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2009.08.31

民主党大勝 政権交代!

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昨日行われた総選挙で、民主党は308議席を獲得し、悲願の政権交代を実現した。新聞各社が事前に実施した予想ではいずれも民主党の議席は300を上回っていたが、その通りの結果となった。自民党は公示前300あった議席が119に激減する歴史的な惨敗。

政権が交代するのは先進国では当たり前。これで3流の政治がすこしはましになり、2流の政治へとステップアップすればいいのだが。

政権交代という政治制度においてはエポック的なことが起きたので、これが日本国の長い歴史のなかでどんな意味をもつのかをみてみたい。といっても、難しいことを述べようというのではなく、日本人なら誰でも知っている時代や政治体制が大きく変わった歴史的な‘戦い’や‘政変’がどのように絵画化されているかをみるだけ。こういう絵をみると、今また歴史が動いたということをより強く認識するかもしれない。

★安野光雅の‘絵本平家物語・壇浦合戦’(上の画像)
★歌川国芳の‘大物之浦平家の亡霊’(真ん中)
★邨田丹陵の‘大政奉還’(下)

源平合戦は絵巻や屏風などに描かれているが、展覧会で本物をみる機会はそうない。美術本に載っている永青文庫が所蔵する六曲一双の屏風は残念ながらまだお目にかかってない。安野光雅が講談社から出版した‘絵本平家物語’(1996)は3年前、日本橋高島屋であった回顧展でみた。

ご存じのように奢る平家は1185年、壇ノ浦の戦いに敗れて滅亡した。白旗を軍船
3000艘にはためかして戦った源氏を率いたのが源義経。潮の流れが自軍に有利になったのに乗じて反転攻勢をかけ赤旗の平家船1000艘を海に沈めた。だが、源氏の勝利におおいに貢献した義経なのに、頼朝から嫌われ追われる身になる。

そのため、義経一行は西国へ渡ろうと摂津国・大物浦(現在の尼崎市大物町にあった港)から出帆した。ところが、暴風雨に遭遇し、海底に沈んだ平家の怨霊が大波を起こし義経一行を襲ってくる。この場面を描いたのが国芳の絵。画面上部にみえる怨霊の異形のシルエットが戦いに敗れた恨みの深さを表わしている。船の後方で弁慶が必死に経文を唱えると、ようやくしずまったという。

大政奉還の絵は歴史本によく載っている。徳川15代将軍慶喜は慶応3年(1867)10月12日、在京の重臣を二条城に集めて、政権を天皇に奉還する決意を伝えた。ついに265年にわたる徳川幕府による政治体制が終った。

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2009.08.30

レイズ岩村は復帰するもイチローは今日も欠場!

866大リーグのレイズに所属する岩村がタイガース戦に出場し、ヒット一本を放った。

5/24の試合で左ひざを負傷し今季の出場は無理といわれていたのに、3か月ちょっとでまたグランドに戻ってきた。日頃から岩村を応援しているので、この早期復帰は嬉しい。本当に良かった!

岩村はヤクルト時代にも、重いバットを振り続けたのがたたってリストを骨折し2,3年棒にふったが、今回の靭帯損傷がイヤな思い出を蘇らせた。で、‘岩村はいい選手なのに、神は彼に何度も試練を与えるなァー、このケガが尾をひき選手寿命を縮めなければいいが’と悪いことばかり考える。

が、そんな心配をよそに岩村は見事に復活してくれた。リハビリを相当がんばったにちがいない。出身地愛媛・宇和島の人たちも喜んでいることだろう。

レイズは現在、ワイルドカードをレッドソックス(東地区)とレインジャーズ(西地区)を争っている。レッドソックスから4.5ゲーム離されているが、残り試合は30ちょっとあるのでまだわからない。今年は調子のいいレインジャーズがポストシーズン出場の切符をゲットするとみているのだが、岩村の守備、バッティングがチームを活気づかせれば、レイズの可能性がないわけではない。

こういうと、隣の方が‘今トップを走っているレッドソックスがどうしてダメなの?松坂だって9月から投げるじゃない!’と至極もっともなツッコミがはいる。果たして、松坂は勝利に貢献するピッチングができるだろうか?

これだけ長い調整期間をとり、再トレーニングを余儀なくされているのは松坂の肉体に異常事態が起きているからだと思う。大リーグで2年投げて肉体がかなり変調をきたしているのではないか。だから、今年はあまり期待しないほうがいい。

2勝したルーキー、田沢もマイナー落ちになり、レッドソックスの投手力はかなり危ない。さて、レッドソックスが逃げ切るか、レインジャーズが逆転するか?最後まで目が離せない。

左ふくらはぎのはりのため、4日前から試合を欠場しているイチローは今日もベンチ。9年連続200本安打の大リーグ記録達成までにあと16本。残り32試合。ワカマツ監督は大事をとって休ませているのだろう。30試合あれだ大丈夫。われらがイチローは間違いなく大記録をつくる。心配ない。

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2009.08.29

黄金の都 シカン展 黄金大仮面に釘付け!

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国立科学博物館で開催中の‘黄金の都 シカン展’(7/14~10/12)を楽しんだ。ここへは2回足を運んだ。でも、2回も見たというのではない。

8/11招待券をもって入場しようとすると、係員が‘お客さん、この招待券はもう期限切れです’。ありゃラー!?なんというドジ。楽しみが一瞬にしぼんだ。隣の方と顔を見合わせ、‘じゃあ、帰ろうか、何年か前にあったモテェ展で黄金の仮面はみたことだし’と残念ターン。

で、100%パスの気分だったのだが、8/21の朝日新聞に‘海のエジプト展’、‘トリノ・エジプト展’とともに‘シカン展’が取り上げられ、シカン遺跡を発見した島田泉・南イリノイ大教授の話が載っていた。それを読んで、日本の考古学者が何十年もかけて発掘した世界的な遺跡物を見ないのは失礼になると思い、再度博物館を訪問した。

海のエジプト展はわかりやすい展示の仕方だったが、このシカン展でもモニターTVを沢山使い発掘現場の様子や掘り出された黄金の仮面や土器をわかりやすく解説し、最後の3Dシアターでは立体映像でおさらいまでしてくれる。お陰で、シカン文化が9世紀から14世紀後半までぺルー北海岸で栄えたことがおおよそつかめ、人々は高い金属加工技術と土器の製造技術を持っていたことがわかった。

上はチラシをみたときから鑑賞欲をそそられた黄金大仮面。1991年、ロロ神殿東の墓でつり上がった目が特徴の黄金仮面を身につけた男性の貴族が発見された。顔の大半に塗られた赤と薄くのばされた丸形や短刀みたいな黄金が胸にズシンとくる。インカ帝国以前にあった黄金文化を日本人が発掘したのである。これはすごい!

真ん中はほかのところから出土した‘黄金の儀式用トゥミ’。トゥミはナイフのこと。握りの部分は翼のあるシカン神の立像で、頭部には三日月の飾りが施されている。目などの青い丸は嵌めこまれたトルコ石。黄金ものではっとするのがあった。それは表面に描かれた神の顔が半分ずつ隣の神の顔と重なっているカップ。エッシャーが喜びそうなこの意表を突く造形は忘れようにも忘れられない。

黒光りが印象的な黒色土器はいろいろな形がある。男性を形どった像、胴体がトオモロコシやカボチャやカモの壺、下は魚の大きく開けた口が注ぎ口になってい壺。そのインパクトのある形に思わず足がとまった。

なお、このシカン展は次の会場を巡回する。
・熊本県美:10/30~12/23
・富山県民会館ギャラリー:10/1/9~3/7
・高知県美:3/14~4/18
・福岡市博:4/24~6/20

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2009.08.28

東博平常展の名品! 近江八景・一字金輪像・馬蝗絆

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東博が所蔵する近代日本画はサイズが東近美にあるものよりひとまわり大きい。今、展示されている今村紫紅の‘近江八景’(上の画像)は縦1.65m、横0.56mの大きな軸が八幅並んでいる。ぞっこん惚れているこの絵は‘熱国之巻’同様、重文。前回見たのは4,5年前だから、久し振りの鑑賞である。

4幅は左から海の青と白い雲が印象深い‘比良’、橋を斜めに描く構成に魅せられる‘瀬田’、緑の木々が目に焼きつく‘粟津’、そして‘唐崎’。縦長の軸に描かれた風景画だけど窮屈さを全然感じないのは、対象が下から上にむかってのびやかに配置され、その淡くぼかした彩色と明るい色彩の組み合わせがとても上手いので、横へのイメージが自然に広がるから。見事な近江八景をみれて幸せな気分になった。

元祖八景ともいうべき‘瀟湘八景’もある。これは橋本雅邦の作で2年ぶりの登場。雪舟の筆使いを彷彿とさせる岩や木々の描写にぐっときた。

心が安まる風景画に交じって飾ってある河鍋暁斎の大作‘地獄極楽図’(拙ブログ05/6/18)にも当然足がとまる。4年前この絵の前に立ったときは、鬼たちがおこなう残酷な刑罰執行に体を硬直させられっぱなし。今回は二度目だから大きくたじろぎはしないが、それでも画面を細部にわたってみているとだんだん緊張してきた。それにしても、暁斎の想像力、描写力はすごい!この部屋の日本画の展示は7/28~9/6。

浮世絵を見たあと、すぐ前の部屋で行われている‘特別陳列・親と子のギャラリー、日本美術のつくり方’に寄ってみた。興味深く見たのが‘裏彩色’(うらざいしき)の技法。今年の1~3月にも1階20室で技法とその効果をみせていたが、再度仏画‘一字金輪像’(真ん中)を例にしてつくった制作工程模型でじっくりみた。

表だけの彩色、金箔や白の裏彩色、両方の彩色の3つが並べてあるので、裏彩色により体に立体感がでたり、表の色がはっきりしたりするのがよくわかる。これをすぐ‘仏教の美術’コーナーで展示中(7/28~9/6)の本物で確認した。裏彩色のほかに‘色絵の皿’、‘仏像’、‘刀の鍔’、‘浮世絵’のつくり方がある。

表慶館のアジアギャラリーで展示されている中国陶磁の記事を書いたとき、ゲストの法師さんから‘青磁茶碗 銘馬蝗絆(ばこうはん)’(重文)が‘茶の美術’の部屋にでている(7/22~9/13)ことを教えてもらった。この砧青磁は何度みても心に響く。

