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2009.07.31

ツタンカーメンの妻、アンケセナーメンの墓にミイラはなかった!

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7/26に放送された‘エジプト発掘・ツタンカーメン 王妃の墓の呪い’は06年にルクソール西岸‘王家の谷’で発見されたツタンカーメンの妻、アンケセナーメンの墓の話だった。

これを発見したオットー・シャーデン博士がどこの国の人かはふれられてなかったが、たぶんアメリカ人。すると、この番組を制作したのはアメリカのTV局。1回がフランス、8/2の3回‘クレオパトラ 妹の墓が語る悲劇’がイギリスだから、NHKは海外のTV局とコラボして民放との差別化を図っている。同じ話を何度も繰り返して視聴率を稼ごうとする民放のエジプトシリーズよりは格段に情報が多く、話の展開がよくわかる。

日本では吉村教授が発掘した遺跡の話ばかりが取り上げられるが、ほかに国の考古学者だって吉村教授よりももっと価値のある大きな発見をしていたのである。ツタンカーメンの墓のわずか10数mのところに、アンケセナーメンの墓があったことは全く知らなかった。吉村チームやザヒ博士が成し遂げた発見について報道されることが多いから、それが現在進行中の古代エジプト研究の最新かつ重要な話と思ってしまう。

昨日取り上げたフランス人建築家ウーダン氏の内部トンネル説にしろ、アンケセナーメンの墓にしろ、何か大事な最新情報が抜けていたような気がしてきた。この種の話はやはりNHKの情報を基本にしていたほうが真実に近づけるし、ためになる。TBSをはじめ民放がつくる番組にもいいのがあるが、‘一粒で2度、3度おいしい’的なところがあるから、だんだん新鮮さがなくなってくる。

これに較べるとアンケセナーメンの墓は鮮度200%。棺を開けたところ、なかにミイラがなかったので狐につままれた感じだったが、当時のツタンカーメン一族の置かれた状況を総合的に解説してくれるので、素人でもミイラがなかったことがなんとなく理解できる。

ツタンカーメンが生きたのは今から3300年前の新王国時代。8歳でファラオになり、
19歳で亡くなった。死因はこれまで暗殺説などがとびかっていたが、最近のCTスキャンによる調査で何かの事故で骨を損傷し、それがもとで死んだのではないかということがわかった。

ツタンカーメンの墓にあったのがあの豪華な黄金のマスク(拙ブログ7/3)。カーターが発見した墓からはこのほか、ツタンカーメンとアンケセナーメンが一緒に描かれた玉座(上の画像)などのお宝がザクザク!

アンケセナーメンの墓は壁に絵が描かれてなく、また、棺の表面に書かれた名前が消され、あの世での復活を妨げられていた。何故そんなひどい仕打ちを受けたのか?それはツタンカーメンの父、アクエンアテンが断行した宗教改革、すなわち、それまでのアメン神中心の多神教をやめて太陽神アテン神のみを崇拝する宗教政策に対する民衆の恨みによるものだった。

下の彫像はカルナックのアテン神殿から出土した‘アクエンアテン王の立像の上部’。これを00年松山市の愛媛県美であった‘エジプト文明展’でみたのだが、その馬面の顔貌と分厚い唇が今でも強く目に焼き付いている。‘この王があの宗教改革を行った異端の王か!’とまじまじとみていた。

もともと古代エジプト人は保守的だったから、この一神教には嫌々従ったのであろう。だから、王が亡くなると神官たちはすぐもとのアメン神にもどし、権力を取り戻した。ツタンカーメンはファラオといっても少年だから、なにもできない。

ツタンカーメンが死んだあと、アンケセナーメンがどのような運命をたどったかはわかっておらず、発見された墓はアンケセナーメンのものとみてよさそうだが、肝心のミイラがなかった!宗教革命の反動がこれほどまですさまじかったとは。

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2009.07.30

ピラミッド建造の謎を解き明かす内部トンネル説!

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7/29の0:45分から、見逃したNHKスペシャル‘エジプト発掘、第1集 プラミッド隠された回廊の謎’(7/5)を再放送していたので興味深く観た。

番組の主役は民放でお馴染み(or食傷気味?)の吉村作治教授やエジプト人のザヒ・ハワス博士ではなく、フランス人建築家、ジャン・ピエール・ウーダン氏(58歳)。ピラミッド建造の謎に1999年から取り組み、これを解き明かす新説を世界に発表して、注目を集めている。

彼が唱えるのは今までいわれていた‘直線傾斜路説’や‘らせん傾斜路説’とは違う‘内部トンネル説’。ピラミッドの内部にトンネルをつくり、それを利用して膨大な数の石灰石(平均2.5トン)を木製のソリで運びあの巨大なピラミッドをつくりあげたというもの。

この話は昨年制作されたどこかの局のエジプト番組でも紹介されたので大雑把には知っていたが、今回詳しく解説してくれたのでよくわかった。素人にもすんなり頭に入るということは、エジプト建造の話はこの説で決まり!という感じである。

ウーダン氏は4600年前につくられたクフ王の大ピラミッド(上の写真の手前)の外観や内部にある‘大回廊’、‘王の間’を10年間丹念に観察し、今も残るいくつかの痕跡を建造のアイデアと結びつけ、このトンネル説にたどり着いた。CGを使って具体的に建造の様子をわかりやすく見せてくれるので、一々腹にストンと落ちる。

クフ王のピラミッド(高さ147m)の場合、1/3の高さまでは直線傾斜路(角度5度)で石を運び、残り2/3はトンネルをつかって石を積み上げていく。トンネル(角度4度)はらせん状につくられ、総延長は1.6㎞になるといい、これがピラミッドの内部にあるという。トンネルの曲がり角が綾線に5ヵ所あり、正方形の広場になっており、ここで石の向きを転換する。その一つの跡が現在、くぼみとなってみえている。このくぼみはこれまでは石が崩れたと思われていた。

ウーダン氏の依頼で考古学者が実際にくぼみに登り、トンネルの曲がり角をイメージさせる空間を確認している。そして、空洞は少しかなく先は行き止まりになっているが、その向こうにトンネルが続いていることを予感させる。どうやら、ウーダン氏の内部トンネル説は当たってるようだ!別の説を主張する専門家たちもこれに同調するのは時間の問題のように思えてきた。

もう一つの謎、‘王の間’の天井に60トンもある重い花崗岩をどうやって運び上げたのか?という問題についても、ウーダン氏は明快にその方法を明らかにしている。エッフェル塔のエレベーターには乗客の乗るカゴをスムーズに持ち上げるための‘釣り合いおもり’がつけられており、そのため、少ない力でカゴを上下させることができる。

この原理が‘大回廊’でも使われておれば、回廊の反対側から60トンの石を引き上げる際、大勢の人間で引っ張りあげなくて済むことに閃いたそうだ。頭のいい人は誰も考えつかないことを思いつく。すごい建築家である。

で、‘釣り合いおもり’が乗った台車の木材が壊れないかとか、大きな石と釣り合いおもりをむすぶロープが切れないかとかの問題を検証するため、実際に使われたレバノン杉とかナツメヤシのロープ、おもりのトン数を想定して、CPで強度実験をしてみたら、問題ないことがわかった。こうして、この謎も解けた。

大変おもしろかったので、NHKから‘エジプト発掘’の本が出版されたら、購入しようと思う。

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2009.07.29

乾山・古染付の向付 と ナスカの土器がコラボ!

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昨年2月、上野の国立科学博物館で開催された‘アンコール!世界遺産ナスカ展’で大変興味深い土器と遭遇した。そこで連想したおもしろいやきもののコラボのことが今日のお話。

★尾形乾山の‘色絵龍田川図向付’:MIHO MUSEUM(上の画像)
★古染付形替寄向付:石洞美(真ん中)
★ナスカの土器・椀:ペルー国立考古学歴博(下)

今、7/26に終了した五島美の‘向付展’(拙ブログ7/25)の余韻に浸っている。心に響いた名品のひとつが乾山の上の向付。これは文様の意匠に合わせて作品の形を変化させた斬新なもの。楓をかたちどった向付のほかに、菊(08/7/8)や百合(07/11/26)のものがある。

会場には仁清がつくった百合形も出品されていた。乾山は1710年代、先行例の肥前磁器に影響されてこれに取り組んだようである。

こうした花や動物の形がそのまま向付になったものがほかにもある。目を引いたのが中国明朝時代末期の1620年代に日本の茶人の注文により焼かれた古染付(景徳鎮民窯)。2組、見てて楽しくなるのがあった。真ん中の‘虫獣六題’と‘海の幸山の幸’。

虫獣は見てすぐわかる。中央が蝶と蝉、右が獅子とちょっとわかりにくい駱駝、左が象と馬。乾山の菊や楓の向付に盛られた刺身などの食材は食べやすいだろうが、獅子や馬ににらまれるとそれが気になり、美味しい料理もなかなか喉に通らないかもしれない。海の幸には魚の形をしたものがある。これがお祭りや縁日のとき屋台で売られている‘鯛焼き’のルーツかもしれない。

古染付はほかに琵琶形、桃形、葡萄葉形、楓形があった。楽焼でも一入の‘赤楽棕櫚皿’、‘白楽蛤皿’とか宗入の‘赤楽百合皿’といったインパクトのあるものがつくられている。

さて、最初にふれたナスカの土器である。これはナスカ前期(0~300年)のお椀。魚の鼻先が縁から飛び出した形につくられているところは乾山や古染付の向付の発想と同じ。古代ナスカの土器が日本や中国のやきものと時空を超えてコラボしていた!

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2009.07.28

シアトル美術館蔵 日本・東洋美術名品展の展示期間に不満あり!

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現在、サントリー美で開催中の‘シアトル美蔵 日本・東洋美術名品展’(7/25~
9/6)は展示品の内容からいうと、3年前、東京都美であったバーク・コレクション展と似たタイプの展覧会。違いは今回は日本の美術品に加え中国のやきもの・青銅器、韓国のやきもの、タイの仏像なども公開されているところ。

作品の数は98点。そのうち11点は日本にあるもの。チラシを見ての期待値は正直いってそう高くない。実際、サプライズの連続ということはなかった。日本の絵で足がとまったのは‘駿牛図’、本阿弥光悦&俵屋宗達の‘鹿下絵和歌巻’(部分、上の画像)、
与謝蕪村の‘寒林野行図’、北斎の肉筆‘五美人図’(真ん中)。

このうち、10m近くある‘鹿下絵’は15年前あった琳派展(名古屋市博)で見たから、そのすばらしさはわかっている。チラシになぜこの絵を使わなかったのだろうか?黒いカラスの屏風より、宗達の鹿のほうが人目を引くと思うのだが。

上は鹿が連続して沢山描かれている場面、天地のほうは鹿の体の一部は画面からはみだしている。鹿はいろいろな姿態をみせてくれる。出だしにいる鹿は美しいお尻をこちらにむけ、鹿の群れの隣に目をやると、首を高くあげて走る一頭の鹿はのびのびとした輪郭線だけで描かれている。これと同じ描き方の鹿がその先に2頭、今度は左から右に向かって飛ぶように駆けている。琳派狂にとってはたまらない絵である。

いい気分にさせてくれるのはこれだけではなかった。中国のやきものが充実している。が、その前に日本のやきものについてふれておかないと片手落ちになる。下の‘織部片輪車星文四方鉢’にちょっとびっくり。織部で星の文様はみたことがない。定番の片輪車と星のとりあわせ!‘思いつくまま文様を描いちゃおー’という感じだが、ビジーでもなく、モチーフを斜めの配置する構成は実に上手い。織部の文様は本当に奥が深い。これだから、やきもの鑑賞はやめられない。

中国のやきもので目を楽しませてくれたのは見込みの鳥のフォルムに見入ってしまう‘玳玻天目茶碗’、青の発色と形が心を打つ‘青花アラベスク文双耳扁壺’、目の覚める赤が印象的な‘紅釉瓶’。

日本画の展覧会では作品の保護のため展示の期間が短くなり、会期を何回かに分けて作品を取り替えざるをえないことはよくわかっている。だが、今回の展示替えはどうも合点がいかないので、そのことについて少し。

もともとひとつの和歌巻だった‘鹿下絵’が不幸なことにバラバラに分割されてしまった。時が流れ、シアトル美からその後半部分がやってくることになった。じゃあー、前半部分も一緒に展示しよう!その気持ちは理解できる。ところがである。前半はさらにまた分割されている。となると、これを所蔵する美術館(サントリー美もひとつもっている)や個人にお願いして貸してもらわないといけない。これはタフな折衝。でも、なんとか集めることができた。で、‘皆さん3つの会期に分けてお見せしますから、是非3回足を運んでください’というわけ?

