4回目の若冲ワンダーランドも二重丸!
MIHO MUSEUMで開催中の‘若冲ワンダーランド’の6期(11/25~12/13)を見てきた。若冲作品は新規24点とすでにみている9点を入れて全部で33点。
3回目のとき展示が変更になっていた‘蔬菜図押絵貼屏風’がどういうわけかまたダメだった。12/1から登場するはずだったのに、展示リストは11/10~11/29となっている。これは個人が所蔵するものだが、ころころ変わる理由は?
お目当ての1点にふられてしまったが、上の‘白鶴図’が予想以上にいい絵だったので満足度はいつものように大きい。若冲が模写した原画の文正作‘鳴鶴図’は以前根津美であった展覧会でみたことがあり、そのとき鶴の羽の描き方が若冲の描くふぐ刺しのような羽とよく似ているなと直感的に思った(拙ブログ07/8/23)。
若冲流のアレンジで目を奪われるのが右の鶴の下にみえる荒々しい波濤の描写と立っている鶴の足もとに咲いている白梅の小さな黄色の点々。粘着性を強く感じさせる波頭のフォルムは‘旭日鳳凰図’(09/10/10)や今回展示の目玉になっている‘象と鯨図屏風’(09/10/6)にも描かれている。
また、ミクロに美が宿る花弁の精緻な描写はこの絵ではまだ少ししかないが、画面いっぱいに花が咲き誇るあの‘動植綵絵’でフルスロットル状態になる。
‘枯木鷲猿図’は‘白鶴図’の羽の残像に影響されて鷲の羽ばかりに注目していると、あとで‘猿がいた?’になる。まわりの岩と色がかさなっているのでぼやっとしていると気がつかないが、耳を手でふさいでいる猿が右下にいる。
この絵でハットさせられるのは鷲の羽と枯れ葉の対比。鷲の羽がすごく滑らかで透明感があるのに対し、大きくカーブする木の太い幹にからみついている枯れた葉っぱは対照的にざらざらして、今にもぽろっと一部が欠けてしまいそうな感じ。
初見の絵で足がとまったのは真ん中の‘双鶴・霊亀図’。とくに惹き込まれるのが甲羅を正面にむけて鋭い目でみている亀。この対象の正面性が若冲の描く鳥や生き物のひとつの特徴。これは若冲の絵の代名詞になっている鶏に多くみられる。
例えば、今回展示してある‘鶏図押絵貼屏風’(六曲一双)にはマンガチックでシールを貼ったような頭をした鶏が何羽もいる。ここでも2羽いる鶴のうち左のまっすぐこちらを向いている鶴は頭が真上から意匠化して描かれている。
下のモザイク画‘白象群獣図’をみるのは4年ぶり。目に焼きつけれらるのは真ん中の白象とその左にいる熊。象のまつげと熊の口のまわりの髭の白さが印象的。白象の大きな耳とか胸のあたりは‘象と鯨図’の象と本当によく似ている。
象の鼻に乗っている栗鼠とか熊の上にいる手長猿とか下で体を横にしているが顔は真正面をみているいたちは、体の輪郭ははっきりとらえられないが、プライスコレクションの‘鳥獣花木図’(10/8)にでてくる鳥獣とはちがい、その目には生気があるし、若冲の心が200%伝わってくる。
信楽に4回でかけたので、若冲の出品作で見たかったものはほぼ鑑賞することができた。これで若冲は済みマークをつけられる。来年5月、千葉市美で開催される若冲展は‘象と鯨図’との再会とプラスαとの遭遇を楽しみにして開幕を待ちたい。
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コメント
やっと、書き込むことができました。
私も土曜日、ミホに出かけてきました。
6期のうち4回ですか。私は、何とか1回は行けました。
確かに鶴の羽はフグ刺しですね。
若冲作品は個人蔵が多いってことを実感しました。
投稿: 一村雨 | 2009.12.07 04:27
to 一村雨さん
2時にMIHO着ですから、すれちがいでしたね。
会場の照明が暗すぎたので見づらいところがありま
したが、作品のよさがみなチャラにしてくれます。
象と鯨をまたじっくりみましたが、本当に見ごたえ
のあるいい絵ですね。来年、千葉市美で再会するの
が楽しみです。
投稿: いづつや | 2009.12.07 14:49