銘のエピソードがおもしろい。足利義政がヒビ割れた茶碗をとりかえてくれないかと中国に送ったら、代理品はもうないので鉄の鎹(かすがい)を打って送り返してきた。その鎹とヒビ割れの景色を馬の毛にとまる蝗(いなご)に見立てて、‘馬蝗絆’と名付けられたという。

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2009.08.27

東博浮世絵エンターテイメント! 国芳

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現在、東博本館の浮世絵コーナーにでている作品は8/4~9/6の展示。今回は歌川国芳(1797~1861)をメイン(10点)にした構成になっている。

★猫のすゞみ(上の画像)
★金魚づくし・玉や玉や(真ん中)
★金魚づくし・百ものがたり
★金魚づくし・さらいとんび
★東都富士見三十六景・新大はし橋下の眺望
★東都名所・浅草今戸
★東都名所・かすみが関(拙ブログ6/26
★二十四孝童子鑑・薫永
★通俗水滸伝豪傑百八人之弐個・浪子燕青
★通俗水滸伝豪傑百八人之一人・花和尚魯知深(下)

国芳はおもしろい猫の絵をいくつも描いている。‘猫のすゞみ’では猫が芸者や涼み舟の船頭に変身。‘暑いわねェー、船頭さん、ちょいと手を貸しておくれ’、‘いつも綺麗だねェー、お藤姉さんは。足元に気をつけておくんなさいよ’、こんな会話が聞こえてくるようだ。

ベルギー王立美の浮世絵コレクションでおおいに楽しませてもらった‘金魚づくし’シリーズの3点が登場。また、夢中になってみた。真ん中は子供たちに人気のあったシャボン玉売りの絵。この金魚オジサンは下で誰かに支えてもらっている?お母さん亀におんぶされた子亀は上にのぼっていくシャボン玉をつかもうとしており、右下のオタマジャクシはしっぽ立ちで浮かれている。

また、大きな顔の猫が舌をだして、金魚やメダカをびっくりさせている‘百ものがたり’も最高におもしろい。金魚が主役の絵のはずなのに、国芳は猫が大好きだから、ついつい猫に肩入れしてしまったのであろう。

‘東都名所’の2点は西洋画の影響が随所にみられる。天空にたなびく雲は同じようなフォルムで描かれ、かすみが関では中央の背をこちらに向けている二人の影が地面に落ちている。

武者絵‘水滸伝豪傑’シリーズは国芳の出世作。小さい頃、お祭りや正月の神社参詣のとき、物売りの屋台や店先にはこういう絵を意匠に使ったグッズがまだいっぱいあった。だから、毛むじゃらの和尚が鉄の棒で松の大木をぶっ倒している下の絵をみると、昔のことが懐かしく思い出される。

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2009.08.26

雪村の傑作が東京と水戸でコラボ!

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去年と今年、雪村のいい絵を見る機会に恵まれている。東博で開催された‘対決ー巨匠たちの日本美術’では首が折れないかと?心配になる‘呂洞賓’(拙ブログ08/7/10)や‘風涛図’(08/7/29)など6点が展示され、新橋の東京美術倶楽部であった‘正木美蔵名品展’(08年9月)には‘瀟湘八景図巻’が登場した。

今年に入ってからは畠山記念美で久し振りに‘竹林七賢図屏風’(5/21)が公開され、現在、東京と水戸の美術館にはまたまた傑作が展示中。

★琴高・群仙図:京博(上の画像)
★欠伸布袋・紅白梅図:茨城県立歴史館(真ん中)
★釈迦羅漢図:茨城・善慶寺(下)

三井記念美の‘道教の美術展’(7/11~9/6)へまた出かけたのは‘琴高・群仙図’(重文)と再会し、初見の‘鐘馗図’(重文)と‘蓬莱山絵巻’を見るため。琴高と鐘馗は隣同志で飾ってある。鐘馗の怖い顔と迫力あるポーズに圧倒されるが、7年ぶりに見る琴高も鯉にまたがり乱気流のなかを懸命に飛んでいる。

琴高のこの風なびきのおもしろさは一度広重の絵と対照させて紹介した(06/3/1)。琴高の後ろにのびる衣装だけでなく、鯉の尾っぽは勢いよく曲がり、波も生きもののように四方にしぶきをあげている。雪村は真に風の絵の達人!

‘欠伸(あくび)布袋’と‘釈迦羅漢’がみられるのは水戸市の茨城県立歴史館で行なわれている‘仏教絵画の魅力’(8/22~9/27)。歴史館には雪村の絵が8点あり、今回はこのうち3点プラス善慶寺蔵の‘釈迦羅漢図’の4点が公開されている。入館料は
150円。

あくび布袋は02年の回顧展(山口県美)のとき展示替えでみれなかったから、歴史館のHPを定点チェックし、展示の機会を待っていた。やっと対面できると思い、8/22茨城県近美の冨田渓仙展のあとすぐ館をめざした。ところが、路を間違え、どこをどう走っているのかわからなくなった。で、一度とまり場所を教えてもらってやっと到着。だから、次回ここへ来るのは自信がない。

あくび布袋の絵は真ん中の腹のでっぷりでた布袋さんが手をうしろにのばしあくびをする姿がとてもいい。でも、シャープに描かれた紅白梅との取り合わせはちょっと変な感じ。とげとげしく思える梅の枝とまるい大きな腹はどうみてもとけあわない。梅をもっとゆるゆるの線で描いたほうがよかったかもしれない。

呂洞賓同様、釈迦の左隣にいる羅漢たちも首をおもいっきり曲げて、上から迫ってくる龍と対峙している。この絵も前回見れなかったが、ここでリカバリーできるとは思ってもいなかった。本当に有難い展示。満ち足りた気分で水戸を後にした。

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2009.08.25

陶 愛と死の融合 十二代三輪休雪展はサプライズの連続!

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日本橋三越で今日からはじまった‘陶 愛と死の融合 十二代三輪休雪展’(8/25~9/6)を見た。3年前、東近美工芸館で回顧展(拙ブログ06/7/18)があった萩焼の十一代休雪には3人の息子がおり、長男の龍作が03年に十二代休雪を襲名した。
現休雪は1940年生まれで、今年69歳。

龍作のときの作品はいわゆる古くから茶人たちに愛されてきた萩焼ではなく、前衛的なオブジェであることは知っていたが、これらをまとまった形でみる機会がなく、対面したのは人間シリーズ1点と萩にある三輪家のギャラリーで見た数点のみ。だから、今回の作品(80点)はサプライズの連続!その前衛度は想像以上だった。今年の3~5月、パリ・三越エトワールで開催されたこの休雪展を見たフランス人も度肝を抜かれたにちがいない。

衝撃的なフォルムと作家の陶芸に寄せる深い思想が強く心を衝き動かした。上は黄金に輝く‘続・卑弥呼の書No.5’(1992)。同じシリーズはもう2点、同年につくられた‘No.2’と‘No.3’がある。

卑弥呼の名前はインプットされているが、十二代が萩焼の土を使って現代アートとして表現したのはこんな形だった!中央にはエロスの香りが漂い、亀裂の入る断面は破壊や死のイメージ。作品全体をゴールドで輝かせることにより、古代卑弥呼王国の繁栄を象徴的に表しているのだろうか。

精神分裂症気味で悲劇的な表情をみせる‘人間シリーズ’に対し、真ん中の‘摩利耶’の連作は深刻さが幾分かは減り、フォルムもやわらかくなっているが、シュールでよりエロティックなイメージにつつまれている。これは‘No.15’(2001)。ほかに乳房の一部と胸が空洞になっているのもある。

こういう頭のないオブジェだと怖い感情がもたげてくるのだが、これはそういうおどろおどろしたものより、濃厚なエロスに誘われたいような感性と死の恐怖がないまぜになったザワザワした気分に体中が支配される。まだ、昼間だというのに、、

由緒ある三輪休雪のやきもの展だから、もちろん茶陶もある。でも数は少なく、オブジェタイプのものが多い。下は萩焼特有の白の釉薬だが、四角形をギュッと右に傾かせたような‘崖花水指’(1993)。隣には同じ題名の水指と手桶がある。

衝撃があまりに大きいので、しばらくはこれらの作品が頭から離れないかもしれない。帰り際、十二代がおられたので図録にサインをしてもらった。なお、この展覧会は福岡三越でも9/11~9/16に行われる。

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2009.08.24

感激の冨田渓仙展!

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大きなエビフライを食べたあと、水戸市のある茨城県近美をめざした。開催中の‘冨田渓仙展’(8/8~9/23)をみるためである。東関東自動車道と一般道を使い、約2時間かかった。

これまで冨田渓仙(1879~1936)の絵を取り上げたのは‘祇園夜桜’(拙ブログ5/5、本展で8/30まで展示)のみだが、ほかにもいい絵がいくつもある。今回はそうした代表作を120点集めたすばらしい回顧展!

前期(8/3~8/30)と後期(9/1~9/23)で作品がかなり入れ替わるが、後期にも見逃したくない作品が沢山あるから、2度通いになる。隣の方もまた同乗するという。それほど渓仙の絵は二人の心を打った。

渓仙の絵は風景、花鳥、人物、風俗、仏画と作域が広い。画風は時の経過とともに変わっていく。とくに惹きこまれているのは風景画や風俗画。上は茨城県近美が所蔵する‘長江鵜船’(1919、右隻)。4年前にはじめてこれをみたとき、大変感激した。

鵜飼というと、すぐ川合玉堂が描いた長良川の鵜飼を思い浮かべるが、これは中国の長江の鵜飼の情景。俯瞰の視点から鵜船をジグザグ的に縦に重ねていく構図が目を引く。漁師たちは白い水面に揺れる船を巧みに動かし、手飼いの鵜と一心同体になり、魚を獲っている。

川や海の水面の光景を描くのが渓仙は実に上手い!鵜の絵でもそうだが、真ん中の‘淀城’(1931、西宮市大谷記念美)、‘嵐峡雨罷図’(1932)、‘三条大橋’(1934)にみられる勢いのある水の流れやうねりを釘づけになってみた。‘淀城’(前期展示)は夢幻的な絵。淀川にはかつて城と大きな水車があったが、明治維新により無くなった。それを渓仙は絵の中で再現している。

前景の左右に大きな水車を配し、その向こうにお城を美しく描いている。直線的なフォルムが目に焼きつく城の白壁と水面の波の曲線、水車のまるい円を対照的にみせる構成が忘れられない。この絵はいつか見たいと願っていたから、感激もひとしお。

水の動感描写同様、心に響くのが鮮やかな青、緑、赤、金が乱舞する縦長の絵。その極め付きが下の‘蓬莱仙境図’(1921、京近美)、画面下から桜の赤、松の緑、そして真ん中から上部にみえる木々や山の濃い青や緑が目をクラクラさせる。ふと、シャガールの青や緑や赤をみているような気分になった。

これと同じ色調なのが‘蘭亭曲水’(1926)。この濃い青や緑に震えた最初の体験は島根県の安来市にある足立美術館で見た‘蓬莱佳境図’(1928)。またまた濁りのない強い青、緑、赤に痺れた。

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2009.08.23

ニューマン、フランシス、ステラとプラスワン?

