画している。
で、昨年の12月からこれまでのストックをレビューし、作曲家や曲との真の相性度を再確認中。こういうことをしていると、好みが年を重ねるにつれて変わってきたことに気づく。以前はものすごく好きだった曲がほかの曲と聴き較べてみると、それほど熱くならなかったり、またその逆のこともある。
もちろん相変わらず気分がハイになる曲は多い。そのひとつがモーツァルトの音楽。これまで最も頻繁に聴いてきた曲ベスト10(順位はつけない)は、
★アイネ・クライネ・ナハトムジーク
★ディベルティメント第17番ニ長調
★オペラ‘フィガロの結婚’序曲
★交響曲第41番・ジュピター
★交響曲第40番
★フルートとハーフのための協奏曲
★協奏交響曲変ホ長調
★バイオリン協奏曲第5番イ長調
★ピアノ協奏曲第9番ホ長調
★ピアノ協奏曲第20番二短調
モーツァルトの音楽の魅力はあの優雅で明るい曲想。聴いているとつい楽しくなってしまう。アイネ、ディベルティ、フィガロの3つを連続して聴くともう天国で舞っている感じ。交響曲ではスピード感にあふれる41番・ジュピターが一番のお気に入り。これに40番、38番プラハ、36番リンツが続く。
‘フルートとハープのための協奏曲’はゴールドウェイと現在の第一人者エマニュエル・パユが演奏するものを交互に聴いている。これと同じくらい好きなのがオーボエ、ホルン、クラリネット、バスーンと弦楽器による協奏曲‘協奏交響曲’。オーボエが聴きたくなるとこのビデオをひっぱりだす。
‘バイオリン協奏曲5番’は名手メニューヒンとカラヤン(ウィーン交響楽団)が共演したもの。いつもメニューヒンのバイオリンに聴き惚れている。偉大なバイオリニストと同時代を生きたかった!
ピレシュ、アックス&ベルリンフィルの‘ピアノ協奏曲9番’もすばらしい演奏。いつかピレシュの演奏会を聴きにいこうと思っている。また、ペライアとアバド指揮ベルリンフィルの‘20番’にも心が揺すぶられる。
05年にあった音楽番組‘癒しのモーツァルト’に選ばれた20曲は拙ブログ05/2/6で紹介した。
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東博本館で恒例となった干支にちなんだ美術品を披露する新春特別展を毎年楽しくみている。今年は‘寅之巻’(1/2~1/31)。チラシに載っている円山応挙の虎が展示されるのは06年8月以来だから3年半ぶりの対面。前回同様とても惹きつけられたので、今日は応挙が描いた虎の絵をいくつか集めてみた。
★‘虎図’(東博):上の画像
★‘水呑みの虎’(金刀比羅宮表書院):真ん中
★‘群獣図屏風’(三の丸尚蔵館):下
★‘遊虎図’(金刀比羅宮表書院):拙ブログ07/7/12
★‘猛虎図’(個人蔵):08/7/12
★‘旭日猛虎図’(三の丸尚蔵館):09/10/11
6点のなかで最も凄みがあるのが‘水呑みの虎’。が、‘そんなに怖い虎にはみえないよ、猫が水をぺろぺろ呑んでいるのと変わりないよ’という声がすぐどこからともなく聞こえてきそう。ハイ、その通りでありまーす。応挙や芦雪の虎はみな猫みたいでちっとも怖くないのだが、しいて猛々しい虎を思わせるのをあげてみるとこの虎かなという程度。
同じ金刀比羅宮にある‘遊虎図’とか皇室の名宝展に展示された‘旭日猛虎図’はまさに人形の‘張子の虎’。‘やい、トラッキー、首を振ってるだけでは怖くないぞ、口でも開けて吼えてみろ’とついからかいたくなる。
ペットを飼う趣味はないが、‘一日預かってみない!?’といわれたら、どれにしよう?おもしろそうなのは個人蔵の絵に描かれている尻尾を上に立てた虎かな。これなら猫感覚でつきあえそう。
どの虎をみても、目の描き方はよく似ている。だから、虎になるか猫のままかはポーズのとりかた次第。虎らしい姿で描かれているのが‘群獣図’(右隻)の虎。三の丸尚蔵館は今年この屏風は平常展示しないといけないだろう。ここの学芸員の方に是非聞いてもらいたい話がある。
それは美術品のコレボレーション。展覧会に足を運んでいると、同時期にいくつかの美術館で展示している作品が響き合っていることがある。こういう現象は事前に美術館同士で‘うちで○○月にこの絵を展示するから、おたくでもあの絵を展示しない。いいコラボになるよ!’と図ったために起きたことではないと思う。ふたをあけてみたら、たまたまつながっていただけのことだろう。
