その十二 再会したタージ・マハルは霧につつまれていた!
インド観光の最大のハイライトはアグラにある純白の廟堂、タージ・マハル。ホテルを早くでて、7時半ごろから見学がはじまった。
★タージ・マハルの全景(上の画像)
★廟堂への入り口(上から2番目)
★壁面を飾るアーチと花模様装飾(下から2番目)
★シャー・ジャハーンとムムターズ・マハルの棺(下)
再会したタージ・マハルが霧につつまれていたのはまったくの想定外。Bさんによると、この時期朝方は霧がでるという。前来たのは1月末の午後だったから、青い空に美しく映える白のタージ・マハルに体が震えた。だが、今回は霧のため残念ながら旅行のパンフレットに載っているようなタージ・マハルの光景ではなかったので、しょっぱなの感激度は幾分減じられた。
帰りの時間までには霧は晴れるだろと思っていたが、状況は変わらなかった。霧がかかっているといっても、この大きな廟堂に近づいていけば、巨大なドームも壁面のアーチも花や唐草模様の装飾も皆クリアカットにみえるから、その調和のとれた壮麗な様式美が徐々に心をとりこにする。
靴をぬがないでビニールを被せて、まずムガール王朝5代皇帝、シャー・ジャハーンと愛妃ムムターズ・マハルの棺を見に行った。前回は中での写真撮影はOKだったが、今はNG。双眼鏡でみようとすると、イギリス人男性が‘ここはダメだよ’と注意するので、‘これはカメラではないよ’と切り返したら、恐縮していた。手前にあるのが妃のもので、向こうの一段高いのがシャー・ジャハーン。でも、どちらもレプリカで本物は地下の墓室にある。
中にあるのは棺だけだから、ここの見学はあっさりと終わる。あとは外壁に施された花や幾何学的な文様、アーチ、コーランの主文を刻んだアラビア文字をじっくながめたり、外観をひきしめている4隅のミナレット(高さ42m)の近くにいって見上げたりした。
目を楽しませてくれるのが白大理石に色鮮やかな貴石を埋め込み文様を表現する象嵌細工。実に細かな装飾技法で翡翠、水晶、めのう、トルコ石など35種の石が使われており、これらの材料はこの装飾のために中国、ロシア、アラビアなどから集められた。
1983年、世界遺産に指定されたタージ・マハルはシャー・ジャハーン(在位1628~
58)が36歳で亡くなったムムターズ・マハルの霊廟として22年の歳月をかけ建設したもの。インド美術の代名詞みたいなムガール建築の最高傑作であるが、この建設に費やされた莫大な費用のため財政の破綻をまねき、帝国衰退の引き金になったといわれている。
高さ70mのこの壮大な霊廟をみているとやはり腹の底から感動する。前に広がる十字形の水路をもつ均整のとれた庭園を入れて撮る記念写真は一生の宝物である。2回もここへ来れた幸せを噛み締めながら次の目的地へ向かった。
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