このやり方ちょっと変ではないですか!サントリー美さん、お客さんのことをよく考えてもらいたい。100円の割引で3回行けます?今回はシアトル美の名品展でしょう。ここの作品だけならバーク・コレクション展のように1回で全部見せられるではないですか。それなのに、日本にある‘鹿下絵’の展示のために、会期をわざわざ3回にわけるのですか?

琳派だけが日本美術ではないから、この絵に執着してもしょうがない。前半部分を集めるのだったら、サントリー美のブランド力で一度に全部集めてくればいい。そして、シアトル美のといっしょに並べる。これが理想の形。でも、それが叶わないのなら同じような鹿の絵を3回もわけて展示したってそれほどおもしろくはない。それより、会期を分けないでサントリーとシアトルのものをずっと見せてくれるほうがよっぽどいいし、見る人はそれで充分満足する。

今は東近美のゴーギャン展のように作品の数は少なくても、質の高い作品があれば見る人の心は豊かになる。日本美術の展示の仕方も一度で全部みれる方式にチェンジする時期にきているのではないだろうか。

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2009.07.27

大徳寺真珠庵蔵の百鬼夜行絵巻をやっと見れた!

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千葉県の佐倉市にある国立歴史民俗博物館へ遠征し、開催中の‘百鬼夜行の世界展’(7/18~8/30)を見てきた。この博物館ははじめて。バスを下車してから入口まではすこし坂道になっているので、7、8分の歩きでも暑い日にはしんどい。

この展覧会にでている作品は8点しかないから、ほんの10分で見終わる。横浜からここに着くまで2時間。鑑賞時間はたったの10分。でもこの10分はすごく満足できる時間なのである。

大徳寺真珠庵の所蔵する‘百鬼夜行絵巻’(室町時代、重文、上と真ん中の画像)は長年追っかっけていた絵。ここ5年、京博の平常展で2回くらい見る機会があったのだが、他の展覧会との組み合わせで時期が合わずどうしても見れなかった。この絵巻が都心からはだいぶ離れているが佐倉までお出ましいただいたのだから、2時間かかっても万難を排して駆けつけねばならない。

ほかの7点と比べてみると色の鮮やかさやきびきびした描線が断然いい。上は筋肉盛り々の赤鬼が古い唐櫃をこじあけているところで、なかの妖怪たちがびっくりした顔をしている。鬼の目ん玉や筋肉の線、緑と青の腰布の襞に金泥が使われており、全身赤の奇怪な姿態を強く印象づけている。

真ん中はこれにつづく場面で、右には鍋を被った妖怪や頭上に鍋蓋をおいて走る赤鬼がみえ、その前を楽器の銅拍子を頭にのせた妖怪が巻物を広げて歩いている。妖怪たちの着ている衣装の黄色、緑、うすピンクがすごく鮮やかなので夢中になってみた。

妖怪の形ははっきりしないところがあるから、全体のフォルムがしっかりイメージできない。だから、細かくみるよりこの妖怪は何の古道具なのか?とか、どうして夜中に皆が集まりハイになって行進するのか?とかいろいろ想像してみるほうが楽しい。この絵巻は全期間の展示ではなく、前期(7/18~8/20)だけなので、お出かけになる方はお間違えないように。

下は兵庫県歴博蔵の‘百器夜行絵巻’(江戸時代)で薬研と箪笥の妖怪が描かれている。薬研(やげん)は薬種を細かくする金属製の器具のことで、細長い舟形をし中がV字型にくいこんでいる。舟を曳いている妖怪の体はぼこぼこしており、ゴーヤみたい。この絵を見ていて、広島でバーや飲み屋の集中する繁華街の一角、‘薬研堀’界猥を思い出した。

百鬼夜行絵巻と関連のある妖怪あるいは地獄系の絵の情報をひとつ。今、三井記念美で行われている‘道教の美術展’(7/11~9/6)に国宝の‘辟邪絵・鐘馗&天刑星’(奈良博蔵)が8/2まで展示されている。東京でこのすばらしい国宝が見られるのは幸運なこと。怖い絵に興味のある方はお見逃しなく!

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2009.07.26

永青文庫の唐三彩コレクションに感激!

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永青文庫の夏季展‘白洲正子と細川護立’(6/27~9/13)に展示してある唐三彩をみるために、目白まで足をのばした。横浜から美術館を訪問するとき、東京・山手線方面で一番遠いのが永青文庫。

目白駅から新宿西口行きのバスに乗り、椿山荘前で下車。永青文庫までは歩いて5分くらい。夏ここへ来る時の注意事項をひとつ。館のまわりは見るからに蚊がいそうな感じだから、ぼやっとやわ肌をさらしていると痒い目にあうことになる。くれぐれも蚊に刺されないように!

今回のタイトルに特別関心があるわけではなく、出かけたのは上の‘唐三彩宝華文三足盤’(重文)と再会するため。はじめてこれを見たのは15年前、愛知県陶磁資料館で開催された大規模な東洋陶磁名品展。見込みの中央に施された宝相華文の美しさに感激したのをよく覚えている。

それ以来、唐三彩は中国美術展や東博の平常展などで見る機会があったものの、緑色と褐色の発色具合でこれと同じくらい惹きこまれたのは東博の‘三彩龍耳瓶’と先月、静嘉堂文庫で見た‘三彩貼花文壺’(ともに重文、拙ブログ6/4)くらいしかない。だから、唐時代(8世紀)にやかれた三彩の名品に会えるというのは特別な鑑賞機会なのである。

HPの情報は詳しくないので、三彩はこれだけと思っていたら、ほかに7点あった。しかも重文がもう1点、‘三彩蓮華文圏足盤’(真ん中)。これも大柄な蓮花文と蓮弁文が鮮やかな緑色と黄褐色で描かれている。二つの名品を前にだんだん気分が高揚してきた。白洲正子は‘二つなき唐三彩を今ここにしばし目を閉じ手に触れんとす’と詠んでいる。

収穫はまだある。下の‘三彩獅子’。明るい緑と白の対比が咆哮する獅子の姿を一層引き立てている。静嘉堂文庫でみたのは可愛らしいポーズをとる獅子の子だったが、ここのは迫力のある獰猛な獅子。やはり一流の目利きが集める美術品はレベルが高い。

定番の駱駝はないが、馬が二つ。これも松岡美にあるものと比べると、どうみてもワンランク上。たて髪や前髪が実にきれいに梳かれているだけでなく、馬具の垂飾りの緑の発色がとてもいい。細川護立の唐三彩コレクションがこれほどすばらしいものだったとは!一生の思い出になる。白洲正子も護立から古美術について最初に指南してもらったのはこの三彩だろう。

どうでもいいことだが、展示室に正子の若いころの写真があった。すごい美人!ダンディな白洲次郎と結ばれたことを即納得した。

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2009.07.25

すばらしい五島美の向付展!

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上野毛にある五島美術館を久しぶりに訪問し、‘向付展’(6/27~7/26)を楽しんだ。今回出足が遅れたのは展覧会の内容についてとんだ勘違いをしていたため。

ここで開催される展覧会スケジュールは当然チェックしており、関心のあるものは出動する予定にしている。‘向付展’が6/27からはじまったことは知っていたが、情報回路が混線し所蔵品の展示とインプットされてしまった。だったら、これまで見ているからパスと決め込んだ。

ところが、最近アップされたnoelさんの記事をみて、どうも大変な勘違いをしていたことに気づいた。あらためてHPをみると特別展とある。道理で会期が1ヶ月と短い。ここでは過去、テンションが上がりっぱなしの‘茶の湯 名碗展’を2回経験した(02年と05年)。‘向付展’は質的にはこれと同じレベルのまさに10年に一度クラスのやきもの展を予感させる。閉幕する前に気づいてよかった。で、今日開館と同時に入館した。

果たして、予想通りやきもので定評のある美術館や個人が所蔵する向付の名品がずらっと揃っていた。‘和物 桃山時代’、‘和物 江戸時代’、‘中国製 古染付・祥瑞’、‘中国製 赤絵’、‘その他’の5つにグルーピングされた103点はひとつ々味わい深いものばかり。はじめてみるものが多いので目に力が入る。五島美術館が企画するやきもの展には毎回全国から名品が集まってくる。やきものコレクターや美術館から一目おかれているにちがいない。こういうのが真のブランド美術館。

魅了されるものが多くて選択に悩むが、長く見ていたものを中心に。上は‘鼠志野芦文四方筒向付’。掻き落としによって表現された芦の文様は鼠色の地にくっきりでており、ところどころにみえる赤茶色にぐっと惹きこまれる。織部は出光美でお馴染みの‘千鳥形’(拙ブログ07/2/26)や五島美の‘洲浜形’、‘舟形’が目を楽しませてくれた。

今回一番の収穫は絵唐津の向付。真ん中の蕨や鳥、草木の文様が実に生き生きしている‘草花文四方筒’(五島美)、‘蔓草文扇面口’(出光美)、地の美しいグレイにのびのびした草花の曲線文様が映える‘草花文平’(文化庁)を息を呑んでみた。

江戸時代につくられた向付では乾山が目を引く。お気に入りの‘色絵菊図’(五島美、08/7/8)、‘色絵石垣文角皿’(京博、07/11/26)、‘銹絵百合形’(MIHO MUSEUM、07/11/26)と再会しただけでなく、鶴や帆立舟、松などの文様が施された下の‘絵替筒向付’(湯木美)は10口が並ぶと花鳥画を連続して見ているような気になる。これまで見た乾山の銹絵ではこれに一番心を揺すぶられた。

明日まで展示されてます。やきものがお好きな方は是非!

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2009.07.24

洋画の女性肖像画はどれがお好き?