学芸員の方には常々自分たちが企画する展示品をほかの美術館で公開された作品と意図的に響き合わせてもらいたいと思っている。具体的な話をすると、昨年9月から12月にかけて、MIHO MUSEUMで若冲の‘象と鯨図屏風’(09/10/6)が公開された。そして、今年静岡県美(4/10~5/16)と千葉市美(5/22~6/27)で行われる‘若冲アナザーワールド’にもまた展示される。
このタイミングに合わせて、三の丸尚蔵館蔵の象が登場する‘群獣図’(09/12/25)を平常展に飾り、若冲の象と応挙の象をコラボさせて欲しいのである。また、下の虎は今年の干支だから虎をモチーフにしたものなら一年中響き合う。
作品の展示空間を自館だけにとどまらせず、館の外にまで広げてみれば、絵の魅力、もっている力をもっと美術ファンに伝えることができるのではなかろうか。
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やきものがお好きなJoyceさんから今、松屋銀座で行われている‘川喜田半泥子展’(12/30~1/18)はお奨めですといわれたので、急遽出かけることにした。
このやきもの展は横浜そごう(2/11~3/22)で見る予定だったので今年前半のプレビューにはこちらを載せておいた。銀座でみるか地元の横浜でみるか迷っていたが、
Joyceさんに背中を押してもらった格好になった。
川喜田半泥子(かわきたはんでいし、1878~1963)はプロの陶芸家ではなく、趣味の延長としてやきものをやった人。正業は実業家。江戸時代から江戸大伝馬町で木綿を商った伊勢商人、川喜田商店の十六代で、百五銀行の頭取を41歳から66歳まで務めた。世の中には数はごく少ないが仕事を人前以上にこなし、余技でとりくんでいることにもプロ顔負けの腕前を発揮する人がいる。半泥子もこういう才人グループの一人といっていい。
今回の回顧展では半泥子が私財を投じてつくった石水会館(三重県津市)所蔵の陶芸、書画などを中心に220点あまりが展示してある。陶芸の作域は唐津、信楽、志野、織部、井戸手、粉引、刷毛目、楽焼、伊賀と広く、これまでみたのはこうした作品のほんの一部であることがわかった。
会場を進むうちにこれはすごい陶芸家に出会ったなという思いが大きくなり、その粋な色合いと自在に生み出された形を夢中になってみた。上は入ってすぐ目に飛び込んできた‘粉引茶碗 銘 雪の曙’。白とうすピンクが溶け合う洒落た色合いと荒っぽい口縁の形が心を揺すぶる。
半泥子は‘昭和の光悦’と呼ばれているが、この1点でそれを予感させた。織部には目がないから、5点あった黒の茶碗に体がすぐ寄っていく。とくに惹きつけられたのが真ん中の‘黒織部茶碗 銘 富貴’。胴のへこみの上下にできた格子模様とそこにかかる白がおかきの表面にもりあがる白砂糖みたいでわけもなく魅せられる。
織部がくれば志野。これも名品が揃っている。下は有名な‘志野茶碗 銘 赤不動’(東近美)。これまで半泥子のやきものをみたのはこれと出光美が所蔵する絵唐津の丸十文茶碗を写したものなど片手くらいしかない。この赤不動はじっとみているといろんなことを思い起こさせる。
朱色が上から飛び散る感じがあの仏画の赤不動を連想させ、左の金継ぎは光悦の‘赤楽茶碗 銘 雪峯’(畠山記念美)をイメージさせる。また、鼠志野茶碗‘銘 かま湯’にもぐっときた。そして、半泥子の豊かな感性を強く見せつけるのが‘銘 寝物語’などの片身替茶碗や‘灰釉茶碗 銘 由布’の幻想的な景色。
今年のやきもの鑑賞は満足度200%の川喜田半泥子で幕をあけた。
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現在、東博で開催中の‘国宝 土偶展’(12/15~2/21)を楽しんだ。早くみたい気持ちはあったが、年間パスポートを更新し特別展を6回鑑賞できる特典の最初にしようと考えて、年が明けてからの出動となった。
これは昨年の秋、イギリスの大英博物館で行われた展覧会の帰国記念展。土偶の
国宝3点が一緒に並ぶなんてことはこの先何十年もないだろうから、絶対に見逃せない!
