その十 カジュラホのミトゥナ像にニヤニヤしっぱなし!
デリーの南東350kmのところにあるカジュラホは9~13世紀に中央インドに割拠していたチャンデラ朝の都として栄えた町。この王朝の954年から1035年のあいだに建てられヒンドゥー教寺院の壁面には女性像やミトゥナ像(男女の合体像)がびっちり彫られている。
その官能性、なまめかしさは強烈でサプライズの連続だが、あけっぴろげで生命力にあふれる表現なので、心がザワザワし心拍数が上がることもなく、顔は終始ニヤニヤ、ほろ酔い気分でみてまわった。
★カンダリア・マハデーヴァ寺院(上の画像)
★カンダリア・マハデーヴァ寺院本殿と前殿をつなぐ壁面の彫刻群(上から2番目)
★カンダリア・マハデーヴァ寺院のミトゥナ像(下から2番目)
★ラクシャマナ寺院壁面の足から棘をぬくアプサラ(下)
本殿の高さが30m以上あるカンダリア・マハデーヴァ寺院の壮麗な美しさに声を失う。ここにある寺院はカジュラホから35km離れたパンナでとれる砂岩を積み上げて造られている。目を奪われるのが外壁いっぱいに彫られた彫刻群。
シヴァ神、アプサラ(天女)、ミトゥナ、象や猿などが646体ある。こんな彫刻尽くしの寺院はみたことがない。数の多さだけでなく、一体々が感心するほど精巧につくられているのだからすごい。当時の職人の技術の高さがうかがわれる。
とくに多いのはミトゥナ像。いろいろあるヴァリエーションを現地のガイドさんが流暢な日本語でおもしろ可笑しく解説してくれる。隣のドイツ人団体ツアーでも時折笑いがこぼれる。あちらのガイドも同じことをしゃべって笑いをとっているのだろう。こんな楽しいものを見せられたらどこの国の人だって、皆同じ笑いの輪のなかに入れる。
口あんぐりなのが下から2番目のミトゥナ像。これぞヨガチックスーパー合体!西田敏行が扮するハマちゃんだってこんな‘合体ー!’は無理だろう。現地のガイドさんは‘Bさんにこれを教えてあげた’と帰りのバスのなかで冗談を言っていた。
カンダリア・マハデーヴァ寺院とラクシャマナ寺院には若くて愛嬌のあるアプサラのいろいろな姿が彫られている。比較的よくでてくるのが‘足から棘をぬく’場面。腰をやわらかくひねるポーズにグッと惹き込まれた。これを手伝っている女が肩からさげているバッグに注目!‘これってヴィトンのバッグに似てない!?’、ガイドさんが10年以上も使っているであろうフレーズに即納得。
鏡をみるアプサラも多く彫られ、恋文になんて書こうかと思案している女や男がもつグラスに酒を注いでいる女もいる。また、美川憲一の‘サソリ坐の女’も登場するのだから興味深々。サソリは性欲の象徴、ガイドさんは小さな手鏡を使ってアプサラの左太ももにいるサソリに光をあててくれる。‘へぇー、こんなタフな女のお相手をする男は大変だろうな!’と心のなかでつぶやいた。
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