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My好きな女性画のファイルにせっせと貯めこんでいるのは浮世絵や近代日本画の美人画、西洋絵画における女性画だけというわけではなく、日本人洋画家が描いた女性の肖像画にもどっぷり首をつっこんでいる。

ただ、数は少なく、拙ブログで取り上げたのは黒田清輝の‘湖畔’(07/7/29)、‘読書’(3/29)、山下新太郎、中村つねの絵(07/7/30)など数点。もろろん、これだけではないので折をみて増やしていきたい。で、今日はお気に入りの絵をいくつか。

★山本芳翠の‘西洋婦人像’: 東芸大美(上の画像)
★藤島武二の‘黒扇’: ブリジストン美(真ん中)
★安井曾太郎の‘金蓉’: 東近美(下)

‘西洋婦人像’は現在、東芸大美のコレクション展(7/4~8/16)に展示されている。山本芳翠(1850~1906)の絵で知っているのはこの絵と‘浦島図’、‘裸婦’(ともに岐阜県美)だけ。でも、この3点を見るたびに山本芳翠という画家は本当にたいした画家だなと思う。

これらの絵を画家の名前を隠してフランス人やイタリア人に見せたら、10人が10人ヨーロッパの国の画家をイメージするだろう。それくらい芳翠の油絵はこなれた筆使いで描かれている。‘西洋婦人像’に描かれた女性のピンクの肌と輝く白のドレスみるとすぐ思い浮かべる絵がある。マネの‘プラム’(08/12/30)。とにかく、この絵の白のすばやい筆触はベラスケスやマネの絵を彷彿とさせる。

石橋財団は藤島武二(1867~1943)の名画を沢山所蔵している。八重洲のブリジストン美には代表作のひとつ‘黒扇’(重文)や風景画の‘東海旭日’などがあり、久留米の石橋美には‘天平の面影’(重文)や‘チョチャラ’といった女性画の傑作がある。

肖像画では目が一番大事といわれるが、この‘黒扇’の正面をみすえた美しい婦人の目には力がある。やさしくてなおかつ男性のような威厳のある眼差し。白のヴェールと黒の扇子のコントラストはマネの色彩表現と似ているが、マネの絵に登場する女性にはこれほどの内面の強さは感じられない。

安井曾太郎(1888~1955)の‘金蓉’は洋画のなかでは岸田劉生の‘麗子像’や青木繁の‘海の幸’とともに最も体に沁み込んでいる絵。これを美術の教科書ではじめて見たときは、‘日本の画家が中国の女性を描いたのか!’と思った。このモデルが日本人で金蓉はこの女性の愛称だったことを知ったのは大人になってから。日本人が描いた洋画で女の子の傑作が‘麗子像’なら、大人の女性を描いた傑作がこの‘金蓉’ではなかろうか。

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2009.07.23

東近美は近代日本洋画の殿堂!

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東近美の所蔵する作品は明治以降の日本画、日本の洋画、近代および現代の西洋絵画、現代アートの4つ。このうち、最も印象が薄いのが西洋絵画。

上野の西洋美には松方コレクションがあり、モネの名画が目玉になっているから、たまには平常展を見ようかなという気になる。また、ブリジストン美にもルノワールの可愛い女の子の絵やセザンヌの人物画があり、損保ジャパンはゴッホのひまわり、佐倉の川村記念美はマークロスコの世界的に有名な絵を所蔵している。だが、ここにはそういうビッグネームのいい絵が本当にまったくない。

そのかわり、日本画と日本人画家が描いた洋画はいいのが揃っている。5年前から3年間、ここへは頻繁に足を運んだ。当初、鑑賞の軸足は日本画のほうにあり、洋画に対する関心は岸田劉生、梅原や安井など限られた画家の作品以外はきわめてうすかった。

が、不思議なことにある時、萬鉄五郎の‘裸体美人’に最接近したり、北脇昇の‘クォ・ヴァディス’が好感をもってみられるようになったりした。逆に関心が無くなった画家もいる。岡本太郎と東郷青児。どういうわけかこの二人の絵が最近は全然心に響かない。

今、心のなかにいつもいる洋画家(現代アーティストは除く)は高橋由一、山本芳翠、黒田清輝、藤島武二、山下新太郎、青木繁、岸田劉生、萬鉄五郎、村山槐多、関根正二、中村つね、松本竣介、梅原龍三郎、安井曾太郎、岡鹿之助、須田国太郎、林武、香月泰男、堂本尚郎、有元利夫、絹谷幸二、森本草介、そして別格扱いで藤田嗣治と佐伯祐三。

高橋由一、山本芳翠、岡鹿之助、絹谷幸二、森本草介の絵はここではお目にかかれないが、ほかの画家は定番の絵が短いサイクルで登場する。平常展(6/13~9/23)にでているもので足がとまるのは、

★藤島武二の‘港の朝陽’(上の画像)
★安井曾太郎の‘奥入瀬の渓流’(真ん中)
★佐伯祐三の‘ガス灯と広告’(下)

‘港の朝陽’はモネの‘印象、日の出’の日本版。藤島武二(1867~1943)の絵でいつか見たいと願っているのは昭和天皇に献上した‘旭日照六合’(三の丸尚蔵館)。何年も対面の機会を待っているのに縁がない。

安井曾太郎(1888~1955)が描いた奥入瀬の絵は‘外房風景’(大原美、拙ブログ05/6/14)とともにぞっこん惚れている。この絵や小野竹喬の絵を見ると無性に奥入瀬へ行きたくなる。真に心を打つ名画である。

佐伯祐三(1898~1928)の絵は05年練馬区美で開催された回顧展を体験して開眼した。そのなかでこの‘ガス灯と広告’とか‘レストラン’、‘郵便配達夫’、‘ロシアの少女’にとくに惹かれている。

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2009.07.22

東近美の近代日本画と久し振りの対面!

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ゴーギャン展(東近美、7/3~9/23)を見た後、平常展(6/13~9/23)にもまわってみた。ここの平常展はもう2年くらいパスし続けている。理由は簡単で、館の図録に掲載されている作品は全部みたから。

日本の洋画家の絵は日本画に比べると展示のサイクルは早く、3年も通うと例えば、現在展示されている岸田劉生の‘道路と土手の堀(切通之写生)’(重文)とか梅原龍三郎の‘北京秋天’といった名画でもさすがに刺激が弱くなる。

それでも、ずっと出かけていたのは追っかけ日本画の展示をひたすら待っていたから。そして、それも目のなかにおさまると鑑賞欲が急にしぼみ、ブリジストン美同様、済みモードにフェーズイン。展覧会に出かけるのはまだ見ていない追っかけ作品と会うためだから、これが達成されたら必然的にこうなる。

作品リストをもらい、4階へ急いだ。いつものように日本画は前期(6/13~8/9)、後期(8/11~9/23)で作品が変わる。ここで紹介するのは前期のもの。

上は中村貞以(なかむらていい、1900~1982)の‘爽涼’。近代日本画における女性画は画格とか画風とか雰囲気でいくつかのグループにわけている。
Aグループ :上村松園、鏑木清方、伊東深水
Bグループ :菊池契月、寺島紫明、橋本明治
Cグループ :北野恒富、中村貞以、北沢映月
Dグループ :広田多津、杉山寧、石本正、加山又造
Eグループ :竹久夢二、小林かいち、村上豊

中村貞以の絵を見たのはまだ片手くらいだが、この‘爽涼’はとても気に入っている。これが描かれたのは今から53年前。扇子を右手に持ち、体を横にして座っている着物姿の女性は清楚な感じだが、芯の強そうな現代的な若い女性にもみえる。黒っぽい着物に眩しく映える白い肌とうすピンクの帯にくらくらしっ放し。

真ん中は安田靫彦(1884~1978)の‘挿花’。紺色の着物を着て花瓶に紫陽花を活けている女性のほうが貞以の描く女性にくらべるとぐっと古風で日本的。この絵は結構大きいので、紫陽花を花瓶にさす角度をいろいろ試している女性の緊張感がよく伝わってくる。

ここには徳岡神泉(1896~1972)のいい絵がいくつもある。‘仔鹿’(拙ブログ07/6/10)、‘刈田’、そして現在展示されている若い頃の作品‘蓮’(下の画像)。この蓮の葉にたまる水玉の質感描写を見るたびに神泉の画技の高さを思い知らされる。

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2009.07.21

ヤンキース松井がサヨナラアーチ!

770ヤンキースの松井がオリオールズ戦の9回裏、サヨナラホームランを右中間にたたき込み、チームの4連勝に貢献した。

ホームランの数はこれで15本。サヨナラアーチは03年のインディアンス戦以来2本目。

同僚からケーキを顔にくらい手荒い祝福をうけていた。オールスター後のゲームではDHで5番に定着し、打撃は前半戦とは違いだいぶ上向いてきた。やはり、松井はジーターとともにヤンキースの中心選手。

こういう活躍が続くと松井の人気が高まるだけでなく、チームは東地区でレッドソックス(今日現在、同率首位)と優勝を争い、ポストシーズンへの進出、そしてワールドシリーズの制覇へとつき進むことになる。アリーグは東地区のレッドソックス、ヤンキース、レイズが勝率で他地区のチームを上回っているので、仮に優勝を逃してもワイルドカードを獲得できる可能性が高い。

最近、レイズも好調なのでどの2チームがポストシーズンへの切符を手に入れるかは予想がつかない。今の順位からするとレッドソックスとヤンキースだが、ひょっとするとヤンキース、レイズかもしれない。

松井が復活の兆しをみせているのに、レッドソックスの松坂はいまだ先発復帰の話が伝わってこない。一体どうなっているのだろうか?これだけ長い期間ゲームから離れると、松坂自身不安なことばかりが頭をよぎるから、2勝目を上げるのは相当大変だろう。しかも、シーズン後半は優勝あるいはワイルドカード狙いで各地区の上位2,3チームはテンションがグッと上がってくるから、こういう強いチームと対戦するときはいいピッチングをしないと抑えられない。

首脳陣は11勝したベテランピッチャー、ウェイクフィールドが後半戦も勝ち続けるとは思ってないだろうから、松坂が本来の調子を取り戻してくれることを切に望んでいるはず。とすると、松坂復活のシナリオは優勝争いをあきらめた下位チームとのゲームに投げさせ自信をつけさせたいところ。そして終盤、ポストシーズンでの大事なゲームをまかす。果たしてその通りにいくか?

今となっては松坂に勝ち星の数は期待できないから、投げる試合を一つ一つ勝って、チームの勝利に貢献できるように頑張ってもらうしかない。8月上旬から投げられるようにならないと、レッドソックスのポストシーズン進出に少なからず影響するのではなかろうか。松坂が本当に心配!

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2009.07.20

東博の染付展は一級のやきもの展!

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現在、東博で行われている‘染付 藍が彩るアジアの器’(7/14~9/6)は一級のやきもの展。4年前の‘華麗な伊万里、雅の京焼’同様、質の高い名品がずらっと揃っている。流石、東博!

中国、ベトナム、朝鮮、日本でつくられた染付は全部で181点、日本画と違って展示替えがないので、会期中どこで出かけてもすべて見られる。やきもの展はこれがいいところ。今回とくに追っかけている名品はなく、関心の的はここが所蔵する伊万里染付大皿(平野耕輔コレクション)。この大皿は過去に公開されたことがあるのかもしらないが、これまでお目にかかったことがない。だから、これに期待して会場に入った。

中国の青花(日本の染付のこと)は最初のコーナーが一番の見どころ。青花の魅力は何といっても鮮やかに発色した濃い藍色。日本にある青花でこの濃い藍色がみられるものは数が限られている。青花の重文は5点あり、その2点が今回展示されている。上の‘魚藻文壺’(東博)と真ん中の‘蓮池魚藻文壺’。ともに元時代(14世紀)に景徳鎮窯で焼かれたもの。

2年前、ここの平常展に登場した‘魚藻文’に大感激したが、そのときは絵葉書がなく、本にも載ってなかったので量感のある横向きの魚と壺の形に合わせてカーブする帯状の藻をポンチ絵で描き写した。でも、このたびは図録があるのでその必要がない。

この壺より文様の数が多くその形がはっきりし、藍がより輝いているのが‘蓮池魚藻文’。これは2年前の安宅コレクション展(三井記念美)に出品されたから(拙ブログ07/10/23)、覚えておられる方も多いはず。また、出光美蔵の‘明妃出塞図壺’にも足がとまる。

青花を見る楽しみはいい発色をした藍色にどれだけ会えるかに尽きる。極上のものが2、3点見れればそれで十分。最高ランクの藍に震えたあとは正直言ってちょっと気がぬける。だから、残りは気軽に見て回った。日本の初期伊万里の染付‘山水図大鉢’(東博、口径44.9㎝)があったが、これとよく似た絵柄で藍がもっと濃い大和文華館蔵の‘山水文鉢’(重文)も久し振りに見たかった。

初見では兎の形がそのまま皿になっているもの(佐賀県立九州陶磁文化館)に魅了させれる。この美術館からは鍋島の定番‘蓮鷺文三足皿’(重文、06/12/7)がでている。この隣にあるのが東博自慢の優品、‘染付雪景山水図大皿’(鍋島、下の画像)。山水画をみているのと変わりなく、何度みても痺れる。

江戸時代後期の天明期から幕末にかけてつくられた平野コレクションは予想以上にすばらしかった。鶴や亀、虎、鯉、兎、象などが登場するので見てのお楽しみである。

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2009.07.19

伊勢神宮と神々の美術展でおもわぬ収穫!

