美術に魅せられて! 西洋絵画のABC理論 C(チャイルド)
聖母子やキューピッド(拙ブログ2/10)は宗教画の定番だから、かわいい子供の絵は数かぎりなくある。バロック以降でみると、ルーベンスは妻や子供をよく描いているし、ヴァン・ダイクにも少年貴族を描いたいい肖像画がある。
そして、何といっても子供の絵の真打はベラスケス。小さい頃の王女マルガリータの肖像(08/8/5)は‘THE 子供画’の傑作中の傑作。近代になってからは人物画の名手ルノワールが女性だけでなく愛らしい女の子や男の子(女の格好をさせて)沢山描いた。
今日はMy好きな子供画ファイルのうちまだ紹介していないものを。
★ムリーリョの‘善き羊飼いキリスト’:プラド美(上の画像)
★ミレイの‘はじめての説教’:ギルドホール・アート・ギャラリー(真ん中)
★ピカソの‘アルルカン姿のポール’:ピカソ美(下)
ムリーリョ(1618~1682)の描く子供はラファエロ同様、とても心を揺すぶる。この絵のキリストも本当に可愛い。何年か前、西洋美であったプラド美展でも展示されたから、多くの美術ファンの心を和ましたにちがいない。幼児天使でお気に入りはラファエロ、ティツィアーノ、ムリーリョ。この3人に加え‘ガニュメデスの誘拐’(05/7/18)を描いたレンブラントとちょっと意味ありげな顔をした天使が特徴のパルミジャニーノも頭のなかにある。
ミレイ(1829~1896)が愛らしい子供の絵を描くことを知ったのは4年前、Bunkamuraで行われたスコットランド国立美展。ここに‘優しき目は常に変わらず’という題名のついたすばらしい少女の絵があった。それまでミレイというと代表作‘オフィーリア’のイメージがあったので、面食らった。昨年Bunkamuraの回顧展でも、まだ子供ではあるがMy好きな女性画に即登録したい絵があった。‘はじめての説教’に描かれた緊張気味の幼子のパッチリまなこが忘れられない。
男の子の絵ですぐ思いつくのがピカソ(1881~1973)の絵。ポール(3歳)は最初の妻、オルガとのあいだにできた子供。ピカソは1914年から1925年までキュビスムから離れ古典に回帰する。いわゆる‘ピカソクラシック’である。1920年には肘掛椅子に座るオルガを、その4年後に黄と青の菱形模様の衣装を着て闘牛士の帽子を被ったポールを写実的に描いた。このポールの絵がとても気に入っている。
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コメント
こんにちは。この3枚、全部絵葉書持っています!
特にムリリョの羊飼いは数年前から壁に飾っているので、ご紹介されてて嬉しくなってしまいました。
投稿: noel | 2009.09.09 01:10
to noelさん
ムリーリョはラファエロのようにやさしい聖母像
を描きますね。プラドにあるムリーリョの絵を
みていると心が洗われます。
ベラスケス、ゴヤも子供画の傑作を描いてますし、
ピカソにもポールの絵があります。スペインの画家
は子供を含め人物を描くのが好きなんでしょうね。
投稿: いづつや | 2009.09.09 10:22