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川村記念美のお目当てが岸田劉生の麗子像、1点だったとはいえ、1300円も払ったのだから、平常展示の作品を少しは見てみようと思った。改装後の展示空間はすばらしくよくなった。ロスコとニューマンとステラの3つの独立した部屋がつくられ、常時一級の作品が楽しめる。

バーネット・ニューマン(1905~1970)の‘アンナの光’(上の画像)は明るい部屋にドーンと飾ってある。これが制作されたのは晩年の1968年。縦2.76m、横6.11mの巨大な作品。まるで大きな赤い壁の前に立っているみたい。赤一色の画面にはお得意の垂直のジップはみえず、両サイドに白い帯がある。

アメリカ社会における生活・経済のモーメントは、広大な国土、大自然、NY、LA、シカゴなど大都市にそびえる超高層ビル、全国に張り巡らされた高速道路、飛行機の利用といったことを反映してスピーディでスケールがデカイ。だから、芸術家も勢いこうしたカラー・フィールド・ペインティングのような大きな作品にとりつかれる。

これだけ大きな色面だと、色が自律して主張する。見る者は赤に何を感じても自由。抽象絵画をみていると思わないで、グランドキャニオンのあの赤茶けた岩を眺めたときの印象と重ね合わせてみるのもおもしろい。すると、ニューマンが表現しようとした人間を超越する‘崇高さ’がみえてくる?!

真ん中のサム・フランシス(1922~1994)の絵、‘ワン・オーシャン、ワン・カップ’
(1974)は図録で知っていたが、本物をみるのはこれがはじめて。東洋思想の影響を強く受けたフランシスの色彩表現は日本人にはわかりやすい。

白の余白を大きくとり、そこに赤や黄色や青や緑の原色を重ね合わした帯で形どった菱形が浮かびあがり、そのたらし込みやドロッピングが装飾的色合いになっている。‘墨は五彩を兼ねる’というが、フランシスはそれを会得したかのように色をぼかし染み込ませ、まさに生き生きした色彩空間をつくりだしている。見事というほかない。

フランク・ステラ(1936~)はロスコ同様、お気に入りの画家。下は07年のミニステラ展(拙ブログ07/1/24)でも見た‘フリン・フロンⅡ’(1968)。しばらくいい気持で眺めていた。

川村記念美を訪問するときの楽しみがあるので、最後にそのことを。JR佐倉駅の近くに大きなエビフライを食べさせてくれる有名な店がある。TVやグルメ雑誌に何回か紹介されているのでご存じの方がいるかもしれない。

場所は改札をでて右側のほう(川村記念美行きのバスとは反対の側)。駅の前の道路を進み、2ブロック目を右にまわって100mくらいのところにある‘幸’というお店。駅からは5分くらいで着く。小さな店という感じだが、なかは座敷があるから広い。店の手前に9台のクルマを収容できる駐車場もある。

ロスコ展のとき味わったエビフライ定食(1800円)に大満足だったので、今回は隣の方と一緒に食べた。ほかの客が注文した‘ウルトラジャンボエビフライ定食’(3100円)はこれまたデカく、頭つき。

女子マラソンの高橋尚子やハンマー投げの室伏、はるな愛、大食いのギャル曽根の色紙などが沢山飾ってあったから、ここは有名な人気店(月曜休み、開店は11時半)。客もひっきりなしに入ってくる。エビがお好きな方は機会があれば、是非!

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2009.08.22

川村記念美で気になる麗子像を見た!

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展覧会へ出かけるときの決め手はやはり出品作の内容。美術館のHPやチラシに目玉となる作品が載っている。関心の高い展覧会の場合、見たい絵は普通3点くらいはあるから躊躇なく出かける。悩むのは展覧会自体にはそれほど惹かれないのに、作品のなかに気になる絵が含まれているとき。

川村記念美へ横浜からクルマを走らせたのは‘4つの物語 コレクションと日本近代美術’(6/27~9/27)に出ている岸田劉生の‘麗子座像’と対面するため。

今回、麗子像とは折り合いの悪さが続いた。佐倉へは百鬼夜行絵巻を見るため、
7/25国立歴史民俗博物館に足を運んだのに、すぐ近くに京成佐倉駅があったので、川村記念美はパスして東京に戻ってきた。

そのあと、この絵が気になってしょうがないので、8/11JRを利用してまた佐倉駅まで行った。ところが、1時間に1本でている美術館の送迎バスは5分前に出発していた。この日はいろいろ予定があって次のバスを50分も待っていたら、計画が狂ってしまう。タクシーに乗ると片道2500円かかるという。で、きっぱりあきらめて引き返した。

佐倉詣3度目にしてようやく‘麗子座像’(上の画像)に会えた。この絵を所蔵しているのは大阪に住む個人、展覧会にでたのは数十年ぶりだという。とても気になる絵なのに手元の画集や美術本にも載ってない。

絵の前に立った瞬間、‘こんなすばらしい麗子像がまだあったのか!’と興奮した。有名な‘麗子微笑’(1921、東博、拙ブログ07/11/7)の1年あとに描かれているので、顔の描き方がよく似ているし、‘二人麗子図’(1922、泉屋博古館東京分館、06/9/17)に描かれた左の麗子の横顔ともうり二つ。ハイライトの白や首もとにみえる強烈な緑に震えるとともに、紫のセーターとチェック模様の赤いスカートの質感描写にいつもながら感服する。

この絵に引き合わせてくれたミューズに大感謝!損保ジャパン美の‘肖像画展’(5/2)とこの麗子像をみたので岸田劉生は一段落。最後に残った‘麗子住吉詣之立像’(個人)は気長に待ちたい。

1点買いの鑑賞なので、あとはさらっとみた。収穫は山下新太郎の‘端午’(真ん中)とこの企画展の前の常設コーナーにあった鏑木清方の‘明治時世粧・すきや’(下)。‘読書の秋’(07/7/30)を描いた山下は好きな洋画家なので、こういう子供の絵にもすぐ反応する。

川村記念美というと日本における現代絵画の殿堂のイメージが強いが、ここには質の高い日本画が結構ある。清方の‘すきや’の隣に橋本関雪の屏風‘琵琶行’と長澤芦雪の‘牧童図’があった。

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2009.08.21

花巻東の菊池投手はメジャー入りを熱望!?

841全国高校野球は準々決勝からがおもしろい。

昨日、花巻東の菊池投手(左の写真)が東北を相手に1失点に抑えたピッチングをダイジェストでみて、おもわず凄いと唸ってしまった。

最速154キロのストレートにもびっくりするが、それより圧巻なのがスライダー。こんな高速スライダーはプロの選手でもそうは打てないだろう。

今日の明豊(大分県)との準々決勝は6回から見たが、菊池投手は投げていない。てっきりこの試合ははかの投手にまかせ、準決勝、決勝に備えるのだろうと思っていた。だが、そうではなく、背筋痛のため5回途中で交代していた。6回裏に明豊は2点をあげ4-3と1点差に追い上げた。

勢いが明豊にある感じなので、花巻東は負けるなと思い、チャンネルを変えた。あとで試合結果をみたら、延長10回で花巻東が7-6で勝っていた。菊池投手は大会に入ってから背筋痛があり、本調子ではないようだ。この体調でもう2試合は無理。ほかのチームが優勝するだろう。

ところで、菊池投手はメジャー入りを熱望しているらしい。これに呼応するように、NYメッツのGMが菊池に興味をもっていることを表明している。この投手は10年に一人クラスの逸材。左腕のいいピッチャーは日本のプロ球団でも200%欲しいだろうが、大リーグも喉から手がでるくらい獲得したがっている。菊池がマイナーで2,3年経験を積んでメジャーのマウンドに立てば、先発投手の一角に食い込んでいいピッチングをするのではなかろうか。

さて、本人は日本の各球団が提示する高額の契約金をけって、マイナーリーグで投げる選択をするだろうか?相談する両親、花巻東の監督の意向も考えなくてはいけないから、これから大変だろう。。高い契約金が手に入れば親孝行ができる。また、監督は親心から‘アメリカへ行くのはいいが、もし失敗した時のことも考えておけよ。すぐ日本のプロ野球では投げられないぞ!’ときっちり言い聞かせるにちがいない。

菊池が欲しい日本のチームは昨年の田沢投手(レッドソックス)の二の舞はしたくないから、秋のドラフト会議で当然指名する。指名されたら、もうダメ。だから、菊池が本当に大リーガーをめざすのなら、田沢のように早い段階で‘メジャーで投げたいので、指名しないで下さい’と強い意志をもって宣言するしかない。そして、海を渡りマイナーでプロの投手としての技術と精神を鍛え、そして夢の舞台に立つ。大リーグファンとしては、是非チャレンジしてもらいたいのだが。でも、この可能性は2割くらいしかなさそう。

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2009.08.20

散歩で街角ウォッチング!缶ビールを歩きながら飲む男性が増殖

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日本は‘十人一色の国’(拙ブログ05/1/17)で流行に目ざといから、飲食物に対する好みも短期間でいろいろ変わっていく。変わるのは物だけではない。食べたり飲んだりする場所だって変わってきた。

いまではJRや私鉄各線、地下鉄の車内で弁当やお菓子を食べる人をみても驚かなくなった。女性が電車の中で平気で化粧をするご時世だから、飲食でも地方を走る列車のボックス席と同じ感覚で弁当を食べたり、お酒を飲んだり、もう何でも有り。

1年前、横浜市営地下鉄で遭遇した光景が今でも目に焼き付いている。桜木町駅で背広をきたちゃんとしたサラリーマン風の若い男性が乗ってきた。夜7時ごろだから、車内は通勤帰りの乗客で大変混んでいる。こういう状況で顔がすでに赤いこの男性は立ったまま手にもった缶ビールを気持ちよく飲むのである。目が点になった。‘オイオイ、この満員電車のなかでビールかよ!’これまでこんな光景は見たことがないから、呆れて見ていた。

