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2009.08.05

道教の美術展の情報量の多さにびっくり!

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美術館はいろんなタイプの展覧会を企画する。そのなかで一人の画家の回顧展を見ることが楽しみの8割を占めている。これは美術鑑賞をはじめたころからずっと変わってない。だから、‘Bunkamuraでバーン=ジョーンズの回顧展をやってくれないかな?’とか‘京博は池大雅展をいつ開催するのだろう?’などと勝手な期待ばかりしている。

話が横道にそれるが、美術館は年に一回くらいは来館者に対し‘誰の回顧展を実施してほしいですか?’とか‘海外の美術館でどこの名品展を見たいですか?’いったアンケートを行ってもよさそうなのに、出くわしたことがない。

展覧会の内容に美術館を訪問する人たちのニーズや意見をもっと取り入れてもらいたいと思うのだが、美術館で働く人たちは美術評論家とか展覧会請負人たちのほうしか向いてなく、‘素人美術愛好家の声なんか聞いてどうするの?’という人が大半なのだろう。展覧会マーケティングの発想を日本の美術館に期待するのは所詮無理か。

今回の三井記念美はテーマ型の‘知られざるタオの世界 道教の美術’(7/11~
9/6)。追っかけ作品がないのでパスしてもいいのだが、歴史好きだからそうもいかない。道教を横串しにしていろんな美術品を集めているから、分厚い図録はとても価値がある。情報量が多いだけでなく、展示の絵にも結構いいのが揃っていた。

いつも感心するのだが、三井記念美の展示室は広くはなく、むしろこじんまりとした展示空間なのに、目の前には質の高い作品が並ぶ。もう展示は終了したが、上の国宝‘辟邪絵・天刑星’と‘鐘馗’(12世紀、奈良博)や‘六道絵・餓鬼道図’(国宝、聖衆来迎寺)がさらっと飾ってあった。

実はこの展覧会は図録をゲットするのと2年前あった‘美麗 院政期の絵画’(奈良博)で見た‘辟邪絵’と再会するのが目的だった。疫病をはやらせる神を食っている善神(辟邪)、天刑星の密教の尊像を見るような忿怒相と鮮やかな赤の衣装を釘付けになってみた。

収穫はこれだけではない。真ん中の‘蝦蟇仙人図’(重文、知恩院)もぐっと惹きこまれた。これを描いたのは中国元時代の画家、顔輝。肩に蝦蟇を乗せ桃の枝を手に持った仙人の隣りには自分の分身を飛ばしている‘李鐵拐図’がある。お馴染みの絵だが、東博にある雪村の描いたものに比べると、こちらの人物描写のほうが重厚なイメージ。とくに鐵拐仙人の白い眼の鋭さは尋常ではなく、殺人鬼のような目をしている。

最後の部屋にとてもいい浮世絵があった。下の三代歌川豊国(国貞)作、‘文月西陣の星祭’。みるとわかるようにこれは七夕の絵。寿老人とか七夕は道教と深いつながりがある。後期(8/18~9/6)にも、雪村の代表作のひとつ‘琴高・群仙図’(重文、京博)や‘蓬莱山絵巻’(三の丸尚蔵館)などいい絵がでてくるのでまた出かけるつもり。

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コメント

こんにちは。

>国宝‘辟邪絵・天刑星’と‘鐘馗’(12世紀、奈良博)>や‘六道絵・餓鬼道図’(国宝、聖衆来迎寺)がさらっと>飾ってあった。

私もこれにはビックリ!
事前にご覧になった方から薦められていた通りの内容でした。

次の浮世絵展、いよいよ登場ですね!
高橋コレクション!!

投稿: Tak | 2009.08.08 13:30

to Takさん
お目当ての絵が見れ、それにプラスαが2,3点
ありましたから収穫大の展覧会でした。
高橋コレクションは本当に楽しみです。

投稿: いづつや | 2009.08.08 23:28

こんにちは
この展覧会はわたしには面白くて面白くて仕方ない反面、「おお、どこかで見たような」ものが多かったです。しかしコンセプトが変わるとこんなに魅力的なのか、と言う感じでたいへん楽しみました。
いや~道教いいですね~

投稿: 遊行七恵 | 2009.08.13 12:36

to 遊行七恵さん
図録をみると等伯の絵など三井に展示されな
かったのが結構ありますね。とにかく石の彫刻、
書、星曼陀羅図、十王図、蓬莱山や七夕の絵など
、道教の美術は幅が広いですね。

貪欲に全部みたいことろですが、長崎までは行け
ませんから、後半の作品をみて今回はOKとします。

投稿: いづつや | 2009.08.14 00:34

私もみてきました^^
重文や国宝も惜しげなく並んでいて国立の展示に負けないくらいでしたね。こんなものまで道教なんだ!?っていう驚きの連続でした。本当に勉強になりました。

投稿: 21世紀のxxx者 | 2009.08.25 00:32

to 21世紀のxxx者さん
三井美はこじんまりした展示室ですが、
いつもいいものを展示してくれますね。
もう一回行きます。

投稿: いづつや | 2009.08.25 09:10

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