一般の日本美術の展覧会と違うのは会場に外国人が多いこと。おそらく、大英博物館で開催されたことが英文のイベント情報誌や東京観光案内などで紹介されているのだろう。
人の形をした素焼きの土偶は縄文時代のはじめ(1万3千年前)からみられ、早期(前7,000~前4,000年)、中期(前3,000~前2,000年)、後期(前2,000~前1,000年)、晩期(前1,000~前400年)にかけて、その形を変えながらつくられてきた。これまでに発見されたのは約17,000~18,000点。
今回展示されているのはその中から選ばれたとびっきり形がよく、インパクトがあるもの。土偶のほかにも器体の表面や取っ手に顔の形が彫られた土器や仮面などもあり、出展数は全部で67点。縄文の‘土偶ワールド’にこれだけ浸れたのはじめて。長い美術鑑賞のなかでエポック的な体験となった。
最もみたかったのが上の国宝‘縄文のヴィーナス’(縄文時代中期・前3,000~
前2,000年)。週間‘日本の国宝’(02年、朝日新聞社)を購入したとき、この土偶の存在を知った。86年に茅野市の八ヶ岳山麓の遺跡で発見され、95年国宝に指定された。穴のなかに完全な形で横たわっていたという。
視線が集中するのがなんといっても豊満な下半身。後ろにまわってみるとそのデカ尻にくらくらとなった。そして、図版では色がよくでてないが、人肌のような滑らかな表面にもぐっとくる。
インドにおいて官能的で曲線美を誇る女性の彫像が古代からつくられたのは女性は豊饒多産のシンボルであり、女性像は成長、繁栄を象徴し吉祥なものだったから。日本の縄文時代に生きた人々も同じことを考えていたにちがいない。
真ん中はこの展覧会で知った国宝‘中空土偶’(後期・前2,000~前1,000年)。出土したのは函館市。発見されたのはヴィーナスより早く75年、つい2年前の07年に国宝になった。‘頑固そうで不敵な面構えをした男だな!’というのが初対面の印象。肩と足に施された羽状縄文などの文様をみて、モンゴル相撲の選手を連想した。
もうひとつの国宝に成り立てほやほやの‘合掌土偶’(後期・前2,000~前1,000年)は昨年、東博でみたからまだ記憶に新しいところ。これは八戸で出土している。太くつながった眉毛と大きく口を開け、座った体の真ん中で手を合わす姿が目に焼きつく。
下は東博本館2階でよくお目にかかる‘遮光器土偶’(晩期・前1,000~前400年)。これは見慣れているせいかその愛嬌のある顔にすごく親しみを覚える。その気になればすぐにでも人気のゆるキャラになれる。
ほかで印象に残ったのは三角形の板盤を顔にくっつけたような‘仮面土偶’(後期)と顔の輪郭がハート形の‘ハート形土偶’(後期)。いずれも重文。
土偶がこれほど強いインパクトをもちバラエティに富んだものとは思わなかった。いい展覧会にめぐり合った。一生の思い出になる。
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好きな洋画家、絹谷幸二の回顧展(1/5~1/19)をみるため、初日東芸大美へ出かけた。入り口でぐるっとパス券を買うつもりだったが、窓口がクローズ。変だなと思いながら3階へ上がったら、入場は無料だという。
こういう退官記念展ははじめて体験するのだが、いつも無料なの?過去2回みたデパートでの回顧展と同じくらいの数50点が1000円を払わずにみれるのだから、申し訳ないような有難いような。
昔から惹かれていた絹谷幸二なのに作品をまとまった形でみたのはたったの2回しかないから、展示してあった若い頃の作品には興味深々。東芸大の教授を65歳の定年でやめるにあたって、こうした作品をずらっと並べるのは、画家本人には特別の感慨があるかもしれないが、作品鑑賞の少ない熱烈なファンにとっても貴重な体験である。
‘アンセルモ氏の肖像’(73年)の前では、‘これが最年少で安井賞をとった絵なのか!’としばらくみていた。東近美に4年通ったが、この絵と‘アンジェラと蒼い空Ⅱ’
(76年)は見た記憶がない。どうして展示されないのだろう?