散歩を長年していると、人々のいろいろな立ち振る舞いに出食わす。暑い夏になると、缶ビールを歩きながら飲む男性をよくみかける。昨年あたりからすごく増えてきた。10人いると8人が中高年で、2人が20、30代といった感じ。この人たちは別に遊び人風でもなく皆ごく普通の人。5年前はこんな中高年は見かけなかった。

中高年は年金をもらっている人でもまだ働いている人でも、年金受給額の減額や不況の影響で生活が苦しくなり、堪えじょうがなくなってきているのだろう。だから、暑いと買った缶ビールを家に帰るまで待てず、歩きながら飲んでしまうにちがいない。普通のオヤジさん、お爺さんだからちょっと考え込む。‘だらしなくないか、昔の年配者は皆家に帰って飲んでいたぞ!’といつも心のなかでつぶやいている。

小さい頃、酔っ払いは今とは較べものにならないくらい多くいた。昼間でも、食べ物屋には常連の酔っ払いオジさんがいて、‘ちょっとお姉ちゃん、冷もう一杯’なんて大きな声をあげていた。今、歩きながらビールを飲んでいる人たちはこういう昔の酔っ払いのようなことはないので、こちらがすれ違いざまに不快な感情をもつことはない。ビールも第三のビールとか価格の安いものが登場しているから、酒好きな人は自販機で買った缶コーヒーを飲むみたいにビールを飲んでいるのかもしれない。

上の絵は贔屓の中国人画家、王子江さんが昨年あった回顧展(拙ブログ08/2/24)のために描いた‘大餐図’(左側)。家族、友人、知人などが円卓を囲み、ビールを飲み美味しい料理を食べている。中国人にとって飲食は人生楽事のひとつ、このことをよく伝えるすばらしい風俗人物画である。

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2009.08.19

散歩で街角ウォッチング! セミの大合唱

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散歩コースのなかに20分くらい両サイドに大きな街路樹が立ち並ぶところがある。そこではいつもセミが大合唱!その総音量はかなり大きい。だから、もし誰かと話ながら通るときは、相当大きな声でしゃべらないとお互い何を言っているのか聴きとれないかもしれない。

今、耳に入ってくる鳴き声はアブラゼミの‘ジージリジリジリ’、ミンミンゼミの‘ミーンミーンミンミンミーン’、ツクツクボウシの‘ツクツクボーシ、ツクツクボーシ、ツクリンヨー、ツクリンヨー’の3つ。

総音量をあげているのは数の多いアブラゼミ。このありふれた茶色のセミはいたるところにいるし、いつも‘ジージー’鳴いているというイメージだが、本当にそうなのだろうか?それとも沢山いるため、鳴き声がとぎれず、常時鳴いてるように思えるだけのこと?

小さい頃の体験からすると、ツクツクボウシなどと比べればアブラゼミをつかまえるのは簡単。動きが鈍いのに木の低いところにも平気でとまっているから、つい手がのびる。

3つのセミのなかで耳に一番残るのはミンミンゼミ。うるさい感じのアブラゼミに対し、こちらの‘ミーンミーンミンミン’は太くてリズミカルな鳴き音だから、単調な反復運動でもこれに合わせて体を動かすと長く続けられそうな気がする。

セミ界の千両役者はなんといってもツクツクボウシ。そのメロデイアスな鳴き声は夏の風物詩。ウグイスの‘♪ホーホケキョ’とこの‘♪ツクツクボーシ、ツクツクボーシ’は自然界の生きものが生み出した名メロディの双璧ではなかろうか。

昨年はものすごく耳についたクマゼミの‘シャムシャムシャム’は今年は聴こえてこない。クマゼミはもういなくなったのだろうか?小学生の頃、この透明な羽根をした体の大きいクマゼミをよく追っかけた。たいていは長い棒の先に油もちをつけて、抜き足差し足で最接近して獲るのだが、アブラゼミのように簡単には獲れない。だから、うまくつかまえたときはとても嬉しかった。

セミの絵ですぐ思い浮かべるのは若冲の‘動植綵絵・池辺群虫図’(上の画像、部分)。赤トンボの下にアブラゼミがとまっている。若冲はまた‘菜蟲譜’やモノクローム画面の拓版画でもアブラゼミを描いている。

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2009.08.18

散歩で街角ウォッチング! 子供に声をかけるのは禁物!?

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水泳同様、日々の生活をいいリズムで過ごすのに欠かせないのが散歩。雨が降らない限り、水泳の日を除いて毎日1時間半歩いている。距離にすると9㎞くらい。水泳に比べるとジョギング歴は浅く10年ちょっと。

散歩のコースには商店街、大きなスーパーマーケット、コンビニ、ブックセンター、ファミリーレストラン、居酒屋、蝉が鳴きまくる緑の樹々、マンション群、住宅地、テニスコート、公園、学校、銀行、郵便局、警察の交番、自動車ディーラー、ガソリンスタンド、美容室、葬儀会場、医院、薬屋などがあるから、街角ウォッチングを継続して行っているようなもの。

元来好奇心が旺盛なので、こうした街の光景や人々の行動をいつも興味深く眺めている。で、これから‘散歩で街角ウォッチング!’のタイトルで、よく立ち寄る場所や関心のあること、また世相の変化みたいなことを雑感風に綴ってみたい(不定期)。1回目は‘子供に声をかけるのは禁物!?’

まず、これと関連する話で広島にいたときの体験から。広島城を見学したとき、東京や名古屋では考えられないことにでくわした。帰り際、これから天守閣に登ろうとしている女子中学生が‘こんにちは!’と声をかけてきた。これにはちょっと面食らった。すぐ‘こんにちは’と返したが、この女の子の礼儀正しい挨拶に心がざわざわした。こんな見ず知らずの人に挨拶をする子供に東京で会ったことはこれまで一度もなかったから、ものすごく新鮮だった。

広島に9年いたが、出張で島根県の出雲市へ出かけたときも、小学5,6年の男の子から同じように‘こんにちは’と挨拶された。中学生の女の子も小学生の子も多分、学校で先生から‘挨拶をしましょう’と教えられているのだろう。これは10年くらい前の中国地方での話だが、現在もこうしたほっとするような教育がなされているだろうか?

都会の家庭や学校では小さい子供に対して‘知らない人とは話をしてはいけませんよ!’と言い聞かせている。無差別殺人や殺傷事件が頻繁に起こるから、子供たちの安全を守るためにはこういうリスク回避の行動を小さい頃からとらせることは大切なことかもしれない。

子供たちはいつもこういう風に云われているなということは彼らの行動をみているとおよそ察しがつく。学校から帰る小学生の顔つきは昔とは全然違う。とにかく子供たちをにこやかにみれる雰囲気ではない。とくに女の子の警戒心が顔に現われている。こちらがちょっとでも見ていると、むこうもじっと見ている。なんだかこちらの姿、顔貌を目に焼き付けているような目つきである。これではとても‘学校、もう終わったの?’なんて声はかけられない。

自己防衛のために声かけは禁物と心得ている。仮に自宅の近くで子供に災難があったとき、警察は当然子供たちに‘知らない人に声をかけられたことない?’とヒヤリングをするであろう。それで‘そういえば前にジャージーを着たおじさんに声をかけられたことがある’なんてインプットされていたら、とんだとばっちりを受ける。‘君子、危うきに近寄らず’である。

朝日新聞の読者欄にこんな記事が載っていた。お婆さんが一人の女の子に‘駅へ行く道はどっち?’と尋ねると、その子は‘あっち’と教えてあげた。すると一緒にいた女の子がすぐさま‘知らない人とは話をしてはいけないんだよ’という。それに対し道を教えた子は‘お婆さんだからいいのよ’と切り返す。大人と子供の心を通わすコミュニケーションもままならない時代になってきた。

上の絵は女流日本画家、小倉遊亀が描いた‘径’。これは大好きな絵。お母さんのあとをついてゆく女の子と犬の姿がなんとも愛らしい。

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2009.08.17

体調維持の運動は水泳!

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家からクルマで5分のところにある会員制スイミングクラブで週1回泳いでいる。水泳とのつきあいは長く、もう25年くらいになる。住む場所が変わったから、利用施設は会社の所有するスポーツ施設とか市や県の公共のプールなどいろいろ経験した。現在は25mのプール。

泳ぎ方はもっぱらクロール。時間はノンストップで1時間。遠泳スタイルのゆっくりペースだと25mに1分かかるから、距離にすると1.5㎞くらい。2年前までは2㎞泳いでいたが、長くなるとゴーグルが鼻の根っこのところに食いこんで痛くなるので、きりのいい
1時間に変更した。

以前は時間ではなく、距離をカウントしながら泳いでいたが、後半になるとこれが正確でなくなる。‘ターンするとき、これで1.3㎞だったよな?!’水泳されてる方なら経験あると思うが、こういうときは実際はそこまでいってないのに、多目にカウントし1.3㎞泳いだことにしてしまう。何かの拍子に、泳いだ距離を測り続けるより、何時から何時まで泳ぐと決めておけば距離もアバウトでわかるのだから楽なことに気づいた。

1時間の泳ぎはリラックスモードなので、ものすごく疲れたとか苦しいということは無い。25年前にはじめたころマスターしたクロールの長距離泳法で軽く泳いでいるのである。だから、泳いでいるときはいろんなことを考えている。

例えば、夜書くブログのタイトル、構成をどうしようか?とか、また、そのとき関心のある画家をリレーして思い浮かべることもよくやる、クリムトのことを10分思ったあとはシーレの絵を10分イメージするとか。

水泳の効用はいくつもある。最もいいのは風邪をひかなくなること。これは皮膚が強くなるからだろうか。それから肩こりが無縁になる。これもいい。また、クロールをやり続けると腕が強くなるかもしれない。

1時間クロールで泳ぐというのは、両腕を耳のそばにくっつけまっすぐ上にあげて1時間歩くのと同じこと。普段の生活で腕を上にあげることはないから、クロールは最初腕がすごく痛くなる。でも、しばらく泳いでいると腕の筋力がついてきて痛みはだんだん消えていく。

西洋画でも日本画でも、水泳の絵というのはさすがに思いつかない。で、海水浴をイメージさせるピカソの‘水浴の女たち’(1918)をとりあげた。これはパリのピカソ美術館が所蔵しており、03年上野の森美で開催された‘ピカソ・クラシック展’に出品された。

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2009.08.16

アストロズ松井稼 日米通算2000本安打達成!

