皇室の名宝展2期 その二 正倉院宝物にうっとり!
正倉院の宝物が恒例の奈良博の‘正倉院展’ではなくて、東博で開催される特別展でみられるのはとても有難い。正倉院展はまだ1度しか体験してないが、ここで毎年お宝中のお宝がでるわけではない。今回出ているもののなかには誰の目にもトップランクのお宝とわかるものがいくつもあるのだから、二重の喜びである。
絵画を見た後目指したのが上の‘螺鈿紫檀阮咸’(らでんしたんのげんかん)。阮咸は琵琶と同類の楽器で、これは背面。チラシでこれを目にして以来、見たくてしょうがなかった。視線が集まるのが飾り紐をくわえている二羽の鸚鵡。ヤコウガイの輝きを腰をかがめたりして楽しむとともに、瑇瑁(たいまい、べっこうのこと)の赤や琥珀の艶やかな色をうっとり眺めていた。
螺鈿の名品がもうふたつある。真ん中の‘平螺鈿背円鏡’と下の‘紺玉帯’を収納する‘螺鈿箱’。‘平螺鈿’は背円いっぱいに散りばめられたヤコウガイに目がくらくらする。これほど多くのヤコウガイの小片が集められた螺鈿は見たことがない。まったくすばらしい!光にあたって輝くうすピンクや緑を体全身で感じようとかがんで下から見上げてみた。
ヤコウガイの白に浮き上がるのが目の覚める深紅の琥珀。文様は花びらだけのようにみえるが、よくみると上と真ん中あたりに二羽の鳥が、中央近くに獅子、そして一番下のところに犀がおり、いずれも左右対称に配置されている。また、文様と文様の間の黒地に散らされた青や緑のトルコ石の点々が心に響く。
正倉院に極上の螺鈿細工があることは手元にある週刊朝日の‘皇室の名宝’(99年)で承知していたが、本物を見ると心が蕩けそうになる。‘螺鈿紫檀’と‘平螺鈿’を目のなかにおさめたから、次の追っかけは‘螺鈿紫檀五弦琵琶’(北倉)と‘瑇瑁螺鈿八角箱’(中倉)。正倉院展の時期には出品作を定点チェックしようと思う。
‘紺玉帯’はデザインがあまりに現代的なので、思わず‘自分のベルトと取り替えてくれない?’と言いたくなった。目を惹くのが四角形や蒲鉾形のラピスラズリの飾り。出来た当時は青色がそれはそれは輝いていたことだろう。
足をとめてじっくりみたのは他にもある。入場してすぐの混雑が半端じゃあないところにあった‘人物埴輪 女子頭部’。これは10年前にも出ていたから馴染み深い。ペルシャ風の水瓶、‘漆胡瓶’はガチョウの嘴みたいな注ぎ口に目をとられて、胴の文様を見るのがついつい疎かになってしまった。
前期は2回みたので、もう1回出かけるかもしれない。どの時間帯に出動するか思案中。
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