絹谷の絵はイタリアへ留学しフレスコ画に出会ってから、画風ががらっと明るくなるが、こうした絵はだいぶ目が慣れてくるとともに、ますますその赤を多用する色合いに惹き込まれていく。
上の絵は日本橋三越であった‘イタリアを描く’(拙ブログ06/5/29)に展示されていた‘薔薇の妖精’(06年)。ゴールドの地に映える赤や紫や黄色の薔薇にアドレナリンがどっとでてくる。絹谷にとって女性は花、それを裸婦の前にわざわざ‘花’という文字を描いて表現するところが絹谷流。
花と同様、多く描かれるモチーフが富士山。真ん中は昨年の回顧展(09/2/4)で日本橋高島屋には出品されなかった‘富嶽龍神飛翔’(08年、松村謙三コレクション)。大作で、200号を縦に2枚ならべている。現在、絹谷の絵は森本草介とともに一番高く、号100万円。単純に計算すると、この大作のお値段は4億円!
滝を登ってきた鯉が龍になり富士山のまわりをぐるぐる回っている。画面の大部分を占める赤は見る者の気分を相当ハイにさせる。神々しい富士山と迫力ある赤い龍で自然の生命力を賛歌してるようにみえる。
下の‘蒼天の疾走・相馬野馬追’は08年から描いた‘祭り’シリーズの一枚。これはお気に入りの絵で、野馬が疾走している感じが実にうまく描かれている。絹谷は‘動’の画家だから、祭りという画題には表現意欲をおおいに刺激されるにちがいない。
たまたま画家本人による作品解説がある時間帯に居合わせたのでそれを楽しく聞き、ついでに会場で先行販売されていた‘生命を染める画家 絹谷幸二’(石川健次著 アートビレッジ)を購入した。サインをしてもらったのはいうまでもない。
尚、作品解説は1/10(日)、16(土)、17(日)にも2時から行われる。大学の先生だからやはり、話がおもしろい。5日は元検事総長とか農水省の元事務次官といった人も熱心に聞いていた。
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浮世絵のなかに武者絵というのがある。この名手が歌川国芳。東博の浮世絵コーナーに毎度登場することはないが、ずっと通っていると国芳の絵プラス国貞のものにもでくわすから、年間を通すとそこそこの武者絵を体験することができる。
武者絵は風景画や美人画と違って万人受けする絵ではないが、好きだという人には楽しめること請け合いの展覧会が今、ららぽーと豊洲にあるUKIYO-e TOKYO(平木コレクション)で行われている。
博覧亭コレクションを公開する特別展‘江戸の英雄’(前期1/3~1/31、後期2/5~2/28)には国芳、国貞、月岡芳年、豊原国周、河鍋暁斎が描いたカッコいい勇者や英雄の絵が全部で150点でてくる。国芳の大きな回顧展にでも遭遇しないかぎり、武者絵をまとまってみれることはないから貴重な機会である。
前期の収穫は国貞のいい武者絵に出会ったこと。9点のうちとくに惹き込まれたのが上の‘大工六三(鯉つかみ)’と真ん中の‘豊国揮毫奇術競 賊首兒雷也(じらいや)’。国貞はときどきすごく感動する絵に遭遇する。太田記念美でも鮮やかな色使いの役者絵に魅せられたばかり。