836大リーガー松井稼(アストロズ)が日米通算2000本安打を達成した。拍手々!

松井にスポットライトが当たるのは2年前のポストシーズンでの大活躍(当時ロッキーズ)以来。

昨年はナリーグ・中地区のヒューストン・アストロズへ移籍したものの、ケガなどで思うように成績があがらず、今年のWBCにも選ばれなかった。

現在打率は0.245だから、ほかの大リーガー、イチローやヤンキースの松井、福留と比べるとまったく物足りない。04年にメッツに入団してから6年経つが、期待されたほどの成績を残せてない一番の理由はケガが多いから。このため、体は小さいのにパンチ力のある打撃の力をコンスタントに発揮できない。

メッツで大リーガーのレベルに達してないとダメ出しされた守備力は猛特訓により上手くなり、今では安定した2塁手として左右によい動きをする。で、守備の不安が解消されたから、持ち前の打力でアピールするだろうと期待も高まる。ところが、ケガで何度も故障者リスト入り。いつまでたってもいい状態を長く維持できない。

だから、好調なときは2番を打たせてもらえるが、調子を落とすとすぐ7番、8番に下げられる。バッターというのは下位の打順で打てば、下位打者の成績しか残せないもの。アストロズとの契約は確か3年契約、年俸6.5億円くらいのはずだから、松井はチームの主力選手としてもっと活躍しないとトレードに出されるとか再契約してもらえない可能性は十分ある。

チームは地区の4位で首位から9.5ゲーム離され、またワイルドカードも無理な状況、首脳陣は来年のチーム編成に頭を切り替えているだろう。若返りを進める方針なら、ケガの多い松井もうかうかできない。結局、ロッテの井口のように日本に戻ってきたりして?

現地で名球会メンバーの東尾が松井にブレザーを着せていたが、もし東尾が来年楽天の監督になれば(実現する確率はかなり高い)、松井を呼びよせるかもしれない。松井の体力では162試合も戦う大リーグでプレーし、毎年高いパフォーマンスをみせるのは難しいような気がする。

まだ、33歳なのだからいっそのこと日本球界に復帰して、またひと花咲かせたらいいのに。それとも、8番バッターでも大リーガーとしてプレーし続ける?

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2009.08.15

唐三彩の仕上げは出光美の中国の陶俑展!

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出光美の‘中国の陶俑展’(8/1~9/6)は最後まで出動を迷っていた。それはここの唐三彩には静嘉堂文庫や永青文庫のコレクションのように重文や重美がないから。あの鮮やかな緑や褐色が見られる三彩に出食わすのか、ちょっと不安なのである。

背中を押したのはHPにあった‘11年ぶりにとりあげます’という文言。これにコロッと参り入館した。正解だった!出光美は東博、五島美とならぶやきもの展の御三家だから、ちゃんと期待に応えてくれる。ブランド美の証である。唐三彩だけで90点。これまで見たのはわずか2点、こんなに所蔵していたとは!やはりここのやきものコレクションは底なし。

唐三彩に魅せられているのはMyカラーが緑&黄色だから。エル・グレコやゴッホが大好きなのもこれが大きく影響している。その緑と褐色に震えるのがしっかりあった。人物俑で緑の発色具合、顔のやわらかい表情が心をとらえて離さないのが上の‘三彩楽人’。

これをチラシに使いたい気持ちはよくわかる。小さな俑だが、視線を釘付けにするほどの存在感がある。本当にいいものを見た。楽人のすっきりした顔にくらべ、貴婦人の顔はとてもふっくらしている。目についたのは青と緑の衣装が印象的な婦人のもの。また、藍色の衣装を着た男子2体がみれたのも収穫。

動物俑は定番の駱駝が3点と騎馬人物が13点。とくに惹きつけられるのが真ん中の口をもたげていななく駱駝。これは94年、愛知県陶磁資料館が行った東洋陶磁の名品展でお目にかかった。動きのあるポーズはインパクトがあるのでよく覚えている。馬は男性や女性が乗った9体セットに思わず足がとまる。これだけの数の騎馬人物を一度に鑑賞できるのは貴重な経験。

沢山あった壺や三足盤、水注、龍耳瓶で緑と褐色に最も魅せられたのは下の‘三彩貼花騎馬人物文水注’。色彩だけでなく胴のまるみが心を和ませてくれる。静嘉堂文庫や永青文庫のようにとびっきりいい三彩には残念ながら遭遇できなかったが、‘三彩楽人’プラス藍色の人物俑や獅子が見れ、コンパクトな図録がゲットできたのでOK。

来年のやきものシリーズは何が登場するのであろうか?

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2009.08.14

表慶館 アジアギャラリーがオープン!

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今年は唐三彩の展示に縁がある。仕事でも美術品の鑑賞でもよく理解したり深く味わうためには、やはり‘選択と集中’が大事。6月、静嘉堂文庫で‘三彩貼花文壺’(重文、拙ブログ6/4)に感激したあと、唐三彩への関心がより強くなった。こういうときは、おもろいことに美術館が呼んでいるような気になる。

で、永青文庫へ出かけたら、想定外のすばらしい唐三彩コレクションに遭遇した(7/26)。こうなると、東博にある‘三彩龍耳瓶’(重文、上の画像)がまたみたくなる。これと再会したら唐三彩は一段落する。そんな思いが通じたのか、8/4表慶館にオープンしたアジアギャラリーに‘龍耳瓶’が展示されることが‘博物館ニュース’に載っていた。いい流れにはすぐライドする。これを勝手に‘求めよ、さらば与えられん!ライド’と呼んでいる。

東洋館の改装が完成するのは3年後の12年。そこで、アジア・エジプトの美術品は表慶館の1階に半年タクトで展示されることになった。といっても、ここで展示されるのはやきもの、工芸品、彫刻のみで、絵画や書は本館で特集陳列という形で公開される。

お目当ての唐三彩はエントランスホール右手の一番奥の第2室にあった。2,3回お目にかかっているが前回見たのは4年前?視線が集中する龍耳のフォルムは西方が起源。龍の首の褐色と突起物や胴の鮮やかな緑が眼に焼きつけられる。また、表面に貼りつけられた宝相華文のメダイオンも丁寧に描かれている。唐三彩の名品を集中的に見れたのは優しいミューズのお陰。感謝!

1点買いの平常展示といっても、すぐ帰るわけにはいかない。東博自慢の名品がまわりにいくつもあるから、これもしっかり楽しんだ。真ん中は青磁の優品‘輪花鉢’(重文、南宋時代・12~13世紀)。一度みたら心の奥まで沁み込んでくる青と縦横に走る貫入にいつも釘付けになる。ここには同じ南宋時代にやかれた青磁の重文があと2つある。‘青磁茶碗 銘馬蝗絆’と‘青磁琮形瓶’。次回以降に展示されるだろう。

今回飾られているのは横河コレクションの東晋から清までのもの。横河民輔氏(1864~1945)から寄贈された中国陶磁器は1200点。大コレクションである。清の雍正年間(1723~1735)につくられた下の‘粉彩梅樹文皿’(重文)にぞっこん惚れている。やきものの絵付けをみているというよりは花鳥画をみている感覚に近い。美しい梅の花、たっぷりとった余白、皿の形にあわせて優美に曲がった樹の枝、これほど心を揺すぶる梅の絵はほかにない!

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2009.08.13

のりにのっているアートエンターテイメント本 ‘もっと知りたい’シリーズ!

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展覧会図録の話をしたので、本屋さんで販売されている美術本についても少しふれてみたい。本好きの人なら‘いい本を手に入れた!’と心から嬉しくなることがよくあるはず。次の3冊は最近購入したもので手にとるのが楽しくてたまらない本。

★‘もっと知りたい ルネ・ラリック’:鈴木潔著 東京美術 09年5月(上の画像)
★‘ラリックをめぐるフランスの旅’:池田まゆみ監修 小学館 09年6月(真ん中)
★‘もっと知りたい 世紀末ウィーンの美術’:千足伸行著 東京美術 09年8月(下)

国立新美で開催中の‘ルネ・ラリック展’(9/7まで)を鑑賞したのがきっかけで、‘もっと知りたい’シリーズと展覧会を企画した池田まゆみ氏監修の‘ラリックをめぐる旅’を手に入れた。図録とこの二つの本に載っているラリックのすばらしい宝飾品やガラス作品を今、ため息まじりで眺めている。

とくに感激しているのは‘もっと知りたい’シリーズ。‘よくぞ掲載してくれた!’と拍手を送りたいのがリスボンにあるグルベンキアン美のコレクション。全部で18点ある。表紙に使われている胸元飾り‘トンボの精’や‘蛇’などラリックの最高傑作の宝飾品がずらり。おそらく自慢のコレクションはすべて出してくれたのであろう。

また、パリ装飾美の煌めくネックレス‘ハシバミの実’など9点にもクラクラしっ放しなので、次のパリ旅行はここを訪問することを決めた。ところで、パリ装飾美は一体どこにあるのか?と思っていたら、うまい具合に‘ラリックをめぐる旅’という気の利いた本が出版されていた。即、購入。装飾美があるのはなんとルーヴル美のすぐ近く!こうなるとラリック鑑賞が現実味をおびてくる。パリの楽しみがまたひとつ増えた。

東京美術の人気シリーズ‘もっと知りたい’は快調に出版を重ねている。11日(火)、OAZOの丸善に寄ったら‘世紀末ウィーンの美術’があったので、すぐ手にとってみた。またまた、贔屓の千足伸行氏の執筆。相変わらず本のデザイン、構成、図版のレイアウトが上手い!まさにのりにのっている感じ。このシリーズについては拙ブログ07/2/27でアートエンターテイメントのシンボル的な本と書いたが、今では‘次はどの画家をとりあげてくれるのだろうか?’と新しい本の出版が待ち遠しくなっている。

最新刊の‘世紀末’は日本橋高島屋で行われる‘クリムト・シーレ展’(9/16~
10/12)や国立新美の‘ハプスブルク展’(9/25~12/4)を睨んでの出版であろうが、ゴーギャンにしろラリックにしろクリムトにしろ、美術ファンにとって人気のある画家は誰か?またどの美術館にたいする関心が高いかをよく把握し、タイムリーに出版するのだから、マーケティング力はかなりのもの。

この調子だと、‘もっと知りたい’シリーズはTASCHEN本同様、どんどん本棚のスペースを占領していきそう。

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2009.08.12

美術に魅せられて! 愛蔵の展覧会図録(西洋美術)

