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2009.07.28

シアトル美術館蔵 日本・東洋美術名品展の展示期間に不満あり!

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現在、サントリー美で開催中の‘シアトル美蔵 日本・東洋美術名品展’(7/25~
9/6)は展示品の内容からいうと、3年前、東京都美であったバーク・コレクション展と似たタイプの展覧会。違いは今回は日本の美術品に加え中国のやきもの・青銅器、韓国のやきもの、タイの仏像なども公開されているところ。

作品の数は98点。そのうち11点は日本にあるもの。チラシを見ての期待値は正直いってそう高くない。実際、サプライズの連続ということはなかった。日本の絵で足がとまったのは‘駿牛図’、本阿弥光悦&俵屋宗達の‘鹿下絵和歌巻’(部分、上の画像)、
与謝蕪村の‘寒林野行図’、北斎の肉筆‘五美人図’(真ん中)。

このうち、10m近くある‘鹿下絵’は15年前あった琳派展(名古屋市博)で見たから、そのすばらしさはわかっている。チラシになぜこの絵を使わなかったのだろうか?黒いカラスの屏風より、宗達の鹿のほうが人目を引くと思うのだが。

上は鹿が連続して沢山描かれている場面、天地のほうは鹿の体の一部は画面からはみだしている。鹿はいろいろな姿態をみせてくれる。出だしにいる鹿は美しいお尻をこちらにむけ、鹿の群れの隣に目をやると、首を高くあげて走る一頭の鹿はのびのびとした輪郭線だけで描かれている。これと同じ描き方の鹿がその先に2頭、今度は左から右に向かって飛ぶように駆けている。琳派狂にとってはたまらない絵である。

いい気分にさせてくれるのはこれだけではなかった。中国のやきものが充実している。が、その前に日本のやきものについてふれておかないと片手落ちになる。下の‘織部片輪車星文四方鉢’にちょっとびっくり。織部で星の文様はみたことがない。定番の片輪車と星のとりあわせ!‘思いつくまま文様を描いちゃおー’という感じだが、ビジーでもなく、モチーフを斜めの配置する構成は実に上手い。織部の文様は本当に奥が深い。これだから、やきもの鑑賞はやめられない。

中国のやきもので目を楽しませてくれたのは見込みの鳥のフォルムに見入ってしまう‘玳玻天目茶碗’、青の発色と形が心を打つ‘青花アラベスク文双耳扁壺’、目の覚める赤が印象的な‘紅釉瓶’。

日本画の展覧会では作品の保護のため展示の期間が短くなり、会期を何回かに分けて作品を取り替えざるをえないことはよくわかっている。だが、今回の展示替えはどうも合点がいかないので、そのことについて少し。

もともとひとつの和歌巻だった‘鹿下絵’が不幸なことにバラバラに分割されてしまった。時が流れ、シアトル美からその後半部分がやってくることになった。じゃあー、前半部分も一緒に展示しよう!その気持ちは理解できる。ところがである。前半はさらにまた分割されている。となると、これを所蔵する美術館(サントリー美もひとつもっている)や個人にお願いして貸してもらわないといけない。これはタフな折衝。でも、なんとか集めることができた。で、‘皆さん3つの会期に分けてお見せしますから、是非3回足を運んでください’というわけ?

このやり方ちょっと変ではないですか!サントリー美さん、お客さんのことをよく考えてもらいたい。100円の割引で3回行けます?今回はシアトル美の名品展でしょう。ここの作品だけならバーク・コレクション展のように1回で全部見せられるではないですか。それなのに、日本にある‘鹿下絵’の展示のために、会期をわざわざ3回にわけるのですか?

琳派だけが日本美術ではないから、この絵に執着してもしょうがない。前半部分を集めるのだったら、サントリー美のブランド力で一度に全部集めてくればいい。そして、シアトル美のといっしょに並べる。これが理想の形。でも、それが叶わないのなら同じような鹿の絵を3回もわけて展示したってそれほどおもしろくはない。それより、会期を分けないでサントリーとシアトルのものをずっと見せてくれるほうがよっぽどいいし、見る人はそれで充分満足する。

今は東近美のゴーギャン展のように作品の数は少なくても、質の高い作品があれば見る人の心は豊かになる。日本美術の展示の仕方も一度で全部みれる方式にチェンジする時期にきているのではないだろうか。

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コメント

いづつやさん、こんばんは。

毎度のことながらサントリー美の会期分けは何とかして欲しいですね。

この展覧会は巡回するらしいので、あえてサントリー美は見ないで来年のMOAを見に行くのも一つの手かな?と思ったりもしています。

ただMOAの方が交通費が高くつきそうですけど…。

投稿: いぬまゆ | 2009.07.29 22:27

to いぬまゆさん
サントリーは宗達の絵にこだわりすぎて、
見る人の気持ちがわかってません。シアトル
美のは全期間展示、日本にあるものを細切
れに出すなんて、元のものが一度に再現しな
いのなら、サントリーのだけで充分です。
そのために期間を3回にわけるなんて馬鹿げ
てます。

お客はシアトル美の名品に期待して見に来て
いるのがサントリーはどうしてわからない
のでしょうね?

こちらはバーク・コレクション展のように
一回で全部みれると思って入るのに光琳の絵
を期間限定展示するのだから、困っちゃい
ます。

こういう海外からの里帰りは全部一緒にみせ
ないと意味がないですね。それをシアトル美が
どうしてもOKしなければ、リストからはずせば
いいです。

日本画の展示の仕方を変える時期にきてますね。
前期と後期に展示品を全部入れ替えるとか、
数を犠牲にして全期間展示とか、いずれにせよ
今よりスッキリした展示にしてほしいですね。

投稿: いづつや | 2009.07.30 11:04

いづつやさん、こんばんは。たびたび失礼します。

約一年をかけて日本の5か所を巡回する展覧会のようなので、作品保護の点から細切れで展示するのも分からないではないですね。

この分だと各会場で細切れ展示となりそうな気がしてきました。

やっぱり見られるときにサントリー美で見ておこうと思います。

前期と後期に展示品を全部入れ替えと言えば今秋の「皇室の名宝-日本美の華-」展ですね。去年の大琳派展同様大いに期待してしまいます。

投稿: いぬまゆ | 2009.07.30 22:39

to いぬまゆさん
MOAに巡回するのなら、わざわざ会期をわけて
までMOAがもっている宗達の鹿の絵を展示する
必要ないと思うのですが、

とにかく、会期を細切れにするのはもうやめに
してもらいたいですね。サントリー蔵は鹿がいっ
ぱい描かれたいい絵ですから、シアトルのもの
とこの絵を会期中展示するだけで充分です。

皇室の名宝展は前後期で作品を入れ替えますから、
スッキリしてます。名品がずらっとでそうなので
楽しみですね。

投稿: いづつや | 2009.07.31 11:21

こんにちは。

サントリー美術館の会員になっています。
これお得ですよーー
開催期間中何度でも入れます。
図録も割引になります。

いぬまゆさんも如何?

投稿: Tak | 2009.08.01 13:05

to Takさん
宗達の鹿の絵は皆みているので、いいのですが、
光琳の絵が一発でみれないので困っているの
ですよ。

こういうのがあると年初、会員になっとけば
よかったなという気がします。後半にはもう
一回鏑木清方展にでかけることになるし、
毎年会員になるかどうかで悩んでます。

投稿: いづつや | 2009.08.01 17:06

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