この大きな鯉を頭の上に持ち上げる絵もすばらしい!これは歌舞伎の演目のPR用に描かれたもの。鯉と格闘しているのは大工の六三郎。江戸っ子が憧れたカッコいい男、いわゆる侠客(伊達男、勇みとも呼ばれる)、旗本奴、町奴、火消し、鳶の者、大工。
蝦蟇の妖術を使って賊と戦う兒雷也も読本の世界で人気の高かった架空の英雄。後に九代目市川団十郎となる川原崎権十郎が演じる兒雷也は派手な衣裳に身をくるみ見得を切っている。
目が点になるのが足元で繰り広げられるかなりシュールな描写。右端にある懐紙が次々と蛙の折り紙になり、左のほうへ進んで行く。うむ?誰かの絵に似てない?そう、エッシャーの‘爬虫類’!(拙ブログ09/10/15)。国貞とエッシャーの絵がコラボしていたとは。
国芳は16点。出世作の‘通俗水滸伝豪傑百八人之一個’から6点、日本のヒーローを題材にした‘本朝水滸伝’から4点。下は‘本朝水滸伝’に描かれた弁慶が頭を丸める前の鬼若丸。気性の激しい鬼若丸は敵の一党を相手に大暴れしている。
後期に国芳の追っかけ作品‘誠忠義士肖像’が12点でてくるので、またでかけるつもり。
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太田記念美の開館30周年記念特別展‘江戸の彩’(1/3~2/24)をみてきた。前期(1/3~1/26)と後期(1/30~2/24)で作品(70点くらい)は全部入れ替わる。前期は通期展示が9点あるから81点。
高橋コレクションや平木コレクションと同様、春信、清長、歌麿、写楽、北斎、広重、国芳のような人気絵師の有名な絵だけでなく、こうした絵師に比べすこし知名度の低い絵師のものに目を惹くものが多い。これが一級のコレクションの証。
上は石川豊信の‘二代目瀬川吉次の石橋’。これは25周年のときもでていた。獅子頭をもって踊るまんまる顔の歌舞伎役者につられてこちらも手を振り、足をあげたくなる。衣裳の鮮やかな朱色に目を奪われすぎると頭の上で舞っている2匹の蝶を見逃してしまう。
今年の干支、寅にちなんだ絵もちゃんとあるからご安心を。見てのお楽しみ!今回の収穫は真ん中の勝川春章の役者絵‘二代目山下金作の虎、二代目嵐三五郎の朝ひな’。なんとも見栄えのする絵。肉筆美人画で春章の右にでるものはいないが、画業前半に描いた役者絵にもおおいに魅了される。
肉筆画は通期で48点。前期に目を楽しませてくれる風俗画が2点ある。宮川長亀の‘吉原格子先の図’と宮川一笑の‘楼上遊宴図’。遊郭の様子や宴会風景を描いた風俗画でいつも熱心にみてしまうのが女や男が着ている衣裳の文様。ハットするような洒落た模様と色合い、この時代の人たちのセンスのよさにいつも感服させられる。
お気に入りの春信は3点。そのなかで‘水仙花’がユーモラス。どこが?とにかく笑える、でもこたつの上にいる猫は笑ってない!
浮世絵の楽しみのひとつがワイド画面(3枚続)いっぱいに描かれた群像美人画。前期に2点でている。清長の‘大川端楼上の月見’と勝川春湖の‘谷中散歩’。ともにすばらしく、時間があればいつまでもみていたい気分。後期には春湖の‘夕立’が登場する。
歌麿は追っかけ作品、‘北国五色墨・てっぽう’が残念ながら展示されてなかった。25年のとき出なかったからこの度は期待したのだが、、やはりお宝中のお宝はどこの美術館もなかなか展示しない。あと何年待てば会えることやら?
