すばらしい五島美の向付展!
上野毛にある五島美術館を久しぶりに訪問し、‘向付展’(6/27~7/26)を楽しんだ。今回出足が遅れたのは展覧会の内容についてとんだ勘違いをしていたため。
ここで開催される展覧会スケジュールは当然チェックしており、関心のあるものは出動する予定にしている。‘向付展’が6/27からはじまったことは知っていたが、情報回路が混線し所蔵品の展示とインプットされてしまった。だったら、これまで見ているからパスと決め込んだ。
ところが、最近アップされたnoelさんの記事をみて、どうも大変な勘違いをしていたことに気づいた。あらためてHPをみると特別展とある。道理で会期が1ヶ月と短い。ここでは過去、テンションが上がりっぱなしの‘茶の湯 名碗展’を2回経験した(02年と05年)。‘向付展’は質的にはこれと同じレベルのまさに10年に一度クラスのやきもの展を予感させる。閉幕する前に気づいてよかった。で、今日開館と同時に入館した。
果たして、予想通りやきもので定評のある美術館や個人が所蔵する向付の名品がずらっと揃っていた。‘和物 桃山時代’、‘和物 江戸時代’、‘中国製 古染付・祥瑞’、‘中国製 赤絵’、‘その他’の5つにグルーピングされた103点はひとつ々味わい深いものばかり。はじめてみるものが多いので目に力が入る。五島美術館が企画するやきもの展には毎回全国から名品が集まってくる。やきものコレクターや美術館から一目おかれているにちがいない。こういうのが真のブランド美術館。
魅了されるものが多くて選択に悩むが、長く見ていたものを中心に。上は‘鼠志野芦文四方筒向付’。掻き落としによって表現された芦の文様は鼠色の地にくっきりでており、ところどころにみえる赤茶色にぐっと惹きこまれる。織部は出光美でお馴染みの‘千鳥形’(拙ブログ07/2/26)や五島美の‘洲浜形’、‘舟形’が目を楽しませてくれた。
今回一番の収穫は絵唐津の向付。真ん中の蕨や鳥、草木の文様が実に生き生きしている‘草花文四方筒’(五島美)、‘蔓草文扇面口’(出光美)、地の美しいグレイにのびのびした草花の曲線文様が映える‘草花文平’(文化庁)を息を呑んでみた。
江戸時代につくられた向付では乾山が目を引く。お気に入りの‘色絵菊図’(五島美、08/7/8)、‘色絵石垣文角皿’(京博、07/11/26)、‘銹絵百合形’(MIHO MUSEUM、07/11/26)と再会しただけでなく、鶴や帆立舟、松などの文様が施された下の‘絵替筒向付’(湯木美)は10口が並ぶと花鳥画を連続して見ているような気になる。これまで見た乾山の銹絵ではこれに一番心を揺すぶられた。
明日まで展示されてます。やきものがお好きな方は是非!
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