東博平常展に浄瑠璃寺の四天王立像・広目天(国宝)が登場!
東博本館の平常展には時々所蔵品ではないお宝が登場する。今回わくわく気分で出かけたのは上の国宝‘四天王立像・広目天’(12世紀、浄瑠璃寺)を見るため。1階11室に‘千手観音菩薩立像’(重文、京都・妙法院)、‘十一面観音菩薩立像’(重文、奈良・子島寺)などと一緒に展示されている(7/22~10/12)。
2年前、奈良博の‘美麗 院政期の絵画’で見た‘増長天’同様、等身大の安定感のある形と華麗な彩色文様に目を奪われた。2体とも浄瑠璃寺へ行かなくてお目にかかれたのだから運がいい。この寺は国宝‘阿弥陀如来坐像’(九体阿弥陀仏)があるので、いつか訪問することにしているが、四天王立像はここでじっと待っていれば残りの2体(持国天、多聞天)も見られるかも?期待したい。
もうひとつの楽しみだった国宝の刀をみたあと、時間もあったので2階にあがり、宮廷の美術、禅と水墨画のコーナーの作品を見た。真ん中は合戦絵巻の名作‘後三年合戦絵巻’(重文、南北朝時代・1347年)。1年前にも別の場面がでた。今年はドキッとする残虐な表現がみられる(展示は7/28~9/6)。
右下をよくみると女の首があり、周辺の土は血で赤く染まっている。解説文には赤ちゃんの小さな手があると書いてあるが、単眼鏡でまわりをみても見つからない。隣にいた方に‘赤ちゃんの手、どこにあるかわかります?’と二人で探したが、全然わからない。
首の無い死体の前では、女の子と女が後ろから刀を振りかざして追っかけてくる武者に殺されまいと必死に逃げている。左端では相手陣営の二人の武者が女たちに手をだし、柵のなかに引き入れている。緊迫感のある人物描写は映画のワンシーンをみているよう。これは源義家軍(右側)が食糧が無いため投降してくる清原家衡軍(左側)の女子供たちを殺し、投降できないようにしているところ。このほうが清原軍を兵糧攻めにできるから。
1階のやきもの展示には定番の名品がそろっているから、たまに見るといい気分になる(展示は9/13まで)。下はいつも見とれてしまう‘銹絵草花文大鉢’。口径が36.5㎝もある大きな鉢で、のびやかで勢いのある草花の線が心を打つ。古唐津の素朴な味わいにますます魅せられていく。
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