美術に魅せられて! 愛蔵の展覧会図録(日本美術)
展覧会を見たあとはだいだい図録を購入する。そして、一週間くらいリビングのソファにおいて、頻繁にお気に入りの作品の図版をながめその感動を体の隅々まで沁み込ませる。本棚にしまうのはそのあと。
本棚は一定のスペースのままだから、ピカピカの図録を入れるとその分、古参の図録はどこか別の場所へ移動となる。この配置替えがなかなか忙しい。でも、隣の方からはいつも‘よくまあ、そんなに出したり入れたりするわね!’と呆れられているから、傍からみればどうでもいいことに時間とエネルギーを割いているのかもしれない。
画家が愛着のある絵を死ぬまで手元においているように、図録にもなるべく近くにおいておきたいものがある。そう、愛蔵の図録。可笑しいもので、配置替えして、なにかしっくりこないときがあるのはたいていお気に入りのものがすこしばっかり遠くなっていたから。で、元の定位置に戻すとすっと気分がよくなる。本好きな方は同じような感覚をお持ちのはず。
ここ2年に購入した図録のなかでそんなお気に入りの図録は、
★大琳派展:東博、08年10月(上の画像)
★KAZARI 日本美の情熱:サントリー美、08年5月(真ん中)
★山水に遊ぶ 江戸絵画の風景250年:府中市美、09年3月(下)
大琳派展はとても手触り感がよく、装丁もいい。琳派狂だから、琳派関連の本や図録は沢山あるが、これを見ているときが一番楽しい。しかも琳派の主要な作品がずらっと揃っているので、いまやバイブル的な存在になっている。
サントリー美がつくる図録は手にとってみたくなるものが多い。なかでもKAZARIはデザインセンスが抜群にいい!これは05年東博であった‘華麗なる伊万里、雅の京焼’の図録と構成や本の感じが似ているが、どちらも美術出版センターが手がけていた。05年の展覧会をアップしたとき図録のことをたいそう褒めたが、この会社が参画していたのならいいものが出来るはず。KAZARIの精神が図録にまでゆきとどいているのは流石である。これは辻のお父さんの意向?
府中市美の図録づくりは新しい方向をめざしている。どこがこれまでの図録と違うのか?出品作の解説は最後に何頁も使ってするのがこれまでのやり方だが、この図録ではテーマ毎に並べられた作品の図版があるところで解説をしている。これは海外の美術館で西洋画展が行われる際に制作されるカタログのスタイルと同じ。この府中市美方式は本を読む感覚なので、絵が頭のなかに入りやすい。日本美術の展覧会でもこのタイプのものがトレンドになることを期待したい。
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