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本は年間かなりの数を購入するが、本の装丁の仕方、大きさ、文字の意匠、紙の質など業界用語についての知識はうすいから、いろいろある展覧会図録のどこがどう違うということをしっかり説明できないのがつらいところ。

何年も図録を手にしていると、最近のものと10年以上前のものでは大きな違いがあることに気づく。それは紙の質。最近のものは紙が薄くなっている。例えば、17年前にあった東博の‘創立120年記念 日本と東洋の美展’の図録は頁数や厚さの点では昨年の‘対決ー巨匠たちの日本美術展’(東博)とあまり変わらないが、表面がつるつるしたいい紙を使っているので、ずっしり重い。

西洋絵画でも‘日本と東洋の美展’と同じころにあった‘モネと印象派 ボストン美展’(Bunkamura)が同じタイプの紙で図版を印刷しており、これも重い図録。Bunkamuraの開催する展覧会で重くて立派な図録をつくったのは03年にあった‘ミレー3大名画展’が最後かもしれない。

これはウンベルト・エーコ編著‘美の歴史’(05年 東洋書林)と同じ香りのするいい紙が使われているので、手にもったとき高級感がある。紙の質がいいと掲載されている美術品がものすごく美しく見えるから、図録をながめている時間がついつい長くなる。

過去2年に開催された西洋美術関連の展覧会の図録で愛蔵しているのは、
★マーク・ロスコ展:川村記念美、09年2月(上の画像)
★ルネ・ラリック展:国立新美、09年6月(真ん中)
★クロード・モネの世界展:名古屋ボストン美、08年4月(下)

川村記念美はマーク・ロスコの‘シーグラム壁画’を展示しただけでもエポック的な快挙なのに、本タイプの立派な図録をつくった。拍手々!

‘ルネ・ラリック展’のものは飾ってある宝飾品やガラス製品をきれいに見せるために、良質の紙を使っている。昔の図録のように重いが、煌めく名品が目の前にあるようで、ページをめくっているといい気分になる。セレブを対象にした高級雑誌を見ているよう。

‘クロード・モネの世界展’の図録で惹かれているのはデザインではなくて、図版が本物の絵の色をよく再現しているから。沢山あるモネの図録や本のうち、色の再現具合はピカ一。最近はデジタル技術の発達で色をよくひろうようになってきたが、それでもバラツキがある。そんな中でこの図録は特別の出来映え。

色がよくでているといえば、今東博で開催中の‘染付展’も藍色が目に沁みる出色の図録をつくっている。

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2009.08.10

美術に魅せられて! 愛蔵の展覧会図録(日本美術)

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展覧会を見たあとはだいだい図録を購入する。そして、一週間くらいリビングのソファにおいて、頻繁にお気に入りの作品の図版をながめその感動を体の隅々まで沁み込ませる。本棚にしまうのはそのあと。

本棚は一定のスペースのままだから、ピカピカの図録を入れるとその分、古参の図録はどこか別の場所へ移動となる。この配置替えがなかなか忙しい。でも、隣の方からはいつも‘よくまあ、そんなに出したり入れたりするわね!’と呆れられているから、傍からみればどうでもいいことに時間とエネルギーを割いているのかもしれない。

画家が愛着のある絵を死ぬまで手元においているように、図録にもなるべく近くにおいておきたいものがある。そう、愛蔵の図録。可笑しいもので、配置替えして、なにかしっくりこないときがあるのはたいていお気に入りのものがすこしばっかり遠くなっていたから。で、元の定位置に戻すとすっと気分がよくなる。本好きな方は同じような感覚をお持ちのはず。 

ここ2年に購入した図録のなかでそんなお気に入りの図録は、
★大琳派展:東博、08年10月(上の画像)
★KAZARI 日本美の情熱:サントリー美、08年5月(真ん中)
★山水に遊ぶ 江戸絵画の風景250年:府中市美、09年3月(下)

大琳派展はとても手触り感がよく、装丁もいい。琳派狂だから、琳派関連の本や図録は沢山あるが、これを見ているときが一番楽しい。しかも琳派の主要な作品がずらっと揃っているので、いまやバイブル的な存在になっている。

サントリー美がつくる図録は手にとってみたくなるものが多い。なかでもKAZARIはデザインセンスが抜群にいい!これは05年東博であった‘華麗なる伊万里、雅の京焼’の図録と構成や本の感じが似ているが、どちらも美術出版センターが手がけていた。05年の展覧会をアップしたとき図録のことをたいそう褒めたが、この会社が参画していたのならいいものが出来るはず。KAZARIの精神が図録にまでゆきとどいているのは流石である。これは辻のお父さんの意向?

府中市美の図録づくりは新しい方向をめざしている。どこがこれまでの図録と違うのか?出品作の解説は最後に何頁も使ってするのがこれまでのやり方だが、この図録ではテーマ毎に並べられた作品の図版があるところで解説をしている。これは海外の美術館で西洋画展が行われる際に制作されるカタログのスタイルと同じ。この府中市美方式は本を読む感覚なので、絵が頭のなかに入りやすい。日本美術の展覧会でもこのタイプのものがトレンドになることを期待したい。

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2009.08.09

イチローのいるマリナーズはワイルドカードをとれるか?

820_2大リーグは残り50試合ちょっと。

これから、地区優勝、ワイルドカード(以下WC)獲得にむけた熾烈な戦いが本格化する。

現在、首位を走るのはヤンキース(東地区)、タイガース(中地区)、エンゼルス(西地区)。

レギュラーシーズンは終盤になると、2位以下のチームは優勝を目指すと同時に、各地区の2位のなかで最も高い勝率をあげたチームに与えられるWCを睨んでの戦いとなる。

中地区のタイガースとホワイトソックスの差はまだ2ゲームだが、ヤンキースとエンゼルスは2位を4ないし5ゲーム離し頭一つ抜け出しているので、両チームとも今の調子をキープし優勝になだれこむような気がする。だから、首位が遠くなったチームは戦術をWCの獲得に切り替えているかもしれない。WCを狙えそうなチームとその勝率は、

1.レッドソックス(東部) 0.569
2.レンジャーズ(西部)  0.560
3.レイズ(東部)     0.555
4.マリナーズ(西部)   0.518

どん尻にいるマリナーズはレッドソックスとは6ゲーム差くらい。地区優勝の可能性はエンゼルスに9ゲーム離されている現状ではかなり低いが、WCならまだ望みはある。だが、ギリギリのところ。ちょっと連敗すると、もうダメか!という感じ。チームは充分戦闘モード。今日はレイズに破れたが、昨日は前半負けていたのを追いつき、最後は劇的な逆転サヨナラホームランで勝利した。

WCはなかなか上手いやり方。これがあるので、上位チームの選手たちは162ゲームの最後の最後までそれこそアドレナリンをどばっと出してプレーする。それで大リーグ全体がおおいに盛り上がる。大リーグの醍醐味は最後の50ゲームとワールドチャンピオンを争うポストシーズンにあるといっても過言でない。

ポストシーズンに入ると、地区優勝だろうがWCだろうがもう関係なく、ベストコンディションを維持しているチームが勝ちあがっていく。だから、優勝を決めて一息ついていたチームより、0.5ゲーム差、1ゲーム差といってラストゲームまで激しくWCを争ったチームのほうが、ポストシーズンにそのまま勢いを持ち込むのでいい成績を残すことがよくある。2年前、ナショナルリーグを制しワールドシリーズに出場したロッキーズ(松井稼がいた)がそのいい例。

さて、マリナーズはWCをとれるだろうか?鍵は打の中心、イチローのバットとエース、ヘルナンデス(現在12勝)が握っている。われらがイチローは打率0.362と相変わらず打ちまくっている。昨日も2点同点打を放った。イチロー自身、なんとしてもポストシーズンに進出したいだろう。マリナーズに入団した年しか出てないから、テンションを上げているにちがいない。

でも、今年もちょっと無理かなという感じ。WCはレッドソックスでもレイズでもなく、テキサス・レンジャーズかもしれない。それとも、故障した岩村が9月に戦列復帰するレイズ?

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2009.08.08

西洋画・日本画比較シリーズ! ティントレット vs 北野天神縁起絵巻

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4ヶ月半の宇宙ステーション滞在から地球に帰還した宇宙飛行士若田さんの体調は過去の宇宙飛行士に比べると驚異的にいいそうだ。これは無重力により筋力が低下するのを防ぐため、ステーション内にあるトレーニング器具を使って体を動かしていた効果によるものらしい。

3倍の負荷をかけられる特別仕様のマシンは日本製。そして、トレーニングの都度、筋力などのデータを日本でサポートしている医師たちが分析し、その変化具合に応じて運動量を調節していたという。われわれはステーション内で若田さんがでんぐり返ったりするのを‘ふわふわと気持ち良さそうだね’と気軽に見ていたが、若田さんは無重力の影響をすこしでも少なくしようと、せっせとマシンを使ってキツ目のトレーニングをしていたのである。

つかみが若田さんの話なのは、本日取り上げる絵に宇宙遊泳がでてくるから。
★ティントレットの‘奴隷を救う聖マルコ’:ヴェネティア・アカデミア美(上の画像)
★ティントレットの‘天の川の起源’:ロンドン・ナショナル・ギャラリー(真ん中)
★北野天神縁起絵巻 承久本:京都・北野天満宮(下)

ティントレット(1518~1595)の絵には宙を舞う人物がよくでてくるが、その姿は宇宙遊泳を連想させる。拙ブログ05/8/608/2/3でも書いたように、この意表を突く視点から描かれた聖人や女神、童子には驚かされる。このアイデアをティントレットはどこから得たのだろうか?

短縮法はマンテーニャから学び、俯瞰は自分で思いついたのだろう。この俯瞰の構図というのは見る者は画面に描かれたところよりさらに上にいる感じだから、自分もなんだか宇宙遊泳しているような気分になる。絵のなかに入れるというのがとにかくいい。

日本画にも若田さんのでんぐり返りを思い起こさせるものがある。だが、こちらはかなりコミック的。国宝‘北野天神縁起絵巻 巻六’にその場面がでてくる。これは不運な死をとげた菅原道真が死後、雷神となって清涼殿に落雷を落とすところ。中央の迫力満点の鬼は黒雲にのって現われた眷属の火雷火気毒王(からいかきどくおう)。

くろぐろした雲と怒りの真っ赤な体に度肝をぬかれた殿上人は恐怖のあまりパニクりまくり。右では飛び散る火の粉に‘あれー、どうしよう’と足を上にあげてひっくり返り、左のうす青の衣装を着た男は宇宙遊泳状態。

ティントレットの絵もこの道真の祟りにおびえる絵も一生忘れることはないだろう。

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2009.08.07

東博平常展に浄瑠璃寺の四天王立像・広目天(国宝)が登場!