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鑑賞計画にリストアップしている展覧会には期待値の高いものと普通のものがある。今、東博平成館で開催中の‘伊勢神宮と神々の美術’(7/14~9/6)は後者。はっきりいうと、年間パスポートで見られる特別展6回を使い切るための展覧会という位置づけ。

関心があるのはチラシに載っている‘伊勢参詣曼陀羅’だけなので、これを見たらさっと引き上げるつもりだった。ところが、おもわぬ収穫が4点があった。こういうときは何か得した気分になる。

‘伊勢参詣曼陀羅’は4点現存するそうで、個人蔵と上のパワーズコレクションが8/2まで展示され、一度見たことのある三井記念美のものと神宮徴古館蔵が8/4から登場する。伊勢神宮は3回訪問したが、最も印象深かったのが1993年にあった式年遷宮の1年後に行ったとき。新しい内宮、外宮の横にある前のものはまだ20年しか経っていないから、単独でみるとそう古いとは感じないだろうが、ぴかぴかの新築と一緒に並べられるとどうしても古く見えてしまう。

曼陀羅(安土桃山~江戸時代 16~17世紀)の描き方は三井記念美でみた‘熊野那智参詣曼陀羅’(拙ブログ07/9/1)と同じ。これは内宮の左隻で、右隻に外宮が描かれている。三井美の絵では宇治橋がかかる五十鈴川が上流から下流まで勢いよく波打っているように表現されているのに対し、こちらの水面は静かでなだらか。人が大勢いる宇治橋や内宮の光景はよく似ている。おもしろいのが上の瑞雲に乗ったゴールドの日輪。三井と個人のはこれがシルバーの月輪。絵師はそのときの気分で太陽と月の配置を決めたのだろうか?

真ん中は熊野速玉大社から出品されている国宝‘桐蒔絵手箱’(南北朝時代 
1390)。内容品も披露されている。大社へ行ったとき、残念ながら宝物館は閉館中だったので、これを見れたのは有難い。

大社所蔵のお宝がまだあった。‘熊野速玉大神坐像’と下の‘夫須美大神坐像’(国宝、平安時代 9世紀)。まわりに神像が20体展示してあるのだが、この2つがとびきり立派で存在感がある。これまで見た神像でこれほど魅了されたのはほかにない。肉づきがよくはっきりした顔つきは昔の人を感じさせず、襞の数を少なくした衣の豊かな曲線から生まれてくるそのボリューム感に200%KOされた。

さらに心に響いたのが鶴岡八幡宮蔵の鳳凰文の‘表着’(国宝、鎌倉時代 13世紀)。保存状態がとても良く、沢山の鳳凰が飛翔する柄を釘付けになってみた。

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2009.07.18

東博浮世絵エンターテイメント! 春信・北斎

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東博平成館で14日からはじまった‘染付展’を見終わったあと、せっかくだから本館の浮世絵コーナーをのぞいてみた。展示の切り替え日はアバウトだったが、タイミングよくその日から別の作品だった(8/2までの展示)。

ここは2週間ちょっとで入れ替わるから、ぼやっとしていると見過ごしてしまう。もう5年も見続けているのに、まだ出かけるペースを緩める気になれない。その一番の理由は画集に載っている歌麿の絵がまだ5,6点残っているのと膨大な春信コレクションに期待しているから。

今回の歌麿は追っかけの絵ではないが、1点ある。春信はいつものように多く3点。上の‘座鋪八景・塗桶の暮雪’、‘座鋪八景・時計の晩鐘’、‘舟中蓮とる二美人’(拙ブログ07/11/1)。‘座鋪八景’シリーズは中国絵画の伝統的な画題、‘瀟湘八景’の見立絵で、‘塗桶の暮雪’は‘江天暮雪’の江戸室内版。

綿を引きのばすのに使う塗桶を高山に、白いふんわりした綿を誰もが察しがつくように雪に見立てている。目を引くのが綿が墨線でなく空摺りで表現されているところ。摺りの状態は春信の回顧展でみたシカゴ美のほうがかなりいい。東博はこのシリーズをもう1点所蔵しているが、平木浮世絵財団(8点全部)、千葉市美、MOAなどにもある。

北斎は9点でている。そのうち花鳥画が5点。これらは4年前の北斎展に展示されたもの。お気に入りの絵だから夢中になってみた。真ん中の2点は右が‘翡翠(かわせみ) 鳶尾艸(しやが) 瞿麦(なでしこ)’で、左が‘鵤(いかる) 白粉花(おしろいのはな)’。10点あるなかで、とくに魅せられているのがこの2点と前にとりあげた‘黄鳥(こうちょう) 長春(ばら)’(08/10/2)。

頭が大きく長い口ばしをしたかわせみをしやがの葉の間に描くところや、斜めにのびる白粉花の枝にいかるを横向きにとまらせる構図に唸ってしまう。こういう構図の取り方に印象派の画家たちはひっくりかえったにちがいない。

北斎の‘鯉の滝登り’(6/17)と同様のシュール感覚がみられるのが下の‘水中の亀’。青の諧調で段差をつけた斜めにカーブする帯のようなフォルムを北斎はどこから得たのだろうか?興味が尽きない。三枚続きのワイド画というと清長の美人群像画。‘橋下の涼み舟’(07/5/3)と‘隅田川船遊び’が並んで飾ってある。とてもいい気持になった。

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2009.07.17

東博平常展の名画! 青邨・古径・紫紅

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現在、東博本館1階の近代美術のコーナーに展示してある日本画(7/26まで)はいい絵が揃っている。

★横山大観の‘無我’
★前田青邨の‘竹取物語’(上の画像)
★下村観山の‘鵜’
★小林古径の‘住吉詣’(真ん中)
★速水御舟の‘紙すき場’(拙ブログ05/1215
★安田靫彦の‘紫紅の像’
★今村紫紅の‘熱国之巻(夕之巻)’(下)

‘竹取物語’は2年ぶりの登場。青邨(1885~1977)は若い頃、靫彦(1884~
1978)や古径(1883~1957)とともに歴史画にとりくみ、傑作をいくつも描いている。ここには御輿を担いで強訴行動に突き進む比叡山の僧兵を撃退する平重盛を描いた‘御輿振’という絵巻があるが、どちらも人物描写にユーモラスなところがあって、‘信貴山縁起絵巻’とか‘伴大納言絵巻’を見るような楽しさがある。

この‘竹取物語’では画面には描かれてないが、左上空をかぐや姫が昇天しているのであろう。屋根の上に登り、その様子を大曲芸でもみるかのように指さしたり、口をあけて興奮状態で眺めている警護の者たちの表情やしぐさが迫真的であると同時にどこか可笑しい。

青邨の絵は東近美や山種美よりも東博のほうが多く所蔵しており、しかも、ほとんどが大作と長い絵巻ー‘維盛高野の巻’、‘朝鮮之巻’、‘切支丹と仏徒’、‘湯治場’、‘京名所八題’、‘お水取’、‘花売’、‘大同石仏’、‘唐獅子’。これらは1年半から2年のタクトで登場するから、3年通うと青邨の通になれることは請け合い。

古径の‘住吉詣’もちょうど2年前に展示された。朱の塀に囲まれた神社の前で縦長に広がる海の青のグラデーションが目にしみる。中央に浮かぶ2隻の小舟と深い青の間に白い羽根の鳥が1羽、舟のむこうに3羽が群れをなして飛んでいる。

見る度に惚れ直すのが紫紅(1880~1916)の‘熱国之巻’(重文)。‘朝之巻’と‘夕之巻’は交互にでてくる。昨年は‘朝之巻’だった。目に飛び込んでくるのが橙黄色の大地と家の屋根の朱色、濃い緑の林。明るい色彩と平板な形態で活気ある村の光景を表現しているだけでなく、絵巻らしく全体に細かい金箔を散らし装飾的に仕上げている。これは紫紅がインドのガンジス河岸の村落を旅したときのイメージをもとにして描かれた。近代日本画の傑作である。

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2009.07.16

謎のデザイナー 小林かいちの世界にメロメロ!

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現在、ニューオータニ美(ホテルの中の6階)で注目の展覧会‘謎のデザイナー 小林かいちの世界’(7/11~8/23)が開かれている。拙ブログでこれまで3回とりあげた(07/8/2808/1/408/12/11)ので、かいちに関心のある方が増えたかもしれない。

今回展示されるのは07年10月、伊香保に開館した小林かいちを常設する保科美術館が所蔵するコレクションで、その数300点。ここの展示室は広くはないが、絵画とはちがって小さな絵葉書や絵封筒のデザインなので、このくらいの数でも展示室におさまる。

日光の小杉放庵記念館で小林かいちと衝撃的な出会いをして以来、そのアール・ヌーボー風のデザインの虜になっている。かいちが制作した絵葉書シリーズは50点、そして絵封筒は500点以上あると推測されている。過去2回の鑑賞で目がだいぶ慣れてきたが、300点のなかにははじめて見るのもかなりあった。

描かれたモティーフは花、蝶、蜘蛛の巣、ゴンドラ、灯、蝋燭、星、トランプ、クロスワードなど。感心させられるのが卓越した色のセンスにもとづく色彩対比、そして極端に細長くした人物描写とまわりに装飾的な曲線を配置する構成が女性を切なくも美しく表現しているところ。心に響いたものをいくつか。

上は‘白蝶’。蝶は擬人化され、美しい裸婦がシルエットになっている。右下に花弁の一部を画面からはみ出させ、蝶の下に余白を大きくとる構図が真に上手い!蝶では‘蝶の嘆き’と題されたうす紫が印象深いファンタジックな絵葉書があるのだが、今回は展示されてなかった。かいちは夜の情景や星をいくつも描いており、夜の微小、嘆きのカード、街灯に女、宵の星、なみだ星、流星に人物、地上の星、ゴンドラの宵などがある。

真ん中は‘流星に人物’4枚セットの一枚。流れ星というロマンティックな光景をうってつけの縦長の画面に斬新なデザインで表現している。いくつもあったゴンドラの絵で最も心を打ったのが下の‘ゴンドラの宵’。どこかで似たような絵をみたことがある。それは広重の絵の影響を受けてホイッスラーが描いた‘ノクターン:青と金色ーオールド・バタシー・ブリッジ’。海面に映るゴンドラの影、そしてゴンドラの中からまた橋の下にみえる建物の窓からでるピンクの明かりがえもいわれず美しい。

かいちは京都で仕事をしたデザイナーだから、京の町や舞妓さんが沢山登場する。夢二美でも京都ものの絵柄に魅了されたが、ここにも初見の絵封筒や御祝儀袋があり、釘付けになってみた。また、実際に使用された住所や宛名入りのものが展示してあった。これをみると、かいちのデザインが多くの人に好まれていたことを実感する。

