東博浮世絵エンターテイメント! 北斎・広重・英泉
現在、東博に浮世絵コーナーに展示してある作品は33点。数はいつもこのくらい。今回の展示期間は9/8~10/4。3週間ちょっとで入れ替わるから、年間にすると350点近くでてくる。ここへはもう5年通っているのでトータルすると1500点を超える数を見たことになる。
沢山の浮世絵をみていても、まだ来るたびに初見のサプライズがある。ここのコレクションは本当に底なし沼。美術鑑賞で大切にしているのがこのサプライズ。作品が変わるといってもチラシがあるわけではなく、HPにあるリストをコピーしてもっていくだけだから、部屋に入るまでは作品に対してはまったく白紙の状態。これがいいのである。
事前の情報が無い分、いい絵に出くわすと天にも昇るような気持ちになる。企画展では関心のある作品や追っかけ作品を見るのが大きな喜びだが、こういう気軽に出かけて思わぬサプライズを経験するのもとても楽しい。今回の展示にも新鮮な絵があった。それを含めてとくに心に響いたものを。
★北斎の‘冨嶽三十六景・本所立川’(上の画像)
★広重の‘東海道五十三次・土山’(真ん中)
★渓斎英泉の‘日光山名所・三滝’(下)
お馴染みの‘本所立川’は左の二人の職人の動作に視線が集中する。それにしても材木を高く積み上げたものである。下から木を投げている男はそろそろ‘まだ積める?もうやめとこうか’と思うころ。上にいる男はどうやって降りるのだろう?エイッと跳び下りる?
土山宿は東海道西の難所として知られる鈴鹿峠を越えたところにある。ここは雨の多いところ。川は水かさを増しているから、長いこと降っているのだろう。幾本も引かれた春雨の描線と雨合羽を着た行列が橋を渡っていく様子を全部描かず画面の下にはみ出さす構成に惹きつけられる。
英泉の‘裏見ケ滝’(下の右)は一度見たことがあるが、北斎の‘諸国滝廻り・下野黒髪山きりふりの滝’を連想させる‘霧降の滝’(左)と‘華厳の滝’は初対面。北斎の‘きりふりの滝’が巨大なタコの足のイメージなのに対し、英泉の‘霧降の滝’は鯉の滝のぼりを思わせる。大きなサプライズだった。
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コメント
こんばんは。
ここのところのいづつやさんの東博情報で、
心躍ります。
動きたいのに、動けない日常とやりくりが悩ましいところですが、大展覧会が始まる前に行ってこようと思います。
渓斎英泉の滝シリーズは北斎と並んで、迫力ありますよね。
投稿: あべまつ | 2009.09.18 23:15
to あべまつさん
今は出動する企画展を精選してますから、鑑賞の
機会が落ちていますが、東博の平常展に出る名品
を楽しんでますから、美術ライフにおける満足度
は変わりません。
渓泉の日光の滝を3つ一緒に見れたのは思わぬ
サプライズでした。今日は三井の高橋コレクション
を見てきましたが、これもすばらしいです。是非
こちらへも。
投稿: いづつや | 2009.09.19 23:23