風景画は傑作が目白押し。下は国芳の‘東都富士見三十六景 新大はし橋下の眺望’。橋全体をみせず、橋脚だけを大きく描き、その間に裸の船頭が乗った船、そして遠くに富士山を配置する構成は並みの絵師ではなかなか思いつかない。青のグラデーションで表現された川の水とこの意表をつく構成に口あんぐりでながめていた。
後期も見逃せない。もう一回楽しめる。
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浮世絵鑑賞で現在、頭の中にある美術館は東博、ららぽーと豊洲のUKIYO-e TOKYO(平木コレクション)、太田記念美、江戸東博、そして熱海にあるMOA美。
常時通っているのは東博。ここの平常展は1ヶ月ちょっとで展示替えになるので、結構忙しい。UKIYO-e TOKYOもHPを定点チェックし、関心のあるものは出かけることにしている。3日からはじまった‘江戸の英雄’は近々出動。
太田と江戸東博はここ数年いい海外からの里帰り展を連発し、いまや浮世絵展覧会におけるメッカ的な存在。とにかく、この2館の企画展はものすごく楽しみ。ただ、太田の館蔵の企画展については靴を脱いだり、2階へあがったりがおっくうなのでパスすることが多い。
太田に較べると東博とららぽーとはさっとみれて、サプライズがあるのでつい足が向かう。浮世絵を頻繁に鑑賞するとなると作品の質はいうまでもないのだが、こういう気軽で開放性のある展示空間というのも大きな動機付けになる。
MOA美は場所的に東京、横浜から遠いからそう度々訪問できないが、ここの浮世絵コレクションは一級品。ときどき浮世絵展を開催している。
今年は岩佐又兵衛の‘浄瑠璃物語絵巻’の全巻公開とともに北斎の‘富嶽三十六景’、広重の‘東海道五十三次之内(保永堂版)’も全部みせる‘又兵衛・北斎・広重展’(5/14~6/7)がある。5年待っている‘山中常盤物語絵巻’はまだ機が熟さないのか、また先に延びた。残念!
MOAは浮世絵の専門館ではないので数では東博や平木や太田のコレクションには及ばないが、絵力があり摺りのいいものがずらっと揃っている。図録に載っている153点のうち9割までみたのだが、次の3点はなかなか登場してくれない。
★春信の‘清原元輔(三十六歌仙のうち)’(上の画像)
★広重の‘犬目峠春景・猿渡冬景図’(真ん中)
★広重の‘東都洲崎朝景・高輪夜景図’(下)
三十六歌仙の作歌を描いたシリーズの26番目にあたる‘清原元輔’は東博でも見たことがなく、02年の回顧展にも展示されなかった。広重の2点は肉筆画で‘天童広重’といわれているもの。
今は夢が早く叶うことをひたすら祈るばかり。帆を高くあげていれば、いつもすがっているミューズがこの熱い気持ちに応えてくれるだろう。
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日本絵画のうち絵巻、仏画、地獄絵、水墨画、狩野派、琳派、江戸絵画については、画集に載っている有名な絵の鑑賞が幸運にもだいぶすすみ、今は一段落といったところ。
で、楽しみの大半を占めているのは浮世絵の企画展。昨年はギリシャのマノスコレクション、慶応の高橋コレクション、平木コレクションを存分に楽しんだ。
さて、今年はどうだろうか。前半は手元の情報によると太田の開館30周年を記念する所蔵名品展と板橋区立美の主催するイタリア・ボローニャにあるコレクションのみ。ボローニャからやってくる浮世絵はどの程度の質?浮世絵本にはこれに関する情報はないので心のなかは期待6割、リスク4割。
後半はサントリー美で‘歌麿・写楽展’(11/3~12/19)があるが、毎年のように開催された海外にある摺りのいい浮世絵コレクションの里帰り展はどうやらなさそう。
過去、メトロポリタン、ホノルル、ボストン、ギメ、ミネアポリス、ヴィクトリア&アルバート、ベルギーロイヤル、といった一級のコレクションが公開されたが、ひとつビッグなのが残っている。
それは大英博物館。ここにはなんとしても見たい春信、歌麿のすばらしい美人画がある。東博、江戸東博、千葉市美、太田、どこでもいいから、大英博物館の浮世絵名品展が実現することを夢見ている。
大英博物館の名品との出会いが大きな夢としたら、東博平常展で待っている作品は中くらいの夢。今年登場してくれることを密に願っているのは次の3点。
★春信の‘三都太夫揃’(上の画像)
★春信の‘風流やつし七小町 そとは’(真ん中)
★歌麿の‘高名美人六歌撰・難波屋おきた’(下)
これに会えると春信、歌麿を東博での重点鑑賞絵師から外せるのだが。果たして?
