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2009.09.16

国宝 扇面法華経冊子と久しぶりの対面!

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今日取り上げるのは装飾経の優品3点。いずれも国宝。
★扇面法華経冊子:東博(上の画像)
★平家納経:厳島神社(真ん中)
★法華経(勧発品):大和文華館(下)

現在、東博の平常展にでている‘扇面法華経冊子’(9/8~10/18)をみるのは16年ぶり。ここ5年間、展示を待っていたが、やっと登場した。これは大阪の四天王寺に伝来した十帖のうちの一帖。‘法華経’八巻のうち二から五まで四巻は失われ、四天王寺(五帖)、東博(一帖、巻第八)など7ヶ所に分蔵されている。

大きな仏教美術展に出品されるのはだいたい四天王寺蔵で、2年前に奈良博であった‘院政期の絵画展にも‘平家納経’や‘法華経’と一緒にでていた。東博の図様は表紙に続き1扇から10扇まであり、上は‘紙選びの図’。おもしろいことに絵の内容は書かれている経文とは関係のない貴族や庶民の風俗。

西洋の写本画では文字と絵は独立しているのに対し、この冊子は絵の上に漢字一字々がはっきり書かれている。でも、ビジーな印象はあまりなく、料紙に散らされた金銀の切箔、砂子による装飾性とやまと絵のやわらかい人物描写が華やかな王朝気分に誘ってくれる。

装飾経のなかで最も美しいのが‘平家納経’。幸運なことにこれまで5回見た。いつもおしげもなく使われた金銀の箔や泥を夢中になってみてしまう。真ん中は‘厳王品’で身返の銀地には経文から射してくる光に向かって二人の女房が合掌するところが描かれている。空中には連花が散り、汀には鷺がみえる。

法華経(勧発品)では、一字ごとに紫や緑の蓮華座をつけて円相のなかにおさめられ、経文の字そのものを意匠化しているのが特徴。身返絵には金銀箔と濃密な彩色で法会に参集した貴族たちが描かれている。

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コメント

平安時代に流行した装飾経の一つであり、俗に<扇面古写経>と呼ばれる。いろいろな彩色画のある紙扇を料紙に利用し、両面に経文を書き写し、粘葉綴の冊子にしたててある。もとは法華経28品を8巻に分け、これに開経・結経
として無量義経と観普賢経を添えて10帖につくられていたと思われる。しかし現在では大阪の四天王寺に法華経第一巻(10面)、第6巻(24面)、第7巻(23面)、
観普賢経(16面)無量義経(24面)の5帖が残り、この中から抜け出たものが法隆寺、西教寺ほか数家に1~2面ずつ分蔵されれおり、また第8巻の1帖は東京国立博物館にはいっている。各帖も表紙に普賢十羅刹女を表す和装の宮女を一体ずつ描くほかは、扇面の絵様は経とは関係ない
貴賎の風俗や自然物である。装飾性の強い画面構成であるが、そこには当時の貴族生活種々相が描き出され、さらに市や井戸端に集まる女たち、牛馬に俵を積んでゆく農夫や
筏流しなど庶民生活の一端をもうかがわせる。人物などには入念な彩色の上を細い線で描きおこす<つくり絵>の技法を用い、ことに貴族の男女は類型化された<引目鉤鼻>
の表現をとる。それも《源氏物語絵巻>の中の人物と比べるといっそうかたい。これに対し、身分の低い人達の表情はおっと個性的に描かれ、構図も自由である。
その制作の時期に関しては1188年(文治4年9月16日)に四天王寺で行われた如法経十種供養のさいにつくられたみる説が有力。しかしこれは九条兼実の日記<玉葉>の活字体が,写経の準備のことをしるす条で<殖紙麻>とあるのを<紙扇>と誤読していることから出発したもので別段の確証はない。ただ画風や風俗の上から平安時代の
最末期1170~80年ころと考えられる。

投稿: 福田 輝昭 | 2016.03.05 12:59

to 福田輝昭さん
詳しい解説をしていただきありがとうございます。
装飾経への関心がぐっと高まりました。

投稿: いづつや | 2016.03.05 21:00

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