3回目の高橋誠一郎浮世絵コレクション名品展!
今日まで三井記念美で行われていた‘高橋誠一郎浮世絵コレクション名品展’(後期
11/3~11/23)を楽しんだ。後期にもいい絵がいくつも展示されているから、1点々に心が躍る。
お目当ての春信は9点。いずれも摺りの状態がとてもいい。とにかく日本にある春信はこの高橋コレクションが一番。とくに魅了されたのが季節柄‘萩’(上の画像)と‘風俗四季哥仙 仲秋’。‘萩’の草地の緑が目にしみる。また、‘双六のけんか’の仰向けにひっくり返った男の子につかみかかろうとしてとめられている真ん中の子の強そうなこと。何が気に入らなかったのだろうか?
今回の歌麿は9点。会期中全部で27点みせてもらった。初見が多くあったから大満足。こういういい歌麿をみると、もっと歌麿ワールドに浸りたくなる。楽しい気分にさせてくれたのは真ん中の‘俗二云ばくれん’と‘’高名美人六家撰 辰己路考。一度みたことのある‘ばくれん’は色の状態がダメだったから、画集に乗っているこの高橋コレクションとの対面を心待ちにしていた。
元気印の若い女が左手にゆでた蟹をもち、ギアマン製のグラスで酒をぐっと飲んでいる。その生気あふれる姿に思わず見とれてしまう。歌麿の次のターゲットのことを少し。来年開館30周年を迎える太田記念美は1月これを記念して館蔵品の特別展を開催する。そこに追っかけ作品‘北国五色墨 てっぽう’が展示されるのではないかと密に期待している。果たして?
美人画では華やかな衣装の文様が目にとびこんでくる渓斎英泉作、‘浮世美人見立三曲’に惹き込まれた。こういう3枚続のいい絵はなかなかお目にかかれない。流石という感じ。
風景画でじっくり見たのは歌川国貞の‘二見浦曙の図’と広重の‘本朝名所 相州江ノ島岩屋之図’(下)と‘阿波鳴門之風景’。
‘江ノ島岩屋’で目が釘付けになるのは浜辺に打ち寄せる大きな波。巨大なお化け波みたいで道を歩く人を上から呑み込みそうな気配。この大胆にデフォルメされた波頭を挟んで立っている松の枝がこれまた極端に折れ曲がっている。遠景にみえる帆掛け船は穏やかに航行しているのに、波打ち際はまことに荒々しい。
今年の浮世絵鑑賞は終わりに近づいているが、最後に楽しみな展覧会が一つ待ち受けている。それは渋谷のたばこと塩の博物館で21日からはじまった‘平木浮世絵コレクション展’(前期11/21~12/13、後期12/15~1/11)。近々でかけるつもり。
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