一緒にみた隣の方も満足した顔をしていたから、小林かいちのファンがまた一人増えた。

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2009.07.15

メキシコ20世紀絵画展のフリーダ・カーロ

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‘メキシコ20世紀絵画展’(7/4~8/30)を見るため世田谷美を訪問した。この美術館は最寄りの用賀駅(東急田園都市線)からのアクセスがあまりよくない。美術館行きのバス停に近づくと待っている人は誰もいない。イヤな予感、バスは3:05に出発したばかり。つぎは3:45、35分も待つはめになった。

美術館までは歩いて20分だが、エコバッグは図録やら購入した本でずしっと重くなっているので、その元気はない。入館する前、帰りのバスの時刻を確認して、その時間内で見終わることにした。この展覧会ははじめからフリーダ・カーロ(1907~54)の‘メダリオンをつけた自画像’(1948、上の画像)を見るのが目的だから、時間はかからない。

お目当ての絵は最初に展示してあった。彼女の絵をみるのはこれがはじめて。03年Bunkamuraで回顧展があり、そのころ日曜美術館か美の巨人たちで取り上げられたような記憶がある。確か、小さい頃小児麻痺のため足の発育が止まり、さらに大きな事故に遭遇し足や腰椎を骨折するなど、人生の大半を肉体的な苦痛に見舞われて過ごし、47歳で亡くなったという話だった。

驚かされるのがその画風。メキシコにもこんなすごいシュルレアリストがいたとは!目に焼きついているのが‘折れた背骨’と‘ふたりのフリーダ’。ダリの体がくり抜かれた彫刻作品を彷彿とさせる‘折れた背骨’で、小さな涙の粒が描かれていたが印象的。この自画像でも涙が3粒みられる。

白のレース編みのテーブルクロスに大きな丸い穴を開けてそこから顔を出している感じのフリーダはぱっとみると男性にみえる。まゆげが濃くうっすら口ひげがはえているから、男と錯覚する。この絵は番組かほかの美術本にでていたので有名な絵だと思うが、シュールな表現という感じはしない。次回は仰天させられたあのシュールな作品に囲まれてみたい。

1点買いの絵を見たので、あとはスルスルと導線を進んだ。足が止まったのが真ん中のシケイロス作、‘進歩の寓意’(1950)。画面上部に飛行船とトンネルから出てきた列車、飛行機、そして右の黄色の大地にはトラクターが描かれている。斜めの線とか列車や煙のスピード感あふれるフォルムをみると、未来派のバッラやボッチョーニの絵を連想する。

メキシコ市にシケイロス(1896~1974)が制作した‘地上での、そして宇宙へ向かう人類の行進’(1971)と題された周囲150m、高さ15mの大壁画があるらしい。夢に終わるかもしれないが、いつか見てみたい。

下はイスキエルドの‘マリア・アスンソロの肖像’。画家の名前は全然知らなかったが、女性の内面をよくとらえているこの絵にぐっと惹きこまれた。また、白で描かれた人物描写とハッとする構図が心を打つロメロの‘ホロコースト’の前にも長くいた。

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2009.07.14

マーク・ロスコ著「芸術家のリアリティ」(みすず書房 09年2月)

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今、マーク・ロスコに最接近している。きっかけは川村記念美でみた‘シーグラム壁画’(拙ブログ3/8)。画家のモノグラフは本物の絵を7割見ないと読まないことにしているのだが、5割のロスコは例外扱いにし、展覧会のあと3冊まとめて読んだ。

★ロスコ著‘芸術家のリアリティー美術論集ー’(みすず書房 09年2月、上の写真)
★川村記念美の展覧会図録‘マーク・ロスコ’(淡交社 09年2月)
★TASCHEN本‘マーク・ロスコ’(03年)

今日は‘芸術家のリアリティ’について少し。4月、朝日新聞に載った書評(作家高村薫による)でこの本を知ったが、読みはじめるまでは抽象表現主義の話をロスコ(1903~1970、下の写真)自身がしてくれるのかなと思っていた。でも、これは全然当てがはずれ、美術史家顔負けの美術論だった。しかも、一部哲学的な論調の美術論。

でも、すごく難解な論考ということはないから、ご安心を。絵画が古代エジプト、ルネサンスにどのように描かれ、その伝統が印象主義、モダン・アートまでどう受け継がれ、また革新してきたかを例をいくつもあげ鋭く分析しているから、絵画の見方がしっかり鍛えられる。刺激的でためになるのだから、収穫の多い本である。

これが書かれたのは1940~41年でロスコが37歳のころ。絵を描くのを一時中断して、造形芸術についての考えをまとめたかったようだ。その原稿が04年ロスコの息子、クリストファー・ロスコの編集によってエール大学出版局から一冊の本として出版された。そして、日本語訳が今年2月にでたので、普通の美術ファンもその内容に接することができるようになった(値段は5200円)。序文でクリストファーが出版の経緯やロスコ独特の言葉使いなどについて書いているので、ここをさっと目を通し、本論に進む。

ロスコは1903年、ロシア西部の地方都市ドヴィンスク(現ラトヴィア共和国ダウガフビルス)のユダヤ人家庭に生まれた。そして、10歳のとき、アメリカにやってきてオレゴン州ポートランドに住む。その後、エール大学に進学するが2年で中退し、NYで画家を目指すようになる。この本を読むと、ロスコがすごいインテリだということがわかる。写真をみても頭がよさそうな顔をしている。絵画について相当深い知識と見識をもっているだけでなく、プラトンなどの古典哲学、古代美術にも精通している。やはりユダヤ人の頭脳はサプライズ!

この本の肝の箇所は‘造形性’、‘空間’、‘美’。2つのキーワードを対比させて論じられる。‘触知的’(事物に触ることによって得られる感覚から引き起こされること)vs イリュージョン的(視覚でとらえた物の外観から生まれるもの)。ロスコがよってたつところは‘触知的’な造形であり、空間。

この触知性が見られるのが古代エジプトの平板な絵画であり、ビザンチンの壁画であり、ジョットの絵画。モダン・アートがビザンチンを再評価したり、未開文明の美術に惹かれるのもこの触知性。ここからまた抽象絵画への道が広がる。ここをじっくり読むと10年後、ロスコが抽象表現主義の傑作を生み出したのも合点がいく。そして、ますますロスコ作品にのめり込む。

なお、7/19(日)の日曜美術館は高村薫が語るマーク・ロスコ。とても楽しみ!

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2009.07.13

ガスケ著「セザンヌ」(岩波文庫 09年4月)

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この4月に出版された岩波文庫のガスケ著‘セザンヌ’を読んだ。本の存在は新聞の新刊案内ではじめて知った。セザンヌ本というとJ・リウォルド編‘セザンヌの手紙’(美術公論社 1982年)しかなかったので、すぐ書店へ。訳者のあとがきをみると、ガスケが書いたこの本はパリで1921年初版され、1980年求龍堂から全訳されていた。これがこのたび岩波文庫に入ったというわけである。

著者のジョワシャン・ガスケ(1873~1921)はセザンヌ(1839~1906)の小学校時代の友人アンリ・ガスケの息子で、詩人として名をなしたひと。ガスケがセザンヌと知り合ったのは1896年、ガスケ23歳、セザンヌ57歳のとき。セザンヌは父親とともに息子の肖像画をそのころ描いている。それが下の絵。プラハ国立美で見たときはなかなかいい肖像画だなという印象が残っているが、当時この男性が23歳のガスケとは知る由もない。どうみても威厳のある50代の顔つき。

本の構成は一部がガスケがみた天才セザンヌ論、二部がセザンヌとガスケの対話による絵画論。対話といってもガスケは美術の専門家ではないので、もっぱら聞き役。話は3つあり、モティーフについて、ルーヴル美術館を2人が一緒にまわったときの画家や傑作談義、そしてアトリエでの美術論。

新鮮だったのがルーヴルにおけるセザンヌの絵に対する評価や好きな画家のくだり。常々美術史家ではなく、画家本人が書いた美術論を読みたいと思っていたから、この箇所はそれこそむさぼるように読んだ。セザンヌは過去の巨匠たちについてどのようにみていたか、いくつかピックアップしてみたい。

その一 お気に入りの画家はヴェネティア派のティントレットとルーベンス

ティントレットの‘天国’(エスキス)の前で‘ヴェネティアにある大きい天国はまだみてない。ティントレット、ルーベンス、これぞ絵描きだ。ティントレットの作品は本でみられるものは全部みている。莫大だ。すべてがそこに入っている、静物から神まで。広大な方舟だ。存在のあらゆる形態がだ。しかも信じられないような悲壮感と情熱と創意で。私がヴェネティアにもし行くことにしたとすれば、彼のためだったろうね’

その二 ドラクロアを熱く語る

‘ドラクロアは巨匠の系譜に属しているよ。彼はロマン主義かもしれない。シェークスピアやダンテを糧にしすぎたし、「ファウスト」の頁をめくりすぎた。でも、ドラクロアが、フランスで一番美しいパレットであることには変わりない。よく聞いて下さい。わが国の空の下では、同時に、色の魅力と悲壮、色のヴァイブレーションを彼以上に持つ人は誰ひとりとしていませんでした。われわれは皆彼の内で絵を描いている。君たち皆ユーゴーの内でものを書いているようにね’

その三 クールベも高く評価 

‘ものを建ててゆく人だ。なかなかてごわい左官屋だよ。色調を溶かす職人だ。ローマ人のように骨を惜しまず表面を造った。彼も、ほんとうの絵描きだ。今世紀で、彼の右に出る者はいないよ。クールベは自然の大画家でもあるよ。彼の偉大な貢献とは、19世紀の絵画のなかに自然の、ぬれた木の葉の匂いや森の奥の苔むした岩壁などを抒情的に登場させたことだ’

いい本が手に入った。関心のある方は続きをお読み下さい。

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2009.07.12

心うたれるゴーギャンの絵 ベスト5!

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ゴーギャンの絵は画集に載っている代表作を幸運にもかなり目の中におさめてきた。で、とくに心をうたれる絵を5つピックアップしてみた。いつものように順番はつけない。

★我々はどこから来たのか:ボストン美(拙ブログ7/10
★マリアを拝す:メトロポリタン美(08/5/17
★果物を持つ女:エルミタージュ美(06/11/3
★若い婦人の肖像:デンマーク国立オードロップゴー美(上の画像)
★彼女の名はヴァイルマティといった:プーシキン美(真ん中)

これまで訪問した海外の美術館でゴーギャンの絵が多く見られたのはパリのオルセー美とサンクトペテルブルグにあるエルミタージュ美。この二つが飛びぬけており、そのあとにメトロポリタン、ボストン、シカゴ、ワシントンナショナルギャラリー、MoMAが続く。

ベスト5は全部女性を描いたもの。そのなかで、いつか紹介しようと機会をさぐっていたのが‘若い婦人の肖像’。これは‘我々は’が描かれた1897年の1年前の作で、デンマークの国立オードロップゴー美が所蔵している。20年前、この美術館蔵による‘19世紀フランス印象派展’が開催され(日本橋高島屋)、そこに展示されていた。

ゴーギャンというとタヒチの女をすぐ連想するから、この美しい女性にはびっくりした。はじめて見られる方はたぶん同じ感想をもたれるのではないだろうか。未だに‘あのゴーギャンがこんなきれいな女性を描いていたの?!’という違和感が消えない。とにかくゴーギャンの人物描写では異色の絵だが、見る側にとってはいい気持になる絵。だから、‘My好きな女性画’ファイルにおさめ、頻繁に眺めている。

プーシキン美にあるのは昨日ふれた絵。東京都美でこの絵の前に立ったときは思わず、‘ワァー、すごい色彩!’と唸った。東近美に出品された‘浅瀬(逃走)’よりはこちらと再会したかったのだが。NYのMoMAにはこれと構成がよく似た絵があり、上野の森美に展示されたが、色の鮮やかさはプーシキン美の半分くらい。

昨年訪問したシカゴ美やワシントンナショナルギャラリーで初見のゴーギャン作品と対面したが、ロートレックの絵と同様、アメリカの美術館をまわらないとゴーギャンの名画を見たことにはならないなとつくづく思った。

下の画像は絵画ではなく、大好きなマイルス・デイビスがつくった衝撃のアルバム‘ビッチェズ・ブリュー’(1969)に使われたもの。クルマを走らせるとき、CDでこのエスニックで神秘的な香りを濃厚に漂わせるエレクトリックジャズを聴いているが、ゴーギャンの描いたタヒチの女や風景をみるたびに、このカバー画が頭をよぎる。

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2009.07.11

もっと見たいゴーギャンの名画!

