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2009.06.13

横浜そごうのレオナール・フジタ展

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横浜そごうで昨日からはじまった‘レオナール・フジタ展’(6/12~7/21)を見た。展覧会の情報を手に入れたとき、内容は昨年11月上野の森美でみたものと基本的には同じであることを電話で確認した。

最初はパスのつもりだったが、途中で藤田嗣治が日本に戻ってきたとき描いた大作がいくつか出品される(上野では展示無し)ことがわかったから、ダブりを覚悟で出動することにした。

上野であったのが全国興行パートⅠ(最後のせんだいメディアテークでの公開が6/7に終了)とすると、これは展示の構成は変えず出品作をマイナーチェンジしたパートⅡ。横浜の後、3ヶ所に巡回する。
・松坂屋美:8/1~9/13
・ベルナール・ビュフェ美:9/19~12/25
・大丸ニュージアムKOBE:2010/1/8~1/28

展示の目玉である‘構図’(上のライオンと犬)と‘闘争’(Ⅰ・Ⅱ、拙ブログ08/12/7)を再度じっくりみた。‘ライオンのいる構図’はこれで三度目の鑑賞だが、毎回感心するのは樽やライオンの木の檻にみられる木目の質感描写。筋肉質の男性や豊満な肉体をもつ裸婦が灰色の陰影をつけて彫刻的に描かれているのに対し、お得意の猫は柔らかい毛やでれっとしたポーズが猫そのもの。

お目当ての日本で描いた大作は5点ある。喫茶店‘銀座コロンバス’の天井画(6点、迎賓館蔵)のうち、今回展示されたのは‘野あそび’と‘葡萄の収穫’。3年前、東近美で行われた回顧展のときには‘母と子’、‘天使と女性’があった。もう3点は真ん中の‘野あそび’(志摩観光ホテルクラシック蔵)と‘ノルマンディーの春’(関西日仏学院)と‘優美神’(聖徳大学)。

長く見ていたのは流行の衣装を着た6人の女性と女の子を前景に大きく描いた‘野あそび’。こういう絵はなかなか見る機会がないから貴重な体験である。実は最も期待していたのは何年か前見たウッドワン蔵の‘大地’(2/3)だったが、残念ながら再会はならなかった。

下は上野の森美でもでていた‘花の洗礼’(パリ市立近代美)。三美神を思わせる長身の女性でも上から綺麗な花をまき散らしている天使でも、顔つきは皆同じ。おでこがでていて目と目の間がひろく、丸い瞳はなぜか横によっている。

この冷たいようで可愛らしい顔に惹かれている。それはそれは綺麗な花々に祝福されたら、三美神は少しは頬をゆるめてもいいはずだが、この顔で通すところがいい。日本の美を象徴的に表現する花を三美神とコラボさせて、藤田はこんな魅惑的な絵を描いた。素直に嬉しくなる。

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コメント

龍子記念館で河童特集。あれほど大きな絵が並ぶと迫力です。道順のご案内など有り難うございました。
横浜も近いから行きたくなります。たくさんの画家や文人が見事な作品を展開しているので、美術鑑賞はかなりの長期間
続けられそうな気がしてきました。
いづつやさんご愛読の「日本の美を巡る」は、絵だけではなくて画家の背景まで簡潔に説明がなされているので、呼んでいて面白いです。おかげでかなりバックナンバーを集めてしまいました。

投稿: ミネラル | 2009.06.13 23:30

to ミネラルさん
‘日本の美をめぐる’に掲載されている美術品を全部
見るのがライフワークになってます。
素人は論じるより本物を沢山鑑賞するのが一番です。

作家本では東京美術の‘もっと知りたいシリーズ’が
いいです。知識が増えて楽しめ、そして内容もしっかり
している。とにかく画像の編集、ワーディングがとても
上手です。

また、最新の研究成果なども盛り込んで執筆されてます
から、普通の美術ファンにはちょうどいいレベルの情報に
なってます。現在、熱心に読んでいるTASCHENの
画家本(日本語訳版)のように、どんどん出版してくれる
ことを願ってます。

投稿: いづつや | 2009.06.14 13:35

先週横浜に行った時に、ポスターを見たら上野のと同じかな?と思ってパスしたんですが、少しだけ違うようですね。横浜までまた行くか悩みどころですw

投稿: 21世紀のxxx者 | 2009.06.16 00:14

to 21世紀の×××者さん
目玉の‘構図’&‘闘争’のほか油彩は13点
(1点のみ違うがあとは上野と同じ)、そして
大作5点の構成です。ですから、数はだいぶ
少ないです。あとはアトリエの再現、教会の
ステンドグラスとか模型、スケッチ、陶器
などは皆おなじものです。

日本で描かれた5点はどうしても見たかったので
でかけました。これから先当分は、藤田嗣治の絵
を見る機会はないでしょから、済みマークをつける
のが目的です。取り上げた‘野あそび’に魅了され
ました。5点が気になればまた横浜へ。

投稿: いづつや | 2009.06.16 00:51

数が少ない分、じっくりと見ることができました。土曜日でしたがお客さんも少なくて。フジタという人は、本当多才な人だったんですね。これは図録を即買いしました。やっぱり図録があると楽しみがしばらくは続くことが理解されます。

投稿: ミネラル | 2009.06.17 22:11

to ミネラルさん
今回の図録は編集のセンスがあまりにいいので
感心してます。お目当ての大作5点だけなく、
コロンバスのほかの絵が入っているのも嬉しい
ところです。

展覧会を鑑賞したときの満足というのはやはり
作品の質によって得られますね。作品の数が多く
なくてもいい絵があればそれで十分ですね。
構図や闘争や野あそびをじっくりみて、あらた
めてフジタの偉大さを噛みしめています。

投稿: いづつや | 2009.06.17 23:23

はじめてお邪魔させて頂きます。
横浜のフジタ展から検索して、興味深く読ませて頂きました!
遅ればせながらこの展覧会をきっかけにフジタに魅かれて、伝記や画集なども探しています。図々しい質問なのですが、そごう展と上野展の図録は、大きな違いがあるかご存じでしたらご教示頂けませんでしょうか。優美神(とても心に残る作品なのです)は、そごう図録だけでしょうか? また逆に、イヴの油はそごうには入っていないでしょうか? 会期中に横浜に再度足を運び図録も購入するか、上野の図録を取り寄せるか迷っていますので、恐縮ですがアドバイス頂ければ大変うれしいです。
またブログも今後も拝見させてくださいませ!

投稿: hotaru | 2009.07.12 22:54

to hotaruさん
はじめまして。書き込み有難うございます。

そごう展は油彩は18点と少ないですから、
その分図録はコンパクトです。このなかに
‘優美神’は勿論載ってますが、‘イヴ’は
スケッチはでてますが、油彩は出品されて
ませんから、絵も載ってません。

ですから、もし大作5点をパスされるのでし
たら、上野の森美展の図録のほうをお買いに
なったほうがいいと思います。これからも
よろしくお願いします。

投稿: いづつや | 2009.07.12 23:35

いづつやさま

ご親切にアドバイスありがとうございます!
やはり、上野展の図録のほうが充実しているのですね。
手に入れてみたいと思います。
本当にありがとうございました。

これからも、ブログ楽しみに拝見させていただきたく思います。

投稿: hotaru | 2009.07.14 12:24

to hotaruさん
どういたしまして。これからも気軽に
お越し下さい。

投稿: いづつや | 2009.07.15 00:04

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