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ここ数年、過去収録したクラシック音楽のビデオを再生させたなかったので、すごく新鮮。
元旦から聴いているのはブラームス
(1833~1897)。
クラシックの魅力にとりつかれのはマーラーの交響曲を聴いてから。1番の巨人から9番までショルティ指揮(シカゴ響)やアバド指揮の演奏などいろいろなCDを揃え、夢中になって聴いた。
そのCDは今は一枚もない。本でも音楽でももともとコレクションの趣味がないから、自宅でCDを聴かなくなりNHKBS2のクラシック番組をビデオ収録したものを楽しむようになってからは皆処分した。
数年前まではマーラーはよく聴いたが、それと同じくらい好きなのがブラームス。お気に入りの曲は、
★交響曲1番、2番、4番
★ハンガリー舞曲1番、5番
★ハイドンの主題による変奏曲
★大学祝典序曲
★バイオリン協奏曲二長調
★バイオリンソナタ1番、2番、3番
因みに、My好きな交響曲のベスト10は、
1位 ブラームスの‘交響曲1番’
2位 マーラーの‘交響曲5番’
3位 マーラーの‘交響曲2番・復活’
4位 ブラームスの‘交響曲4番’
5位 モーツァルトの‘交響曲41番ジュピター’
6位 ベートーベンの‘交響曲7番’
7位 チャイコフスキーの‘交響曲5番’
8位 モーツァルトの‘交響曲40番’
9位 メンゼルスゾーンの‘交響曲5番・宗教改革’
10位 サン=サーンスの‘交響曲3番’
ブラームスの1番はもう数えきれないくらい聴いており、これまでいろんな指揮者の演奏にであった。ベストはベーム指揮ウィーンフィル(75年東京公演)とアルノンクール指揮ベルリンフィル(96年ジルヴェスターコンサート)。
ともに叙情的で重厚な響きがすばらしく、腹の底から感激した。晩年のベームが指揮したウィ-ンフィルの名演奏を聴くたびに、当時一緒に仕事をしていてこの演奏を生で聴いた女の子が涙がとまらなかったと言っていたのを思い出す。
天才パールマンがバレンボエムのピアノ伴奏で演奏する‘バイオリンソナタ1番’を久しぶりに聴き、とてもいい気分。これからはこのソナタをもっと楽しもうと思う。
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今年も拙ブログをよろしくお願いいたします。恒例となった前半に開催される展覧会のプレビューを現時点で入手した情報をもとに整理してみました。
ここ数年、出かける企画展は美術館のブランド力と展示内容の両面から精選しているので、回数は多くなく、出動のペースは月2回くらい。皆様と感動を共有できる名品とできるだけ多く遭遇することを心から願ってます。
★西洋美術
1/5~1/19 絹谷幸二展 東芸大美
1/16~4/4 ボルゲーゼ美展 東京都美
1/20~4/5 ルノワール展 国立新美
1/26~3/28 マリー・ローランサン展 川村記念美
3/6~5/9 レンピッカ展 Bunkamura
3/20~6/13 ポンペイ展 横浜美
4/6~7/25 マネとモダン・パリ 三菱一号館美
4/8~5/16 ピカソと20世紀美の巨匠 横浜そごう
4/17~6/20 ボストン美展 ゴッホ晩年 森アーツセンターギャラリー
4/24~6/20 ロトチェンコ+ステパーノフ展 東京都庭園美
