エゴン・シーレはお好き?
エゴン・シーレ(1890~1918)の絵を多く所蔵しているのはベルヴェデーレ美、レオポルト美、ウィーン市歴博、そしてアルベルティーナ素描・版画美だが、そのコレクションは日本で結構公開されている。
例えば、‘ウィーンのジャポニスム展’や何度も開かれる‘ウィーン世紀末展’でやってきたり、単独では‘レオポルト美蔵のエゴン・シーレ展’が91年、Bunkamuraで開催された。だから、現地に出向かなくても日本でシーレの代表作の相当数を鑑賞することができた。シーレファンにとって日本はとてもいい美術環境である。
‘シーレが好きか?’と問われたら、‘イエス、イエス、but一部はノー’というのが率直なところ。強く惹かれているのは、
★自画像:アルベルティーナ美(上の画像)
★ほおずきの実のある自画像:レオポルト美(真ん中)
★踊り子モア:レオポルト美(下)
★家族:ベルヴェデーレ美(拙ブログ05/7/10)
★縞模様の服を着たエディット・シーレ:ハーグ、ハッグス美(05/4/14)
★4本の樹:ベルヴェデーレ美(05/2/5)
‘自画像’と‘エディット・シーレ’は05年、アムステルダムのゴッホ美であった回顧展でとても魅了された絵。Bunkamuraに展示されたレオポルトコレクションには‘ほおずき’や‘踊り子モア’のほかいい絵がいくつもあった。シーレの下から見上げるような鋭い目が心をとらえて離さない‘隠者たち’、クリムトの‘接吻’を意識して描かれた‘枢機卿と尼僧’、‘母とふたりの子’(未完成)、‘横たわる女’。
心穏やかな感じの妻の‘エディット’を真正面から平板に描いているのに対し、‘モア’の目とポーズはファッションモデルのよう。ともに感心するのが衣服における赤、うす紫、青、ピンク、オレンジ色など装飾性豊かな色使い。
表現主義による荒々し筆致で描かれることの多い自画像のなかで、上の絵は完成度の高い絵。最も魅せられているのが‘ほおずきの実のある自画像’。白の背景に浮かびあがる赤いほおずきの実が感情の表出をつとめて抑え、顔を少し左に傾けているシーレを引き立てている。
数の少ない風景画は‘4本の樹’がすばらしい。いつかまたお目にかかりたい。風景画というと、03年のサザビーズの競売で‘クルマウの風景’が25億円で落札された。これは写真で見る限りすごく鑑賞欲をそそられる絵。どこかの美術館がシーレの大回顧展を開催し、そこにこれが出品されると幸せになれるのだが。夢だけが見ておこう。
さて、ウィーン市歴博が所蔵する作品はどれがやってくるか?楽しみに待っていたい。
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