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東博本館の平常展には時々所蔵品ではないお宝が登場する。今回わくわく気分で出かけたのは上の国宝‘四天王立像・広目天’(12世紀、浄瑠璃寺)を見るため。1階11室に‘千手観音菩薩立像’(重文、京都・妙法院)、‘十一面観音菩薩立像’(重文、奈良・子島寺)などと一緒に展示されている(7/22~10/12)。

2年前、奈良博の‘美麗 院政期の絵画’で見た‘増長天’同様、等身大の安定感のある形と華麗な彩色文様に目を奪われた。2体とも浄瑠璃寺へ行かなくてお目にかかれたのだから運がいい。この寺は国宝‘阿弥陀如来坐像’(九体阿弥陀仏)があるので、いつか訪問することにしているが、四天王立像はここでじっと待っていれば残りの2体(持国天、多聞天)も見られるかも?期待したい。

もうひとつの楽しみだった国宝の刀をみたあと、時間もあったので2階にあがり、宮廷の美術、禅と水墨画のコーナーの作品を見た。真ん中は合戦絵巻の名作‘後三年合戦絵巻’(重文、南北朝時代・1347年)。1年前にも別の場面がでた。今年はドキッとする残虐な表現がみられる(展示は7/28~9/6)。

右下をよくみると女の首があり、周辺の土は血で赤く染まっている。解説文には赤ちゃんの小さな手があると書いてあるが、単眼鏡でまわりをみても見つからない。隣にいた方に‘赤ちゃんの手、どこにあるかわかります?’と二人で探したが、全然わからない。

首の無い死体の前では、女の子と女が後ろから刀を振りかざして追っかけてくる武者に殺されまいと必死に逃げている。左端では相手陣営の二人の武者が女たちに手をだし、柵のなかに引き入れている。緊迫感のある人物描写は映画のワンシーンをみているよう。これは源義家軍(右側)が食糧が無いため投降してくる清原家衡軍(左側)の女子供たちを殺し、投降できないようにしているところ。このほうが清原軍を兵糧攻めにできるから。

1階のやきもの展示には定番の名品がそろっているから、たまに見るといい気分になる(展示は9/13まで)。下はいつも見とれてしまう‘銹絵草花文大鉢’。口径が36.5㎝もある大きな鉢で、のびやかで勢いのある草花の線が心を打つ。古唐津の素朴な味わいにますます魅せられていく。

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2009.08.06

日本美術展覧会の展示期間はもっとスッキリできないのか!

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日本美術の展覧会をもう長いこと見ているが、何年たっても進歩がないなと思うのが展示期間。見る者の気持ちをまったく考えず、とにかく細切れに分けてくれる。昨日紹介した三井記念美の‘道教の美術展’(7/11~9/6)を例にとり、どのくらい複雑かお見せしたい。出品リスト(上)の最後に記されている展示期間は全部で12ある。( )は出品数

・7/11~7/26 (3)
・7/11~8/2  (25)
・7/11~8/9  (21)
・7/11~8/16 (3)
・7/11~9/6  (44)
・7/28~8/16 (5)
・8/4~8/16  (14)
・8/4~8/23  (6)
・8/4~9/6   (2)
・8/11~9/6  (22)
・8/18~9/6  (25)
・8/25~9/6  (4)

もう一回出かけることにしているが、どのタイミングで出動するかを検討するにも容易ではない。見たい絵がいくつかあるので、どれを捨ててどれを見るかとあれこれ思案、一応8/25~9/6に決めた。展示期間を細かくわけるのはなにも三井記念美に限ったことではなく、東博でもサントリー美でも相変わらず同じようにやっている。

なぜこの展示方式は何年たっても変わらないのか?理由は簡単。美術館の側にお客様志向の精神がないから!作品の保護とか、所蔵する美術館や個人が長く貸し出してくれないとかいろいろエクスキューズをいっているが、少しでも展示期間をスッキリして、来場者に作品を楽しんでもらおうという気持ちが欠けているのである。

学芸員はこう言いたいのだと思う。‘われわれはいい作品を展示しようと所有者のもとに通い、頭を下げて漸く展示をOKしてもらった。これだけの数を集めるのにどれほど苦労したことか!展示期間が細切れになったけれど、これは仕方がない。展示期間は短くてもお目にかかれないよりはいいだろう。この日程で見ていただくしかない。何回も来れない?それはそちらの都合でしょう。見れるものだけをご覧になれば’。

でも、今そんな‘見せてあげる’的な考えをもっていたら、美術ファンの心をつかむことはできず、逆にマイナスのイメージをもたれる。真のブランド美術館になるためには訪問者の気持ちをいつも考えた運営をしないとダメ。作品の保護という日本美術の特殊性があるにせよ、展示期間には工夫の余地がいっぱいある。

数をどうしても多くしたいのであれば、前期と後期で作品を総入れ替えして、後期の料金を前期の半額にしたらいい。例えば1200円なら後期は半券をみせれば600円とか。数はそれほど多くなければ、前期と後期2回出動すれば作品は全部みれるようにする。

京博であった‘狩野永徳展’(07年)や昨年の‘対決ー巨匠たちの日本美術’(東博)のように、会期は1ヶ月と短いが一度出かければ名品が全部みれる展示の仕方(京博方式と呼んでいる)が一番いいが、普通の企画展の場合、2回ならOK。ダブルのがあるから後半の料金は当然割引く。

とにかく2回で全部見ていただくという前提に立って、作品を選定することが大事。スッキリした展示を貫くためには‘作品を捨てる勇気’をもつこと。所有者の意向で変則的な展示になるのなら、それは外す。重文クラスでもはじけばいい。企画する者としてはあれもこれも集めたいと思うかもしれないが、専門家ではない素人愛好家はそこまで作品にどん欲ではない。数が多いことを期待しているのではなく、質の高い名品がいくつかあればそれで満足するのである。

これまで通りだと、‘展示リストがゴチャゴチャしているね、一体何回来たら全部みれるの?’という印象を見る者に与え、‘日本美術はいい作品にお目にかかれるが、展示替えがありめんどくさいよね’というイメージが定着してしまう。日本美術もスッキリ展示、大幅割引を真剣に検討する時期にきている。

東博で秋に行われる‘皇室の名宝展’は前後期で作品を全部入れ替える京博方式。好感度の高いサントリー美、出光美、三井記念美、江戸東博にたいしても、こういう展示を強く望みたい。

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2009.08.05

道教の美術展の情報量の多さにびっくり!

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美術館はいろんなタイプの展覧会を企画する。そのなかで一人の画家の回顧展を見ることが楽しみの8割を占めている。これは美術鑑賞をはじめたころからずっと変わってない。だから、‘Bunkamuraでバーン=ジョーンズの回顧展をやってくれないかな?’とか‘京博は池大雅展をいつ開催するのだろう?’などと勝手な期待ばかりしている。

話が横道にそれるが、美術館は年に一回くらいは来館者に対し‘誰の回顧展を実施してほしいですか?’とか‘海外の美術館でどこの名品展を見たいですか?’いったアンケートを行ってもよさそうなのに、出くわしたことがない。

展覧会の内容に美術館を訪問する人たちのニーズや意見をもっと取り入れてもらいたいと思うのだが、美術館で働く人たちは美術評論家とか展覧会請負人たちのほうしか向いてなく、‘素人美術愛好家の声なんか聞いてどうするの?’という人が大半なのだろう。展覧会マーケティングの発想を日本の美術館に期待するのは所詮無理か。

今回の三井記念美はテーマ型の‘知られざるタオの世界 道教の美術’(7/11~
9/6)。追っかけ作品がないのでパスしてもいいのだが、歴史好きだからそうもいかない。道教を横串しにしていろんな美術品を集めているから、分厚い図録はとても価値がある。情報量が多いだけでなく、展示の絵にも結構いいのが揃っていた。

いつも感心するのだが、三井記念美の展示室は広くはなく、むしろこじんまりとした展示空間なのに、目の前には質の高い作品が並ぶ。もう展示は終了したが、上の国宝‘辟邪絵・天刑星’と‘鐘馗’(12世紀、奈良博)や‘六道絵・餓鬼道図’(国宝、聖衆来迎寺)がさらっと飾ってあった。

実はこの展覧会は図録をゲットするのと2年前あった‘美麗 院政期の絵画’(奈良博)で見た‘辟邪絵’と再会するのが目的だった。疫病をはやらせる神を食っている善神(辟邪)、天刑星の密教の尊像を見るような忿怒相と鮮やかな赤の衣装を釘付けになってみた。

収穫はこれだけではない。真ん中の‘蝦蟇仙人図’(重文、知恩院)もぐっと惹きこまれた。これを描いたのは中国元時代の画家、顔輝。肩に蝦蟇を乗せ桃の枝を手に持った仙人の隣りには自分の分身を飛ばしている‘李鐵拐図’がある。お馴染みの絵だが、東博にある雪村の描いたものに比べると、こちらの人物描写のほうが重厚なイメージ。とくに鐵拐仙人の白い眼の鋭さは尋常ではなく、殺人鬼のような目をしている。

最後の部屋にとてもいい浮世絵があった。下の三代歌川豊国(国貞)作、‘文月西陣の星祭’。みるとわかるようにこれは七夕の絵。寿老人とか七夕は道教と深いつながりがある。後期(8/18~9/6)にも、雪村の代表作のひとつ‘琴高・群仙図’(重文、京博)や‘蓬莱山絵巻’(三の丸尚蔵館)などいい絵がでてくるのでまた出かけるつもり。

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2009.08.04

ビュフェとアナベルー愛と美の軌跡展

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現在、横浜そごうで‘ビュフェとアナベルー愛と美の軌跡展’(7/29~8/31)が開かれている。今年はベルナーレ・ビュフェ(1928~1999)の没後10年にあたる。そこで、ビュフェのコレクションでは質量ともに世界一といわれるビュフェ美術館(静岡県長泉町クレマチスの丘)は記念展を開催。