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国宝クラスの日本画を見尽すには相当長い時間を要するが、有名な西洋絵画と対面するのも簡単ではない。とはいうものの日本は美術大国だから、海外の美術館が所蔵する名画を集めたビッグネーム画家の大きな回顧展がときどき行なわれる。

ここ5年のスパンでみると、‘マティス展’(04年、西洋美)、‘ゴッホ展’(05年、東近美)、‘ラ・トゥール展’(05年、西洋美)、‘ダリ展’(06年、上野の森美)、‘モネ展’(07年、国立新美)、‘ルノワール展’(08年、Bunkamura)、‘モディリアーニ展’(08年、名古屋市美)、‘ロートレック展’(08年、サントリー美)、‘コロー展’(08年、西洋美)、‘ミレイ展’(08年、Bunkamura)。そして、今年は現在東近美で行われている‘ゴーギャン展’。

こうしたオルセーやメトロポリタンで開催されるのと遜色ない質の高い回顧展をしっかり見続けるだけでも、日本に居ながらにして画家の有名な絵を楽しむことができる。でも、一度名画の味をしめると、‘美欲’(My造語)はさらに膨らんでいき、夢のままで終わるかもしれないが、海外の美術館へ出向いてもっと代表作を見ようという気にもなる。

ゴーギャンの場合、TASCHEN本などの画集に載っている追っかけ作品が今回の展覧会で4点済みになった。そのひとつがテートにある‘ファア・イヘイヘ(タヒチ牧歌)’。開幕直前まで、新規作品への期待がまったく無かったから、とても嬉しい。これでゴーギャン山の8合目くらいまできた。残っている絵で是非見たいのは、

★マンゴーを持つ女:ボルチモア美(上の画像)
★市場(タ・マテテ):バーゼル美(真ん中)
★死霊が見ている(マナウ・トゥパパウ):オルブライト=ノックス美(下)

ゴーギャンの絵で最も魅せられるのはその強烈な色彩。だが、全部が全部赤や紫や青や黄色などの輝く色面で画面が構成されているわけではない。東近美の回顧展で、最も色が鮮やかなのはプーシキン美蔵の‘浅瀬(逃走)’。実は4年前、東京都美にはこれよりもっと色が濃くて鮮やかな‘彼女の名はヴァイルマティ’が展示された。この絵の赤とうすピンク、青が今も目に焼きついている。

これと昨年のメトロポリタンで見た‘昼寝’(拙ブログ08/5/17)がこれまで見た絵のなかでは一番色に震えたが、‘マンゴーを持つ女’もこの2つと同じくらい気分を高揚させてくれる色合いではないかとみている。いつか会いたい。

‘市場’では椅子の座っているタヒチの女たちのポーズは古代エジプトの壁画を参考にして描かれている。これはどのゴーギャン本にも載っている有名な絵。バーゼル美はこういう名画も所蔵しているから、一度は訪問しなくてはいけない。

アメリカのバッファローにあるオルブライト=ノックス美にある‘死霊が見ている’も気になる絵。図版をみているだけでも、ゴーギャンの現地妻テハマナが左奥にいる怖い顔をした死霊にすごくおびえているのがわかる。

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2009.07.10

流石、東近美、すばらしいゴーギャン展!

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1年くらい前、ゴーギャンの最高傑作‘我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか’(上の画像)が日本にやってくるという情報に接したとき、‘そ、それはすごい!’と思った。でも、この絵は昨年ボストン美でじっくりみたばかりなので(拙ブログ08/4/23)、東近美の‘ゴーギャン展’(7/3~9/23)は会期の中ごろでかけてもいいかなという気持ちだった。

が、Takさんの内覧会の記事を読んで気が変わった。なんと見たかった絵がいくつも出てきたのである。‘ええー、こんないい絵が来ているの!?’ 先行開催した名古屋ボストン美に出品された作品をみると、‘我々は’の1点豪華主義的な回顧展のイメージだった。ボストン美は2度訪問し、確かに‘我々は’以外の絵の印象がうすいので、ボストン美からプラスαで4,5点もってきて、あとは日本にあるゴーギャンを集めたとしても、まあこんなものかなという気がしないでもなかった。

ところが、中に入ってみると海外の美術館からいい絵がいくつも集結していた。進んで行くうちに、‘流石、東近美!横浜美とは違う’と思った。4年前のビッグなゴッホ展に続き、今回また質の高いゴーギャン展を開催してくれた。印象派絵画の鑑賞をライフワークにしているから、こういう展覧会に遭遇すると腹の底から嬉しくなる。拍手々!日本の美術館には今回展示してある大原美の‘かぐわしき大地’(06/9/16)のように有名な絵があるから、海外の名画と一緒に並べられると立派なゴーギャン展になるのである。

目玉の‘我々は’が展示してある部屋はこの絵だけ。ひとつ手前の部屋でナレーションなしの映像を流しており、これをみるとこの絵が何を描こうとしたのか、描かれたモティーフはほかのどの絵からきているのかがわかるようになっている。そして、息を整えて横長の大作と対面する。

色彩で目に焼きつくのは、上部両隅の黄金のように輝く黄色、ミイラのような顔をした老婆の後ろにみえるうすピンクの三角形の色面、そして中央で横向きに座っている女の子が食べている果物の橙色。この橙色はこの子の近くにいる鳥のくちばしや羽根、また、左の赤子の隣にいる端正な顔立ちの女が髪の飾りにつけているもの(リボン?)でも輝いている。この絵はどこからみても西洋絵画史上の傑作!日本で見れるなんて夢のようである。

今回の出品作は油彩が25点、版画が23点(摺り方を変えているのがあるから実質
13点)、彫刻が1点。欧州やアメリカの美術館で開催されるゴーギャン展だったら、油彩25点は少ないかもしれないが、ここは日本。25点もよく揃ったというべきであろう。日本にある作品は‘かぐわしき大地’のほかはアベレージだが、海外からの出品はぐっとくるのがいくつもある。これは大収穫。

最も魅せられたのが真ん中の‘パレットをもつ自画像’(個人)。これは画集に載っている有名な絵。たぶん自画像に描かれたゴーギャンの顔としては一番ととのっているし、肖像画らしい絵。背景の赤と青の服の対比にとても惹きつけられる。本当にいい絵と出会った。

下は‘エ・ハレ・オエ・イ・ヒア(どこへ行くの?)’。これを所蔵しているのはシュトゥッガルト州立美。3年前、東京都美にやってきた‘果実を持つ女’(エルミタージュ美、06/11/3)と構成がそっくりだが、このタヒチの女のほうが強烈なインパクトをもっている。こういう大きな人物像をみると、ゴーギャンの絵をみたという気になる。

ほかで感激したのは昨年、テートギャラリーで見れなかった‘ファア・イヘイヘ(タヒチ牧歌)’と川のうす青の流れが目を楽しませてくれる‘洗濯する女たち、アルル’
(MoMA)。色の鮮やかさにクラクラするのが05年にあったプーシキン美展にもでていた‘浅瀬(逃走)’ これと再会できたのはラッキー。大満足のゴーギャン展だった。

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2009.07.09

上村松園の美人画に魅せられて!

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浮世絵でも日本画でも洋画でも女性を描いた絵には目がないから、魅了された女性画を数多くとりあげてきた。明治以降に活躍した日本画家で美人画の名手というと、上村松園、鏑木清方、伊東深水。お気づきのように最も多く登場するのが清方が描く女性。その次が松園。

清方の美人画に心を揺ぶられているのは確かだけれども、松園にも大変魅せられている。上村松園という女流画家はやはり特別な存在。その品格のある美人画はいつも心が洗われるような思いで眺めている。今、東芸大美と東近美にお気に入りの絵が展示されているので、一緒に紹介したい。

★序の舞:東芸大美(上の画像)
★母子:東近美(真ん中)
★雪月花:三の丸尚蔵館(下)

昨日ふれたように‘序の舞’(重文)は芸大コレクション展(7/4~8/16)にでている。鑑賞するのは3度目なのだが、前回みたのは広島にいるとき遭遇した回顧展(03年、広島県美)だから6年ぶりの対面。4月に出品された‘草紙洗小町’(拙ブログ4/15)同様、この絵も大作。東芸大美は松園作品のベスト2を所蔵しているのだからすごい。名画はどこの美術館でもなかなか展示してくれないが、この2点も5年待たされた。

久しぶりの‘序の舞’だから、じっくり見た。目はすぐ鳳凰の絵柄の帯にいき、そして裾や振り袖に施された黄金が混じったうす緑と青紫のやわらかい雲にむかう。背筋をぴんとのばして見てしまうのが袖を巻き返して扇をもつ右手。踊りの舞台を体験することがないので通の方のようにはわからないが、静かな舞台にただよう緊張感はこのしぐさから充分伝わってくる。

松園はこの絵についてこう語っている。‘私の理想の女性の最高のものと言っていい、自分でも気に入っている「女性の姿」であります。何ものにも犯されない、女性のうちにひそむ強い意志を、この絵に表現したかったのです。幾分古典的で優美で端然とした心持ちを、私は出し得たと思ってます’。

東近美の平常展にでているのが‘母子’(8/9までの展示)。子供を抱く母親の絵はもうひとつ‘虹を見る’(京近美、05/8/5)がある。どういうわけは最初にお目にかかった‘母子’のほうに惹かれている。黄色の着物を着た子供の後ろ頭に髪が二つちょこんと残っているのが本当に可愛らしい。横向きに描かれたお歯黒と青眉の女性をみるといつも連想する人がいる。まったくどうでもいいことだが、TBSのキャスターをやっている三雲さん。

‘雪月花’は大好きな古典画で、秋の‘皇室の名宝展’(10/6~11/29、東博)で再会するのを心待ちにしている。松園は源氏物語絵巻などにみられる伝統的なやまと絵の描き方をしっかり受け継ぎ、平安時代の雅な雰囲気を見事に蘇らせている。近代日本画史に残る傑作である。

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2009.07.08

自慢の名画をずらっと揃えた芸大美コレクション展!

