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2009.06.12

西洋画・日本画比較シリーズ! ブリューゲル vs 広重

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西洋画でも日本画でも絵とはじめて対面するとき、それを見ながら同時に過去に見たほかの絵の情報もフル動員して心の目を刺激する。画家の個性や絵の描き方の独自性を感じ取るためである。

で、‘こういうタイプの絵はこれまで経験無いな、インパクトがすごい、これは参った!’とか‘この絵はあの絵の構成に似ているな!でも、こちらの方は色使いが鮮明で、人物描写も生き生きしている’とかいろいろな感想を持つ。

芸術家の存在価値は作品のオリジナリティにあるから、ほかの画家と同じ表現方法はとらない。建前上はそう。でも、すぐにそれが生み出せるわけではないから、素人でも‘なんだ、○○のコピーじゃないか’と思うような絵ができあがる。

本物の絵描きになれるかなれないかはその次の段階での精進の仕方で決まる。世の中で認められる人は先行作をいろいろ消化し、自分の作風を骨太につくりだす。そうなると、誰れ誰れの絵と似たような雰囲気はあったとしても、それはたいしたことではなく、画家が生み出した表現方法に見る者の心は向かっていく。

今日は似ていることが不思議なくらいおもしろいと感じられる絵について少し。前回ウィーン美術史美でブリューゲルの絵を鑑賞していたとき、ふと気がついたことがある。それは浮世絵師、歌川広重が描いた‘東海道五十三次’にでてくる絵と構成が似ている点。

★ブリューゲルの‘牛群の帰還’(上の画像)
★広重の‘東海道五十三次・箱根’(真ん中)
★広重の‘東海道五十三次・日坂’(下)

ブリューゲルの‘牛群の帰還’と広重の絵がよく似ているのは、手前に移動する人物が大きく描かれ、その向こうの風景をパノラマ的に表現しているところ。近景、中景、遠景の描き方は写実性の点で違いはあるものの、二人は基本的には同じように画面を構成しているのである。

‘牛群の帰還’よりもっと‘箱根’との類似性がうかがえるのが‘サウルの回心’。左を見ると、はるか先のV字のような谷底から急な坂道を兵士が登ってきており、画面の右半分にはやっと頂上に着き休息をとっている兵士たちや馬に乗る騎士たちが手前に大きく描かれている。

これが‘箱根’で山中の隘路を進む大名行列の描き方とよく似ているのである。ブリューゲルの絵が描かれたのは1565年ころで、広重の‘東海道五十三次’は1835年ころ。270年の時の流れがあるが、二人の絵描きは同じ風景画をイメージしていた!

以前、よく似た表現がみられる西洋画と日本画の例として‘伴大納言絵巻’とマザッチョの‘楽園追放’(拙ブログ06/10/16)、‘広重とマンテーニャのシュール感覚’(08/6/10)を取り上げた。今後、頭の中にある同じような絵を思いつくまま紹介したい。

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