それを5月頃の日曜美術館のアートシーンで知ったので、土日高速道路料金1000円を利用してクレマチスの丘までクルマを走らせることにしていた。ところが、そごうで藤田嗣治展を見たとき、こちらに巡回することがわかり急遽変更し、じっと開幕を待っていた。

作品は60点。ビュフェ美が所蔵する作品は幸運にも4年前、損保ジャパン美で70点あまり見た(拙ブログ05/7/28)。今回出品された絵のなかでダブっているのは3点しかないので、ヴァリエーションがぐっと広がった感じ。

目に力が入るのは1955年に描かれた‘サーカス’シリーズ以降の作品。まず惹きつけられるのが4点の大きなサーカスの絵。上の‘二人のピエロ’、‘ピエロ’、‘手品師’、そして‘サーカス’。縦2.5m、横5mの‘サーカス’と向かう合う‘二人のピエロ’の存在感がすごい!これまでピカソやルオーが描いたピエロをみてきたが、これほど圧倒されたのははじめて。

人物画の見どころは妻アナベルをモデルにして描いた‘アナベル夫人’(真ん中)、‘自画像’、‘カルメン’、‘青い闘牛士’、‘二人のトレロ’。黒の鋭い線描でとらえたアナベルの端正な顔立と細みの体をうっとりして眺めていた。

風景画で目を楽しませてくれるのは下の大作‘大運河’と巧みな構図と海や空の青が印象的な‘ボゥリューの眺めA’。‘風車のあるミノコスの風景’などの明るくて色彩豊かな画風に大変魅せられた前回同様、ビュフェの風景画に200%KOされた。また、NYの冷え冷えとした摩天楼の光景を直角に交わる線で形どり透視図法で表現した2点も心を打つ。

会場の最後に飾ってあったのは自殺した年に制作された‘死No.16’。パーキンソン病に犯されたビュフェはいつも死と向かい合っていたことを感ぜずにはいられなかった。2回の回顧展で130点見たことになるが、手元にあるビュフェ美の図録をみるとまだ40点くらい残っている。いつか現地を訪問したい。

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2009.08.03

クレオパトラの妹の骨がエフェソスで見つかった!

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昨日放送されたNHKの‘エジプト発掘・クレオパトラ 妹の墓が語る悲劇’は大変おもしろかった。昼にあったTBSの‘海のエジプト展’も観たから、クレオパトラ物語に関する情報がかなり増えた。

1年前か半年前か?新聞でクレオパトラの妹、アルシノエの骨がトルコのエフェソスで発見されたという記事を読んだときは、それからどんなことがわかるのか具体的にイメージできなかった。だが、番組を見て、この発見がクレオパトラの実像に近づく大きな手がかりを与えてくれることがわかった。

エフェソス(上の写真)は8年前に訪問したから、墓があったところはだいたい見当がつく。メインストリートのすぐそばというから、多分通りに面した上流階級の家があった一角だろう。女性考古学者が発見した骨を法医学者が分析した結果、これは女性のものでクレオパトラ(BC69~30)が生きた時代と重なっていた。

また、別の学者の調査により、墓の形が八角形をしているため、アレクサンドリアの出身であることも判明。こうした条件を満たす人物を絞り込んでいくうちに、この骨がクレオパトラの妹、アルシノエ(BC67~41)のものであることがわかった。

大理石の立派な墓のなかにあったのは骨盤や手足の骨だけ。頭蓋骨は1929年にドイツ人が発見し、写真や測定データが残されていた。だから、頭骸骨を使ってアルシノエが実際どんな顔をしていたかをCGで再現したのは直近の骨の発見とは直接関係ない。

スコットランドにある大学の女性博士が分析したところ、アルシノエの頭蓋骨には2つの特徴があった。ひとつは目と目の間の鼻のつけ根が高い、これはヨーロッパ系の特徴、もうひとつは長い頭をしていること。これはアフリカ系の特徴。となると、アルシノエはギリシャ系とアフリカ系の混血だったということになる。すると、妹と血がつながっているクレオパトラも混血!

これまでクレオパトラは白人というのが定説だったが、実際はギリシャとアフリカの血が混じっていた。CGでつくられたアルシノエの顔からクレオパトラの美貌ぶりを100%連想するのはとても無理だが、妹の顔は眼鼻が整い美人の部類に入るから、クレオパトラもそれなりに美しかったにちがいない。

姉との戦いに敗れたアルシノエはローマ軍に捕えられエフェソスに幽閉され、数年後に死んだ。法医学者が行った骨の分析によると、突然死んだ感じで毒殺の可能性が高いという。歴史書にはアルシノエの殺害をアントニウスに依頼したのはクレオパトラであると記述されている。

さて、クレオパトラに関する物証はいつになったらでてくるのだろうか?今もアレクサンドリアの海底を探索しているフランク・ゴディオ氏が世紀の大発見をする?! 考古学者は夢の実現に人生を賭けるだろうが、素人歴史好きとしては、海のエジプト展に出品されているコインの横顔(真ん中)やカニャッチが描いた下の‘クレオパトラの自殺’
(1660、ウィーン美術史美)を見て絶世の美女、クレオパトラと戯れたい。

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2009.08.02

トリノ・エジプト展の美しいツタンカーメン像に釘付け!

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東京都美で昨日からはじまった‘トリノ・エジプト展’(10/4まで)を早速みてきた。海のエジプト展(拙ブログ7/2)を体験し、NHKの‘エジプト発掘’が1回、2回ともおもしろかったので、トリノ博物館が所蔵する彫像への関心は高い。

でも、半年前はこの展覧会に対する期待はさほどでもなかった。エジプト旅行をしたし、大英博物館とカイロの考古学博物館で巨大な彫刻などをみているから、最初はパスの気分だった。だが、チラシに載っている‘イビの石製人型棺の蓋’(真ん中の画像、BC7世紀頃)のフォルムが気になってしょうがない。とくに惹きつけられるのが緩やかな曲面で表現されている長い鬘にみられるきれいな髪の線。

さらに開幕1ヶ月前?になって、上の‘アメン神とツタンカーメン王の像’(BC14~13世紀頃)の展示が決まり、NEWチラシの表はこの彫像になった。これがまた見たくなるような美しい形をしている。ツタンカーメンは黄金のマスクやアンケセナーメンと一緒に描かれた玉座のほかに立像があったとは!こうなると、初日に見たいという気持ちを抑えることはできない。

今回は展示の方法がとても上手。トリノ博物館ではメイン展示である大型彫像は照明を少し暗くし、さらに所々に鏡を置くなどして、作品をより印象的にみせる演出がなされているようで、この方法がここでも採用されている。このようにピンスポット的に光が当たると彫像がいっそう神々しくみえてくる。息を呑んでじっくりみたのはお目当ての2つとツタンカーメンの立像同様、石灰岩でつくられた‘プタハ神座像’、ライオンの頭が強いインパクトをもつ‘セクトメ女神座像’。

いずれも見事な彫像なので、大きな満足が得られた。目玉の‘アメン神とツタンカーメン王の像’でおもしろかったのはひとまわり小さいツタンカーメンの右手が横の石を突き破りアメン王の肩をさわっているところ。‘ええー、こんな手の出方あり?’って感じ。トリノ博物館一番のお宝を現地でなく東京で見れたのは一生の思い出になる。

あとはステラ(石碑)の人物レリーフや古代文字ヒエログリフ、死者の書、彩色木棺、ハヤブサ、トキ、ジャッカルの木製小像、金の首飾り、目の覚めるような青の地にロータス文様が描かれたファイアンス製容器(下)などを軽くみてまわった。

帰り際、上機嫌になっていたので出口で販売していたトリノ名物、グイド・ゴビーノ社のチョコレートの詰め合わせを買うはめに。トリノは一度行ったことがあるが、そのときは名所観光が目的ではなかったからチョコレートに縁がなかった。週末はスウィーツ解禁だから、このコラボ企画につい乗ってしまった。

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2009.08.01

いつか見たい王妃ネフェルティティの胸像!

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海外の美術館に思いをはせるのは夢であっても楽しいから、計画だけはどんどん膨らんでいく。2、3年のうちに実現したいと思っているのがベルリンの美術館めぐり。拙ブログ4/10で訪問したい美術館と絵画について取り上げたが、絵のほかにどうしても見たいものがある。そのことについて少し。

★王妃ネフェルティティの胸像:ベルリン・エジプト美術館(上の画像)
★王妃ネフェルティティノ頭部像:エジプト考古学博物館(真ん中)
★アマルナ王宮の床の絵画:エジプト考古学博物館(下)

エジプトの美術品でエース格的な存在なのが‘ツタンカーメンの黄金のマスク’とアマルナ美術の最高傑作といわれる‘王妃ネフェルティティの胸像’。黄金のマスクは2度みたが、ネフェルティティは美術本で眺めているだけでまだ縁がない。

エジプト旅行のツアーには必ずカイロにある考古学博物館の見学が入っているから、黄金のマスクにはお目にかかれる。ところが、一般のドイツツアーの場合、ベルリンでの自由時間が組み込まれているのがあまりないので、エジプト美術館の前に立つには個人旅行を利用するとか段取をいろいろ考えなくてはいけない。ここは前回ベルリンを訪問した際、バスの中からみたシャルロッテンブルク宮殿のすぐ近くにある。

ネフェルティテイというと欧米では最高の美人の代名詞。だから、この胸像の前ではうっとりするだろうなと今から夢見ている。これは1912年、アマルナ王宮の跡地で発見された。カーターが黄金のマスクを発見したのが1922年だから、その10年前。ネフェルティティはツタンカーメンの父であるアクエンアテンの王妃なので、発見された順番としてはうまくいっている。

アクエンアテンの行ったアテン神信仰は美術の様式にも影響を与え、写実的な彫刻や生き生きとした自然描写がみられる絵画が生まれた。アマルナ美術の誕生である。

考古学博物館で‘ネフェルティティの頭部像’と‘パピルスと蓮の沼地に羽ばたく鴨の絵’から受けたインパクトはかなり大きかった。顔がやけに長く分厚い唇だけが目立つアクエンアテンに対して、ネフェルティティは眼鼻立ちがはっきりしており、相当な美女であったことをうかがわせる。

人物の造形でも花や鳥の描き方でも3300年も前にこれほどリアルに表現していたことがすぐには理解できなかった。古代エジプト人はピラミッドをつくった5000年前から合理的にものを考える頭脳をもち、現実をリアルに把握しそれを表現することに長けた民族だったのではなかろうか。そう考えれば写実的な表現にみちた彫刻や絵画があっても不思議ではない。

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