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現在、東芸大美で開催中の‘コレクションの誕生、成長、変容’(7/4~8/16)には館自慢の名画が沢山でている。過去5年間に行なわれたコレクション展のなかでは一番いい。普段は作成しない図録まで用意しているのだから、気合が相当入っているのがわかる。これだけ内容の充実した展覧会なのに料金は500円。これは有難い。

HPに載っている出品リストで狙いをつけていた日本画を中心にしっかり見た。上はこの絵を見るために出かけたといっても過言でない若冲の‘鯉図’。これはいくつかある若冲の画集のどれにも載ってない。これまで見た2つの鯉の絵(プライスコレクションなど)は水墨画で体の一部が画面からはみ出すというように大胆な構図で描かれているのに対し、これは縦長の画面にぴちぴちとした鯉をうまくおさめた著色画。鯉の口の先に吐き出した泡が三つみえるのがとてもユーモラス。

ここには曾我蕭白のいい絵が2つあるが、今回ともに展示されている。真ん中の‘群仙図屏風’(左隻)とくずれた顔がなんとも不気味な‘柳下鬼女図屏風’。蕭白が描く鯉も元気がよく、視線はこの名古屋城の鯱鉾みたいな形をした鯉とその背中や腹に飛び散る水しぶきやまるで生き物のように荒れ狂う波頭に集中する。05年、京博であった蕭白展で見て以来の対面だったが、鯉と波にパワーをもらった感じ。

江戸時代に描かれた‘百鬼夜行絵巻’は佐倉市の国立歴博で7/18からはじまる展覧会のちょうどいい目慣らしになった。

明治以降の日本画も有名な絵がずらっと並んでいる。狩野芳崖の‘悲母観音’(拙ブログ08/9/6)、橋本雅邦の‘白雲紅樹’、川合玉堂の‘鵜飼’(5/20)。そして、女性を描いた絵では館自慢の3点、上村松園の‘序の舞’、鏑木清方の‘一葉’、そして長らく待っていた松岡映丘の‘伊香保の沼’(下)。

これまでみた松岡映丘の作品で最も魅せられたのがこの絵。足を沼のなかに入れ放心したように前方を眺めている女の存在感に強く惹かれる。映丘の次ぎのターゲットは姫路市美にある‘道成寺’。これも是非見たい。

西洋画コレクションに話題の絵があった。最近見つかった藤田嗣治の最初期の作品、‘婦人像’。和服姿の若い女性を描いたものだが、なかなかいい。見てもお楽しみ!日本人洋画家の描いた作品はお馴染みの名画。高橋由一の‘鮭’、山本芳翆の‘西洋婦人像’、黒田清輝の‘婦人像(厨房)、’浅井忠の‘収穫’、原田直次郎の‘靴屋の親爺’、和田英作の‘渡頭の夕暮’。

数は多くなくてもこれだけ質の高い絵があると満ち足りた気分になる。満足度200%のコレクション展だった。

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2009.07.07

東博平常展の名画! 師宣・春信・一蝶

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東博は大人気の‘阿修羅展’が終了し、今は7/14からはじまる‘染付展’&‘伊勢神宮と神々の美術展’まで小休止。でも、本館の平常展はいつものように入場者の心を豊かにさせてくれる。

作品の展示期間は部屋ごとに違うので、まわっていて‘ここは前に見たな!’と引き返すこともよくある。ビッグネームの絵では、禅と水墨画のコーナーの雪舟作‘四季山水図・夏’(重文)は6/16~7/26。

屏風と襖絵のところは7/12まで展示。名品2点が目を引く。英一蝶の‘雨宿り図屏風’(拙ブログ05/7/15)は1年から1年半のサイクルで登場するから、お馴染みの絵。いつも肩の力がぬけ、不意に雨に降られたときの人々の行動と心持ちは今も昔も変わらないなと思う。

上の菱川師宣の‘歌舞伎図屏風’(重文)はコンディションが良く、江戸時代の歌舞伎芝居小屋における雰囲気が臨場感一杯に伝わってくる。ここは中村座で役者総出で太平楽大踊りを演じている。華やかな舞台を間近でみると気分もさぞかし高揚するであろう。歌舞伎や芝居を劇場に行って楽しむ習慣がないが、こうしたエンターテイメント空間に身をおくのも悪くないなという気分になってきた。写楽の肉筆をみたことだし、歌舞伎座が呼んでいる?

菱川師宣というと、昨年の11月これと同じ晩年に制作された大作‘江戸名所風俗図巻’が長野市の個人宅から発見されたという記事が新聞に載っていた。学習院大教授の小林忠氏によると、記念碑的な傑作だという。いつか対面できることを夢見ている。‘大風俗画展’が開催されるのが理想的なのだが。果たして?

今展示されている浮世絵も7/12まで。真ん中は春信が得意とする動感描写がいかんなく発揮された‘かわらけ投げ’。すぐに思い出せないのだが、どこかの名所観光でこのかわらけ投げを体験したことがある。素焼の土器を女が投げているのは江戸の飛鳥山。一度の体験だが、投げ出した土器がたどる軌跡はこんな感じ。5個目の土器は手前の並立している松の木のなかに消えたのだろう。

この絵をはじめて見たのは02年にあった春信の回顧展。伴大納言絵巻でインプットされている‘異時同図法’がここにも使われていたのでハッとした。すっと見終わるけれど、絵の中に時間が表されているのだから、春信の頭は相当柔らかい。

師宣と春信を一緒に取り上げたのは後半に行われる展覧会をすこし意識しているから。それは三井記念美の‘高橋誠一郎浮世絵コレクション名品展’(9/19~11/23)。手元の美術本をみると、このコレクションのなかに未見の師宣、春信のとてもいい絵が4、5点ある。ずっと待っていたのでテンションがだいぶあがってきた。開幕が待ち遠しい。

英一蝶の絵はもう1点‘花鳥図’(下)が書画のところに飾ってある(7/12まで)。これと出会うのに予想以上の時間がかかった。枝に横向きでとまっている鳥と幹にあいた二つの大きな穴から羽と体を出している鳥を対照させる構図が印象的。英一蝶の回顧展(9/5~10/12、板橋区美)は高橋コレクション展と同じころはじまる。これも楽しみ。

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2009.07.06

写楽 幻の肉筆画 その二

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浮世絵で一番夢中になるのは風景画と美人画。今回最も見たかったのは写楽の肉筆ではなく、チラシに載っている歌麿の絵。上の‘風流六玉川’と‘歌撰恋之部 深く忍恋’。7点ある歌麿のなかで、この2点がとびっきりすばらしい。

‘風流六玉川’は6枚続きのワイド画面。画像は右の2つで、山城と近江の玉川。山城では綺麗な着物を着た3人の女が川のなかに入っているが、ほかは画面手前に人物を配し、その後ろを玉川が一つの川として左右に折れ曲がりながら、右下に向かって流れていく構図になっている。

水流の描き方が実に巧みで、ゆったり流れるところと山城のように水面が揺れ複雑な流れになっているところを描き分けている。目が点になるのが女の白い足が水中で透けてみえるところ。そして、たくし上げる着物の裾の曲がる部分が水面に呼応して立体的なフォルムになっているところもサプライズ。歌麿はこういうところの描写が天才的に上手い!

雲母摺りの美人大首絵‘深く忍恋’は東博蔵(拙ブログ07/12/23)に比べると倍くらい摺りの状態がいい。ベストといわれるギメ美蔵と遜色ない摺りとお墨付きのものが目の前にあるのだから、これ以上の幸せはない。息を呑んで見た。

菊川英山の美人画もチラシで気になってしょうがなかった。真ん中は‘風流夕涼三美人’。これまで見た英山のなかでは一番かもしれない。左に描かれた立ち姿の女の着物の柄は中央、右に座っている女のものより格段に目を引く。うすピンクの地に映える斜めの観世水文がとても洒落た感じなので、女が引き立つ。

2年前、太田記念美でみたギメ美にある英山の絵でも心拍数があがったが、とにかく英山の描く女の肌や顔はロシアの女性のように白い。欧米のコレクターが英山を集めたくなる気持ちがよくわかる。隣にある‘松坂屋店前美人画’にもグッと惹きこまれた。

歌麿や英山のこうした6枚あるいは3枚続きのワイド画面に200%KOされたが、ほかにもいいのがあった。はじめてお目にかかった歌川豊国の‘新吉原桜之景色’、一度みたことのある‘やつし妹背山’と‘両国花火之図’。いずれも摺りのいい横長画だから見ごたえがある。

春信は下の‘見立菊慈童’、‘母と子と猫’、‘唐子と布袋’の3点。菊を背景にして、すっと立つ少女に見惚れていた。‘唐子と布袋’はユーモラスな絵。水浴びをする布袋は見たことがない。可笑しいのが桶のなかの水。どうして海面みたいに大きく波立っているの?

江戸東博は毎年、いい浮世絵展を開催してくれる。06年のボストン美肉筆浮世絵展、07年の北斎展、08年のボストン美蔵の名品展、そして今年のマノスコレクション。流石、北斎が生まれたところにある博物館である。来年もまたワクワクするような里帰り展を期待したい。

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2009.07.05

江戸東博の写楽 幻の肉筆画 その一

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ここ数年、海外の美術館が所蔵する浮世絵を展示する里帰り展が目を楽しませてくれる。江戸東博で昨日からはじまった‘写楽 幻の肉筆画’(7/4~9/6)もその例にもれず、大きな満足がえられた。1回では書ききれないので、2日続けることにした。

出品作126点のほとんどは浮世絵だが、狩野派絵師の屏風、図帖が6点ある。展覧会の目玉のひとつはタイトルそのままの東洲斎写楽の肉筆画。といっても、写楽の絵というと、‘三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛’(拙ブログ06/11/17)とか‘市川鰕蔵の竹村定之進’(08/7/14)のような役者大首絵をすぐイメージするから、素人浮世絵ファンなら‘写楽に肉筆画があったっけ?!’というのが率直な反応ではなかろうか。

ところが、写楽の肉筆画があったのである!どこに?日本ではなく、ギリシャ!でもギリシャ本土ではなく、イオニア海に浮かぶコルフ島にあるアジア美術館。この話が1年くらい前、新聞紙上に載ったときはコルフ島がどこにあるか見当がつかなかった。地図で確認すると結構大きな島である。

この美術館にあったギリシャの外交官マノスが1900年代初めに集めた浮世絵のなかから、写楽の肉筆扇面画‘四代目松本幸四郎の加古川本蔵と松本米三郎の小浪’(上の画像)を見つけたのは学習院大教授の小林忠氏。浮世絵研究の大御所で千葉市美の館長でもある。小林氏はこれの発見により日本にあるもう一枚の扇面画、‘老人図’(三重県津市の石水博物館)も写楽の肉筆画に間違いないという。

現在、写楽が誰であるか?については内田千鶴子氏の立派な研究成果などにより、阿波藩の能役者、斎藤十郎兵衛であることがわかっており、これが定説になっている。以前紹介した内田氏の本、‘写楽を追え’(07/2/21)にこのことが詳しく書かれている。で、写楽=斎藤十郎兵衛説にもとづいて、写楽の絵の流れを整理してみた。

・寛政6年5月(1794) 写楽(33歳)役者大首絵28枚でデビュー
・寛政7年1月(1795) 役者絵、相撲絵を発表し、その後浮世絵界から姿を消す
・寛政7年5月(1795) 肉筆扇面画‘加古川本蔵と小浪’を描く
・寛政9年5月(1797) 蔦屋重三郎、47歳で亡くなる
・寛政12年(1800)  写楽(39歳)肉筆扇面画‘老人図’を描く

さて、目の前の扇面画である。描かれているのは寛政7年1月に演じられた仮名手本忠臣蔵の場面。右は眉間のしわが特徴の松本幸四郎が演じる加古川本蔵で、左が父の後をついていく小浪。本蔵の裃の衣紋線には墨と金泥がみえる。そして、刀の鍔、柄の部分にも鮮やかな金泥が使われている。色で魅せられるのが本蔵の黄色の着物の下に見えるうす青。神経質そうな顔をしているのに、身につけているものは洒落た色で彩られている。

わずか10ヶ月で浮世絵界から姿を消した写楽が実は寛政12年まで、いやもっと先まで?(斎藤十郎兵衛は58歳で亡くなる)、写楽愛好家の求めに応じて肉筆画を描いていた!こういう新たな事実がわかると、専門家でなくてもまた別の絵柄の扇面画がでてこないかと期待したくなる。長生きしなくては。

真ん中の屏風は狩野山楽の‘牧馬図’。これは六曲一双の左隻のほうで画面いっぱいに馬は沢山描かれている。これまで馬の絵は‘絵馬’とか‘随身庭騎絵巻’(大倉集古館、06/6/19)とか‘厩図屏風’(東博)は見たことはあるが、このように大勢の裸馬が疾走するところや後ろ足で立ったり、体を思いっきりひねったりしている姿はみたことがない。今年は山楽と妙に相性がいい。妙心寺展や大覚寺で名画と対面したからいい気分でいたら、さらに幸せプラスα。ギリシャからこんな傑作が里帰りしてくれた。ミューズに感謝!

