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2009.06.26

西洋画・日本画比較シリーズ! マンテーニャ vs 広重・国芳

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ここ数年の浮世絵鑑賞で目に力を入れているのは広重と歌麿。東博の浮世絵平常展示を見るのをルーティンにしているのは二人のまだ見ていない絵と遭遇するため。

歌麿の追っかけ作品(残り10点くらい)がすこしずつ姿を現してくれるのに対し、長らく待っている広重の‘東都名所’とか‘江戸名所’シリーズの展示はスローテンポ。ということは絵そのものが無いのかもしれない。

だから、最近TASCHENの‘広重’で目にした‘東都名所’の‘かすみがせき’、‘霞が関夕景’、‘両国花火’、‘新吉原五丁町弥生花盛全図’のような鑑賞欲をそそるものをここに求めても無駄なような気がしてきた。もう5年も通っているのだから、もし所蔵しているのであれば、1回くらいは展示されているはず。頭を切り替える時期かも。

今回の似ている西洋画と日本画はマーテーニャと広重・国芳。最初に頭の中にあったのは広重と国芳の絵で、これにコラボしたのが昨年ルーヴルで会ったマンテーニャ。
★マンテーニャの‘キリストの磔刑’(上の画像)
★広重の‘名所江戸百景・湯島天神社’(真ん中)
★国芳の‘東都名所・かすみが関’(下)

4年前、太田記念美で待望の‘名所江戸百景’と対面した。この美術館が所蔵するものが日本では最も摺りの状態がいいから、夢中になって見た。そして、絵の中に同じような場面がでてくることに気づいた。広重は人々が石段や坂を登ってくるところを正面、あるいは斜め横から描いているのである。

例えば、‘湯島天神社’では画面中央に下から石段を登ってくる二人の男がみえる。なにげない描き方であるが、これで画面に立体感が生まれている。坂を上がってくるところをアップでとらえたのが‘愛宕山’、ほかにも‘上野寛永寺’、‘王子稲荷社’、‘日暮里諏訪の谷’、‘かすみが関’で同じような光景がみられる。傾斜のきつい坂を人々がふうふういいながら登ってくる様子を実にリアル描いているのが国芳の‘かすみが関’。この絵をみるたびに国芳はたいした絵師だなと思う。


マンテーニャが描いた‘キリストの磔刑’は拙ブログ08/2/26でアップしたとき、広重との類似性についてふれた。手前真ん中に男の上半身と頭がみえる。ここはキリストが磔になっているところより低くなっている。そして、キリストの十字架の後ろに目をやると、遠くから坂を登ってきている兵士がみえる(クリックした拡大画面がよりわかりやすい)。

マンテーニャは短縮法を使って向こうから登ってくる坂道、平な磔刑場、そしてこちら側が下っていることを表現している。ルネサンス期に体の一部を画面からはみださしたり、空間を正面から見て高低差があるように描く画家はマンテーニャのほかにはいない。この画面構成は広重や国芳のそれとしっかり響き合っている。

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コメント

5月に東京国立博に行ったとき、広重による坂の前後ろの人達を描いた絵がありました。
北斎による「くだんうちがふち」もこの「かすみが関」も、坂を中心にした絵は臨場感、遠近感、その場にいる感じがして特に気に入ってます。
のっぺりした人物画から臨場感たっぷりの風景画まで、浮世絵は結構奥の深い世界ですね。

投稿: ミネラル | 2009.06.28 11:47

to ミネラルさん
浮世絵の楽しみは色彩と構図の妙でしょうか。

北斎や広重の風景画は空間を広くみせる平板な描き
方なのですが、部分的に透視画法で描かれたり、
広重の坂のように段差を表現したりしますので、
画面が立体的で奥行きがあるようにみえることが
あります。

一つの視点から風景を描く西洋画より、浮世絵の
ほうが自然をのびのびと大きくとらえているような気
がします。

投稿: いづつや | 2009.06.28 17:25

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