聖地チベット展に驚愕の仏像があった!
トリノエジプト展、古代ローマの遺産展でファラオや女神のすばらしい彫刻に出会ったが、上野の森美で開催中の‘聖地チベット展’(9/19~1/11)にも驚愕の仏像があった。
チベットの密教美術というとエロチックで恐ろしい図像や仏像をすぐイメージする。97年、山口県美でエルミタージュ美やサンフランシスコ美などから名品が沢山集結した‘チベット密教美術展’を体験した。ここにあった多面多臂の仏像に大変魅了されたが、今回のチベット展はそのとき以上にテンションがあがった。
一生の思い出となるのが2つあった。‘十一面千手観音菩薩立像’(上の画像)と‘カーラチャクラ父母仏立像’(真ん中)。国内で仏像は数多くみてきたが、これは感激度からいうとトップグループにはいる傑作!言葉を失い、しばらく興奮状態で見続けた。
観音菩薩(チベット・17~18世紀)の手は一体何本ある?宝珠や弓矢を持っているのが8本、これにはそう驚かないが、体の両側から扇型になってでている小さな手、手、手、、にはびっくり仰天。992本あるそうだ。とげとげした手の塊をみたとき、すぐ生け花の剣山が頭をよぎった。こんな千手観音ははじめてお目にかかった。未だに興奮がおさまらない。
カーラチャクラのすばらしい造形性に200%KOされた。これがつくられたのは14世紀前半。チベット密教彫刻の最高傑作と解説されているが、即納得!チベットを旅行する計画は無いので日本でこれが見れたのは本当に有難い。‘カーラ’はサンスクリットで‘時間’を、‘チャクラ’は‘輪’を意味し、カーラチャクラは時間のサイクルを象徴する仏。視線が集まるのが真ん中の顔。8つあるがどうなっているの?
4面のカーラチャクラは明妃ヴィシュヴァマーター(こちらも4面)を抱いているからややこしい。忿怒相の顔もあり、穏やかで美しい顔もある。手もいっぱい。カーラチャクラの24本の手は金剛杵、鈴、斧などをもっている。まったくいつまで見ていても見飽きない父母仏立像である。
下は清時代(17~18世紀)につくられた‘カーラチャクラマンダラ・タンカ’。タンカは軸装仏画のこと。日本ではあまり見ない文様がびっちり描かれているので単眼鏡を使い夢中になってみた。これは綿布に着彩したものだが、もう一点絹の布面に刺繍した‘グヒヤサマージュ座像タンカ’(明時代・永楽)も見ごたえがある。
仏像や仏画のほかにも、仏具、陶磁器、玉、楽器などがあり、奥深いチベット文化を幅広く感じられるようになっている。大満足!
上野のあと、二つの博物館を巡回する。
・大阪歴史博:10/1/23~3/31
・仙台市博:4/20~5/30
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