4/28~6/21 ルーシー・リー展 国立新美
5/18~7/11 ストラスブール美展 Bunkamura
5/26~8/16 オルセー美展 ポスト印象派 国立新美
6/26~9/5 ハンス・コパー展 汐留ミュージアム
★日本美術
1/3~2/24 開館30周年記念展 太田記念美
1/3~2/28 江戸の英雄 UKIYO-e TOKYO
1/9~2/29 陶磁器ふたつの愉楽 根津美
1/20~2/1 竹久夢二展 日本橋三越
2/2~4/11 チンギス・ハーン展 江戸東博
2/6~3/28 大観と栖鳳展 山種美
2/6~3/22 茶道具名品展 静嘉堂文庫
2/11~3/22 川喜田半泥子展 横浜そごう
2/23~3/22 長谷川等伯展 東博
2/27~3/28 ボローニャ秘蔵浮世絵名品展 板橋区美
3/2~4/11 小野竹喬展 東近美
3/13~4/18 胸中の山水・魂の書 根津美
3/13~4/18 安田靫彦展 ニューオータニ美
3/20~5/9 国芳展 府中市美
4/1~6/27 朝鮮陶磁展 日本民藝館
4/3~6/10 大遣唐使展 奈良博
4/3~5/23 奥村土牛展 山種美
4/20~6/6 細川家の至宝 永青文庫展 東博
4/24~5/23 国宝燕子花図屏風 根津美
5/22~6/27 若冲アナザーワールド 千葉市美
6/5~7/4 能面の心・装束の華 根津美
6/12~7/25 国立能楽堂コレクション展 サントリー美
(注目の展覧会)
・西洋絵画で一番の楽しみは‘ルノワール’と‘マネとモダン・パリ’。どちらも追っかけ作品が登場するのでワクワク気分で開幕を待っている。
・‘オルセー美展’のチラシにはすごい絵が並んでいる。アンリ・ルソーの‘蛇使いの女’、セザンヌの‘水浴の男たち’、ゴーギャンの‘タヒチの女たち’ 、ゴッホの‘自画像’。日本にいてこんな名画がみれるのだからたまらない。
・日本美術で期待値が高いのが‘長谷川等伯展’。この回顧展を長年待っていた。多くの日本美術ファンが同じ気持ちではないだろうか。日本にある等伯作品はほとんど集めてくるというし、海外に流出したものもおそらく何点かでてくるだろう。
・静岡県美(4/10~5/16)と千葉市美で開催される若冲展も待ち遠しい。MIHO MUSEUMで飾られた‘象と鯨図’も登場するから、MIHOにいけなかった関東圏の若冲ファンが大勢両美術館に押し寄せることだろう。プラスαが多くあることを祈っている。
・ボストン美蔵の‘吉備大臣入唐絵巻’が10年ぶりに里帰りする‘大遣唐使展’に心がはやる。ほかにも名品がずらっと揃う。まさに10年に一度クラスの大展覧会。
・浮世絵は太田記念美の開館30周年記念展がとても楽しみ。25周年のときより館蔵のいい作品をどっと展示してくれるような気がする。
・近代日本画は2度目の‘小野竹喬展’に期待。カラリスト、竹喬の絵を心から愛しているので、前回展示替えで見逃した作品のリカバリーが叶うと思うと嬉しくてたまらない。
今年の干支の寅にちなんだ絵は狩野山楽の‘龍虎図屏風’にした。この絵は昨年の妙心寺展に登場したから、まだ記憶に新しいところ。数多くある虎の絵のなかでこの虎が一番怖い。獰猛な虎を見事に描ききった山楽の筆力は本当にすごい。
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