初期版画で夢中になってみたのが奥村政信の‘遊君’シリーズ4点。下は‘鉄拐仙人’。みればわかるようにこれは普通の鉄拐仙人の絵ではない。吉原の遊女が鉄拐になっている。鉄拐仙人は魂を遠くに飛ばす術をもっている。それで遊女の口からでた息の先に禿が!この子は‘今いる男はもうすぐ帰るから、早く来てね、旦那!’と書かれた文を届けにいくのであろう。

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2009.07.03

エジプト旅行の思い出

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横浜では‘海のエジプト展’(6/27~9/23)、そして東京都美では‘トリノ・エジプト展’(8/1~10/4)。ともに歴史的に価値のある古代エジプトの像や宝飾品などが展示されるので、足を運びたくなる。こういう遺跡もの展覧会のときは子供をもつ親は時間とお金のやりくりが大変。展示された大きな石像は子供たちの胸のなかに強烈に刻み込まれ、エジプトに行ってみようという夢が芽生えるにちがいない。

巨大なピラミッドとスフィンクスは小さい頃からいつかこの目で見るぞと思っていたが、実現したのは12年前。楽しい思い出が9。10でないのは出来ることなら避けたかった下痢に一回やられたため。ツアー参加者のなかには結構これに悩まされた人がいた。

添乗員さんから水の悪さを注意されているから、絶対現地の水は飲んでないのだが、歯磨きや食事のときに食べたサラダなどで下痢するのである。エジプトへ行った人に聞いてみると、腹がぐるぐるした人が多いので、これはある程度覚悟していたほうがいい。現在もだぶん同じ状況ではないかと思う。

さて、お楽しみの名所観光、サプライズベスト3は、
★ツタンカーメン王の黄金のマスク(上の画像)
★アブ・シンベル大神殿(真ん中)
★カルナック・アメン大神殿(下)

日本でも公開されたとこがある‘ツタンカーメンのマスク’はカイロにあるエジプト考古学博物館に展示されている。あまりに有名なこの黄金のマスクは常時多くの人に囲まれている。眉毛と眼のふち、そして頭巾(ネメス)の横の小さな帯を彩る青と黄金のコントラストが目に強く焼きついている。

ギザの3大ピラミッドとスフィンクス(拙ブログ1/2)は本や映像でかなり見ているので、フォルム的にはそう刺激はない。が、その大きさには声が出ないくらい圧倒される。と同時に、この巨大なピラミッドをどうやってつくったの?と驚愕する。

デカいことではアブ・シンベル大神殿もすごい。正面のラムセス2世の4つの巨大な座像に口あんぐり。高さ20mもあるこの像の前に立ったことは一生の思い出である。

もう一つのサプライズはルクソール東岸にあるカルナック大神殿。神殿のハイライトは高さ23mの中央柱12本を中心に全部で132本の柱が並ぶ大列柱室。天に向かってそびえたつ太い柱の間をぐるぐるまわっているとアドレナリンがどばっと出てくる。

アガサ・クリスティの映画「ナイル殺人事件」にこの列柱室がでてくるが、上からパピルスのつぼみの柱頭が落ちてくるのではないかと勝手に妄想した。この列柱の先にはハトシェプスト女王のオベリスク(07/6/29)がある。

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2009.07.02

開国博Y150を食ってしまう海のエジプト展!

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横浜美から海のほうへ向かって10分くらい行ったところにあるパシフィコ横浜で6/27からはじまった‘海のエジプト展’(9/23まで)を見てきた。もともと関心が高かったのだが、朝日新聞の販売店が定期的に行っているチケットプレゼント(2300円×2枚)に応募したところ、幸運にも大当たり。応募者が多いチケットが当たると素直に嬉しい。

会場は地下鉄みなとみらい駅のすぐ近くにあるので、東京方面からだと渋谷で東横線の特急に乗るとアクセスがスムーズ。JRの桜木町で下車する人はそこから、動く歩道、クィーンズスクエアをどんどん進んでいくと15分くらいで会場に着く。

入場券売り場近くの自販機の後ろがコインロッカーになっているが、美術館とは違い300円は戻ってこない。これから混雑してくるとこれだけの数ではとても足りないので、これは利用できないと思っていたほうがいいかもしれない。

中に入ると、海底で発見された巨大な王の像、金のアクセサリーやコイン、壺、食器など(約490点)を鑑賞し、解説のビデオ映像をみたり、上手にディスプレイされたイラストパネルを読んだりと全部見終わるのに最低2時間はかかる。その間、重いバッグを持って歩くのはキツイ。

感想を書く前に会場を案内し注意事項を述べているのは、この展覧会は大勢の人が訪れ混雑必至と思われるから。夏休みに入ると子供たちや学生、親子連れがどっと押し寄せることは間違いない。じっくり見たい方は早めの出動を。

一般の美術館と比べると広い会場なので展示品のレイアウトがゆったりして、導線の流れがいい。発掘品はコインのように小さなものや大きな像があるので、単眼鏡があると便利。ひょっとして必要かもと思い持っていたら、すごく役立った。

上はヘラクレイオンから発見された‘プトレマイオス朝の王妃の巨像’(左)、‘ファラオの巨像’(中)、‘豊穣神ハピの巨像’(右)。高さ5mの3体が一緒に並んでいる姿は圧巻!一度訪問したエジプトの神殿の門の前にいるような気分になった。現地でもこれだけ大きな像はそれほど沢山は見なかった。これと同じくらい大きなものがもうひとつある。見てのお楽しみ!

同じくヘラクレイオンの海底に眠っていた真ん中の‘ウジャト形ビーズ’を興味深く見た。ウジャトは‘ホルス神の目’のことで、健康とか完全な目や健康な目を意味する。人々はこのビーズをお守りとして首飾りにつけたりした。

これをみてクリムトの‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像’(拙ブログ6/28)にみられる衣装の模様を連想した。目の模様は前からエジプトのパピルスに書かれたこのウジャトを借用したとみていたが、渦巻きも古代エジプトに霊感を得たことがわかった。これは収穫!

スフィンクスは何体もあるが、首が残っているのはアレクサンドリアからでてきた2体のみ。下はクレオパトラの父、プトレマイオス12世のスフィンクス。頭にかぶっているネメス頭巾とその端正な顔つきに目が釘付けになる。こんな魅力的なスフィンクスはみたことがない。

そして、絶世の美女クレオパトラの横顔が刻まれた貨幣(青銅)をじっくりみた。これがクレオパトラの実像?最後のコーナーで、古代エジプトゆかりの香料や花の香りを体験できるようになっている。気を引いたのは没薬、乳香、いい体験だった。

仕上げにみる大画面のヴァーチャル体験シアター(15分)はとても楽しくてわかりやすい。プトレマイオス朝やアレクサンドリアについての知識が増え、また美しい像にも遭遇した。予想をはるかに上回るすばらしい展覧会だった。

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2009.07.01

09年後半 展覧会プレビュー

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美術館の展覧会スケジュールは年度単位で発表されることが多く、年初の時点では次年度の計画をHPに載せてない美術館もいくつかある。だから、4~6月の情報が集めにくかった。これに比べると後半の展覧会情報は豊富。今ある情報をもとに出かける可能性の高い展覧会をとりまとめてみた。

★西洋美術
7/3~9/23    ゴーギャン展              東近美
7/4~8/30    メキシコ20世紀絵画展       世田谷美
7/14~10/12  黄金の都 シカン           国立科学博
7/29~8/31   ビュフェとアナベルー愛と美の軌跡展   横浜そごう
8/1~10/4    トリノ・エジプト展            東京都美
9/5~10/18   パウル・クレー展            横須賀美
9/12~11/29  ベルギー近代絵画のあゆみ     損保ジャパン美
9/12~11/29  オルセー美展 パリのアールヌーヴォー     世田谷美

9/16~10/12  クリムト・シーレ、ウィーン世紀末展  日本橋高島屋
9/19~12/13  古代ローマ帝国の遺産        国立西洋美
9/25~12/14  THE ハプスブルク           国立新美
9/26~11/29  エミール・ガレ展            茨城県陶芸館
10/3~10/25  古代カルタゴとローマ展        大丸東京
11/10~12/23 ロートレック展              Bunkamura
12/11~3月    束芋展                  横浜美

★日本美術
7/4~9/6     写楽 幻の肉筆画           江戸東博
7/4~8/16    芸大美コレクション展          東芸大美
7/11~8/23   小林かいち展              ニューオータニ美
7/11~9/6    道教の美術 TAOISM ART     三井記念美
7/14~9/6    染付展                  東博
7/14~9/6    伊勢神宮と神々の美術        東博
7/18~8/30   百鬼夜行絵巻展            国立歴博
7/25~9/6    シアトル美日本・東洋美術名品展  サントリー美

8/25~9/6    十二代三和休雪展          日本橋三越
9/5~10/12   英一蝶展                板橋区美
9/19~1/11   聖地チベット展             上野の森美
9/19~11/23  高橋誠一郎浮世絵コレクション展    三井記念美
10/1~11/29  速水御舟展              山種美
10/6~11/29  皇室の名宝展             東博
10/7~11/8   国宝那智瀧図と自然の造形     根津美
10/10~12/23 古伊万里展              東京都庭園美

10/24~12/20 水墨画展                静嘉堂文庫
10/24~12/20 冷泉家 王朝の和歌守展      東京都美
10/24~11/29 伝えゆく典籍の至宝展        五島美
11/28~1/11  鏑木清方展              サントリー美
12/1~1/24   村山槐多展              松濤美
12/5~1/31   東山魁夷展              山種美
12/5~2/7    柴田是真展              三井記念美

(ご参考)
・西洋美術で期待の展覧会は国立美の‘THE ハプスブルク’。03年に訪問したブダペスト国立西洋美で感激したラファエロの‘若い男の肖像’とグレコの‘受胎告知’がチラシに載っているのでびっくりした。さらにベラスケスの‘食卓の貧しい貴族’もやってくる。これにウィーン美術史美の王女マルガリータがあるのだからなんとも豪華な内容。

・7/4からはじまる‘メキシコ20世紀絵画’に出品されるフリーダ・カーロの絵を見るのがすごく楽しみ。いつか彼女の絵をみたいと思っていたが、やっと実現する。 また、お気に入りの束芋の回顧展も待ち遠しい。

・日本美術の目玉は何といっても東博の‘皇室の名宝展’。10年前同様、お宝が沢山公開されるはず。追っかけ作品が全部入っていることを今から念じている。 
・浮世絵は江戸東博と三井記念美の高橋コレクションがとても楽しみ。また、長らく待っていた‘英一蝶展’に対する期待も高い。画集に載っている代表作がどのくらい登場するか。

・この秋、NEW山種美(10/1)、根津美(10/7)が開館する。どんな展示空間になるのだろうか、興味津々。

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