乾山・古染付の向付 と ナスカの土器がコラボ!
昨年2月、上野の国立科学博物館で開催された‘アンコール!世界遺産ナスカ展’で大変興味深い土器と遭遇した。そこで連想したおもしろいやきもののコラボのことが今日のお話。
★尾形乾山の‘色絵龍田川図向付’:MIHO MUSEUM(上の画像)
★古染付形替寄向付:石洞美(真ん中)
★ナスカの土器・椀:ペルー国立考古学歴博(下)
今、7/26に終了した五島美の‘向付展’(拙ブログ7/25)の余韻に浸っている。心に響いた名品のひとつが乾山の上の向付。これは文様の意匠に合わせて作品の形を変化させた斬新なもの。楓をかたちどった向付のほかに、菊(08/7/8)や百合(07/11/26)のものがある。
会場には仁清がつくった百合形も出品されていた。乾山は1710年代、先行例の肥前磁器に影響されてこれに取り組んだようである。
こうした花や動物の形がそのまま向付になったものがほかにもある。目を引いたのが中国明朝時代末期の1620年代に日本の茶人の注文により焼かれた古染付(景徳鎮民窯)。2組、見てて楽しくなるのがあった。真ん中の‘虫獣六題’と‘海の幸山の幸’。
虫獣は見てすぐわかる。中央が蝶と蝉、右が獅子とちょっとわかりにくい駱駝、左が象と馬。乾山の菊や楓の向付に盛られた刺身などの食材は食べやすいだろうが、獅子や馬ににらまれるとそれが気になり、美味しい料理もなかなか喉に通らないかもしれない。海の幸には魚の形をしたものがある。これがお祭りや縁日のとき屋台で売られている‘鯛焼き’のルーツかもしれない。
古染付はほかに琵琶形、桃形、葡萄葉形、楓形があった。楽焼でも一入の‘赤楽棕櫚皿’、‘白楽蛤皿’とか宗入の‘赤楽百合皿’といったインパクトのあるものがつくられている。
さて、最初にふれたナスカの土器である。これはナスカ前期(0~300年)のお椀。魚の鼻先が縁から飛び出した形につくられているところは乾山や古染付の向付の発想と同じ。古代ナスカの土器が日本や中国のやきものと時空を超えてコラボしていた!
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